Oracle Cloud+Oracle RATでOracle Databaseパッチ適用の事前検証工数を75%削減
カブドットコム証券株式会社(新社名:auカブコム証券株式会社)
- 導入製品/サービス…
- Oracle Cloud Infrastructure Oracle Database
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カブドットコム証券では、ビジネスを支える株式発注基盤システム「RAIDEN®」において、Oracle Databaseへのパッチ適用の必要に迫られながらも、事前検証にかかる多大な工数の確保が難しく、適用時期の見極めに苦慮していました。そこで、Oracle Database Cloud Service(Oracle Cloud)上でOracle Real Application Testing(Oracle RAT)を活用。わずかな工数と適正なコストで網羅性の高いテストを実施。パッチ適用後もサービスの安定稼働を継続しています。 |
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導入のポイント
1.Oracle RATで13,000以上のSQLを簡単に漏れなく検証、75%の工数を削減
2.Oracle CloudとOracle RATの組み合わせで自在に環境を構築、全40時間で検証を完了
3.全SQLを対象に検証を行い、パッチ適用の可否判断ができる体制を確立
課題
- サービスを提供している基幹システムの安定稼働を、さらに強化する必要があった
- パッチ適用事前検証のための環境構築に、多大なコストと工数が必要だった
- 従来の手作業による事前検証では、重要なSQLのみのテストだけでパッチ適用に踏み切っていた
対策
- 運用で回避していた潜在的障害に対するパッチ適用を決断し、事前検証にOracle RATを採用
- 本番環境と個別パッチのレベルまで同一の環境を迅速に構築できるOracle Cloudを利用
- 適用による悪影響がないことを、Oracle RATによる全SQLの検証結果をもって社内関係者に明示
効果
- 本番環境の13,000以上のSQLを自動で漏れなくテストし、75%の工数を削減
- Oracle CloudとOracle RATの組み合わせで、環境構築からテストまで40時間で完了
- 明確な根拠に基づいてパッチ適用の安全性を確認し、運用を承認する体制を確立
システム概要
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Oracle Databaseへのパッチ適用に課題が
三菱UFJフィナンシャルグループにおけるネット金融サービスの中核を担う会社として、国内有数規模のネット証券サービスを展開するカブドットコム証券株式会社(以下、カブドットコム証券)。同社はその充実したネット証券サービスとともに、それを支えるITシステムを完全内製化していることでも知られています。
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2014年11月に本格稼働を開始した株式発注基盤システム「RAIDEN®(ライデン)」もその1つで、高速・高性能な取引処理、万全の可用性、柔軟な拡張性などの特徴を備えています。Linux OSとOracle Databaseの組み合わせをベースに自社開発したRAIDEN®は、リリースから安定稼働を続けていましたが、同システムのデータベース管理者を務めるシステム技術部 阿部浩二氏によれば、Oracle Databaseの運用には課題もありました。 |
SQL実行計画の確認作業に多大な工数を要する
Oracle Databaseにパッチを適用してもRAIDEN®の稼働に影響が及ばないことを確認するには、入念に事前検証を行う必要があります。特に、パッチ適用の前後で、Oracle Databaseのオプティマイザが選択するSQLの実行計画に変更がないことを確認する作業が不可欠でした。しかし通常の方法でこの作業を行うには、多大なコストと時間を要することが予想されました。
阿部氏
以前、別のシステムでOracle Databaseにパッチを適用した際の事前検証は、社内のステージング環境でアプリケーションを実行し、SQLを抽出して実行計画を比較するという形で実施しました。全てを手作業で行ったために多くの手間と時間がかかり、また一部の重要なバッチ処理しか確認することができませんでした。事前テストの網羅性に不安はありましたが、残りは机上での検証や確認を実施し、本番システムへパッチを適用しました。結果として障害等は発生しませんでしたが、その後もパッチ適用前の検証は課題として残りました。
