
株式会社アシスト 代表取締役会長
ビル・トッテン
「日本の古都を愛する青い眼のガイジン」のように言われたこともありましたが、京都に住むようになって20年以上になりました。東京から京都へ転居した一番の理由は、妻が京都出身だからなのですが、もちろん京都はずっと大好きでした。
ご縁があって数年前、「京都国際観光大使」を拝命しました。京都市が創設した「京都観光サポーター制度」の一環として始まったもので、京都の魅力を世界に向けて発信するのが観光大使の役目とのことです。名誉観光大使には、広く海外に日本の文学を紹介する中で文化や伝統が凝縮された京都の美しさや素晴らしさを伝えられている、ドナルド・キーン氏のお名前もあります。
日本文学を通して日本に魅せられ、日本国籍をとられたキーン氏と違い、私は日本のことはほとんど知らず、当時働いていた米国企業から市場調査のために業務命令で来た日本に惹かれ、会社を辞めて再来日し、アシストを作り、日本国籍もとりました。今では人生の半分以上の時間を日本、そしてその半分近くを京都で暮らしたことになります。
京都は何よりも食べ物が美味しいし、愛用の自転車でどこへでも行けて、逆に車では行けない小道がたくさんあります。自分が生活する土地への愛着を実感するのは家庭菜園を始めただけでなく、街や人々を身近に感じるようになったからだと思います。
建築物や仏像、町家のならぶ街並みなど、観光客にとっていつ来ても京都は魅力的ですが、春の桜、時代祭や祇園祭、秋の紅葉など、四季折々の行事ごとに違った顔を見せてくれます。そんな京都を味わってもらいたいので、年に数回、会社の仲間や親しい人たちに京都に来ていただき、一緒に京都の行事を楽しんでいます。
8月は「五山の送り火」でした。数百年間続く宗教的行事である送り火を受け継ぎ、支えているのは地元の人々です。観光客を魅せてやまない京都は、観光大使よりもそこで暮らす人々の共同作業に支えられています。
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