DNPグループ流データドリブン経営の実践術、Qlik Senseで6,000名規模のニアリアルタイム分析を可能に!
大日本印刷株式会社
- 導入製品/サービス…
- Qlik
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総合印刷会社として知られる大日本印刷株式会社(以下、DNP)。同社では、「真のDX企業」へのステップとして「データドリブン経営の実現」を掲げ、その新たなデータ統合基盤にQlik Senseを採用しました。導入から2年でユーザーは6,000名を超え、データの可視化&利活用の効率化から次のフェーズであるビジネスモデルの創出への活用に向けた取り組みが進んでいます。 |
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「データ統合基盤構築を外部のITコンサルタントを入れずに社内で対応できたのは、目標を定めスピード感を持って取り組んだこと、そしてアシストのサポートがあったからと考えています。泥臭くユーザーをフォローしていくのが重要であり、粘り強くやっていけばユーザー数も着実に増えると信じています」
株式会社DNP情報システム
取締役 専務執行役員
宮本 和幸 氏
課題/背景
- 経営/営業に関する重要なデータが散財しており、事業進捗をリアルタイムに把握できていなかった
- 既存システムだけではなく、クラウドサービス利用の増加に伴いデータガバナンスの強化が必要になっていた
- 各事業部ではデータをかき集めExcelでレポート化をしていたため、報告作成に時間がかかっていた上、残業時間が増加していた
対策
- データ収集から分析までを行えるデータ統合基盤の構築に着手し、分析基盤としてQlik Senseを採用
- スモールスタートで必要なデータの蓄積と可視化を同時に推進し、データ利活用に必要な環境を短期間で整備
- アシストの伴走型支援を受け、定例会などで吸収した知見も活用しながらQlik Senseを展開
効果
- 外部のITコンサルタントを入れず、自社主導でデータ統合基盤の構築に成功
- Excelによるレポート運用を廃止し、経営/営業情報のポータル化を行ったことでデータを収集する工数を削減。またニアリアルタイム分析を可能にした
- Qlik Senseの利用は100名でスタート。約2年間でユーザー数が60倍の6,000名までに拡大
- 単なるデータ分析をするだけではなく、ビジネス目的に最適化された組織や人、ビジネスモデルの創出をしていくフェーズへ移行
概要
グローバル競争力があるデジタル先進企業になるためには、データドリブン経営は不可欠
大日本印刷(DNP)は、印刷や出版だけでなく、包装パッケージや建材、電子デバイスをはじめとするエレクトロニクス事業など、多角的な事業ポートフォリオでグローバルに展開する総合印刷会社です。「未来のあたりまえをつくる」をブランドステートメントとして、DXにもDNPグループ全体で取り組んでいます。DNPのDXを、株式会社DNP情報システム 取締役 専務執行役員 宮本和幸氏は次のように説明します。
宮本氏
DXをDNP流に解釈すると、”P&Iイノベーション”となります。競争上の優位性を確立するためのモノ作り、Printing。単なるIT化にとどまらないデジタル技術の活用、Information。そして、これを掛け合わせ付加価値を高め価値創造する。このP&Iイノベーションの実現のため、「事業推進」と「基盤強化」に取り組んでいます。DNPの情シス部門であるDNP情報システムの主なミッションは基盤強化です。これは、システムだけでなくDX人材の育成や確保、働き方の変革など人を含めた基盤を強化することで事業の推進を牽引できるとの考えがベースになっています。
システム面では現在、「クラウドリフト」「クラウドシフト」「SaaS活用」「データ統合基盤の構築・活用」の4つの施策に取り組んでいます。特にデータドリブン経営を推進するためにも、データ統合基盤の構築は重要な施策です。
宮本氏
グローバルで競争力があるデジタル先進企業になるために、データドリブン経営は不可欠です。それを下支えするのがデータ統合基盤だと考えています。ところが、わずか2年前の状況は、システム毎に分散した情報しかユーザーは取得できていませんでした。当時は、経営や営業に関する報告をするにも特定システムから直接に取得できるデータだけでは足りないため、各所から集めたデータを担当者はExcelシートに追記し成形する。その報告を別の部署に回覧する、「Excelバケツリレー」が日常化していました。このため、事業進捗をリアルタイムに把握できない。あちこちからデータをかき集めレポート化するため情報の鮮度も低く、多くの人手が取られて残業時間が増加するといったことが顕著な課題になっていたのです。
同社ではこの状況を踏まえ、クラウド推進によりますます分散/増加するデータのガバナンス強化と横断的なデータ活用が可能な仕組みの実現に向け、新たなデータ統合基盤の構築に着手することにしました。
データ統合基盤の構築に着手し、Qlik Senseを採用
データ統合基盤構築は、同社のデータの収集、蓄積、提供、活用できるサービスを展開することを目標に推進していました。そして、データの活用を支えるためにアシストの提供する「Qlik Sense」の採用を決め、経営情報の可視化/分析、意思決定の迅速化の実現を目指しました。
宮本氏
Qlik Senseを選んだ決め手は、主に三点ありました。一つ目は機能面です。ユーザーが「連想技術」による迅速な可視化・分析が可能なこと、また、インメモリならではの高速レスポンスが得られる点で評価しました。
二点目は、アシストのサポートが充実していること。三つ目はコスト面で、Qlik Senseは従量時間制ライセンスを提供しているため、「低頻度の閲覧者が大多数を占める」DNPのユーザー特性に合った利用ができるというのも決め手の一つとなりました。
