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Verticaでビッグデータ分析基盤を構築、データの透明化と意思決定の迅速化を実現

カブドットコム証券株式会社(新社名:auカブコム証券株式会社)

導入製品/サービス…
Vertica  

auカブコム証券株式会社 Vertica導入事例

大手ネット証券のカブドットコム証券では、社内に蓄積されながら埋もれている情報やデータをビッグデータとして活用するプロジェクトが進んでいます。しかしその中核となるDWHはパフォーマンスや使い勝手、運用性に課題を抱えており、思うようにデータ活用が進みませんでした。そこでDWHのデータベース基盤を列指向型データベース「Vertica 」で刷新。パフォーマンスと運用性に優れたDWH環境を手に入れ、ビッグデータ活用の促進による意思決定のスピードアップが実現しました。

ビッグデータ活用のためのDWH基盤に課題

カブドットコム証券株式会社(以下、カブドットコム証券)は、日本を代表するネット証券企業であるとともに、MUFGグループにおけるFintechとITイノベーションの牽引役として、金融業界において、ますますその存在感を高めています。

そんな同社が近年特に力を入れてるのが、ビッグデータ活用の取り組みです。その背景について、常務執行役 システム開発部・システム技術部担当 阿部吉伸氏は次のように説明します。

阿部吉伸氏  弊社はネット証券という業態の性格上、従来からデータ活用には積極的に取り組んできました。それでもなお、社内には有効活用できていない情報や可視化されていないデータが数多く存在していました。それらを現場のユーザがより手軽に活用できる形に集約し、ビジネスに役立てたいと考えたのです。

この目的のため同社ではDWH(データウェアハウス)基盤を構築/運用していましたが、営業推進部 UX戦略グループ長 伊藤充淳氏によれば、その使い勝手にはいくつかの課題がありました。

伊藤氏  基幹系システムからロードしたデータを入れる“器”としてのDWHはあるにはあったのですが、その中にどんなデータが入っているのか、現場のほとんどのユーザは知る由がありませんでした。またそれがわかったとしても、目当てのデータや分析結果を得るには複雑なデータ操作や加工処理が必要であり、またデータベースのパフォーマンスも低かったため、多くの手間と時間がかかっていました。

列指向型データベース製品 Verticaを採用


これらの問題を抜本的に解決し、ビッグデータ活用をより促進するため、DWHのデータベース基盤を刷新することにしました。ここで同社が注目したのが「列指向型データベース製品」の存在でした。一般的な行指向型のリレーショナルデータベース製品に比べ大量データの検索処理性能が極めて優れているため、同社が抱えていたDWHのパフォーマンス課題を解決するのに適していると考えたのです。

また、システム技術部 基盤技術グループ 阿部浩二氏によれば、運用に手間がかからない点も大いに魅力的だったと言います。

阿部浩二氏  一般的な行指向型のリレーショナルデータベースで非定型クエリのパフォーマンスをコンスタントに維持するには、あらかじめ入念にテーブルを設計した上で、検索の都度それらを適切に組み合わせる必要があります。またインデックスのチューニングは常に欠かせません。しかし列指向型データベースならこうした作業の多くが不要で、ユーザが必要とする項目を1つのテーブルにまとめておくだけで、一定の検索性能を自動的に保持することができます。

これらのメリットに着目し、様々な列指向型データベース製品を比較検討する中で、最有力候補として浮上したのがVerticaでした。Verticaに注目した理由について、同氏は次のように述べます。

阿部浩二氏  Verticaは高価な共有ストレージ装置を必要とせず、内蔵ディスクを備えた汎用サーバをノード追加していくことで性能やキャパシティをリニアにスケールアウトできます。そのため将来拡張が必要になった時にも、ストレージやメモリなどの複数要素を細かく考慮する必要がなく、少ないコストと短い期間でスモールスタートしたいと考えていた弊社のニーズにまさに合致する製品でした。

大幅な性能向上と運用効率化を同時に実現


製品選定の最終段階ではアシストのPoCサービスを利用し、本番環境で果たしてVerticaが十分な性能を発揮できるか、様々なパターンで検証しました。その結果、同社が掲げていた「30分間隔でデータを更新し、常に最新情報に基づくデータ分析を可能にする」という要件をクリアできることが判明し、Verticaの採用を決めました。

