テックノート

  • 情報活用(BI/DI)
2021.11.11

動画活用は企業に定着するのか。導入企業3社の推進リーダーが語る 苦労と手応え(前編)

動画活用は企業に定着するのか 導入企業3社の推進リーダーが語る 苦労と手応え

アシストでは、コロナ禍で全社員がテレワークを実施するようになり、社内コミュニケーションが希薄化していることを懸念して動画に着目。今後は動画が企業における新しいコミュニケーション手段の一つになると考え、エンタープライズ動画プラットフォーム「Panopto」を導入、1年で12,000を超える動画コンテンツを社内流通させ、社員同士のコミュニケーション向上・円滑化、業務効率化・省力化、これまで暗黙知化していた業務ノウハウやプロセスの形式知化・可視化など大きな成果を得ています。

一方、社内での動画活用推進は文化醸成に近いものがあり、これまで資料化していたものをどう動画にしていくのか、また、視聴する時間を業務の中でどう捉えていくのかなど、動画を企業で定着させる上ではハードルがあります。

本記事は「動画活用は企業に定着するのか。導入企業3社の推進リーダーが語る 苦労と手応え」と題し、Panoptoを導入いただき現在推進リーダーという役割を担っている株式会社オークネットの段裕之様、鈴与システムテクノロジー株式会社の大橋由規様と、アシスト松山晋ノ助が、動画活用を進めていく上での課題、今現在感じている手応え、今後の構想などを前編・後編の2回に分け、余すことなくお伝えします。

▶プロフィール

アシスト 松山 晋ノ助

株式会社アシスト
ビジネスソリューション本部 新事業共創推進室
松山 晋ノ助


2008年アシスト入社。 BI製品技術として新製品の立ち上げにも携わりながら約10年活動し、その後顧客支援部に異動。 特定のお客様に対して製品、分野を限定しない幅広い提案、支援を実施。 2019年にアシスト初代BIマイスター任命され、 お客様のデータ活用に関わるご相談や提案にも対応。現在は新製品や新分野の発掘・研究・立ち上げを担当し、アシストの製品力強化に励んでいる。

執筆記事:「データ活用に関するアシストのメッセージ

オークネット 段 裕之様

株式会社オークネット
DX部門 インフラサービス部
段 裕之様


創業以来、オークションビジネスをはじめとした情報による安心した取引を実現し「情報の信頼性」「運営ノウハウ」「独自のシステム」の3要素を軸に、様々な分野で新しい流通を支援。段様の主な業務はSaaSの導入と社内展開。

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

鈴与システムテクノロジー株式会社
経営企画室
大橋 由規様

鈴与グループは1801年創業。事業領域が多岐にわたり140社を超えるグループ会社の中で鈴与システムテクノロジーは情報事業を担う。大橋様は経営企画室に所属し、経営戦略に携わる一方、社内外の広報も担当。

Panoptoの現在の用途や活用状況、利用者の評価は?


まずはPanoptoを導入するに至った背景を簡単にお聞かせください。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

オークネット 段 裕之様

段様


Panopto導入の目的は一言でいうと動画の民主化で、社内外を通じて動画をどんどん活用していきたいと考えています。

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

大橋様


2020年末に会社方針を考えていく中で、想いの共有であったり働き方改革というテーマに対し何か施策を講じる必要があると考えていた頃に動画に興味を持ち始め、Panopto導入へと至りました。


現在Panoptoをどのように活用されていますか? また、定量的な評価は難しいかと思いますが、何か現時点で上がっている効果についてお聞かせいただければと思います。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

大橋様

当社では、特に制約を設けずに何でも動画コンテンツとして共有してもらうよう推奨していますが、実際にコンテンツとして一番多いのは業務マニュアルです。業務マニュアルが動画になると非常に理解しやすくなりますね。

その他の用途としては、私の所属が経営企画室であるため、動画で社長や経営層の想いが伝わるようメッセージとして社内展開したり、人材育成の観点でPanopto上で環境を作り、社内教育講座を立ち上げました。受講状況が把握できるようになった点に大きなメリットを感じています。

