アプリケーション仮想化で実現した安全・安心で使いやすい眼科クリニック向けSaaS型電子カルテ
株式会社トプコンメディカルジャパン
- 導入製品/サービス…
- Ericom
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トプコン製の眼科用医療機器を日本国内で販売する株式会社トプコンメディカルジャパンは、眼科専用電子カルテシステムをはじめとするICTソリューションの提供も行っています。2020年にはクラウド型電子カルテシステムとして『IMAGEnet eカルテV3クラウド』 の提供を開始しました。その背景と、なぜEricom Connect (以下、Ericom)を採用したのか、その理由を含めお話を伺いました。 |
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「医療情報に対する堅牢なセキュリティ確保と、お客様であるドクターに満足していただくためのパフォーマンスが非常に重要でした。これらと既存技術の継承を実現できる製品として、Ericom Connectが最適でした」
株式会社トプコンメディカルジャパン ICT事業推進部ICT企画グループ
専任部長 野田 俊太郎 氏
課題/背景
- 病院は患者データの外部保存には慎重な姿勢のため、眼科向け電子カルテはオンプレミスでの提供のみだったが、2019年頃からクラウドサービス提供有無の問い合わせが増加してきた
- 初期費用が安価なクラウド型の需要に応えながら、電子カルテ製品のマーケットでのシェア拡大を図ると共に普及が遅れている眼科業界での電子カルテ普及率向上を図りたい
対策
- クラウド化にあたり、スクラッチ開発ではコストが高額になり、システムの安定提供まで時間がかかることが判り、アプリケーション仮想化を検討
- 早期商用化とコストに加え、セキュリティの担保、パフォーマンスの確保の4点で総合的に検討し、Ericom Connect の採用を決定
- Microsoft Azure(以下、Azure)での概念検証、ビジネスが成立し得るかの徹底的なコスト計算で料金を検討
効果
- 商用化検討に3か月。設計・開発・テストは、わずか6ヵ月で実施。スクラッチ開発と比べ開発期間約1/6、コスト約1/10でクラウド化を実現
- 競合他社に先駆けたクラウド版のリリースと、オンプレミスかクラウドかの選択が可能となったことで、問い合わせと受注件数が増加
- クラウドエンジニアの育成環境確保にもなり、スタッフのエンジニアとしての成長にも繋がっている
概要
株式会社トプコンメディカルジャパンは、日本国内のアイケア・ソリューション事業をけん引する企業として、眼科向けに最先端の医療機器やシステム・サービスを提供しています。同社の野田 俊太郎 氏によると、眼科は内科・外科などの他科と異なる点があると言います。
野田氏
2001年12月に厚生労働省より、「保険医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」という医療の情報化を戦略的に推進するための方策が発表され、2002年から400床以上の病院への 電子カルテ導入が本格化しました。しかしながら、眼科は多種多様な検査機器が必要であり、それらから出力される画像データ・数値データの管理が必要などの事情により病院の基幹システムをそのまま利用することは困難な状況にありました。この状況を解消するためトプコンが眼科専用電子カルテシステムを開発し、眼科での販売を開始しました。
電子カルテを導入している病院では、情報セキュリティの観点から患者データの外部保存には慎重な姿勢で、クラウドの利用に積極的ではありませんでした。ところが、海外ではクラウドでの電子カルテが一般化してきたこともあり、2019年頃からクラウド版の提供が無いかの問合せが増えてきました。そこで弊社では、市場拡大も見据え、お客様である医療機関が安価な初期費用で導入できる電子カルテのクラウドサービスを他社に先駆けいち早く市場に提供するための検討を開始しました。
クラウドサービスの商用化は、セキュリティ、技術、パフォーマンス、コストの4点を重要視しての検討となりました。要配慮個人情報を扱う電子カルテではセキュリティの担保は最重要な要素です。医院の担当者が変わっても利用できる操作性や、ドクターがストレスを感じないオンプレミスレベルの体感速度を提供する必要がありました。たとえば、システムのパフォーマンスを高めるため、クラウドIaaSのスペックを上げれば同時にコストも上がり、利益とサービスコストにも影響が出ます。パフォーマンスとコストはトレードオフの関係にあり、各視点にはバランスが求められました。
電子カルテのクラウド化は当初スクラッチ開発で考えていました。ところが、複数社に見積もりをお願いしたところ費用はいずれも数億円で、開発期間は2~3年と長期で、安定化までの時間もかかることが判明しました。そのため、オンプレミス型電子カルテのソースコードをそのまま使えるアプリケーション仮想化製品の利用検討に舵をきりました。
アプリケーション仮想化製品の中でもEricomを採用した理由は、主にコスト、セキュリティ、パフォーマンスだと野田氏は語ります。
野田氏 Ericomは同分野の他製品より安価であることがまず魅力でした。院内端末へのアプリケーションインストールが不要で端末にデータを保存しないため、導入時の展開が楽で、セキュリティ面での安心感がありました。また、優れた画面転送技術により、高パフォーマンスで表示速度が速いことも評価点でした。また、クラウド利用の経験が豊富で知見があるアシストになら安心してサポートを任せられると思ったことも採用理由の一つでした。
クラウド化は、Azureでの概念検証、ビジネスとして成⽴し得るかの徹底的なコスト計算での料⾦検討を3ヵ月かけて実施。その後の設計・開発・テストはわずか6ヵ月で終了。検討開始から短期間でのリリースを実現しました。開発時にはアシストのサポートが、問合せに対する一次回答が早いことにも助けられました。スクラッチ開発と比べると、開発期間は約6分の1、コストは約10分の1でクラウド化したことになります。
『IMAGEnet eカルテV3クラウド』は、たとえば、電子カルテに記入された処方箋情報は、医事会計システムに連携されるというように、電子カルテ、画像ファイリング、医事会計システムの3つのシステムを相互に連携した統合的なサービスとしました。主に眼科クリニックを対象としたクラウドサービスとして提供しています。
野田氏 競合他社に先駆けての提供開始ができたことはポイントです。医療機関は、眼科専用電子カルテをオンプレミスとクラウドから選択可能となり、問い合わせ・受注件数ともに増加しています。また、本取り組みがクラウドエンジニアの育成環境確保にもなり、スタッフのエンジニアとしての成長にもなったことは今後に繋がる成果だと感じています。
その後、2022年に後継バージョンとして『IMAGEnet eカルテV5クラウド』
をリリースしました。こちらも同様にアプリケーション仮想化の技術を使用し、オンプレミスのシステムをクラウド型としても提供しています。
システム概要図
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- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
設立 | 1976年(昭和51年)12月 |
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URL | https://topconhealthcare.co.jp/ |
取材日 | 2022年5月 |
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Ericom
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