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2020.08.24

「超サポダッシュボタン」開発秘話

「超サポダッシュボタン」開発秘話


今回は、2019年11月から提供を開始しているアシストのサポートサービス「超サポダッシュボタン」のお話です。リリース当初は、「JP1」と「WebFOCUS」に対応していましたが、2020年5月には「Oracle Database」および「Qlik製品」へも対応しています。

「超サポダッシュボタン」は、お客様の声をもとにした社員のアイディアを具現化するYUKAIプロジェクトから生まれた、障害が発生した場合に必要な初動調査に着手するまでの時間をゼロにするサポートサービスです。



そんな「超サポダッシュボタン」、どういう経緯を経て生み出されたのでしょうか?


「超サポダッシュボタン」、発案のきっかけは?


アシストは2018年から中期経営計画として「超サポ愉快カンパニー」をビジョンに掲げ、その具現化を推進する全社横断型のYUKAI(ゆかい)プロジェクトを立ち上げています。YUKAIプロジェクトでは、お客様の声をもとにした社員のアイディアを随時投稿するフォームを用意し、投稿されたアイディアの中から「これだ!」というものを採用、実現に向けて社内調整を行っています。

2018年の夏、YUKAIプロジェクトへある2件の投稿が寄せられました。発案者はJP1技術者の高宮 良和さんと坂田 真也さん。偶然にも同じ観点からの提案が重なった二人ですが、発案のきっかけは何だったのでしょう。

高宮さん「これまでのお客様対応で、問い合わせの度に毎回同じ情報の取得を依頼することがあり、もう少しこのフローを省力化できないかと思ったのがきっかけです。ある日お客様とお話した際に、同じ思いでいることをお聞きし、今回のアイディアに思い至りました。」

坂田さん「お客様からお叱りをいただいたのがきっかけです。2時間で復旧しなければ大変な業務影響が発生するという状況でのトラブルだったのですが、アシストから情報取得を依頼し送付いただくまでに2時間が経過、大きな障害となってしまいました。その出来事がきっかけで、ミッションクリティカルな業務をサポートするために、アシストには何ができるだろうか、と考えました。」

二人の思いが実を結び、サービス開発に向けてYUKAIプロジェクトが動き出すことになりました。実は、以後の開発プロジェクトに二人はほとんど関わっていません。発案者が開発に携わることになると、実現できることが前提の要望しか出せなくなることを懸念し、発想を無限に拡げて欲しいとの思いから、発案者には「思い」や「考え」を話してもらいますが、実際の開発は別部隊で実施する方針をとっていました。

ちなみに、命名は坂田さん。ネーミングのきっかけは「A●a●on Dash Button」で、定期的に必要となるものを、ボタン1つで購入できるという点に発想を得たとのこと。いざというときはボタン1つで必要な情報をアシストに送付し、すぐにサポートを受けられることで、お客様の不安やトラブルの早期解消につながればという思いがこめられています。

坂田さん、高宮さん

左:坂田真也さん、右:高宮良和さん

「超サポダッシュボタン」、開発の道のり


坂田さん、高宮さんの思いを継ぎ、YUKAIプロジェクト経由で部門横断型の開発プロジェクトが発足されました。プロジェクトで開発の中心を担った開発推進部の浅田知明さんと木本翔さんに、2018年11月~2020年4月の約一年半の開発の道のりをお伺いしました。

開発第一フェーズ:WebFOCUSとJP1対応版のリリースまで


2018年11月、開発を開始するにあたり、実装する機能の定義、開発工数の算出、必要な人員数の割り出し、スケジュール立案、開発体制の検討、開発環境の定義などプロジェクト計画が承認され、開発プロジェクトがスタートしました。

その次の要件定義フェーズでは、どのような機能を具体的に実装すべきか担当PMを中心にメンバー全員で意見を出し合いました。ログの収集をどういう形にしたらお客様の使い勝手がいいだろうか。お客様側のセキュリティポリシーや環境を考えると、こういう仕様にした方が良いのではないか。ログを収集した後のアシスト側の運用はどうしたらいいのか。思いが乗りすぎて、時には強い口調で言い合いになることもあったそうですが、多岐に亘る観点から何度も何度も話し合いを重ね、現実的な落としどころを見極めながら要件定義~設計を進めていきました。

その後の開発フローは手探りの連続でした。開発担当者の中に該当製品に精通する技術者がいなかったため、担当製品の技術者と何度も議論を重ねたり、苦心して開発した機能と同等のことが製品の新バージョンで可能になったり、サポートセンターのシステムの改修もあったりなど、一筋縄ではいかない出来事が続きましたが、プロジェクトメンバーの前向きな姿勢により一つ一つを乗り越えていきました。開発と並行して、各種資料の整備や業務&出荷フローなどリリースに向けた準備も進めました。

そして、社内での単体テスト、結合テストを経て、開発パートナー様にご協力いただき、お客様環境を想定した外部環境での稼働テストを実施。2019年6月にWebFOCUSとJP1に対応した超サポダッシュボタンがリリースされたのです。

