大量データの検索処理が数時間から数秒に大幅短縮!
高性能データ分析基盤を実現
日本たばこ産業株式会社
- 導入製品/サービス…
- Vertica
|
日本たばこ産業株式会社の営業部門では、大量の販売実績データや営業活動データなどを集計・分析するためのBI基盤「営業統合分析環境」を運用してきましたが、処理性能やメンテナンス性に課題を抱えていました。そこでデータベースソフトウェアをVertica へとリプレースしたところ、大幅な性能向上を実現するとともに、システム全体の安定性も向上。将来のデータ増加や高度なデータ分析ニーズにも柔軟に応えられるデータ分析基盤を手に入れることができました。 |
|
導入のポイント
1.高パフォーマンスかつ安定性に優れたデータ分析環境を実現
2.オンプレミスでありながら柔軟な拡張性とチューニングの容易性を確保
3.AIを使った将来予測などより高度なデータ活用のための足掛かりを獲得
課題
- データ分析基盤のデータベースの処理性能低下に悩まされていた
- 用途ごとに個別にデータマートを構築していたため運用工数がかさんでいた
- セキュリティを担保するためオンプレミスでデータ分析基盤を構築する必要があった
対策
- データ分析基盤の性能向上を期待できるVerticaを採用
- 煩雑なチューニングを必要としないVerticaのプロジェクション機能を活用
- オンプレミスでも拡張性や処理性能に優れた分析基盤を構築
効果
- 数時間を要していた処理がわずか数秒に短縮するなどパフォーマンス向上を実現
- 運用工数改善に加え、数百人規模の同時接続でも高い処理性能を維持
- 次期フェーズの大量データの移行にも十分に対応できる見通しを示せた
システム概要図
|
パフォーマンスやメンテナンス性に課題を抱えていた「営業統合分析環境」
たばこ製品のグローバルたばこカンパニーとして国内外で広く知られる日本たばこ産業株式会社(以下、JT)。近年では医薬品や加工食品などの事業にも力を入れる他、売上収益の6割以上を海外のたばこ事業が占めるなど、グローバル企業としての側面を年々強めています。
こうした事業環境の変化に伴い、同社では現在ビジネスモデルとITシステムの変革に取り組んでいます。国内および海外のたばこ事業の統合を目指すとともに、2022年4月より、国内拠点も15支店から47支店へと再編し、製品開発・販売体制のより一層の強化を図る予定です。
事業戦略の遂行にあたり、同社が最も重視している取り組みの一つが「データ活用」です。全社規模のデータ分析基盤の整備を進める他、部門ごとに独自にデータ活用の取り組みを推進しています。同社の営業部門でも販売実績データや営業活動データなどをDWHに集積し、BIツール「Tableau」を通じて営業部門のユーザーが集計・分析できる「営業統合分析環境」を運用してきました。
李 成龍 氏 |
しかし、同社 IT部 課長代理 李成龍氏によれば、このシステムは運用を続けるうちに様々な課題が露呈してきたと言います。
李氏
約13億件という膨大な量の販売実績データの集計・分析処理に長時間を要していました。この課題を解決するためにDWHから別途データを抽出してTableauサーバ上にデータマートを構築していましたが、全てのデータを格納することができないため分析対象データの粒度や鮮度に制約がありました。また支社ごとの分析用途に応じたデータマートを個別に構築するバッチ処理にも時間がかかり、夜間に終わらないことも度々ありました。
オンプレミスで大容量・高速なデータ処理が可能な「Vertica」を採用
こうした課題を解決するために日本ヒューレット・パッカード合同会社(以下、HPE)の高性能サーバ「HPE Superdome」を導入しました。性能問題はある程度解消したものの、データマートを介さなければ十分な性能が得られない状況に変わりはなく、データの粒度や鮮度の制約は解決できませんでした。またシステムの仕様変更があるたびに支社ごとのバッチプログラムを全て改修する必要があり、かなりの開発工数を要していました。
そこで李氏らを中心に、これらの問題を抜本的に解決する手段を検討することになりました。当初はAzure Synapse AnalyticsやBig Queryなどスケーラビリティに優れたクラウドサービスの利用も検討しましたが、セキュリティ上の懸念が払しょくできず断念しました。そんな折、とあるイベントの展示ブースでたまたま目にしたのが「Vertica」でした。
李氏
オンプレミスで大容量・高速処理が可能なVerticaなら、弊社が抱えている課題を解決できるのではないかと考えました。またVerticaは元々HPEが提供していた製品ですから、HPE Superdomeとの相性も良いのではないかと考え、早速HPEさんの環境をお借りしてPoCを実施することにしました。