RAIDEN®では、これと同じことを繰り返すわけにはいきませんでした。そんな折、アシストからOracle Databaseのテスト自動化ツールOracle RATのハンズオンセミナーを案内されました。
Oracle Cloud + Oracle RATでテストを大幅に効率化
以前からOracle RATに興味を抱いていた阿部氏は、アシストのハンズオンセミナーを受講し「このツールは、パッチ適用前のテストに役立つ」と直感したと言います。ただし、Oracle RATを使ったテスト作業は定常的に発生するものではないため、そのためだけに高額なライセンス費用を支払うことに対しては抵抗がありました。そこでアシストに相談したところ、Oracle Cloud上でOracle RATを使ってテストを行う方法を提案されました。
阿部氏
Oracle Cloudを使えば、Oracle Databaseの基本機能だけでなくOracle RATを含む全てのオプションを自由に使える料金体系があります。テスト実施に必要な時間分だけの利用料を支払えばよいので、オンプレミスのステージング環境に新たにOracle RATを導入するコストと比較すると、驚くほど安く済みます。
またOracle Cloudは、クラウドのPaaSサービスであるにもかかわらず、ユーザーが環境を柔軟にカスタマイズできる点が魅力的だったと阿部氏は言います。
阿部氏
PaaSであるにも関わらず、OSレベルからデータベースの個別パッチレベルまで弊社のRAIDEN®と全く同じデータベース環境を一から構築できる柔軟性があったことが、最終的にOracle Cloudを採用する決め手になりました。
こうして同社は2018年2月、Oracle Cloud上にRAIDEN®と同じOracle Database環境を構築し、Oracle RATを使ってパッチ適用前と適用後のSQL実行計画を比較する作業を実施しました。
今後は計画的なパッチ適用が可能に
オンプレミスのステージング環境上でのSQL実行計画の検証作業はデータベース管理者だけでは実施できず、社内外の開発担当者も巻き込む必要があり、長期間かかることが予想されました。Oracle CloudとOracle RATを組み合わせて実施した今回は、一人の担当者がわずか4日間、Oracle Cloudの利用時間では40時間作業をしただけで、全てのSQLの実行計画の確認が完了し、これを前回の別システムでの作業工数に換算すると75%もの削減になりました。
また、テスト対象のSQLの網羅性も飛躍的に向上したため、安心して本番のパッチ適用に臨めるようになったと言います。
阿部氏
以前は、Oracle Databaseにパッチを適用した後数日間は、本当にシステムが問題なく動作するか不安が尽きませんでした。しかし今回のRAIDEN®に関しては、事前に全てのSQLの実行計画がパッチ適用前後で変化がないことを確認していたので、安心して本番システムへの適用に臨むことができました。社内の確認体制においても、明確な根拠に基づいてパッチ適用の安全性を提示し、運用を承認する体制を確立することができました。
今回、Oracle CloudとOracle RATの組み合わせにより、低コスト・短期間で網羅性の高い事前検証を実施できることが実証され、また事前検証に必要な工数も正確に予測することができるようになりました。
今後RAIDEN®では、Oracle CloudとOracle RATでのテストを標準化し、数少ないサービス停止のタイミングに合わせて計画的にOracle Databaseへのパッチ適用を実施していくことが可能になるだろうと阿部氏は抱負を述べます。
阿部氏
今回のOracle CloudとOracle RATを組みわせて使うという検証の方式は、アシストからのタイムリーな情報提供と技術支援があったからこそ可能になったもので、弊社だけでは決して実現できませんでした。今後とも、これまでどおり弊社の立場に立った情報提供や提案を期待しています。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | カブドットコム証券株式会社(新社名:auカブコム証券株式会社) |
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本社 | 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館6F |
設立 | 1999年11月19日 |
資本金 | 71億9,600万円(資本準備金 119億1,300万円) |
従業員数 | 143名 |
URL | https://kabu.com/ |
取材日 | 2018年6月 |
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