開発第二フェーズ:新規2製品への対応と、先行リリース版の品質向上


WebFOCUSとJP1対応版がリリースされた後は、Oracle DatabaseとQlik製品にも対応した4製品対応版の開発に着手。並行して、パートナー企業やパイロットユーザーでの導入検証で挙がった不具合や課題点への対応も行い、品質向上に取り組みました。

第一フェーズと第二フェーズでの大きな違いは、開発手法です。開発の第一フェーズはウォーターフォールで進めたのですが、改善要望や課題からの手戻りなどにかなりの工数がかかってしまったため、より効率的に開発を行うことを目的に、アジャイル開発のスクラム手法へと変更されました。

しかし、この開発手法の変更がプロジェクトに暗雲をもたらします。アジャイルのあるべき姿を意識しすぎ、成果やスケジュールよりも「アジャイルをやる事」がいつの間にか目的になっていました。また、アジャイルや品質に対する考え方や思いのすれ違いもありコミュニケーションが上手くいかず、メンバー間の衝突や不満が発生してなかなか成果も出ない状態に陥りました。当時の状況を木本さんに聞くと「開発ではなくアジャイルを頑張っていた印象で、アジャイルの呪縛にかかっていました」とのこと。アジャイルに精通し活動をリードできるメンバーがいなかったのも、要因の1つでした。

転機は2019年末。皆が危機感をもつ中で、アジャイルを続けるか、ウォーターフォールに戻すかチーム全員で腹を割って協議しました。現状の課題を紐解き改善方法を検討した結果、「アジャイルをやる」のではなく「アジャイルを使う」感覚を取り戻し、あるべき姿に囚われずチームが活動しやすいようアレンジしながら、各自の役割も見直してチーム体制を再構築していくことに。気持ちを新たに2020年から再度開発プロジェクトが動き出しました。

活動や体制を見直したことでチームの雰囲気も改善。メンバーのモチベーションや結束も高まり、その後は全員でV1.0リリースというゴールに向けて着実に成果を積み重ねていきました。その過程では、お客様の負荷軽減のためにモジュール構成を根本から見直して大幅な改修を実施したり、コロナの影響でお客様への試使用導入が延期になったり、テレワークにより活動方法の変更が必要になったりと予想外の問題も色々とありましたが、計画通り無事2020年4月に4製品対応版V1.0のリリースを迎えることができました。

今回の開発において大事にしたことを尋ねると、「サービスリリース後の運用保守は開発推進部で担う予定だったので、誰が担当になっても対応できるよう、各種設計書やテスト仕様書、テスト結果報告書、運用マニュアルなどの品質を意識して進めてもらいました」と浅田さん。工数は大分かかってしまったそうですが、安定的なサービス提供のためには必要なことだと語ります。

浅田さん、木本さん

左:浅田知明さん、右:木本翔さん

「超サポダッシュボタン」で実現できること


「超サポダッシュボタン」は、顧客企業のシステム担当者が障害発生を検知した時点でコンソール上のボタンを押すと、管理対象となっている各製品のサーバから初動調査用のログを自動収集します。また、同時にアシストサポートセンター(AWSC)への連絡とログの連携手順が通知されるため、システム担当者は手順に従って自動収集されたログをアップロードします。このように「超サポダッシュボタン」を押すだけで、簡単に初動調査のための対応が完了します。

「超サポダッシュボタン」により、緊急時の要員調整の簡略化、問い合わせ対応フローの標準化、トラブル解決までの時間短縮を同時に実現し、通常業務への影響をおさえ、システム運用保守業務の負荷が大きく軽減されます。

特に、今回のコロナ禍により、運用を担当する方の負荷は想像以上に高くなっているのではないでしょうか。運用負荷の軽減と合わせて、属人化の排除をすることで運用担当者のテレワークなど働き方改革の支援にもご活用いただけます。

「超サポダッシュボタン」の進化は止まらない


数々の思いと試練を乗り越えて生み出された「超サポダッシュボタン」。しかし、これで終わりではありません。アシストがお客様のお役に立つためには、サポートの質、スピード、容易さの向上は常に考え続けねばなりません。リリース後も、開発チームは毎週振り返りを実施し、改善を積み重ねています。

今後もさらに対応製品の拡大や、お客様からの声を反映したバージョンアップを続けていく予定です。さらなる超サポダッシュボタンの進化に、ぜひご期待ください!

「超サポダッシュボタン」についてのお問い合わせは、いつでもお気軽に担当営業、または以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。オンラインでの面談も可能です。

お問い合わせフォーム:https://www.ashisuto.co.jp/pa/contact/dashb.html

今回の「超サポダッシュボタン」はYUKAIプロジェクトから生まれた第一弾のサービスです。YUKAIプロジェクトは、今後もさらなるサービスの展開に取り組んでいきますので、ぜひお客様の思いをアシスト社員にお伝えください。皆様の思いを反映したサービスが生まれるかも!?

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