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基幹システムのVMware環境を短期間でクラウドリフト!Oracle Cloudで性能向上、グループ企業のデータ経営を強化

エア・ウォーター株式会社

導入製品/サービス…
Oracle Cloud Infrastructure  Oracle Database  

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「基幹システムの安定稼働は、事業の持続可能性と成長に直結する重要なミッションです。OCIへのリフトで性能も安定し、ユーザーの満足度も上がっています」

エア・ウォーター・デジタル株式会社
システム本部 ソリューションマネジメント部
部長 安住 憲一 氏

課題/背景

  • 事業拡大によりグループ企業が増加。基幹システムの利用企業も増え続ける見通し
  • 経年データの蓄積と利用者の増加で性能は徐々に劣化
  • 経営判断に必要なデータの更新遅延や長時間処理によるエラーが発生。繁忙期はデータベースサーバーのCPU使用率が終日上限に達し、ユーザーが満足に利用できる状況ではなく業務が遅延
  • 基盤強化は急務だが、既存データベースサーバーの増強は限界

対策

  • 性能効果と対処期間に加え、コスト、永続性、拡張性など考慮し、OCIへの移行を決定
  • データベースサーバーはOracle Database Standard Edition(以下、SE)からEnterprise Edition(以下、EE)に変更。概念実証(PoC)で処理速度が3倍になることを確認し、バージョンの制御ができるOCI IaaSを採用
  • 多数あるアプリケーションサーバーはVMwareからの移行スピードを重視し、IaaSではなくOCVSを採用

効果

  • OCVSの採用によりシステム全体の短期移行を実現(移行工数が10分の1に)
  • データベースのCPU性能は大幅に向上し、繁忙期の処理時間は従来の3分の1、年間の処理時間も67%削減
  • 性能改善により利用ユーザーの満足度が向上。データ経営にも貢献
  • 今後予定される基幹システムの利用企業の追加でも、性能劣化なく柔軟にスケールアウトできる基盤を確立

システム概要図


システム概要図


売上高1兆円の先を見据えたデータ経営およびDX推進に取り組む


エア・ウォーター株式会社は、主に産業ガスを扱うビジネスを展開し、エネルギー、医療、農業・食品など多様な事業を通じて社会や人々の暮らしに貢献しています。売上高は1兆759億円(2025年3月期、連結)で、グループ会社は国内外で261社を数えます。また、グループの未来を見据えた重要なステップとして位置付けるのが「データ経営」(DX推進)であり、2030年度に目指す姿「terrAWell30」に向けて、今年度から新たな中期経営計画がスタートしました。

グループ事業の持続可能性と成長に直結する重要なミッションの一つが、基幹システムの安定稼働です。ミッションの達成に向けた中核を担うのは、グループのDX推進で中心的な役割を果たしているエア・ウォーター・デジタル株式会社です。同社のシステム本部 ソリューションマネジメント部 部長 安住 憲一氏は、次のように説明します。

安住氏  当社は、デジタルを駆使してグループの人やビジネスとコラボレートし、グループ全体の成長に寄与するITカンパニーを目指しています。経営者から現場までの全社で、データに基づいた科学的な計画立案や検証などができる「データ経営」を実現するために活動しています。


基幹システムの性能劣化が顕在化、抜本的な解消のためにクラウドリフトを決断


2017年、グループ全体の経営情報を迅速かつ正確に把握し短期間で決算処理するため、本社とグループ会社が共通で利用する基幹システムを導入しました。しかし、グループ会社が基幹システムに移行する過程で、グループの規模が拡大するにつれ、オンプレミスで稼働していたデータベースには年々大量のデータが蓄積され膨大となりました。

また、基幹システムを導入するグループ会社の増加に伴い、利用者も追加されることで性能が加速度的に劣化し請求締め業務などに遅れが生じました。性能劣化はデータ経営を目指す上で大きな障壁となり、システム基盤の強化を望む声が現場のユーザーも含めて多く上がっていました。

「システムの反映が遅くて、損益の分析ができない」(経営企画担当)
「長時間処理がエラーになり、やり直しが必要となる」(管理担当)
「毎月レスポンスが少しずつ遅くなっている」(事務担当)

安住氏  繁忙期にはデータベースサーバーのCPU使用率が上限に達し、処理の待ち行列が発生してボトルネックになっていました。解消するには基盤強化が必要ですが、自社運用サーバーのままではリソースの増強が難しく、データベースの性能を引き出すライセンスに切り替えると高額な費用になることが判明しました。そこで様々なケースを検討した結果、クラウドサービスへのリフトを決断しました。


