アシストのブログ

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2015.05.28

現場のアクションにつながるデータ・イネーブルメントとは
~次世代におけるデータ活用の理想的な姿~

現場のアクションにつながるデータ・イネーブルメントとは~次世代におけるデータ活用の理想的な姿~


データ活用のニーズが高まり、レポートをただ見るだけでなく、そのデータを現場のアクションにつなげている企業がここ数年で急激に増えてきました。IT部門が適切なデータ・ガバナンスを実現しつつ、ビジネス現場のユーザがBIツールを使って素早くデータを分析し、アクションを起こす・・・これはデータ活用の理想的な姿と言えるでしょう。

データ活用ニーズの拡大とBIの現状


デジタル・データがこの数年間で加速度的に増大しています。シスコ社の調査によれば、データ量は2015年までに7.9ゼタバイトに達すると言います。最近注目されているのが、インターネットに接続されるデバイスの数。2000年頃はデバイスの数は2億個程度でしたが、IoTの時代と言われている昨今、2013年には100億個のデバイスがインターネットに接続され、東京オリンピックが開催される2020年には約500億デバイスにまで膨れ上がると言われています。そのような「データ爆発の時代」に、データをうまく分析し、利活用できているかどうかがその企業の成否の鍵を握ると言っても過言ではありません。

エンタープライズBIとデータ・ディスカバリ


この2~3年でBIを取り巻く状況が変わりつつあります。従来は、エンタープライズBIツールを使って情報システム、あるいは分析システムを提供する場合、IT部門またはITベンダー主導のもと、しっかりとユーザの要件を聞きながらデータ中心に設計をした上で、レポートやグラフ、KPIやダッシュボードを構築しユーザに提供してきました。一方で、ここ4~5年「データ・ディスカバリ」というツール群が登場したことで、MicrosoftのAccessを使いこなせる、あるいは、Excelマクロや関数を使いこなすスキルのある方々がいる部門であれば、自主的にデータ分析環境を構築してしまおうという動きが加速してきたと感じています。

セルフサービスBIに最適なアプローチは「データ・イネーブルメント」


こうした流れの中、もうひとつおもしろい現象がビジネス現場で起きています。それは「セルフサービスBI」という考え方で、強力な分析機能が搭載された最新のMicrosoft Excelや、PCに簡単にインストールできるスタンドアロン型のセルフサービスBIツールが出現したことで、ITスキルの高い方が個人で簡単にデータ分析が行える環境が整ってきました。ここで注目すべきポイントは「データの信頼性」です。意思決定に利用するデータに間違いは厳禁であり、信頼できるデータソースを基に、BIツールの利用者全員が、安全に、かつ迅速にアクションにつなげるためのインフラ整備が求められます。

全社レベルの情報活用やデータの見方が決まっていれば、アプリケーションを開発して提供する、つまり、業務システムからデータウェアハウスを経由してBI機能にてデータを提供する手法が依然有効です。しかし、プラスアルファでデータが欲しいというユーザの要望に対し、データ準備に関して都度、IT側の対応に時間がかかってしまうと迅速性に欠けます。「データ・イネーブルメント」、つまり「データを使えるようにする」という発想で、信頼できるデータストアを準備しておくと、ビジネス現場の方々がすぐに使え迅速に課題解決できる情報活用環境が実現します。

図1:データの流れに沿ったアプローチと現場の課題解決を目的としたアプローチ

図1:データの流れに沿ったアプローチと現場の課題解決を目的としたアプローチ

データ・イネーブルメントに必要な3つの視点


IT部門とビジネス現場は、ひとつレポートを作るにしても求めるものは全く異なります。このため、両者のニーズをいかにバランスできるかがポイントになります。

「データ分析」については、IT部門では短期間で「費用対効果の高いシステムを提供」、「多様なユーザ・ニーズをカバーしセルフサービス化を推進する」というニーズがある一方で、ビジネス現場では「信頼できるデータを簡単かつ直観的に利用できアクションにつなげられる」というニーズがあります。IT部門、ビジネス現場双方のニーズをマージすると、「信頼できるデータを基に短期間で現場のアクションに繋げる」ことが求められます。「ガバナンス」については、IT部門はデータやシステム面での管理、セキュリティと監査対応、全社対応といった観点を重視しますが、ビジネス現場では権限の委譲、つまりセルフサービス化を求めます。両者のニーズをマージすると、「集中管理と統制をきかせながら、制約の少ない俊敏な分析環境を提供する」必要があります。そして、「テクノロジー」については「デバイスそのものに着目するのではなく、様々なデバイスに対応する基盤作りに着目する」必要があります。

