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生産ラインの品質システムをOracle Cloudへ移行・集約。
品質判定に必要な性能を維持・拡張可能な形で確保し、
運用コストを70%削減。

日清紡マイクロデバイス株式会社

導入製品/サービス…
Oracle Cloud Infrastructure  Oracle Database  

日清紡マイクロデバイス株式会社様_メインアイキャッチ画像

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「生産工程の品質検査判定をクラウドで行うことはチャレンジでした。性能、コスト、運用効率、事業継続性、そして変化への柔軟性の課題まで解決できました」

日清紡マイクロデバイス株式会社
経営戦略本部 IT企画推進部
高橋 一智 氏

課題/背景

  • 企業統合に伴い移設が必要だった品質管理のSPCシステムは、アプリケーションをメガクラウドへリフト。分散したシステムの今後の在り方を模索していた
  • オンプレミスのデータベースサーバーの更改では、ハードウェアやソフトウェアの費用削減が望まれた
  • システム構成の最適化に向けた全面クラウド化の検討では、データベースをクラウド化しても品質検査判定に必要な性能が発揮できるかが懸念された

対策

  • OCI環境の検証で目標性能が担保できることや運用効率の向上効果も確認でき、OCIへの移行を決定
  • データベースはコストとオプション利用の柔軟性から、Oracle Base Database ServiceのEnterprise Edition High Performanceのライセンス込みを採用
  • 短期間でデータベースの本番移行を実施し、アプリケーションもOCI Computeに移設。バックアップと災害対策環境も整備

効果

  • OCIへの集約で必要な性能を確保しつつ、シンプルで継続性に優れたSPCシステムの基盤を確立。併せて、大規模災害時に対する事業継続性も向上
  • 日々の運用業務の負荷も軽減。ユーザー部門が求めるデータの長期保存や、今後の構成変更の要求にも柔軟に対応可能な基盤を確保
  • ハードウェアやソフトウェアを含む5年間の運用コストは、70%削減の見込み

システム概要図

システム概要図


企業統合を機に、半導体SPCシステムの構成の最適化を検討


日清紡マイクロデバイス株式会社(以下、日清紡マイクロデバイス)は、2022年にリコー電子デバイス株式会社と新日本無線株式会社が統合し設立した、アナログ技術を強みとする電子デバイスとマイクロ波製品の製造メーカーです。兵庫県のやしろ事業所では、主に、自動車やスマートフォン、デジタル家電など身近な物にも活用される電子デバイス製品のプロセス技術開発や生産を行っています。

やしろ事業所の生産において、半導体生産ラインの品質管理を担うSPC(統計的工程管理)システムや技術解析は、最終製品の品質や生産効率を左右する重要なシステムです。中心機能のSPC判定は、生産工程の品質を監視し、過去の傾向との比較により異常時には工程を止め、原因を調査するエンジニアへ即座に通知を送ります。このデータ分析と判定は、Oracle Databaseのストアドプロシージャで処理されています。従前のシステムについて、経営戦略本部 IT企画推進部の高橋 一智氏は、「システム構成の変更には多くの課題があった」と語ります。

高橋氏  古くはSPC判定の性能が出ず、環境はシステムごとであったため、運用も煩雑で苦労していましたが、2018年のOracle Database Appliance(以下、ODA)への統合後は、性能だけでなく運用も劇的に改善されました。ところが、リコーからの分社化、日清紡グループへの参画、企業統合への対応で、2019年から2022年には3度にわたりネットワークセグメント変更やデータセンター移設が必要になりました。移設先の検討や変更対応の工数は高く、変化に柔軟な移行先を模索していました。

2022年の企業統合への対応では、災害時の対策強化の狙いもあり、メガクラウドにWebアプリケーションをリフトし、即時対応が難しいデータベースはオンプレミスに残して、バックアップのみOCIに転送する構成に。システム全体の構成の最適化は継続して検討することにしました。このような背景の中、データベースの次期基盤の検討では、ハードウェアやソフトウェアのコスト削減が望まれたこともあり、全面クラウド化に向けた調査が本格化します。


