
- アシストの視点
Bダッシュ委員会 DAO分科会発信
「DAOをビジネスに適用できるか」社内で実証実験
新商材・サービスの発掘・育成に取り組むBダッシュ委員会活動の中で、分散型自律組織(DAO)のビジネス適用の可能性を探り、アシストのビジネスにどう活かせるかを研究する「DAO分科会」についてご紹介します。
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アシストでは、コロナ禍で全社員がテレワークを実施するようになり、社内コミュニケーションが希薄化していることを懸念して動画に着目。今後は動画が企業における新しいコミュニケーション手段の一つになると考え、エンタープライズ動画プラットフォーム「Panopto」を導入、1年で12,000を超える動画コンテンツを社内流通させ、社員同士のコミュニケーション向上・円滑化、業務効率化・省力化、これまで暗黙知化していた業務ノウハウやプロセスの形式知化・可視化など大きな成果を得ています。
一方、社内での動画活用推進は文化醸成に近いものがあり、これまで資料化していたものをどう動画にしていくのか、また、視聴する時間を業務の中でどう捉えていくのかなど、動画を企業で定着させる上ではハードルがあります。
本記事は「動画活用は企業に定着するのか。導入企業3社の推進リーダーが語る 苦労と手応え」と題し、Panoptoを導入いただき現在推進リーダーという役割を担っている株式会社オークネットの段裕之様、鈴与システムテクノロジー株式会社の大橋由規様と、アシスト松山晋ノ助が、動画活用を進めていく上での課題、今現在感じている手応え、今後の構想などを前編・後編の2回に分け、余すことなくお伝えします。
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株式会社アシスト |
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株式会社オークネット |
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鈴与システムテクノロジー株式会社
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松山 |
段様 |
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大橋様 |
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松山 |
大橋様 |
当社では、特に制約を設けずに何でも動画コンテンツとして共有してもらうよう推奨していますが、実際にコンテンツとして一番多いのは業務マニュアルです。業務マニュアルが動画になると非常に理解しやすくなりますね。 |
段様 |
導入してまだ3~4カ月なので、自信をもって「すごく活用されています」とは言えませんが、明らかに増えたのはセミナー動画の共有です。以前はセミナーの動画を撮影しても結局ファイルサーバーに格納されたままで、見たいものが探せないという状況でした。Panopto導入後はアーカイブとして好きな時に動画を見ることができますし、何かしらその情報を後から参照して勉強することもできるので情報のキャッチアップをしやすくなったと思います。 |
人材育成や社内教育に関わるところでの効果は両社共通して高いようですね。これまでは撮りっぱなしだった動画を活用する機会ができたとか、主催者側としては誰が受講したか履歴が取れる点がよいというお話でしたが、実際に社内でセミナーを受講されたり動画をご覧になった方から何か反響がありましたか。 |
松山 |
段様 |
Panoptoでは、動画に目次を付けておくと、目次を押したタイミングでそのセクションに飛ぶ機能があり、「ここを重点的に聞いてほしい」というところにタグ付けすることができます。他の動画ツールだとなかなかこれができないですし、動画を視聴する側からも非常に便利だという声があがっています。また他の動画ツールだと動画の中身に含まれる言葉まで探すことは難しいので、コンテンツ数が多いと目的の動画にたどり着くことが難しいという課題がありました。Panoptoには、目次機能、タグ付け、自動文字起こし機能による文字検索など様々な検索機能があるので、目的の動画を探しやすいという大きなメリットがあります。動画数が増えれば増えるほど効果を発揮するツールだと思います。 |
大橋様 |
