アシストのブログ

  • 鴨川だより
2024.10.29

鴨川だより~アシストみちのくサロンとBRICS~

株式会社アシスト 代表取締役会長
ビル・トッテン



10月になっても半袖で過ごせるような陽気が続いていましたが、「アシストみちのくサロン」で訪問した仙台も暖かい好天に恵まれました。今年もサロンのスピーカーとして登壇し、その後は懇親会で東北地方のお客様との歓談の時間を持ちました。

初めてサロンに参加されたお客様の中には、IT企業なのにスピ―チのテーマがコンピューターとは関係のない話であったことに驚かれた方もいらっしゃいましたが、長くお付き合いをさせていただいているお客様からは毎年楽しみにしているという嬉しいお声を頂き、懇親会では米国大統領選挙についての質問なども頂きました。



同じ時、今回のスピーチでも取り上げたBRICSサミットが開かれました。世界の人口約50億人を代表する35ヵ国がロシアのカザンに集まったのです。日本のメディアは、ウクライナ侵攻で国際社会がプーチンを非難しているという報道を続けているようですが、その「国際社会」とは米国とその衛星国だけなのです。BRICSは米国を主導とした西側の新帝国主義にとらわれない新たな国際金融システムの構築を目指しており、今回のサミットでは、トルコを含む13ヵ国が新たにBRICSの「パートナー・ステータス」を正式に取得しました。サミットの前日にはインドと中国が両国間の国境紛争を終結させるということで合意し、サミットでは中印首脳の会談も行われました。またBRICSはイスラエルを非難し、停戦を呼びかけました。

サウジアラビアの皇太子はBRICSに招待されていたにもかかわらずサミットに出席せず、代わりにアンソニー・ブリンケン米国務長官と会談していたようです。米ドルが世界の基軸通貨となったのは1970年代に石油取引の通貨を米ドルに一元化する、いわゆる「ペトロダラー」システムによるものです。サウジアラビアはその中核で、石油を売って得たドルで米国債を購入してきました。米国とサウジアラビアが今後どのような動きをするのかは分かりませんが、BRICSが自国通貨で取引を始めるということは、長く世界の支配的な通貨であった米ドルの依存度を下げ、米国が経済制裁を武器にできなくなるということでもあります。日本のメディアはBRICSについて詳しく報道していないようですが、それはBRICSを否定しているからではなくBRICSの本質を理解していないからかもしれません。



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