- 特集
~アシスト創立50周年、オラクルビジネス35周年記念~
よりお客様目線でこれまでのいい関係をさらに発展させていく
アシスト創立50周年を記念して、35年間ともにあり続けていただいた日本オラクル株式会社の取締役 執行役 社長 三澤 智光様と対談を行いました。
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1993年、海外映像を使ったテレビショッピング事業で創業した株式会社オークローンマーケティング。「ショップジャパン」のブランドで知られ、数々のヒット商品を生み出した通販業界におけるリーディングカンパニーです。同社の代表取締役社長ハリー・A・ヒル様をお訪ねし、数多くのヒット商品を5年以上にわたって顧客に愛され続けるロングセラー商品に仕立て上げた事業戦略について大塚辰男がお話を伺いました。
ハリー・A・ヒル 様
株式会社オークローンマーケティング 代表取締役社長
米コーネル大学卒業後、来日。ベンチャービジネスを展開する中でマーケティングのノウハウを学ぶ。1999年同社へ入社し、コールセンターを統括。2006年社長就任。趣味は少林寺拳法(5段)。
大塚(以下色文字):「ショップジャパン」は販売数250万台を突破したエクササイズマシン「ワンダーコア」シリーズなどフィットネス系に強いイメージがあり、ヒル様ご自身もキックボクシングの試合にも出られたと伺っています。
ヒル様(以下略):私が通うジムのチャリティ試合に出ました。社長がキックボクシングの試合に出るなんて非常識だと言われましたが、非常識にはバカげたことと、誰もやっていないことをするという2つがあります。周りからはクレイジーだと言われましたが、しっかり練習をした結果、判定で勝ちました。ビジネスでも、普通にやれば普通の成果しか得られないが、誰もやっていないこと、つまり非常識なことをやるのは成功の秘訣ではないかと思います。そのためには、ボクシングと同様に、ビジネスでも準備が大切なことは言うまでもありません。
──確かに、日々新たな商品やサービスが提供される中で、当初は非常識と言われたものが常識になっている例がありますね。
ショップジャパンはこれまでいくつか非常識なことをやってきました。90年代に24時間営業の自社コールセンターを始めたのもその1つです。テレビの深夜枠で商品を紹介していたので深夜の注文に対応する必要がありました。当時コールセンターといえば平日9~18時が常識でした。24時間営業という非常識を実行したことで、お客様満足度は向上し、利益率も上がりました。もう1つは、返品保証期間を通常は8日間ぐらいのところ、ショップジャパンでは39日間とし、食品も含め、お使いいただいた商品にご満足いただけなければ、ご使用の有無に関わらず返品を受け付けています。食べきった上での返金にも対応しています。これは商品に自信がなければできないことで、実際にやってみるとお客様からの信頼向上につながりました。
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──非常識なチャレンジをして、それが常識になれば、社会が変わってきますね。
その通りです。ただしすべてのチャレンジが成功するわけではありません。でも成功すれば、常識を変え、社会を変えることができるのです。キックボクシングの試合に挑戦したのにも、そんな思いがありました。
──ショップジャパンは世界中からユニークな製品を発掘して日本のお客様へ提供されています。製品展開においてはどのようなことを考慮されているのですか。
当社のビジネスは、新商品を売り込み、売れなければ早期に撤退して次の商品を送り込む、というものではありません。商品やサービスを通じてお客様の悩みを解決し人生がよりハッピーになる、つまりショップジャパンを使っていただくことで、買い物の先にある幸せを提案することを存在意義(WHY)としています。そしてそれを実現するために6つの行動指針(HOW)を掲げています。1.お客様の声を聴く、2.世界中から選りすぐりのアイデアを持ってくる、3.ショップジャパンらしいおもてなしをする、4.心に残る存在になる、5.社会が良くなる種まきをする。そして、6.お客様が思わずWOW!と言ってしまうような提案をし続けることです。ショップジャパンはもともとプッシュ・マーケティングから始まった会社です。ある程度成長し、認知度も上がるとプッシュからプルへというのが常識ですが、当社にはそういう常識は必要ないのです。これからも商品をご覧になったお客様が、WOW(ワオ)、面白い、使ってみたいと思われるよう積極的にやっていきます。
──日本に最初に「インフォマーシャル」というマーケティング手法を持ち込まれたのも貴社ですね。
創業者であるロバート・W・ローチと中村規脩が取り入れました。ショップジャパンが目指すのは、お客様の悩みを解決し、より豊かなライフスタイルを実現することです。インフォマーシャルの目的は、商品を使ったらどうなるかという付加価値を思い描いていただき、この商品なら悩みを解決してくれると、わくわくしていただけるようなストーリーをお伝えすることです。しかし、どんなに良いストーリーでも、タイミングやターゲットを誤れば効果はないので、日別の売上げを確認するだけでなく、インフォマーシャル、新聞、Web広告などの媒体ごとにどれくらいご注文やお問い合わせをいただいたかのレスポンスを確認しています。またコールセンターではインフォマーシャルのどの場面が購入のきっかけになったのかをお客様にお伺いしています。こうしたお客様の行動や生の声を積み重ねて検証し、細かくデータ分析することで、さらにストーリーを改善していくというプロセスを通して、ロングセラー商品が生まれていると言えます。
