VDI構成をクラウドリフト
─ ランニングコストを50%以上削減見込み、リモート業務の効率化も促進
株式会社静岡新聞社
- 導入製品/サービス…
- Ericom
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株式会社静岡新聞社(以下、静岡新聞社)では、社外での業務システム利用のニーズの増加やVDI接続の過多に起因するITリソース不足といった課題を解決するべく、アシストの支援のもと、既存VDI製品をEricom Connectに切り替えました。 |
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「アシストのエンジニアの方々はPoC段階や実際の構築フェーズでも、めげずに手厚くサポートしてくださいました」
株式会社静岡新聞社 システムデザイン局
インフラデータ基盤グループ
穂積 隼人 氏
課題/背景
- リモートワークを想定しておらず、社外から業務システムを利用することができなかった
- 仮想環境へのアクセスが増えたことに伴い、規模も大きくなったため、ランニングコストが増加していた
- 新聞記者と内勤業務向けにシステムの用途が異なるため、それぞれのインフラ構成が別物となっていた
対策
- アシストの提供する画面転送型リモートアクセスソリューションEricom Connectを導入
- ITリソースのスケーリングが行えるように、オンプレミスベースのVDIの仕組みをGoogle Cloud上へクラウドリフト
- PoC実施の際、プロジェクトメンバー共通の目的を明確化し、プロジェクトを推進
効果
- 従来のオンプレミスでのVDI環境と比較して7年間利用した場合、ランニングコストを50%以上削減見込み
- 新聞記者用と内勤業務用に分かれていたオンプレミスのVDI環境を1つに集約したことで、管理を省力化
- Chromebookに対応したVDIにより、セキュリティを担保したリモートワーク環境を提供できるようになり、場所を問わない働き方を実現
システム概要
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ネットワーク更改と社内システムのクラウド移行を並行して実施
静岡新聞社は、静岡放送と共に「静新SBSグループ」を構成しており、静岡県内のローカルメディアとして、新聞、放送、ラジオ、ウェブメディア、イベントなどの事業を手掛けています。また、同社はデジタル化の波を受け、クラウド環境の開発や社内外におけるネットワークインフラの整備、データ分析基盤の開発・可視化といったさまざまな施策に積極的に取り組んでいます。
ITインフラ開発・整備に携わるシステムデザイン局 インフラデータ基盤グループ 穂積 隼人氏は、3カ年プロジェクトとして推進してきたネットワーク更改が最終段階まで進んでいること、社内システムのクラウド移行も並行して進めていると述べます。
穂積氏
現在のネットワーク構成としては、クラウド、本社オンプレミス、リモートサイト、支社などからVPNを通してインターネットに接続する形を採用しています。オフィススイートはGoogle Workspaceに一本化。コスト削減のために社給端末をChromebookに統一し、ファイルサーバーをクラウドストレージであるGoogle Driveに移行しています。
想定外のリモートワーク需要と運用形態の変化でITリソース不足が発生
同社ではVDIを導入しており、インターネット閲覧を含む全ての業務を同基盤上で行ってきました。しかし、運用をしていく中でいくつかの課題を抱えていたといいます。
一つ目の課題は、社内でしか業務システムを利用できないことでした。コロナ禍以前はリモートワークを想定しておらず、社外からのアクセスを許可する設計としていませんでした。
二つ目の課題は、アクセス集中時のログイン遅延です。特定の時間帯にアクセスが集中すると、ログインに時間がかかる問題が発生。これは、古い設計の仮想化基盤に起因しており、運用形態の変化に合わせた改修が難しい状況でした。
三つ目の課題は、オンプレミスでのITリソースの拡張限界です。急な災害や大事件などの発生時、出勤者が急増してしまうと、リソースのスケーリングができないという問題が発生。また、仮想環境の規模は大きく、膨大なランニングコストも発生していました。
穂積氏
これらの課題に加え、現場スタッフからは様々な声が寄せられており、例えば、Chromebookの普及に伴い、VDIに依存しない業務運用を望む声が多くなりました。記者業務を行うスタッフからは、VPN接続時しか出稿業務ができず、インターネットアクセスのパフォーマンス低下に不満が挙がっていました。
さらに、新聞記者と内勤業務向けにシステムの用途が異なるため、それぞれのインフラ構成が全くの別物となっていました。これにより、VDIの管理方法やライセンスが異なるといった問題も発生していました。
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製品の決め手はランニングコストの削減と利用者の利便性を損なわないこと
同社は上述の課題を解消するべく、アシストの提供する画面転送型リモートアクセスソリューションEricom Connectを導入しました。製品の選定ポイントについて管理者と利用者の二つの観点があったといいます。
