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2025.11.17

マイスターハッカソンでつなげる技術の輪


アシストでは、2025年10月3日〜4日の2日間にわたり、「第4回 マイスターハッカソン」を開催しました。今回のテーマは「AIエージェントを利用した新たなビジネスやサービスの企画・開発」。部門横断で集まった20名の技術者が、1チーム3~4名の6つのチームに分かれ、課題解決を意識しつつ、仲間と協力しながら最新技術への理解を深めていきました。

マイスターハッカソンの定義や開催時の工夫点、そして当日の様子をご紹介していきます!


マイスターハッカソンとは


アシストには、次世代をリードするために認定する「高度な専門技術を持つトップ技術者(高度技術者)」を指す「マイスター」という社内称号があります。マイスターハッカソンは、このマイスターが中心となって企画・運営する、部門横断の社内ハッカソンイベントです。



このハッカソンでは、参加者のスキルは問いません。「技術へのチャレンジ精神」さえあれば、誰でも参加できます。最新技術を実際に「使う」ことで、スキル向上や他者理解、技術習得を深められる場を目指しています。

今回参加した20名は、東京勤務の技術者が約6割、その他地域の技術者が約4割でした。また、初参加という方も多く、複数回参加しているベテラン勢は4名ほど。部門や地域、経験年数を超えて、多様なメンバーが集まりました。


なぜマイスターハッカソンを開催するのか


アシストでは、技術部門の全国組織化に伴い、技術者同士のつながりが部門の壁だけでなく地域でも分断されやすくなっている現状があります。日々の業務も担当領域に閉じがちで、その結果、技術力の研鑽や知見の獲得が担当技術分野の範囲にとどまってしまう傾向にありました。そこで、新しい技術に触れ、刺激を得られる場があれば、技術者としての視野が広がるはずと考え、2023年からこのマイスターハッカソンを開催するに至りました。

また、キャリアを重ねるほど日々の業務で受ける刺激が似通ってくることもあります。10年、20年と同じ技術に向き合っていると、どうしても興味が薄れたり、不満が溜まりやすくなったりすることもあるでしょう。自分の視野を広げる体験になりそうだと思える機会があれば、モチベーションの維持につながるのではないか。そんな期待も込めて、マイスターハッカソンを継続しています。



マイスターハッカソンは、これまでに3回開催されており、毎回テーマが異なります。今回のテーマは「AIエージェント」でした。

  • AIエージェントは、LLM(大規模言語モデル)を中核に据え、意思決定を行いながらAPIやデータ、コードなどのツールを活用し、目的達成に向けて自律的かつ継続的に行動するソフトウェアです。例えば「社内DBを検索 → 見積草案を作成 → 不足データをヒアリング → 再生成 → メール下書き作成」といった一連の業務フローを、AIが自律的に実行します。

4回目のマイスターハッカソン開催における工夫


4回目を開催するにあたり、これまでの運営を踏まえ、工夫したポイントは2点ありました。

1点目は、同じ宿泊施設で過ごすことです。マイスターハッカソンは2日間にわたって開催されます。以前は、宿泊施設を自身で手配してもらっていたため、1日目が終了した後、その場で解散となり、ハッカソンへの集中が途切れてしまうことがありました。そこで今回は、全員が同じ宿泊施設に泊まれるよう手配し、また、夜遅くまで談話室を開放することで、自由に議論や交流ができる環境を整えました。

2点目は、年代を揃えたチーム編成にしたことです。過去の開催では、若手とベテランが一緒になるようにチーム編成を行ってきました。しかし、若手メンバーが開発作業ではなく、資料作成などのサポート役に回ってしまうケースが見られました。そこで、今回は年代を揃えてチームを編成することで、全員がフラットに開発に携われるチーム編成としました。実際、これらの工夫が功を奏して、各チームメンバーが積極的に関わり合う姿が見受けられました。

また、これまでのルールを踏襲していることがあります。それは、必ずハッカソンネームで呼び合うことです。開催は平日も含まれるため、業務のことが頭から離れず、ハッカソンに集中できない可能性があります。そこで、ルールとして、自分の名前や普段のあだ名とは全く違うハッカソンネームをつけてもらうようにしています。普段の業務をしている自分とは切り離して考えられる状態にして、別人としてハッカソンに取り組んでもらえるようにしています。