これらの観点を踏まえ、企業の組織、グループ、個人という3つのレベルから「データ・イネーブルメント」を考えてみます。「組織」レベルでインテリジェンスを駆使するためには、大規模を前提としたパフォーマンスの実現性と運用/セキュリティ設計に考慮しなければなりません。「グループ」レベルでは、ナレッジや洞察を共有するために、アプリケーションの共有やコラボレーション、そしていつでも/どこからでも快適なモバイル・アクセスが求められます。「個人」レベルでは、セルフサービス型の可視化と探索のために、タッチ操作中心のストレス・フリーなデータ探索や発見をサポートするビジュアライゼーションが必要です。

このようにしっかりとガバナンスを効かせながら、データ分析環境を提供していくことが、これからのデータ・イネーブルメント、データ活用に求められているのです。

図2:データ・イネーブルメント3つの視点

図2:データ・イネーブルメント3つの視点

次世代のセルフサービス型データ分析プラットフォーム「Qlik Sense」


データ・イネーブルメントの実現を支援するツールとしてご紹介したいのが、独自の「連想技術」に基づき、膨大なデータから簡単かつ直観的な分析を実現するQlik®製品(開発元/販売元:Qlik® Technologies, Inc.、クリックテック・ジャパン株式会社)です。アシストでは2009年からデータ・ディスカバリ市場を牽引するQlikView®を取り扱っています。米国で特許をとったQlikViewの「連想技術」は、簡単に言うと、すべての項目を軸にして分析できるという技術です。「インメモリ技術」との相乗効果で従来のBIにはない全く新しい概念でデータを分析できます。

図3:BIのデータモデルとQlikの連想技術

図3:BIのデータモデルとQlikの連想技術

このほど次世代のセルフサービス型のデータ分析プラットフォームQlik Sense®が新たなラインナップとして加わりました。Qlik Senseは、「QlikView」の連想技術を活かしながらユーザ・インターフェースを一新、大量データをドラッグ&ドロップの簡単な操作で可視化し、分析できるインメモリBIツールです。BIツールに馴染みのないビジネス現場の方々でもインタラクティブなグラフやチャート、ダッシュボードを簡単に作成し、すぐに分析することができます。

またQlik Senseはタッチ・インターフェース、モバイル・ファーストで設計されているため、指でタップしてどんどん分析を進めていくことができます。iPadのSafariをはじめとするWebブラウザで動作するため、アプリのインストールが不要でデバイスフリーな点や、地図データとの連動が可能な点などが大きな特長となっています。ユニークな機能としては投げ縄のようなツールで、分析対象のデータをくるっと囲んで選択するなど、直観的な操作ができるので、これまで分析自体を行ったことのない方でもタブレットやスマートフォン、PCから簡単に分析や探索ができます。

データ・イネーブルメントに取り組む理由


データ・イネーブルメントに取り組むことで、ビジネス現場は、信頼できるデータに基づいて、事実を把握し、思考を繰り返しながら、迅速なアクションをとることができるようになります。一方のIT部門は、アプリケーションやシステムそのものを提供するのではなく、経営層やビジネス部門に対し、正しく、質の高いデータをタイムリーに提供することができるようになります。ガバナンスと俊敏性、一見相容れないように思える2つの機能を両立することは、経営戦略やビジネスそのものへの貢献と言えるでしょう。

こうしたデータ・イネーブルメントやビジネス・インテリジェンスへのチャレンジは、企業にとって戦略投資にほかなりません。BIの投資というのは費用対効果がダイレクトに見えにくいと言われてきましたが、自社のビジネスが非常に好調と答えた企業は、IT予算の4割以上を戦略投資に使っている、という報告もありますので、是非、臆することなく積極的に取り組んでいただけたらと思います。

本日ご紹介したQlik製品は弊社から850社以上のお客様企業に導入いただいています。アシストは今後もQlik製品をお客様にご提案し、皆様のデータ活用のお手伝いをさせていただきます。

Qlik Senseは、デスクトップ製品が完全に無料になっています。フルクライアントが無料でダウンロードできますので、まずは是非ダウンロードしてみてください。Excelのデータでもデータベースのデータでも簡単に取り込めますので、是非体験をしていただき、その後、グループや組織での展開をご検討いただきたいと思います。

QlikViewの詳細はこちら:http://www.ashisuto.co.jp/product/category/bi/qlikview/
QlikSenseの詳細はこちら:http://www.ashisuto.co.jp/product/category/bi/qliksense/
QlikSense Desktop版のダウンロードページはこちら:http://www.ashisuto.co.jp/product/category/bi/qliksense/download/#tab

注意:Qlik SenseはWindowsの64ビット環境のみ対応


執筆者のご紹介

アシスト花井 正樹

花井 正樹
DX推進技術本部

1996年入社。主にビジネスインテリジェンス分野に従事。米Qlik社が指名するエバンジェリスト“Qlik Luminary”に日本で唯一6年連続で選出され、執筆・講演活動を通じて顧客事例やデータ分析のトレンドを発信している。また、日本市場でのデータ・プレパレーション・プラットフォーム「Paxata」のスタートアップを兼任し、さまざまな角度からデータ活用の課題解決支援に取り組んでいる。

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