オークネット 段 裕之様

段様

導入してまだ3~4カ月なので、自信をもって「すごく活用されています」とは言えませんが、明らかに増えたのはセミナー動画の共有です。以前はセミナーの動画を撮影しても結局ファイルサーバーに格納されたままで、見たいものが探せないという状況でした。Panopto導入後はアーカイブとして好きな時に動画を見ることができますし、何かしらその情報を後から参照して勉強することもできるので情報のキャッチアップをしやすくなったと思います。

また、社内でセミナーを開催する場合の業務効率が非常に上がりました。以前はチームごとに講義者を立て日程調整と準備を行い、受講者はその開催日に合わせて受講するスタイルでしたが、Panopto導入後は、セミナーを事前に録画し、「後でこの動画をみておいてください」とアナウンスするだけです。絶対に受講してほしいセミナーは受講状況を確認できる点もよいですね。

人材育成や社内教育に関わるところでの効果は両社共通して高いようですね。これまでは撮りっぱなしだった動画を活用する機会ができたとか、主催者側としては誰が受講したか履歴が取れる点がよいというお話でしたが、実際に社内でセミナーを受講されたり動画をご覧になった方から何か反響がありましたか。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

オークネット 段 裕之様

段様

Panoptoでは、動画に目次を付けておくと、目次を押したタイミングでそのセクションに飛ぶ機能があり、「ここを重点的に聞いてほしい」というところにタグ付けすることができます。他の動画ツールだとなかなかこれができないですし、動画を視聴する側からも非常に便利だという声があがっています。また他の動画ツールだと動画の中身に含まれる言葉まで探すことは難しいので、コンテンツ数が多いと目的の動画にたどり着くことが難しいという課題がありました。Panoptoには、目次機能、タグ付け、自動文字起こし機能による文字検索など様々な検索機能があるので、目的の動画を探しやすいという大きなメリットがあります。動画数が増えれば増えるほど効果を発揮するツールだと思います。

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

大橋様

これまでリアルタイムでセミナーなどに参加する場合、1時間、1時間半といったように時間を拘束されていたのが、Panoptoに様々な動画コンテンツをアップロードする時に、時間を短めに区切ってコンテンツ投稿していることもあり、「空いている時間に効率よく受講できる」という声があがっています。

単純に動画を撮影して流すだけなら様々なツールがありますし、動画を見ておいてくださいというアナウンスだけだと、見てほしいところにきちんとたどり着くのか心配かと思いますが、段様のお話にあった、目次からのジャンプ機能、タグ付け、コンテンツ内に含まれる言葉を検索することで、見てもらいたいところ、見たいところにすぐにたどり着けるという点が重要ですね。動画の再利用性も高まります。

また、大橋様にコメントいただいた「隙間時間の活用」はアシスト社内でも評価が高く、例えば、PCとスマホを同じアカウントでPanoptoにログインできるので、PCで途中まで動画を見て隙間時間にスマホで続きを再生するといった使い方ができ便利だという声があります。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

動画活用に関するプロジェクトはどう進めるべきか

動画ツールの導入はこれまでのパッケージソフトウェアとは異なり、進め方に苦労された点もあるのではないかと思います。まずは社内での体制についてお話を伺えますか。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

オークネット 段 裕之様

段様

導入後約3ヵ月は私が所属するDX部門の担当3名で進めていました。社内にどういう動画があるか調査を行い、各所でセキュリティやガバナンスの観点で課題を抱えていることが分かりました。また、社内展開するものはPanoptoに統一する方針で、アシストさんにも相談しながら、本格的な社内展開はこれからです。

また、以前Slackを社内導入した際に、推進する側はやることが多すぎて手が回らず、現場のフォローがなかなか難しいという実情がありました。Panoptoの展開についてはアシストさんのご提案でアシストさんと同様にアンバサダー制度を採用し、事業部門に推進を協力してもらうことにしています。

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

大橋様

当社も導入時期はオークネットさんと同じですが、導入に至るまで、アシストさんにご協力いただいて価値検証(PoV:Proof of Value)を行い、私を含め各事業部門のメンバー10名弱で効果が期待できることを確認しました。現在は基本的には私が全体の運営を担当し、情報セキュリティの観点もあるため情報システム部門とも連携しつつ、組織ごとに推進メンバーを設け合計数十名で活動しています。