本番環境を模した評価用のDWH環境をVerticaで構築して性能を評価したところ、既存環境をはるかに上回る性能を発揮したと言います。
李氏
それまで使っていた環境では、2時間経ってもデータベースへの問い合わせが返ってこないこともありましたが、Verticaの評価環境ではわずか数秒で返ってくることが分かり、これなら弊社が抱える課題を解決できると判断しました。また煩雑なチューニングを行わずとも性能を維持できる点や、将来データ量が増えても容易にスケールアウトできる拡張性もVertica採用の決め手になりました。
既存環境よりはるかに高性能かつ安定したデータ活用基盤を実現
こうしてVerticaの正式採用を決めた同社は、2020年夏から営業統合分析環境のインフラ刷新プロジェクトをスタート。Verticaの調達元であるアシストの技術支援の下、データベース環境の構築を進めました。
李氏
Verticaのインストール/設定作業に当初手間取った面もありましたが、アシストに丁寧にサポートしてもらい、無事クリアできました。また実際にシステム運用を担当するベンダーにとって、Verticaの運用は初めての経験でしたが、アシストにベンダー向けの研修を実施してもらったことでスムーズにスキルトランスファーできました。
Verticaの環境構築作業と並行して、Microsoft Dynamicsベースの営業支援システムの構築も進め、2021年4月にはVertica環境とともにリリースできました。リリース第一弾では、新営業支援システムなど新たな要件への対応だけにとどまり、旧環境からのデータ移行は行っていませんが、早くも目に見える成果が上がっていると言います。
李氏
Verticaに直接アクセスするスマホアプリを新たに開発し、外回りを担当する1,500名ほどのパートタイマーの方々に利用いただいていますが、数百人規模の同時アクセスがあってもVerticaにはほとんど負荷はかかっていません。今のところVerticaの性能にはまだまだ余裕があり、既存環境と比べても極めて安定稼働できています。
今後はAIを活用した需要予測などさらに高度なデータ活用を
2022年4月に予定しているリリース第二弾では、既存環境からの完全移行を目指しています。その際には大量の販売実績データが移行され、ユーザー数も増えるため現在より高い処理負荷がかかることが予想されます。しかし李氏は「念のため負荷テストは行う予定ですが、現在のVerticaの稼働状況を鑑みれば、ほとんど心配はしていません」と自信を覗かせます。
さらにその後のVerticaの活用に関しても、早くも様々なアイデアを巡らせていると言います。
李氏
今回Verticaを導入したことで、過去のデータを分析したり、現在の状況を可視化する仕組みは一通り整備できたと考えています。今後は、過去データをAIで分析して需要予測を割り出す仕組みを実現したいと考えています。幸いVerticaには機械学習機能が搭載されており、弊社でもその評価を行っていますが、それ以外の機能に関してもVerticaのポテンシャルをさらに引き出していければと考えています。アシストにはこれまで通り充実した提案やサポートを期待しています。
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 日本たばこ産業株式会社 |
---|---|
概要 | たばこ事業を中心に70以上の国・地域で事業を展開し、130以上の国・地域で製品を販売するグローバル企業です。たばこ事業以外にも医薬事業や加工食品事業も展開しており、お客様や社会の様々なニーズに応えるとともに、持続可能な社会の発展に寄与する社会的価値を創造しています。 |
本社 | 東京都港区虎ノ門4-1-1 |
設立 | 1985年4月1日 |
資本金 | 1,000億円 |
従業員数 | 連結 58,300人(2020年12月31日現在)、単体 7,366人(2020年12月31日現在) |
URL | https://www.jti.co.jp/ |
取材日 | 2021年6月 |
関連製品/サービス
Vertica
Verticaは、エンタープライズDWHとしてだけではなく、全社的なビッグデータ分析基盤として活用できる次世代型データベースです。様々なユーザのデータ分析要望をその圧倒的なパフォーマンスとスケーラブルな構成、Vertica独自の分析機能で強力に支援します。
- 1台のPCサーバからスタートできる柔軟な拡張性
- 最小レベルのディスクI/Oで高いパフォーマンスを実現
- 複雑な設計/チューニングが不要。DB運用の簡易化を促進