アシスト提案の概念実証で3倍の高速化を確認し、Oracle Cloudを採用


早速、アプリケーションサーバーとデータベースサーバー、それぞれに最適なクラウドリフト先の検討を進めました。評価軸は「迅速に効果を得る」「アプリケーション機能を維持する」「現状のランニングコストを大きく上回らない」「永続的に利用できる」「将来的な負荷の増加に対し拡張できる」の5つです。担当したエア・ウォーター・デジタル株式会社 システム本部 基幹システム部 運用グループ 山上 和広 氏は次のように説明します。

山上氏  候補とした環境は、①オンプレミス物理、②OCIのPaaS、③OCIのIaaS、④OCVSと⑤他のメガクラウドの5つです。その中から最新のCPUを利用すること、性能向上のためにOracle DatabaseをSEからEEへ変更することを前提に選定を進めました。そして、Oracle Databaseのバージョン制御やライセンス費用の観点から、環境はOCIのIaaSとOCVSに絞りました。

環境の選定では、アシストからの提案により概念実証を実施した結果、データベースサーバーは3倍の処理性能向上を確認できたOCIのIaaSを採用しました。また、アプリケーションサーバーはオンプレミス上に構築したVMwareの環境であったため、データベースに合わせてIaaSにするのではなく、迅速にリフトできるOCVSを採用しました。

OCVSは、OCIが提供するVMwareの仮想化環境で、既存環境からのリフトが「Virtual to Virtual」とシンプルで容易に構築できるため、短期間で移行でき実際の導入効果を早く得られました。


基幹システム21台のサーバーを10ヵ月の短期でリフトし性能劣化も解消


エア・ウォーターグループの基幹システムは、本番、検証、開発と3系統のサーバーで構成し、21台と大規模であったにも関わらず、クラウドリフトの企画から移行完了まで、わずか10ヵ月という短期間で実現しました。

山上氏  OCVSにリフトできなければ、環境構築などの作業がさらに半年以上、延長したと考えています。IaaSの場合、新規インスタンスの構築とミドルウェアのインストールや設定で、33人日(1人月分)の工数が掛かりますが、OCVSの場合、3人日のため、10分の1と大幅に削減できました。

移行後の効果も期待以上で繁忙期でも性能は3倍も向上しました。また、年間の処理時間は、3万3000時間から1万1000時間と67%も下がりました。短期間でのリフトに加え性能も向上したことで、ユーザーから良い反響も寄せられて、従来のシステムの課題も無事解消されました。

「朝には分析に必要な数値が揃い、損益の分析ができる」(経営企画担当)
「長時間処理で万が一やり直しになっても、すぐに終わる」(管理担当)
「レスポンスが良くなり、システムの動作が安定した」(事務担当)


クラウドのスケーラビリティを生かして、新基幹システムへの移行を推進


今回のクラウドリフトでは、システムの安定稼働を優先して実装を見送った機能も一部ありましたが、より良い管理のため、今後は業務にフィットする機能を積極的に活用していく意向です。その上で、基幹システムのグループ企業共通での活用は道半ばと山上氏は語ります。

山上氏  旧来の基幹システムを利用している一部のグループ会社も、新基幹システムへの移行を推進していきます。これにより、ユーザーはさらに増加することになりますが、負荷増大に対しリソースを柔軟に増やして性能課題に備えることができるのも、クラウドにしたメリットです。

今後もグループ全体の生産性向上や新たなビジネスモデルの創出を踏まえ、安住氏はここまでの取り組みを振り返り、アシストへの期待を語ります。

安住氏  アシストの担当者は、打ち合わせの議題に応じて、ファシリテーターや専門性の高いアドバイザーなど何役も切り替えながら柔軟に対応してくれたことが印象的です。毎回テンポ良く進むため、アシストに任せることで安心感がありました。現在もユーザーのために最善を尽くす努力を惜しまない提案などがあり、引き続きご支援をお願いしたい次第です。


  • 本稿は取材時の内容に基づくものです。製品やお客様情報など最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。
  • Oracle®、Java、MySQL及びNetSuiteは、Oracle Corporation、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。NetSuiteは、クラウド・コンピューティングの新時代を切り開いたクラウド・カンパニーです。その他、記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

お客様情報

会社名 エア・ウォーター株式会社
 本社 大阪市中央区南船場2丁目12番8号 エア・ウォータービル
 設立 1929年9月
 URL https://www.awi.co.jp/ja/
会社名 エア・ウォーター・デジタル株式会社
 本社 大阪市中央区南船場2丁目12番8号
 設立 1983年10月
 URL https://awsi.co.jp/
取材日 2024年5月

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