求人情報サイト「バイトル」のデータ活用基盤をVertica+AWSで刷新。5倍以上の性能向上を実現
ディップ株式会社
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日本最大級のアルバイト情報サイト「バイトル」を運営するディップ株式会社では、近年のビジネス急成長に伴う掲載求人広告数や従業員数の急増により、広告効果集計レポートを作成するシステムの負荷増大と性能劣化に悩まされていました。そこで、Amazon Elastic Compute Cloud(以下、Amazon EC2)のクラウドコンピューティング基盤と列指向型データベース「Vertica
」の組み合わせでシステムを刷新。高い処理性能と柔軟なスケーラビリティ、運用の手間がかからないデータ活用基盤を実現しました。
レポート作成用データベースの性能が限界に
日本最大級のアルバイト情報サイト「バイトル」や、派遣/正社員求人情報サイト「はたらこねっと」、看護師人材紹介サービス「ナースではたらこ」などを運営するディップ株式会社。同社のサービスを通じて採用活動を行う企業や、アルバイト求人に応募するユーザ数はこの数年間で急増し、それに伴い同社のビジネスは急速な成長を遂げています。ここ3年間で従業員数は700名以上、営業拠点は10箇所以上増え、企業規模も拡大の一途を辿っています。
そのような中、掲載求人広告数やユーザ数の急増に業務システムの性能が追いつかず、業務に支障をきたす場面が目立つようになってきました。システム開発部 システム運用課 マネジャー 深澤公雄氏は、2015年当時の状況を次のように振り返ります。
深澤氏
営業担当者がクライアント企業に広告効果を報告するためにアクセス数や応募数を集計したレポートを作成し、日々の営業活動で活用しています。しかし、このレポートを作成するためのデータ活用基盤システムの性能が、掲載求人広告数やユーザ数の増加に伴い徐々に低下し、営業部門の現場からクレームが頻繁に上がるようになりました。 |
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スケーラビリティや運用性を高く評価し、Verticaの採用を決断
そこで同社は、このレポート作成用データ活用基盤システムの刷新に取り掛かりましたが、その時点で2016年5月のタイムリミットまでに残された期間は1年間を切っていました。なるべく時間がかからず、かつ確実にシステムの性能を向上できる方法が必須でした。
データベース基盤はそのままに、データ設計の見直しやSQLのチューニングで性能向上を図る方法も考えましたが、アプリケーションから発行されるSQLが極めて複雑であり、短期間のうちにすべてを見直してチューニングを行うのは現実的ではありませんでした。
そこで、アプリケーションには極力手を加えずに、データベース基盤をリプレースすることでシステム全体の高速化を図ることにしました。また新データベース基盤をAmazon Web Services(以下、AWS)のクラウド環境上に構築することで、コストの最適化や柔軟なスケーラビリティの実現を目指すことにしました。
こうした方針に則り、当初はAWSが提供するデータウェアハウス基盤Amazon Redshiftの採用を検討しましたが、最終的に同社が採用したのは「Amazon EC2のコンピューティング環境上で、アシストが提供する列指向型データベースVerticaを稼働させる」という方式でした。
深澤氏
アシストからVerticaを紹介されました。Verticaはマスタ・ノードがない真のMPPアーキテクチャを実現しているために同時接続数が増えても処理性能の劣化がなく、またスケールアウトによりリニアな性能拡張が可能な点に魅力を感じました。チューニングの手間がかからないところや、ノード数を増やしてもデータ容量が同じであれば追加ライセンスは不要な点、また開発/検証用ライセンスは無償で提供される点なども弊社の要件に合致しました。
Amazon Redshiftと比較しても、将来データ容量が増えた際のライセンスコストの上がり方が緩やかであり、ソートキーを明示的に指定しなくてもシステムが適切なデータ配置を行ってくれるなど、コストや運用効率の面でVerticaには多くのメリットがあったと言います。こうした点が決め手となり、最終的にAmazon EC2とVerticaの組み合わせを採用しました。
チューニングレスで処理速度が約5倍向上
新データ活用基盤の構築プロジェクトは、2015年11月にスタートしました。既存データベースの構成はそのままに、Amazon EC2のインスタンス3台の上にVerticaの環境を新たに構築し、CSVファイルを介して既存データベースからデータを反映させる仕組みを開発しました。その上で、レポート作成アプリケーションのデータ参照先を既存データベースからVerticaに変更するよう修正しました。
