事業継続性強化のため「完全クラウド化」を目指す中、検討とテストを重ね基幹システムをAWSに完全移行
象印マホービン株式会社
- 導入製品/サービス…
- アマゾン ウェブ サービス Oracle Database JP1
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象印マホービン株式会社は、1918年創業当初からマホービンの製造を開始し「暮らしを創る」という企業理念のもと、調理家電や生活家電に幅を広げ、人々の快適・便利で豊かな暮らしを支えてきました。さらに幅広い事業に挑戦していく経営計画を支えるため、経営基盤の強化が必要となり、完全クラウド化を目指してExadataのAWS移行を成功させました。その秘訣となった様々な取り組みについて伺いました。 |
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「Exadataのような高速データベースアプライアンス製品と同等の性能を果たしてクラウドで達成できるのか、不安がありました。そこで、複数のシナリオを立て十分なPoCやRATを活用したテストを実施しました」
象印マホービン株式会社 杉森 圭太氏
課題/背景
- 経営計画に基づく業務継続性強化の方針により、「柔軟性向上」「H/Wライフサイクルからの脱却」を目的とした「完全クラウド化」を目指すことに
- 保守切れをきっかけにOracle Exadataも移行の対象となり、クラウド上でもパフォーマンスが維持できるかが課題に
- 43インスタンス分のAPサーバも同時に移行する計画
対策
- 3つの移行シナリオを立て、十分な検証結果をもとに選択する方針に
- 200を超える課題を乗り越え、2カ月間のPoCにより性能を満たすことが確認できたAWS(Amazon RDS for Oracle/Enterprise Edition)の採用を決定
- 性能テストに加え、11gから19cへの移行に伴う非互換SQLを、RATを用いて効率的に洗い出し
効果
- Amazon RDS for Oracleの冗長機能によりBCPを強化
- 対物理サーバに比べ、H/Wライフサイクル管理を含む運用コストを約10%削減
- 試用・検証コスト削減ならびに、検証環境構築期間の大幅短縮など、柔軟性が向上
「完全クラウド化」への障壁
経営基盤の強化のため完全クラウド化を目指した象印マホービン株式会社(以降、同社)。どのような過程でExadataのAWS移行を完遂させたのか。
杉森氏
「クラウドファースト」を掲げていたとはいえ、Exadataのような高速データベースアプライアンス製品と同等の性能を果たしてクラウドで達成できるのか、かなり不安がありました。またExadataのOracle Databaseのバージョンが「11g」と古く、システム刷新を機に最新バージョンに上げたいと考えていたのですが、これをクラウド移行と同時に行うとシステムの変更範囲があまりにも多く、「リスクが大きすぎるのではないか」という声が多く挙がっていました。
それでもクラウド化する背景と、乗り越えるためにとった策
杉森氏
ただしオンプレミス環境の運用にはかなりの工数を費やしており、クラウド移行による運用効率の向上には大きな期待が寄せられていました。そこで複数の移行シナリオを検討し、まずはAWSのAmazon Relational Database Service(Amazon RDS)上に構築したOracle Database 19c Enterprise Edition環境への移行で、システム性能を維持できるか検証し、それがダメならOCI(Oracle Cloud Infrastructure)上のExadataサービスへの移行を検討することにしました。そしてもしOCIでも満足な結果が得られなかった場合は、オンプレミス環境でExadata環境を再構築する方式を検討するという優先順位を立てました。
AWSをまず最初に試したのは、社内外にノウハウが多く、既に専用線などの足回りがそろっていること。また、性能検証をするのであればチャレンジングなところからやってみようという挑戦の思いからでした。
十分な検証と最後は覚悟で移行先を決定
このような背景で始まった移行先検討では、Amazon RDSを作成しExadataのデータを複製したテスト環境構築などをアシストがご支援。同社にてアプリケーションの環境もAWS上に再現し、Amazon RDSのテスト環境と接続することで主要タスクの性能検証とチューニング作業を繰返し行いました。
さらにはOracle Databaseのオプション機能の1つ「Real Application Testing(RAT)」を使い、SQLの非互換確認も行いました。本番環境のExadata上で実行したSQLを取得し、RAT用のテスト環境にて実行させることで、SQLの互換性チェックを正確かつ効率的に行うことができました。
杉森氏
これら検証作業の結果、Exadataとほぼ同程度の性能がAmazon RDSでも発揮でき、かつSQLの互換性にも問題ないことが判明したため、正式にAmazon RDSへの移行を決定しました。しかし、全ての処理を実際にテストできたわけではありませんので、正直不安もありましたが部門長の「大変にはなるだろうが、会社のために前に進んでみよう」という決断に後押しされる形で、次フェーズに進みました。
AWSへの移行を完遂し、運用コスト10%削減を実現
2020年10月に移行プロジェクトが立ち上がり、アシストの支援を受けながらAmazon RDSへのデータベース移行に伴う技術的課題を1つずつ取り除いた同社。2021年7月には、AWSのクラウド環境上に移行した新システムの本番稼働を開始した。
杉森氏
今回のAWS移行を完遂したことで、オンプレミス環境(Exadataやブレードサーバ)の運用管理に掛かっていた工数が大幅に削減され、全体の運用コストは約10%削減しました。また災害対策の面でも「システム全体の冗長性や可用性が高まったにもかかわらず、弊社側ではほとんど運用負荷はかかっていません。
さらにはシステム基盤をクラウドへ移行したことにより、ユーザーの要望に応じて迅速かつ柔軟にサーバやストレージなどのITリソースを払い出せるようになり、システム全体の柔軟性や俊敏性が飛躍的に向上しました。今後はこうしたクラウド移行のメリットをさらに引き出すべく、PaaSサービスの活用などにも積極的にチャレンジしていきたいと杉森氏は抱負を語ります。
今後の展望とアシストへの期待
杉森氏 現在、AWSのさまざまなマネージドサービスの利用を始めています。今後はさらにその活用を進めることでクラウド移行の効果をさらに高めていきたいと考えています。アシストさんには今回、移行時のTerm Licenseや、BYOLによる資産の有効活用方法の提示など、ライセンス面では弊社目線でアドバイスをいただいたり、Amazon RDSへの変更に伴う注意点や推奨する変更内容の共有などをいただきました。また、既存のJP1にてAWSのCloud Watchの情報を一元管理できるよう支援していただき、運用工数が増えることなく対応できるようになり、ありがたく感じました。今後はAWS関連のノウハウを蓄積・共有いただくことでさらに強力なご支援をお願いできればと考えています。
システム概要図
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- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
設立 | 1948年12月29日 |
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URL | https://www.zojirushi.co.jp/ |
従業員数 | 1,304名(連結/2021年11月20日現在) |
取材日 | 2022年5月 |
関連製品/サービス
アマゾン ウェブ サービス
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