アシストが1年前に導入した際、どうしたら社内に浸透させることができるか頭をひねった結果、現場との間をつなぐ人が必要だということでビデオアンバサダーを設けました。部門ごとに2~3名アサインしてもらい、現場の感想や不満を含めフィードバックしてもらったおかげで、社内の声を吸い上げながらなんとかうまく推進できたと感じています。

オークネット様も鈴与システムテクノロジー様も本格的な展開はこれからですが、今現在アンバサダーの方からあがっている声や、今後アンバサダーの方々に期待するところなどありますか。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

大橋様

今は数十名いる推進メンバーの方にお任せし、強制ではなく現場の方にどんどん動画を増やしていってもらおうという方針なんですが、これがなかなか難しいです。私の方でも推進メンバーがやりやすい雰囲気を作らなければと感じているんですが、ここを是非とも皆さんにご相談したいです。

オークネット 段 裕之様

段様

先ほどお伝えした通り、運営側は手が回らなくなるという経験から、例えば動画マニュアルを作って展開するところやユースケースごとに使い方を説明するところをアンバサダーの方にご協力いただければと考えています。また、現場での展開が進むと、我々が想定していない使い方が出てくると思うので、現場に即した使い方を編み出して是非チーム全体で盛り上げていってもらえたら楽しいですよね。

また、運営側は熱意をもって取り組めるのですが、アンバサダーの方はサブ業務として取り組む形になるので、どうしても本業が忙しいと手が回らなくなります。アシストさんはこの点どうされましたか。アンバサダーの方々の本業のKPIとして設計する形もあるかとは思うんですが。

導入して3ヵ月頃の悩みがまさにそれで、解決策としてアンバサダーの方々と個別に会話する機会を設けたんです。話すうちに、営業部隊はお客様に対していかに価値を提供できるか、技術部隊は自分の担当している製品をいかに営業経由でお客様に説明できるか、スタッフ部門だといかに作業効率を上げられるかなど、それぞれの事業部門や立場によって動画の活用方法に違いがあることが分かりました。また、会話している中でアンバサダーの方が何か気づきを得て「これやってみようかな」と積極的にトライしてくれるようになりました。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

オークネット 段 裕之様

段様

結局、事業部門が向かっていきたい方向に辿り着くために動画ツールを活用するという形にするとゴールが定まりますね。

そうですね。Panoptoの価値としてお伝えしている「想いをひとつにする」という部分は、プロジェクト推進にも言えることだと思います。活用が進んでいない部門のアンバサダーの方には個別フォローをしましたが、進まない理由を聞くのではなく、他の部門でやっていることを紹介したり、部門での展開が難しそうであれば同じ部門内で協力してくれそうな人を一緒に探したり、半年ぐらいはそういった伴走的な活動もしました

また、動画を公開する社員向けに最初は動画の撮り方から公開方法まで一通りフォローしましたが、自分でやってみて便利だと実感してもらわなければ自分ごとにならないということに気づきました。アシストではそのきっかけ作りのために、社員に1分程度の「自己紹介動画」にチャレンジしてもらいました。最初の3ヵ月ぐらいで1,200名ほどの社員の2割強が動画を作成し、一定の興味を示してくれた彼らが今もコンスタントに作成してくれているという感触です。はじめの一歩というか、1回でも半強制的に動画を作る機会を提供することも必要かもしれません。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

大橋様

「動画を使って本当にメリットあるの?逆に時間がかかる」といった声も実際ありますが、トライしてみないとそのメリットを理解できない部分も多いと思います。また、推進メンバーだけではなかなか進まず、私も一緒に出演したりネタを考えたりしています。でも、動画を公開する側もやっているうちに動画そのものに抵抗がなくなり、その後動画数が増えていきました。松山さんのおっしゃる通り、はじめの一歩が大事かと思います。いただいたアドバイスを参考にしながら継続的にやってみます。