穂積氏
管理者の観点では、まず管理を簡単にすることが前提条件でした。あとは、ランニングコストが削減できることと、Chromebookでも問題なく利用できることも選定条件として掲げていました。また、利用者の観点からは、社外からの環境でも安全に業務システムを利用できること。そして、なによりも利用者の利便性が損なわれないという点も欠かせないポイントでした。これらの条件を満たしたのがEricom Connectです。
Ericom Connectの導入を円滑に進めるため、同社では新しい試みを行いました。
穂積氏
製品選定の時に、プロジェクトの目指す姿をチームに共有するためにインセプションデッキを作成しました。インセプションデッキを作成したことで、目的の共通認識を持つことができました。また、「やらないこと」を明記したことによって、プロジェクトが横道に逸れずに進められたのも大きな利点でした。
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構築はアシストがフルリモートで支援
同社は、Google Cloud上にEricom Connectを構築し、最小ライセンスでのPoCを実施しました。
穂積氏
今回初めて、VDIの環境をクラウドリフトしたということもあり、命名規則の作成やルールの策定を並行して行いました。PoCの最中、払い出すIPアドレスのレンジに変更があったり、プロジェクト自体が変更となったため、Google Cloudの仮想ネットワークを作り直したりと苦労が多かったです。しかし、アシストのエンジニアの方々はPoC段階や実際の構築フェーズでも、めげずに手厚くサポートしてくださいました。最小ライセンスだけでは検証が難しい部分もアシスト側の環境で代わりに検証していただけたことで、テスト項目を全て埋めることができました。
コロナ禍ということもあり、導入時のやりとりは全てリモートで行いました。担当者が一度も来社することなく、スピーディかつスムーズに新しいシステムの構築を終えられたということも、プロジェクトメンバーにとっては大きな驚きだったと振り返ります。
ランニングコストを50%以上削減、また働き方改革への貢献を実感
Ericom ConnectをGoogle Cloud上に導入したことで、大きく三つの効果を得られているとシステムデザイン局インフラデータ基盤グループ 副部長の井上 晃暢 氏は語ります。
井上氏
最も特筆すべき点は大幅なシステムコスト削減ができたことです。既存VDIと比較した際、Ericom Connectを7年間利用した場合、50%以上のランニングコスト削減が見込まれます。二つ目に挙げられるのが、運用管理の省力化です。記者用と内勤業務用に分かれていたVDIのインフラが1つにまとまったことで、管理面が非常に楽になりました。また、障害発生時に、局員がシステムの状況を把握しやすくなったことも重要なポイントです。
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井上氏
最後の三つ目として、働き方改革を推進できたことも大きな成果だと感じています。
Chromebookに対応したVDIで、リモートワーカーに対してセキュリティを担保したリモートワーク環境を提供できるようになり、場所を問わない働き方の実現に貢献しました。
今後の展望
同社は、シングルサインオン(SSO)を実現することで、GoogleアカウントとEricom Connectの認証を統合するほか、複数存在するActive Directoryの集約による管理の効率化を視野に入れています。さらに、社内から強く寄せられるBYODの要望へは社内ポリシーを見直すことで対応しつつ、明確なメリットがある場合は、コンテナ化やサーバーレス化、AIの導入など、より高度なIT環境の実現にも意欲を示しています。
最後に、井上氏は今後のアシストへの期待を語っていただきました。
井上氏
Ericom Connectに関して、利用者がどのサーバーへセッションを張っているかを、サーバーごとやアクティブセッション一覧という形で可視化できるようになれば、管理者にとってより利便性が高まると感じています。また当社は、富士山にも支局があり回線状況が非常に細いため、こういった環境でも安定的に使えるような低解像度モードがあると嬉しいです。このような当社特有のニーズや課題に対するさらなるアドバイスやサポートをアシストに期待したいですね。
取材協力
株式会社静岡新聞社
システムデザイン局 インフラデータ基盤グループ
副部長 井上 晃暢 氏
穂積 隼人 氏
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 株式会社静岡新聞社 |
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本社 | 静岡市駿河区登呂3-1-1 |
設立 | 1941年12月1日 |
URL | https://shizushinsbs.co.jp/ |
従業員数 | 407人 ※2022年12月現在 |
取材日 | 2024年5月 |
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