これまでリアルタイムでセミナーなどに参加する場合、1時間、1時間半といったように時間を拘束されていたのが、Panoptoに様々な動画コンテンツをアップロードする時に、時間を短めに区切ってコンテンツ投稿していることもあり、「空いている時間に効率よく受講できる」という声があがっています。 |
単純に動画を撮影して流すだけなら様々なツールがありますし、動画を見ておいてくださいというアナウンスだけだと、見てほしいところにきちんとたどり着くのか心配かと思いますが、段様のお話にあった、目次からのジャンプ機能、タグ付け、コンテンツ内に含まれる言葉を検索することで、見てもらいたいところ、見たいところにすぐにたどり着けるという点が重要ですね。動画の再利用性も高まります。 |
松山 |
動画ツールの導入はこれまでのパッケージソフトウェアとは異なり、進め方に苦労された点もあるのではないかと思います。まずは社内での体制についてお話を伺えますか。 |
松山 |
段様 |
導入後約3ヵ月は私が所属するDX部門の担当3名で進めていました。社内にどういう動画があるか調査を行い、各所でセキュリティやガバナンスの観点で課題を抱えていることが分かりました。また、社内展開するものはPanoptoに統一する方針で、アシストさんにも相談しながら、本格的な社内展開はこれからです。 |
大橋様 |
当社も導入時期はオークネットさんと同じですが、導入に至るまで、アシストさんにご協力いただいて価値検証(PoV:Proof of Value)を行い、私を含め各事業部門のメンバー10名弱で効果が期待できることを確認しました。現在は基本的には私が全体の運営を担当し、情報セキュリティの観点もあるため情報システム部門とも連携しつつ、組織ごとに推進メンバーを設け合計数十名で活動しています。 |
アシストが1年前に導入した際、どうしたら社内に浸透させることができるか頭をひねった結果、現場との間をつなぐ人が必要だということでビデオアンバサダーを設けました。部門ごとに2~3名アサインしてもらい、現場の感想や不満を含めフィードバックしてもらったおかげで、社内の声を吸い上げながらなんとかうまく推進できたと感じています。 |
松山 |
大橋様 |
今は数十名いる推進メンバーの方にお任せし、強制ではなく現場の方にどんどん動画を増やしていってもらおうという方針なんですが、これがなかなか難しいです。私の方でも推進メンバーがやりやすい雰囲気を作らなければと感じているんですが、ここを是非とも皆さんにご相談したいです。 |
段様 |
先ほどお伝えした通り、運営側は手が回らなくなるという経験から、例えば動画マニュアルを作って展開するところやユースケースごとに使い方を説明するところをアンバサダーの方にご協力いただければと考えています。また、現場での展開が進むと、我々が想定していない使い方が出てくると思うので、現場に即した使い方を編み出して是非チーム全体で盛り上げていってもらえたら楽しいですよね。 |
導入して3ヵ月頃の悩みがまさにそれで、解決策としてアンバサダーの方々と個別に会話する機会を設けたんです。話すうちに、営業部隊はお客様に対していかに価値を提供できるか、技術部隊は自分の担当している製品をいかに営業経由でお客様に説明できるか、スタッフ部門だといかに作業効率を上げられるかなど、それぞれの事業部門や立場によって動画の活用方法に違いがあることが分かりました。また、会話している中でアンバサダーの方が何か気づきを得て「これやってみようかな」と積極的にトライしてくれるようになりました。 |
松山 |
段様 |
結局、事業部門が向かっていきたい方向に辿り着くために動画ツールを活用するという形にするとゴールが定まりますね。 |
そうですね。Panoptoの価値としてお伝えしている「想いをひとつにする」という部分は、プロジェクト推進にも言えることだと思います。活用が進んでいない部門のアンバサダーの方には個別フォローをしましたが、進まない理由を聞くのではなく、他の部門でやっていることを紹介したり、部門での展開が難しそうであれば同じ部門内で協力してくれそうな人を一緒に探したり、半年ぐらいはそういった伴走的な活動もしました。 |
松山 |
大橋様 |
「動画を使って本当にメリットあるの?逆に時間がかかる」といった声も実際ありますが、トライしてみないとそのメリットを理解できない部分も多いと思います。また、推進メンバーだけではなかなか進まず、私も一緒に出演したりネタを考えたりしています。でも、動画を公開する側もやっているうちに動画そのものに抵抗がなくなり、その後動画数が増えていきました。松山さんのおっしゃる通り、はじめの一歩が大事かと思います。いただいたアドバイスを参考にしながら継続的にやってみます。 |