動画展開の鍵となるアンバサダーの人選はどうすればよいか

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

大橋様

当社では組織ごとに1名ずつアサインをお願いしました。現在2カ月に1回程度定例会を実施し、アップロードしたコンテンツ内容、課題などを意見交換しています。

オークネット 段 裕之様

段様

当社もこれから自薦または役員からのアサインなどで部門から2名ずつ選出してもらおうと思っています。2名にする理由ですが、こういうプロジェクトは一人でやると孤立化してうまくいかなくなるケースがあり、責任もその人だけになってしまうと本人が辛くなるからです。また、若手に動画作成の経験者が多いので、特にこのコロナ禍で社員との交流が少ない新入社員などをメンバーとして選抜し、動画に触れる機会と社内コミュニケーション活性化の相乗効果を狙いたいと思っています。アシストさんは実際どうでしたか?

当社は各事業部2名体制で、プロジェクトの規模としては30名強でした。2名の組み合わせもパワフルなタイプ同士だと意外にぶつかるケースなどもありました。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

オークネット 段 裕之様

段様

なるほど。なかなかパーソナルな面も含めアサインをお願いするわけにいかないので、事業部の中で声が大きい人と、ツールに興味があって調査も得意、動画の作成面でアドバイスできそうな人、年次で言うとベテランと若手みたいな組み合わせでお願いするのがいいかもしれませんね。Panoptoに慣れるためにある程度のツールスキルも必要になります。

アシストの場合はIT企業なので技術メンバーが多いことで他業種に比べ多少アドバンテージがあるかなと思ってるんですけど、IT企業かどうかに関わらずプライベートで動画を撮ってる人や動画好きを見つけることも重要なポイントかもしれません。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

大橋様

動画好きなら社内に若手で数名思い当たる人がいますが、アップロードする動画にもかなりこだわりを持っているので工数はそれなりにかかっているのではないでしょうか(笑)。

コミュニケーション活性化のため業務外の動画も増やしたいが実際はどうか

オークネット 段 裕之様

段様

当社ではSlack導入の際も業務外のコミュニケーションが進まないことが課題として上がりました。どちらかというと真面目な会社なので(笑)、プライベート動画の紹介はこれからです。例えば、会社が外苑前なのでオリンピックの時に競技場を撮影していた社員がいて「動画をシェアしてほしかった」と思ったことがありましたが、プライベートも気兼ねなく公開できるように社内の雰囲気を変えていきたいですね。

鈴与システムテクノロジー 大橋 由規様

大橋様

当社も真面目な会社(笑)というところもあって、業務に直結するような動画が多く、ラフな動画は当社役員がパイナップルを育てているネタと私のダイエット企画ぐらいでなかなか増えないですね。ただコミュニケーション活性化のためにも社員のパーソナリティを理解できる動画を増やしていきたいのですが、アシストさんで工夫されていることはありますか。

アシストでは約1万2,000の動画のうち、業務外のものは50本ぐらいしかないのですが、例えば、コロナ禍で全員が揃う機会もないので、チーム内で出産祝いを渡すシーンを動画で共有するとか、コロナ禍で活動ができないクラブ活動の紹介動画とか、特に意図的にお願いしたわけではないのですが、導入後半年ぐらいから出てくるようになりました。お二人のお話を聞いて、逆に業務外のものも増やさないと、と感じましたね。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

オークネット 段 裕之様

段様

逆に、動画を共有する際の基準のようなものはありますか。実は、ラフで楽しめる動画がほとんどなかったので、ゲーム実況動画なら若い人にも受けそうだと思い発案したところ、「業務から離れすぎる」「万人受けするものではない」ということでお蔵入りになりました。

ゆるくてもいいので、業務や人、何かしら会社につながっているという意識は必要かもしれませんね。アシストの最小限のルールは著作権に対する意識です。広報と法務に相談してガイドラインをしっかり作ってもらいました。一人一人が著作権を意識しないと違反した動画が出てきますし、こちらから「これはやめてください」というと一気にトーンダウンしてしまいます。そうなる前に注意喚起だけはしました。

アシスト 松山 晋ノ助

松山

本記事は後編に続きます。

▼後編はこちら
https://www.ashisuto.co.jp/tech-note/article/20211118_pa.html


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