Database Support Blog

  • Oracle Database
2018.07.12

【Oracle Database Cloud】10gR2以下のJDBC接続でORA-12650が発生する原因と対処

【Oracle Database Cloud】10gR2以下のJDBC接続でORA-12650が発生する原因と対処

Oracle Databae Cloud Servce(DBCS)で作成されたデータベースはデフォルトで通信暗号化が設定されています。

オンプレミス環境からDBCSへの移行後、この設定に起因してJDBCによるOracle Databaseへの接続でORA-12650エラーが発生するというお問い合わせをいただくことがありますので、原因と対処方法を紹介します。

DBCSではsqlnet.oraに通信暗号化が設定される

DBCSでデータベースを作成した際、作成したデータベースのバージョンに関わらずsqlnet.oraには次のパラメータが設定されます。

 
 --$ORACLE_HOME/network/admin/sqlnet.ora
 SQLNET.ENCRYPTION_SERVER = required
 SQLNET.CRYPTO_CHECKSUM_TYPES_SERVER = (SHA1)
 SQLNET.CRYPTO_CHECKSUM_SERVER = required
 SQLNET.ENCRYPTION_TYPES_SERVER = (AES256, AES192, AES128)
 

クライアント側のSQLNET.ENCRYPTION_CLIENTのデフォルトは accepted(サーバ側で暗号化が有効なら暗号化通信する)ですので、 SQLNET.ENCRYPTION_SERVER=required のため暗号化が有効になります。

SQLNET.CRYPTO_CHECKSUM_TYPES_SERVER では使用する暗号化アルゴリズムを指定します。デフォルトは利用可能なすべてのアルゴリズムですが、明示的に暗号化強度が高いアルゴリズムのみが指定されていることがわかります。

クライアント側が10gR2以下のJDBCを利用している環境ではサーバ側で定義されたアルゴリズム(AES256, AES192, AES128, SHA1)に対応しておらず、DBCSのデータベースに接続するとORA-12650エラーになります。

・Oracle Database JDBC開発者ガイドおよびリファレンス 10g リリース2(10.2)
 JDBC THINドライバによるデータ暗号化と整合性のサポート
 http://otndnld.oracle.co.jp/document/products/oracle10g/102/doc_cd/java.102/B19275-03/clntsec.htm#i1022564

対処策1:JDBCを11gR1以降にバージョンアップ

クライアント側のJDBCを暗号化アルゴリズム(AES256, AES192, AES128, SHA1)に対応している11gR1以降にバージョンアップすることでエラーを回避できます。なお、JDBCのバージョンに応じてサポートしているJDKのバージョンも異なりますので以下を参考にご対応ください。

・Oracle Technology Network
 Oracle JDBC FAQ
 What are the Oracle JDBC releases versus JDK versions?
 http://www.oracle.com/technetwork/database/enterprise-edition/jdbc-faq-090281.html#01_03_1

・My Oracle Support
 Oracle JDBC Driver スタート・ガイド - インストール、動作保証、その他 (ドキュメントID 1999901.1)
 どのJDBC driverがどのJDKバージョンに対応しているか教えてください。
 https://support.oracle.com/epmos/faces/DocumentDisplay?id=1999901.1

対処策2:sqlnet.oraから対象パラメータをコメントアウトする

サーバ(DBCS)側のsqlnet.oraよりエラーの原因となっているSQLNET.ENCRYPTION_TYPES_SERVER/SQLNET.CRYPTO_CHECKSUM_TYPES_SERVERをコメントアウトします。

 
 --$ORACLE_HOME/network/admin/sqlnet.ora
 SQLNET.ENCRYPTION_SERVER = required
 #SQLNET.CRYPTO_CHECKSUM_TYPES_SERVER = (SHA1)
 SQLNET.CRYPTO_CHECKSUM_SERVER = required
 #SQLNET.ENCRYPTION_TYPES_SERVER = (AES256, AES192, AES128)
 

SQLNET.ENCRYPTION_SERVER SQLNET.CRYPTO_CHECKSUM_SERVER は有効ですので暗号化は行われます。ただし、10gR2が使用できる範囲のアルゴリズムが用いられるため暗号化強度が低くなる点には注意が必要です。

まとめ

以前に SEC_CASE_SENSITIVE_LOGONとSQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_SERVERに起因した接続エラー を紹介しましたが、Oracle Databaseはバージョンが上がるごとにセキュリティに関わる設定も強化されています。

移行後に接続ができない問題が発生した場合には初期化パラメータやsqlnet.oraを見直し、追加されている/デフォルト値が変更されているパラメータがないかを調べることで早期解決につながるかもしれません。

なお、2018年7月9日現在、DBCSで選択できるバージョンは11gR2、12cR1、12cR2、18cですが10.2.0クライアントからの接続が動作保証されてるのは 11.2のみです。

今回ご紹介した対処策でJDBCのバージョンアップを選択される場合、JDBCとJDK間のバージョンの互換性だけでなくOracle Databaseとの接続互換も意識する必要がありますので、こちらもご注意ください。

・Oracle Japan
 Oracle Client / Server Interoperability Support
 https://www.oracle.com/jp/system-requirement/interoperability-support-195844-ja.html

・My Oracle Support
 クライアント / サーバー 異なるバージョン間の互換性サポート・マトリクス(ドキュメントID 2127402.1)
 https://support.oracle.com/epmos/faces/DocumentDisplay?id=2127402.1

筆者情報

大野 高志

サービス事業部 付加価値創造部
カスタマーエンゲージメント・プランナー

2007年アシスト入社。Oracle Databaseのサポート業務を経て、現在は「アシストの超サポ」を広め、カスタマーエンゲージメントの構築を実現するための活動を行っている。でも、Oracleは好きなのでできる限りブログは続ける。


■本記事の内容について
 本記事に示した定義及び条件は変更される場合があります。あらかじめご了承ください。

■商標に関して
 ・Oracle®、Java、MySQL及びNetSuiteは、Oracle、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。
 ・Amazon Web Services、AWS、Powered by AWS ロゴ、[およびかかる資料で使用されるその他の AWS 商標] は、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。
  文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。

関連している記事

  • Oracle Cloud
  • Oracle Database
2024.12.02

OCIでGPUインスタンスを構築してみた

OCIで提供されている生成AIサービスとGPUインスタンスを前回の記事「生成AIにGPUが適している理由」で紹介しました。本記事では、GPUインスタンスをデプロイして、インスタンス上でLLM(大規模言語モデル)の動作環境を構築する方法をご紹介します。

  • Oracle Cloud
  • Oracle Database
2024.11.15

Oracle Cloud VMware SolutionにおけるVMware HCXとは?

前回の記事でお伝えしたとおり、OCVSを構築するとVMwareの複数の機能が利用可能です。 それらの機能の中で、今回はHCXの概要や具体的な機能、OCVSでHCXを利用するメリットなどをお伝えします!

  • Oracle Database
  • Oracle Cloud
2024.11.05

Oracle Database 23ai新機能!メモリーを有効活用する統合メモリー管理

2024年5月にOracle Cloud環境にて、先行してOracle DB 23aiがリリースされました。 Oracle Base Database ServiceにおけるOracle Database 23aiの検証結果を報告します。 今回は「統合メモリー管理」をテーマにお伝えします。

ページの先頭へ戻る