──近年はTVだけでなく、オムニチャネル戦略を積極的に実施されていますね。
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一般的にオムニチャネルとは、テレビ、Web、リアル店舗などあらゆるチャネルでお客様が同じように商品を購入できるようにすることだと言われています。当社のオムニチャネル戦略では、お客様がどこで購入されたかという結果だけではなく、どのような経路をたどって購入に至ったか、それらのお客様とのタッチポイントがすべて正しく機能しているかを確認することも重要だと考えています。特定のマーケティングメッセージを複数のチャネルを通して発信し、ご注文に至った経路を分析することで、単独のチャネルで実現できる数倍の訴求効果を生み出すことができます。また認知媒体と購入媒体が異なったり、お客様が購入まで複数のチャネルをわたることが普通になっていますので、顧客行動をデータ化し、分析し、さらなる改善を重ねています。全接点でショップジャパンらしい商品やサービスを展開すれば、お客様に「ショップジャパンだから安心」と言っていただけるブランドを創ることができると思います。どのチャネルでご購入いただいても同じレベルのサービスと付加価値をご提供し、通販ブランドとしてのみならず、ライフスタイルブランドでNo.1を目指していきます。
──データ化し、分析することは貴社のビジネスの基本ですね。
ビジネスにはもちろん運や想像力、経験、知恵は必要です。当社でもアメリカの商品が日本でも売れるかどうかを会議で決めていた時期がありました。それがデータ重視に変わったのは2001年頃からです。アメリカでその商品がヒットした理由をデータ分析し、それが日本でも当てはまるかどうかを検証します。根拠があれば販売するべきですし、なければ直感や経験で判断するしかありません。しかし私の直感で判断すればビジネスとしてはリスクが高くなるので、先入観や思い込みではなく、周辺情報をデータ化し客観的な判断で販売をスタートするのが当社のマーケティングの第一歩です。
──ショップジャパンで開発された商品もあるのですか。
置き換えダイエット食品の「ヒルズダイエット」は当社で開発しました。またマットレスの「トゥルースリーパー」は、製造元のアメリカ企業に商品改良を繰り返し要請したところできないと言われたため当社が日本国内における「トゥルースリーパー」ブランドの権利を買い取り、自社製品として日本のお客様の声を反映させ改善を続けた結果、ロングセラーになりました。また、スチームクリーナーの「シャーク」もお客様の声を反映し、チャイルドロックやお掃除ガイドを追加するなど、改良を施しました。アメリカのシャーク社は当初は通販会社でしたが今では米国のクリーニング家電分野でNo.1に成長し、長期的な視野のもとで革新を続ける良いパートナーとなっています。
──貴社のオフィスは明るくてとても透明感がありますね。まさに新しい事業を生み出すにふさわしい雰囲気を感じます。
私が社長に就任した2006年と比較すると1人あたりの売上げは10年で2倍、1人あたりの利益も2倍以上に伸びています。社員数は約200人から約500人になりました。また有給休暇の取得率も増え、ショップジャパン独自のフレックス制度の導入によってワーク・ライフバランスを保ち易く、残業も圧倒的に減っています。この変化をもたらした大きな要因がダイバーシティ(多様性)の推進だと思います。子供を持った社員のみならず全社員が働きやすくなるよう、制度を充実し環境を整備し、成果を評価した結果、女性の割合が3割から5割に、女性管理職が15%から28%に増加しました。また10年前は新卒の採用は厳しかったのが今では3,000人以上の応募があります。透明ということは隠すことがないということで、社員を信頼すれば社員から信頼してもらえます。また当社の哲学は「公平」であって「平等」ではありません。社員をすべて同じ条件で平等に管理することは表面的には公平でも、多様性を欠き、個人の能力を最大限発揮できずに非効率となります。本当の意味での効率性を実現するためには、男性、女性、日本人、外国人、それぞれのスキルやライフスタイルなど、多種多様な個人が能力を発揮できるような職場環境を作ることが大切だと思います。
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──最後に、アシストに対して何かお言葉をいただけますでしょうか。
アシスト様とのパートナーシップにおいて、我々が信頼させていただいているのは、サービス面です。色々なIT企業から提案をいただきますが、当社がシステムで今何をしているのかではなく、何を目指しているのか、これからどういうふうに成長していきたいのかを理解し、納得して、使いこなすところまで一緒に考えてご提案をいただける。私たちが求めているのはまさにその点です。これからも引き続きよろしくお願いします。
──貴社のデータ分析のお役に立てるよう精進します。本日はありがとうございました。
(対談日:2015年12月)
アシスト創立50周年を記念して、35年間ともにあり続けていただいた日本オラクル株式会社の取締役 執行役 社長 三澤 智光様と対談を行いました。
【対談×トップインタビュー:金沢工業大学】
建学綱領である「高邁な人間形成」「深遠な技術革新」「雄大な産学協同」を経営の柱に、「教育付加価値日本一」という目標を掲げて、社会に貢献する大学運営を実践する金沢工業大学の大澤 敏様にお話を伺いました。
【対談×トップインタビュー:通研電気工業株式会社】
東北電力グループとして機器の開発から設計、製造、工事、保守まで一貫した体制でICTソリューションを提供、電力の安定供給に貢献する通研電気工業株式会社の竹原 秀臣様にお話を伺いました。