SAP技術者のリソース不足解消とシステム移行効率化に貢献 SAP S/4HANA導入を成功に導く
株式会社日立フーズ&ロジスティクスシステムズ
- 導入製品/サービス…
- DataSpider Servista
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SAP S/4HANA(以下、S/4HANA)導入プロジェクトにおいて、SAP ERP 6.0(ECC6.0)からS/4HANAへのデータ移行では、SAPが用意する標準的な移行サービスを使わず、独自開発ツールでの移行を選択。SAPとのデータ連携アダプタを持つDataSpider Servista (以下、DataSpider)を活用して、SAP技術者のリソース不足解消とシステム移行の作業効率化を可能にしました。さらにデータ連携に伴う業務の効率化も実現しています。
導入のポイント
1.ABAP開発をせず、社内のデータ連携で実績のあるDataSpiderを活用して移行作業の効率化を実現
2.DataSpiderの利用によりプログラム開発の負担を軽減し、ABAP開発者のリソース不足解消を実現
3.データチェックやデータ報告が伴うルーチンワークに適用し、現場業務の生産性向上を実現
課題
- 新システムへの移行におけるダウンタイムの最小化が必須だった
- SAP ERP 6.0からS/4HANAへの柔軟なデータ移行作業が必要だった
- SAP技術者のリソース不足を解消するために、移行作業の効率化が求められた
対策
- SAPの主要なデータ連携インターフェースに対応したデータ取得が可能なDataSpiderを活用
- 限られた時間を有効に活用するデータ移行処理を実装
- GUIによるノンプログラミング開発により、ABAP技術者のリソース不足に対応
効果
- ABAPと比較して約1/3から1/5程度開発工数を削減し、ダウンタイムの最小化も実現
- DataSpiderで移行データの急な項目追加にも柔軟に対応、移行プロジェクトの円滑化にも寄与
- 今後、RPAツールとの連携を含めた業務自動化を推進
システムの構成イメージ
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データ連携ツールを活用したS/4HANAへのデータ移行を実施
日立製作所とニチレイの合弁会社として2003年に設立された日立フーズ&ロジスティクスシステムズ。ニチレイにおける情報システムのフルアウトソーシング先として、食品業界における受発注システムや低温物流における倉庫管理システムなどの開発、運用保守を手掛けています。ニチレイが築き上げてきた食品・食品物流業界における業務ノウハウを生かし、情報システム関連のアウトソーシング事業やペイロール(給与計算)業務などのBPOサービス事業を展開しています。
同社では、ニチレイが基幹システムとして採用してきたSAP ERP 6.0を刷新し、新たにS/4HANAの導入を推進。このプロジェクトでは、システムのダウンタイムの長期化が懸念されるシステムコンバージョンではなく、新規にS/4HANAを導入する方針が採用されました。また、コストインパクトが大きいSAP標準の移行サービスを利用せず、社内実績のあるデータ連携ツールDataSpiderを用いて伝票単位のバッチ処理によるデータ移行を行う方式が選ばれました。ソリューション第一事業部 部長 コモンシステムグループ グループリーダ 桐生 正広氏は、次のように語ります。
桐生氏
会計や受発注の仕組みなどを対象にS/4HANAへの移行を実施することが決まり、会計は2018年4月から、受発注など一部の仕組みは5月からスタートする方針となりました。一部並行稼働を実施しながら、受発注に伴う請求書データなどは順次新たな環境へ移行することが求められたのです。
DataSpiderの開発・運用経験により、SAPのデータ移行に最適だと判断
このデータ移行に関して注目したのが、アシストが提供するデータ連携ツールDataSpiderでした。SAPの外部インターフェースであるBAPIやRFCに対応し、テーブルやSAPクエリから容易にデータを取得できる豊富なアダプタを備えていたことが大きな決め手となりました。
桐生氏
GUIの設定だけで簡単にデータの取り扱いができるだけでなく、SAP ERP 6.0およびS/4HANAどちらのシステムにも対応しているため、今回のデータ移行に最適だと判断しました。
同社では数年前に、給与計算に関するBPOサービスの品質維持と生産性向上のためにDataSpiderを導入しており、給与システムへ勤怠データを取り込む際、手作業で行っていた事前加工処理の自動化などに活用していました。また、帳票作成業務の自動化に資するRPAサービスとして応用するなど、その実績やノウハウを持っていたことも選択の大きなポイントになりました。
桐生氏
GUIによるノンプログラミング開発が可能で、Web画面のボタンを押すだけで起動できるHTTPトリガーなど豊富な機能が用意され、データ連携処理が自動化できます。作成したスクリプトのバージョン管理も自動化されており、仕様書の自動作成が可能など、生産性向上に大きく貢献してくれる優位性を高く評価しました。
