ホストコンピュータとDBサーバ5台をOracle Exadataに集約、高い処理性能で年間9,600時間の工数削減を実現
株式会社IHI
- 導入製品/サービス…
- Oracle Exadata Oracle Database
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IHIではホストコンピュータで運用していた経理システムの老朽化により、タイムリーな経営判断が困難になり、また団塊世代の退職によりシステム維持も難しくなっていました。そこでOracle Exadata Database Machine (以下、Oracle Exadata)に統合データベース基盤を構築。経理システムを全面刷新し、さらに周辺システムのDBもOracle Exadata上に集約したことで、高い可用性と処理性能を実現。月次処理の短期化と年間9,600時間の業務工数削減を実現しました。 |
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事例のポイント
- 1.ホストコンピュータ上で行っていた月次のバッチ処理を日次処理に大幅短縮
- 2.システム刷新後、Oracle Exadataは3年間無停止運用を継続中
- 3.ホストコンピュータとDBサーバ5台の15DBを集約し、運用管理コストを75%削減
迅速な経営判断を困難にしていた経理システムを全面刷新
日本を代表するもの作り企業として、社会インフラから航空エンジン・ロケットシステム、ターボチャージャーなど量産型の汎用機械まで、多岐に渡る製品を世に送り出し続けている株式会社IHI(以下、IHI)。同社では現在、次世代のさらなる成長を実現するために、グローバル戦略の更なる展開とそれを支える経営基盤強化の取り組みを進めています。そのためITシステムにも、スピーディな経営判断を可能にする能力が求められていました。
しかし、財務部 業務変革推進グループ 人見陽二郎氏は、以前の経理システムではこうした要請に応えることが困難だったと言います。
人見氏
ホストコンピュータ上に構築した経理システムを40年以上利用してきましたが、出力が紙のみだったので、集計結果を分析したり明細を確認したりするには特殊なノウハウが必要でした。決算処理の早期化や監査対応、会計制度の変更などへの迅速な対応ができず、外部環境の変化の迅速な把握とタイムリーな経営判断が難しくなっていました。 |
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Oracle Exadataで経理共通の統合データベース基盤を構築
経理システムのオープン化にあたっては、新たにオープンプラットフォーム上にデータベース基盤を構築する必要がありましたが、複数の周辺システムも更新時期を迎えていたため、経理システム専用のデータベースサーバとしてではなく、財務部共通の統合データベース基盤として構築することにしました。
このデータベース基盤を実現するにあたり、「ホストコンピュータと変わらない可用性と処理性能」「将来のデータ増大に備えたキャパシティ」「バージョンや設定などが異なるデータベースの共存」「安心できる保守性」という要件が挙がりました。データベース製品をいくつか比較検討し、最終的にこれらを満たすオラクルのデータベースアプライアンス製品Oracle Exadataを選択しました。
人見氏
Oracle ExadataはRAC構成によるデータベースサーバ冗長化の他、主要な内部コンポーネントが二重化されているため、極めて高い可用性を確保でき、InfiniBandによる高速データ転送やメモリ・キャッシュの仕組みにより高い処理性能も期待できました。また高効率のデータ圧縮技術により大容量データに対応でき、異なるバージョンの複数のOracle Databaseを共存させられるため、弊社が掲げる要件を高いレベルで満たす製品だと判断しました。
「安心できる保守性」では、ハードウェアからOS、ソフトウェアまでアシストに一括して任せられる点を高く評価しました。またOracle Exadataをすでに導入/運用している企業を訪問し、その高い性能や安定性についてユーザーの生の声を聞いたことが最終的な決め手となり、Oracle Exadataの正式導入を決定しました。
ホスト並みの可用性と処理性能を運用コスト75%減で実現
Oracle Exadata導入時にいくつか苦労した点はあったものの、2014年、新たな統合データベース基盤が無事カットオーバーを迎えました。その後今日に至るまでの約3年間、Oracle Exadataでの障害発生はほとんどなく、無停止での運用が続いています。
処理性能の面では、当初の期待どおり極めて高いパフォーマンスを発揮しており、中でもバッチ処理の性能は「かつて月次で数日間かかっていたバッチ処理が、今ではわずか数時間の夜間バッチで実行可能になりました。これによりバッチ処理の運用を根本的に見直し、業務全体の改善につなげることができました」と言います。