大橋様 |
当社では組織ごとに1名ずつアサインをお願いしました。現在2カ月に1回程度定例会を実施し、アップロードしたコンテンツ内容、課題などを意見交換しています。 |
段様 |
当社もこれから自薦または役員からのアサインなどで部門から2名ずつ選出してもらおうと思っています。2名にする理由ですが、こういうプロジェクトは一人でやると孤立化してうまくいかなくなるケースがあり、責任もその人だけになってしまうと本人が辛くなるからです。また、若手に動画作成の経験者が多いので、特にこのコロナ禍で社員との交流が少ない新入社員などをメンバーとして選抜し、動画に触れる機会と社内コミュニケーション活性化の相乗効果を狙いたいと思っています。アシストさんは実際どうでしたか? |
当社は各事業部2名体制で、プロジェクトの規模としては30名強でした。2名の組み合わせもパワフルなタイプ同士だと意外にぶつかるケースなどもありました。 |
松山 |
段様 |
なるほど。なかなかパーソナルな面も含めアサインをお願いするわけにいかないので、事業部の中で声が大きい人と、ツールに興味があって調査も得意、動画の作成面でアドバイスできそうな人、年次で言うとベテランと若手みたいな組み合わせでお願いするのがいいかもしれませんね。Panoptoに慣れるためにある程度のツールスキルも必要になります。 |
アシストの場合はIT企業なので技術メンバーが多いことで他業種に比べ多少アドバンテージがあるかなと思ってるんですけど、IT企業かどうかに関わらずプライベートで動画を撮ってる人や動画好きを見つけることも重要なポイントかもしれません。 |
松山 |
大橋様 |
動画好きなら社内に若手で数名思い当たる人がいますが、アップロードする動画にもかなりこだわりを持っているので工数はそれなりにかかっているのではないでしょうか(笑)。 |
段様 |
当社ではSlack導入の際も業務外のコミュニケーションが進まないことが課題として上がりました。どちらかというと真面目な会社なので(笑)、プライベート動画の紹介はこれからです。例えば、会社が外苑前なのでオリンピックの時に競技場を撮影していた社員がいて「動画をシェアしてほしかった」と思ったことがありましたが、プライベートも気兼ねなく公開できるように社内の雰囲気を変えていきたいですね。 |
大橋様 |
当社も真面目な会社(笑)というところもあって、業務に直結するような動画が多く、ラフな動画は当社役員がパイナップルを育てているネタと私のダイエット企画ぐらいでなかなか増えないですね。ただコミュニケーション活性化のためにも社員のパーソナリティを理解できる動画を増やしていきたいのですが、アシストさんで工夫されていることはありますか。 |
アシストでは約1万2,000の動画のうち、業務外のものは50本ぐらいしかないのですが、例えば、コロナ禍で全員が揃う機会もないので、チーム内で出産祝いを渡すシーンを動画で共有するとか、コロナ禍で活動ができないクラブ活動の紹介動画とか、特に意図的にお願いしたわけではないのですが、導入後半年ぐらいから出てくるようになりました。お二人のお話を聞いて、逆に業務外のものも増やさないと、と感じましたね。 |
松山 |
段様 |
逆に、動画を共有する際の基準のようなものはありますか。実は、ラフで楽しめる動画がほとんどなかったので、ゲーム実況動画なら若い人にも受けそうだと思い発案したところ、「業務から離れすぎる」「万人受けするものではない」ということでお蔵入りになりました。 |
ゆるくてもいいので、業務や人、何かしら会社につながっているという意識は必要かもしれませんね。アシストの最小限のルールは著作権に対する意識です。広報と法務に相談してガイドラインをしっかり作ってもらいました。一人一人が著作権を意識しないと違反した動画が出てきますし、こちらから「これはやめてください」というと一気にトーンダウンしてしまいます。そうなる前に注意喚起だけはしました。 |
松山 |
本記事は後編に続きます。
▼後編はこちら
https://www.ashisuto.co.jp/pr_blog/article/20211118_pa.html
※本事例は取材時の内容に基づくものです。
※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
本記事でご紹介した製品・サービスに関するコンテンツをご用意しています。また、この記事の他にも、IT技術情報に関する執筆記事を多数公開しておりますのでぜひご覧ください。
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