Verticaの導入プロジェクトではアシストの構築/実装支援サービスを利用し、当初の狙いどおり極めて短期間で導入作業を終えることができました。2016年2月にデータベースの設計作業を始め、同年5月には現場のユーザがデータ分析を行える環境が整備できました。

伊藤氏によれば、Verticaにリプレース後のDWHのパフォーマンスは、旧環境と比べ圧倒的に速くなっていると言います。

伊藤氏  4億件のデータ集計において、かつて30分を要していた処理がわずか2秒で完了するなど、その性能の違いは一目瞭然です。フロントのBIツールに様々な製品が利用できるため、現場ユーザにとっての使い勝手は極めて良好で、Verticaの存在はまったく意識されていません。


また阿部浩二氏によれば、システム運用の現場においてもVerticaの導入効果は顕著に表れていると言います。

阿部浩二氏  それまで手がかかっていたDWHのデータベース運用作業が、Verticaにリプレース後はほぼ不要になりました。運用にかかっていた工数は約50%削減され、その分もお客様向けサービスの運用や改善に注力できるようになりました。

さらに多種多様なデータの取り込みと分析も視野に


カブドットコム証券では今回のVertica導入により、現場のユーザが欲しいデータに容易にアクセスできる環境が実現しました。これにより、以前は経営層でなければ把握が難しかった経営上のKPIの数値を現場の社員でも容易に取得できるようになり、透明性の高い数字やデータを基にした仕事のスタイルが急速に社内で根付きつつあり、意思決定のスピードも向上しています。

現在では注文データや約定データ、銘柄データなど、取引のトランザクションデータが中心ですが、将来的には他社が公開しているデータやオープンデータなどもVerticaに取り込み、さらに高度なデータ分析に取り組んでいきたいと阿部吉伸氏は抱負を語ります。

阿部吉伸氏  社外からも幅広くデータを取り込むことで、弊社のビジネス施策が市場全体のシェアに与えた影響などを分析できるようになります。これによりビジネス戦略をさらに精緻化するとともに、将来的には市場の予測分析も可能にして、よりビジネスの先手を打てるようにしたいと考えています。こうした構想を実現していく上では、弊社の環境やニーズを熟知しているアシストの支援に今後とも大いに期待しています。


導入のポイント


1.Verticaの導入で大量データ検索のパフォーマンスが大幅に向上
2.データベースの運用/チューニングに要する工数の50%削減を実現
3.Verticaのリニアなスケーラビリティによりスモールスタート導入が可能


課題

  • DWHの性能に限界があり現場でのデータ活用がなかなか根付かなかった
  • ユーザが分析するためのデータ操作や加工処理に時間がかかっていた
  • DWHの性能維持のためのメンテナンスやチューニング作業が発生していた

対策

  • DWHのデータベース基盤を列指向型データベースVerticaで刷新
  • データ加工等を行わず、Verticaの性能を活かしたシンプルな構造に変更
  • インデックスの概念を持たないVerticaのシンプルな運用性をフル活用

効果

  • 30分を要していた4億件のデータ集計が2秒で完了するほどの性能向上を実現
  • データ連携が30分間隔で可能になり、データ分析/活用が活性化
  • メンテナンスフリーで優れた検索性能を継続的に維持

データ活用基盤(ビックデータ基盤)構成



お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 カブドットコム証券株式会社(新社名:auカブコム証券株式会社)
概要 日本を代表する大手ネット証券企業として、またMUFGグループにおけるFintechとITイノベーションの牽引役として、ブロックチェーンやビッグデータ、人工知能、IoT等の最新技術を活用した金融サービスを積極的に展開しています。
本社 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館6F
設立 1999年11月19日
資本金 71億9,600万円(資本準備金 119億1,300万円)
従業員数 133名
URL http://kabu.com/
取材日 2016年8月

関連製品/サービス

Vertica

Verticaは、エンタープライズDWHとしてだけではなく、全社的なビッグデータ分析基盤として活用できる次世代型データベースです。様々なユーザのデータ分析要望をその圧倒的なパフォーマンスとスケーラブルな構成、Vertica独自の分析機能で強力に支援します。

  • 1台のPCサーバからスタートできる柔軟な拡張性
  • 最小レベルのディスクI/Oで高いパフォーマンスを実現
  • 複雑な設計/チューニングが不要。DB運用の簡易化を促進

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