短期間での開発を可能にしながら、開発者のリソース不足を解消
S/4HANA導入プロジェクトでは、SAPからのデータ抽出や変換処理、そして投入に至るいくつかのプロセスでDataSpiderが活用されています。
■ 新旧システム並行稼働時のデータ連携
新旧のシステムを1ヵ月ほど並行稼働させる方針に従い、SAP ERP 6.0にある100万件ほどの請求書データをS/4HANAの債権明細に反映させる処理が必要となりましたが、データの抽出から伝票変更データ作成までを自動で行いました。このように開発コストを圧縮できただけでなく、SAPのパフォーマンス劣化が懸念された処理もDataSpiderが一手に担うことで、大量データの移行もスムーズに実現できました。
桐生氏
ABAPで作成した場合、新旧のシステム双方からのデータ抽出と変換プログラムを作成するには10日ほど必要でしたが、DataSpiderを使うことで3分の1程度の期間で実装できました。
■ S/4HANA用にファイルレイアウトを変換
SAP ERP 6.0にある一般勘定科目や債権・債務明細、消費税などの情報をS/4HANAに取り込むためのファイルレイアウトの変換にも活用しています。懸念されていた手作業によるミスは、リハーサルを複数回実施することで撲滅し、入力エラーを想定した変換ロジックを組み込むことでチェックの簡素化も実現。スクリプト作成の期間は2日ほどで、移行リハーサルの作業期間は5分の1程度まで削減することができました。
■ 移行リハーサル期間中のデータ補正
さらに、移行リハーサル中に発生した移行変換テーブルへの項目追加にも例外的なパターンとして対応。データ移行中、変換テーブルに項目を追加する必要に迫られましたが、すでに100万件以上のデータが移行先のS/4HANA側に登録されていたため、手作業によるデータの補正は困難でした。データの補正は、移行リハーサル中に完了させなければなりません。そこで、対象となる移行変換テープルの抽出や伝票番号の検索、データの更新処理に活用することで、開発を短期間で終わらせ、後続作業に影響を与えることなく、移行リハーサル期間中にリカバリを行うことに成功しました。開発者のリソースが不足している状況の中、緊急的な対応でもDataSpiderは大きな役割を果たしました。
桐生氏
アシストの手厚いサポートサービスがあって助かりました。サンプルスクリプトを提供してもらって参考にするなど、非常に有用なサービスでした。今でも困ったことがあれば迅速に対応してもらっていますが、S/4HANA導入プロジェクト成功の一助となったことに疑いはありません。
RPAツールとの連携などさらなる自動化を推進
S/4HANAが稼働して2年近くが経過していますが、運用は順調です。今後は、S/4HANAから品目情報を取得するといったシンプルな用途から、取り込み可能なレイアウトへの変換処理や、BAPIなどの機能呼び出しによる伝票登録から結果をメールで通知するといった一連する業務まで、DataSpiderを活用した一歩進んだ処理の自動化への取り組みも検討しているところです。
さらに、同社が手掛けるBPOサービスなどで実現している自動化に関しては、RPAツールと連携させたDataSpiderの活用を考えています。
桐生氏
画面操作などDataSpider単独での対応が難しい場合は、そういった処理が得意なRPAツールを組み合わせることを検討しています。例えば、Webシステム内にある注文情報や、得意先が持っているWebシステムからRPAツールを使ってデータをダウンロードさせ、DataSpiderを起動させるといった連携を考えています。アイディア次第で用途が膨らみます。さらなる業務の自動化を推進していきたいですね。
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
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お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 株式会社日立フーズ&ロジスティクスシステムズ |
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概要 | 日立製作所とニチレイの合弁会社として設立。「食品・食品物流システムのプロフェッショナル」として、アプリケーション開発などのITO事業やペイロール業務をはじめとしたBPO事業を手掛けている。 |
所在地 | 東京都中央区築地六丁目19番20号 ニチレイ東銀座ビル |
設立 | 2003年1月 |
資本金 | 3億円 |
URL | https://www.hitachi-fls.co.jp/ |
取材日 | 2020年1月 |
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