Oracle DatabaseとVerticaのSQLの仕様差に起因するSQLの修正作業が若干発生しましたが、アシストによる手厚い技術支援や情報提供もあり、2016年5月に無事本番稼働を迎えることができました。
Vertica導入後は、明らかにシステム性能の向上が実感できていると深澤氏は言います。
深澤氏
Vertica導入前と導入後のリクエスト処理時間を比較すると、平均して約5倍の性能向上が見られます。以前は処理リクエストをさばききれずにデータベースの同時接続数がどんどんたまってしまうこともあったのですが、Verticaでは1リクエストあたりの処理時間が短いため、同時接続そのものがほとんど発生しなくなりました。また、運用の手間を一切かけていないにもかかわらず高いパフォーマンスが一貫して維持されており、トラブルもなく極めて安定稼働しています。
今後はVertica活用の幅をより広げていく計画も
Verticaの導入によって短期間のうちにレポート作成用データ活用基盤システムの大幅な性能向上を実現し、その結果営業部門の生産性を高めることに成功した同社ですが、今後はVerticaの活用の幅をさらに広げていきたいとしています。手始めに、Verticaが備える管理コンソール機能「Management Console」をより有効活用し、システム・チューニングなどに生かしていく予定です。
さらには現在社内に複数存在している情報系データベースを、今回導入した Verticaに統合して、社内のデータ活用度やガバナンスをさらに高めていく計画があります。こうした構想を実現する上では、これまでどおりアシストの技術支援が欠かせないと深澤氏は述べます。
深澤氏
今回のVertica導入プロジェクトでは、アシストのサポート窓口だけでなく、技術者の方と直接やりとりして手厚く支援いただいたため、とても心強かったですね。今後Verticaの活用をより深めていくにあたっても、是非これまでどおり強力な支援をお願いします。
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<取材協力> |
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導入のポイント
1.Verticaの導入により情報系データベースの処理性能を約5倍向上
2.増え続ける同時処理を効率的に処理できるデータベースを選択
3.Verticaの特長であるスケーラビリティを活かし、Amazon EC2上に構築
課題
- 集計レポート作成システムの性能劣化が著しく、業務に支障をきたしていた
- 短期間のうちにシステム性能課題を解決する必要に迫られていた
- アプリケーションから発行されるSQLが複雑でチューニングが困難だった
対策
- 大量データ集計/分析処理の性能に優れるVerticaを導入
- Amazon EC2のクラウド環境上にVerticaのデータベースを構築
- アプリケーションのチューニングは行わず、データベース刷新のみで性能改善を目指す
効果
- 集計レポート作成システムの処理性能が平均で約5倍に向上
- アプリケーション修正作業は最小限に抑えて短期間でのシステム刷新を実現
- Vertica採用によりチューニングレスで高性能を実現、維持
システム概要図
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お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | ディップ株式会社 |
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概要 | 「バイトル」「はたらこねっと」などアルバイト・派遣・正社員の仕事求人情報サイトや、看護師人材紹介サイトサービス「ナースではたらこ」など「日本最大級の求人メディア」を運営。インターネットに特化したサービスを展開し、あらゆる企業の求人ニーズと多様化する求職ニーズに応えています。 |
本社 | 東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー32F |
設立 | 1997年3月 |
資本金 | 1,085百万円(2016年2月末現在) |
従業員数 | 1,683名(2016年4月末現在の正社員) |
URL | http://www.dip-net.co.jp/ |
取材日 | 2016年10月 |
関連製品/サービス
Vertica
Verticaは、エンタープライズDWHとしてだけではなく、全社的なビッグデータ分析基盤として活用できる次世代型データベースです。様々なユーザのデータ分析要望をその圧倒的なパフォーマンスとスケーラブルな構成、Vertica独自の分析機能で強力に支援します。
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