開発作業の様子


ハッカソンは、10月3日(金)の午前中から始まりました。

オープニングでは、タイムチャートや発表方法、審査方法についての説明が行われ、その後チームビルディングの時間として昼食タイムが設けられました。



昼食後、本格的な議論と開発がスタート。進め方は各チームで異なります。サービス画面を作りながら考えるチーム、企画を練ってから開発するチームなど、それぞれのスタイルで取り組んでいきます。

利用するツールは自由ですが、今回は多くのチームがワークフロー自動化ツール「n8n」を活用して、APIでデータを連携しながらAIエージェントの構築を進めていました。



最初はどのチームもさくさくと進んでいましたが、次第に課題に直面するチームが増えていきました。「認証系がうまく回らない!どう調整しようかな」「ツールならではの癖がありますね、GPT4では動くのに5では動かないのか」「分岐設定悩ましいですね……ちょっと相談してもいいですか?」など、試行錯誤しながら課題を突破していきます。別のチームにアドバイスをもらいに行く姿もありました。



時間の経過とともに、参加者がどんどん熱中していく様子が印象的でした。画面に向き合い黙々と集中するチームがある一方で、チーム内で活発に議論を交わす姿も見られます。普段は異なる部門で働くメンバーが、技術という共通言語を介して自然に協力し合う光景に、この取り組みの価値が体現されていると感じました。

あっという間に時間が経過し、中間報告を終えて1日目は終了。各チームが「まだ全然完成してない」と焦る反面、実際に触ってみることで「AIって本当になんでもできてすごい」と驚きの声も挙がっていました。



その後は、懇親会が開かれ参加者同士が交流を深めました。

2日目は、午前中から引き続き開発作業を行い、最後の追い込みをかけました。「実装したい機能が搭載しきれない」「なんとか形にはなったけど、あと1日欲しかった」という声も。前夜の懇親会で熱いトークを交わしたメンバーたちも、時間ギリギリまで開発に集中している姿が印象的でした。

午後からはいよいよ成果発表会です。各チームが制作したAIエージェントサービスの内容、実装レベル、独創性などを審査員が評価し、最優秀賞作品を決定します。発表の形式や時間は当日伝えられるというルールもあり、緊張感が漂っていました。


成果発表!個性豊かな6つのAIエージェント


今回のハッカソンも、バラエティに富んだAIエージェントが発表されました。
各チームが開発したAIエージェントはこちら!