同社では、Qlik Senseを展開する計画を「データ利活用活性化のジャーニー」として、4段階のステップに分けて活動していきました。ステップ1は2020年10月に、データ活用に意欲的な部門から選抜した100名によるスモールスタートで開始し、これをPoCと位置付けました。また、ビジネス部門と情シス部門による協働により、データの蓄積と活用を同時にスタートし「結果をすぐに出す」ことに注力しました。
PoCの実施では、業務に即して機能を詳細に理解し、実際に利用してみることの繰り返し作業が必要です。そこでアシストからはDNPのPoCチームとの継続的な接点づくりのため、月1回の定例会を設定。PoCに関連した情報提供や質疑応答をはじめとするサポート体制を確立しました。
PoCによる結果も出始め、この段階ではまだ利用シーンが限られていました。
そこで、他部門でも利用を決定し、本格的に展開を進めることにしました。
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取り組みから僅か2年で、Qlik Senseのユーザー利用数は60倍に
2022年4月からは、本格展開となるステップ2を開始。このステップでは、Excelの活用により苦労していた「現場から上司への実績報告」のためのデータを、データ統合基盤へ蓄積/可視化することでユーザー部門の業務効率化を図りました。
2023年1月から、いよいよステップ3の利用部門拡大の段階に入りました。
宮本氏
ユーザー部門の自発的な利用促進に向け、「Qlik Sense初心者向けセミナー」の定期開催や、部門横断の会議や情報交流会などを行い、各部門の取り組みを紹介するなどの自走支援を行っています。
これと併せて、汎用機能の整備では、CoE(センター・オブ・エクセレンス)の機能を強化して組織横断的なデータ利活用のバックアップを行っていきたいと考えています。例えば、部門共通で使えるような機能はテンプレート化して広く提供し、利用者をさらに拡大していくといった取り組みを行っています。
嬉しい悲鳴ではありますが、利用ユーザーの増加に伴い要望等に対してスピード感を持って対応する必要があり、対応しきれていない部分もあります。そのため、アシストには定例会とは別に私たち情シス部門と継続的にミーティングを開催してもらい、現在はQlik Senseの社内利用拡大に向けた勉強会などの企画が進行中です。この勉強会については情シス部門がユーザーにアンケートを実施し、そこで出てきた意見や課題をフィードバックして、解決策を検討してもらうといった連携を進めています。
現在、当社では約6,000名ものユーザーがQlik Senseを利用するに至っています。
この活動を外部のITコンサルタントの力を借りず、データ統合基盤の構築を成功させたことについて宮本氏は次のように語ります。
宮本氏
今回、データ統合基盤構築を外部のITコンサルタントを入れずに社内で対応できたのは、目標を定めスピード感を持って取り組んだこと、そしてアシストのサポートがあったからと考えています。泥臭くユーザーをフォローしていくのが重要であり、粘り強くやっていけばユーザー数も着実に増えると信じています。
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今後の展開に向け、3つのキーワードをテーマにデータ利活用を推進
DNPグループでは今後の展開に向けて、「広範化」「迅速化」「深化」という3つのキーワードを掲げデータ利活用を推進しています。
宮本氏
現状は、各事業部門でのデータ活用や業務の効率化にとどまっています。今後は、経営ダッシュボードの提供や部門横断でのデータ活用など、経営に貢献する情報の可視化へと活用の広範化を進めます。また、利用部門からは、例えばIoTなどリアルタイムでのデータ活用の要望が増えており、その声に応えるためタイムリーなデータの可視化やデータ提供の迅速化にも注力していきます。
さらに、分析/可視化したデータから、具体的なアクションを実行するためには理解の深化にも取り組む必要があります。データの高度な活用には、データサイエンティストのような人材も必要になりますが、人材の育成は容易ではありません。そのため、機械学習などのAIを組み合わせ、アクションのサジェスチョンをシステムの方から提供できないか模索中です。また、生成AIを活用し、内部だけでなく外部のデータも活用することで、ユーザーが求める的確な回答が得られるように努めていきたいと考えています。
「真のDX企業」への成長を目指し、組織と業務の変革へ向け注力
最後に宮本氏は、DNPグループの目指す「真のDX企業」について語ります。
宮本氏
これまでは、DXの「D」の部分、デジタル移行に向けたデータの可視化や環境の整備が主なテーマでした。次はいよいよデータドリブンな判断やアクションによって、組織や業務の変革を進めていく「X」、つまりトランスフォーメーションのフェーズに進んでいかなくてはなりません。単なるデータ活用がゴールではなく「ビジネス目的に最適化された組織や人、ビジネスモデルの創出」に、今後も一層注力していきたいと考えています。
データによって得た示唆と判断を糧として「真のDX企業」を目指すDNPグループの取り組みは、新たなステップに向け加速していきます。
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 大日本印刷株式会社 |
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本社 | 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 |
設立 | 1894年1月19日 |
資本金 | 1,144億64百万円(2023年3月31日現在) |
従業員数 | 36,246名(連結)10,107名(単体) (2023年3月31日現在) |
URL | https://www.dnp.co.jp/ |
取材日 | 2023年5月 |
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