コスト面では、ホストコンピュータとDBサーバ5台の15DBをOracle Exadataに集約したことで、システムリソースを大幅に削減できました。ホストコンピュータの年間使用料3,500万円と経理システム利用者の年間作業時間9,600時間が一気に削減され、運用コスト全体では75%の削減になりました。
人見氏
「経理システムのスピード化」と「インフラの老朽化・保守性」という当初の課題は、アプリケーションの全面刷新とOracle Exadataによる統合データベース基盤の構築で解決しました。経理システムの刷新で、大規模工事プロジェクトの費用把握や分析が容易になり、各部門担当者の作業工数や負担が大幅に軽減、また、監査や法令改正にも適切なタイミングで対応できるようになりました。外部環境の変化もタイムリーに把握できるようになり、迅速な経営判断につながっています。
他部門のOracle DatabaseもOracle Exadataへ集約
Oracle Exadata導入後、財務部内に散在するシステムのOracle Databaseを順次Oracle Exadataへ集約し、ほぼ全てのOracle Databaseの統合が完了しました。現在は次のステップとして、財務部だけでなく、事業部門で運用されているOracle DatabaseのOracle Exadataへの統合に着手しています。アシストの支援を活用し、更新時期を迎えたシステムから順次対応を進めています。またデータベース基盤の可用性をさらに高めるため、Oracle ExadataのBCP対策にも着手しています。
さらには、Oracle Databaseの最新バージョンOracle Database 12cをOracle Exadataで使えるようにするためのアップグレードも、アシストの支援を受けながら無事完了しています。
人見氏
Oracle Exadataを統合データベース基盤として今後さらに成長させていくためにも、アシストにはこれまでどおり手厚いサポートをお願いできればと思っています。またデータベースだけでなく、クラウドやAI、RPAなど最新のICTに関するレクチャーや提案なども期待しています。
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本事例のまとめ
課題
- 40年以上前に構築された経理システムでは、迅速な経営判断や会計制度変更への対応が困難になっていた
- ホストコンピュータの可用性を新システムでも維持しなければならなかった
- 散在する異なるOSのシステム維持と、専門技術者の確保が難しくなっていた
対策
- ホストコンピュータ上に構築した経理システムを全面刷新し、DB環境にはOracle Exadataを採用
- 内部コンポーネントの二重化とRACによるDBサーバの冗長性により高い可用性を実現するOracle Exadataを導入
- 経理系の複数システムのDBをOracle Exadataに集約
効果
- Oracle Exadataの高速なアーキテクチャを活用して、バッチ処理を月次から日次に短縮、経営判断のスピードアップを実現
- 刷新後の新システムでは3年間無停止運用を継続
- Oracle Exadataへの集約により、運用管理コストを75%削減
統合DB基盤導入の効果
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- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 株式会社IHI |
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概要 | 社会インフラ、エネルギー、産業機械、航空・宇宙などの分野で、国内外において長年高い実績を残してきた国内屈指の大手重工業メーカーです。 |
所在地 | 東京都江東区豊洲三丁目1-1 豊洲IHIビル |
設立 | 1889年1月17日 |
資本金 | 1,071億円 |
従業員数 | 8,630名 連結対象人員:29,659名(2017年3月末) |
URL | https://www.ihi.co.jp/ |
取材日 | 2017年7月 |
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Oracle Databaseは、高い性能と信頼性を誇る業界標準のRDBMS(リレーショナル・データベース管理システム)です。アシストでは1987年にOracle Databaseの取り扱いを開始し、35年以上に渡ってお客様のデータベース構築/運用を支援しています。
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