性能検証を経て全面クラウド化を決定。OCIへのシステム移行・集約を実施


Oracle Databaseの移行先はOCIを第一候補としました。具体的には、OCI Base Database Serviceで提供される Enterprise Edition High Performance(以下、EEHP)の利用です。このサービスはライセンス込みが選択でき、従来から利用していたオプション機能に加え、その他オプション機能も追加費用無しで利用できることから、ソフトウェアのコスト削減になると判断しました。

最も懸念されたのは、SPC判定の処理応答時間です。業務要件を担保できるか否かが、クラウド化が可能かオンプレミスで継続かの争点となりました。

高橋氏  従来通りの生産を続けるためには、5.0秒以下のレスポンスが必要です。この確認はアシストの協力を得てOCI大阪リージョンで検証を実施しました。結果は平均1.0秒、最大でも2.0秒と、十分に業務に耐えられると判断しました。

半年間の運用検証と移行検証を経て、2023年にデータベースは短期間での移行を完了。アプリケーションサーバーもOCIに移設され、バックアップ転送による災害対策環境をOCI東京リージョンに整備し、全面クラウド化が完了しました。


クラウドならではの価値と効果を享受。運用コストは70%削減の見込み


SPCシステムはOCIに集約したことで、シンプルで運用効率に優れ、継続性の高いシステムになりました。

高橋氏  ハードウェアの準備や管理が不要になり、パッチ適用などのメンテナンスの業務負荷が減ったことはシステム管理者にとって、何よりの恩恵です。データベースもアプリケーションもサーバーの追加や複製は簡単で、検証環境のリクエストにも直ぐに応えられます。また、性能も安定しており、アプリケーションサーバーはレスポンスが向上しています。

今回の全面クラウド化では、大規模災害時に対する事業継続性の向上も果たすことができました。起動している時だけ課金の対象となるクラウドは、検証環境や災害対策環境のコスト削減にもつながっています。また、車載ビジネスから品質データの保存期間を15年から30年に変更する要求が出ていますが、クラウドではストレージの追加もオンプレミスより安価かつ柔軟に行え、将来的なコスト削減の効果も期待できます。

ハードウェアやソフトウェア費用を含む運用コストは、オンプレミスと比較して5年間で70%も削減できる見込みです。


クラウドを活かし、さらに高度な運用を目指して


今回のクラウド化を振り返り、高橋氏は次のように総括します。

高橋氏  生産システムの一翼を担うSPCシステムの検査判定に必要な性能は非常に重要で、クラウド化はチャレンジでもありました。アプリケーションサーバーを先にクラウド化するという段階を踏んで、実績を重ねたことに加え、検査判定の性能を担保できる目処が立ったことで、全面クラウド化に踏み切れました。本音を言えば、前回の更改時から次はクラウド化したいという思いがありました。今回は、性能、コスト、運用効率、事業継続性、そして変化への柔軟性の課題まで解決でき、次世代へ繋ぐシステム基盤の構築が可能となりました。

また、クラウド化により、新たな技術にも貪欲になってきたと言います。

高橋氏  OCIへの移行によって、できることの幅が広がりました。EEHPの選択で、従来から利用していたEnterprise Manager、Multitenant、Partitioningだけでなく、オンプレミスでは有償で手が出なかった Advanced Compressionの利用も開始し、40%のデータ圧縮を実現しています。また、新しい技術にも従来以上に敏感になりました。OCIの機能拡張には期待を寄せており、AIやマシンラーニングのデータ分析や予測も検討していきます。アシスト様には、これまで通りの支援サービスとさらに有効な情報提供や提案も期待しています。

2025年、日清紡マイクロデバイスでは、他のシステムでのOCIの利用も進んでいます。アナログソリューションプロバイダとしてさらなる成長と発展を図る同社のITへの挑戦を、アシストは今後も支援していきます。










  • 本稿は取材時の内容に基づくものです。製品やお客様情報など最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。
  • Oracle®、Java、MySQL及びNetSuiteは、Oracle Corporation、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。NetSuiteは、クラウド・コンピューティングの新時代を切り開いたクラウド・カンパニーです。その他、記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

お客様情報

会社名 日清紡マイクロデバイス株式会社
本社 東京都中央区日本橋横山町3番10号
設立 1959年9月8日
資本金 5,220,075,750円
URL https://www.nisshinbo-microdevices.co.jp/
従業員数 1,817名(単体)※2024年12月末日時点
取材日 2024年5月

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