  • Aチーム:
  • 名称:「EchoTracX(エコートラックス)」
  • 概要:アシストのサポートセンターの業務工数を削減するサービス。
  • 詳細:電話での問い合わせ内容をAIエージェントが自動で記録・管理します。顧客の名前や住所、問い合わせ内容、種別を自動判別して記録するだけでなく、期限を確認してGoogleカレンダーへ自動登録。さらに、解決策のアイディアを担当者に通知して初動対応を効率化し、問い合わせ者の声から業務影響や緊急度を識別して管理ツールへ自動記録する仕組みです。
  • Bチーム:
  • 名称:「俺物語」
  • 概要:家族や友人、自分自身が情報入力当時の「俺」と対話ができるサービス。
  • 詳細:日記形式で自分の情報を入力することで、その時点での「俺」の出来事や想いを保存できます。それだけでなく、入力時点での情報を活用し、年齢を指定したコミュニケーションも可能。会話形式で容易にRAGへ情報入力ができ、幼い子供向けに「俺」の歴史を絵本形式でアウトプットすることもできます。自分が亡くなった後も、家族が当時の自分と疑似的に対話できる、新しい形の「自分史」を残せる仕組みです。
  • Cチーム:
  • 名称:「HoliDAI(ホリデイ)」
  • 概要:ユーザーにぴったりの休日の過ごし方をリコメンドしてくれる、あなただけの休日プランナーサービス。
  • 詳細:ユーザーのプロフィール情報(住んでいる地域、趣味嗜好など)やこれまでの休日の過ごし方を学習し、「人生を充実させる、ちょっとおせっかいだけど、最高の休日プランナー」として「今度の休み、何しよう」そんな休日の計画疲れを解消します。AIエージェントが、カレンダー情報、天気情報、利用者の趣味嗜好、利用者の住所、最新イベント情報など、様々な情報を読み取り、その人に合った休日の過ごし方を提案してくれます。
  • Dチーム:
  • 名称:「Oshi-Navi」
  • 概要:推しのメルマガを取得すると、AIエージェントが内容を判断して自動で様々なアクションをとるサービス。
  • 詳細:興味のある内容のフィルタリング・ラベル分け、告知情報のカレンダー登録、フリマアプリのグッズ情報のリスト化、大切なお知らせの緊急LINE通知など、様々な推しに関する情報を細かく整理してくれます。推しに関係するメルマガを抽出し、メディア出演、グッズ販売から大切なお知らせや日記なども指定可能。LINEとの連携で重要なお知らせを逃さず、ライブ前の過ごし方のアドバイスももらえます。推し活をもっと楽しく、もっと便利にしてくれます。
  • Eチーム:
  • 名称:「居酒屋探し隊」
  • 概要:飲み会の「幹事業務」をAIエージェントが丸ごと代行するサービス。
  • 詳細:お店選び・日程調整・出欠確認・カレンダー登録・リマインド・会費回収まで、若手社員が担うことの多い一連の幹事業務の負担をゼロにします。また、翌日の二日酔いのための献立まで提案可能です。
  • Fチーム:
  • 名称:「飲み会番長」
  • 概要:組織全員のカレンダーをAIエージェントが監視し、空いている人同士をGoogle Chatで自動的に誘ってくれるサービス。
  • 詳細:先輩や同僚を誘う「調整の手間」や「言い出す気まずさ」を解消し、普段接点のない方同士の飲み会をセッティングします。お店探し、開催告知も行ってくれます。また、AIエージェントからの自動的なお誘いのため、断りやすいというメリットもあります。




役職者で構成されたAチームでは、業務課題の解決に直結するサービスを開発し、中堅のBチーム、Cチーム、Dチームは私生活を豊かにするサービスを開発しました。また、若手のEチームとFチームは、それぞれ違いはあるものの、飲み会の幹事や調整の手間を解消するサービスとなっており、年代ごとに普段抱えている課題感がどこにあるか顕著に出ていて、非常にユニークな発表となりました。

そして結果発表!最優秀賞は「Oshi-Navi」を開発したDチームでした!



受賞した、とめぃとさん、はむこさん、タコジさん(ハッカソンネーム)おめでとうございます!

最優秀賞作品のほかにも、YUKAIチームワーク賞を受賞した「俺物語」を開発したBチームの皆さん。
動く成果物賞を受賞した「HoliDAI」を開発したCチームの皆さん、おめでとうございます!



今後に向けて


発表が終わり、参加者からはこんな感想が寄せられました。



  • 分からないことに対してどう進めていくのか、今回の経験を今後に活かせる気がします
  • AIには夢が詰まっていますね!
  • AIエージェントのサービス開発は、ハードルもそれほど高くなく、何よりも楽しかった!


「技術を介したつながりを創出し、最新技術への挑戦機会を提供する場として、より多くの技術者に参加してもらえるイベントに成長させていきたい」。そんな運営側の想いを、しっかりと体現できたように感じますね。今後も継続してマイスターハッカソンを開催していく予定ですので、次回の開催をぜひお楽しみに!


取材に伺った際、チームで議論しながら開発に取り組む姿を見て、「技術って、人と人をつなげられるんだな」とぐっときました。

普段は会う機会の少ないメンバー同士が、自然と協力し合っている様子は、見ていてとても温かい気持ちになりました。

懇親会も盛り上がったようで、ほとんどのチームが夜遅くまで談話室で親交を深めていたようです。真剣なハッカソンの場、交流を楽しむ場、皆さん両方ともとっても楽しんでいました!



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