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  • Oracle Cloud
2024.01.19

Oracle Cloudのサービスリミットを理解し、適切に対処する方法

Oracle Cloudには、クラウドアカウントごとにサービスの利用上限値が設定されています。これをサービス制限(サービスリミット)と言います。

サービスリミットに抵触すると新たなリソースの作成ができなくなるため、サービスリミットの引上げが必要です。

サービスリミットの引上げ方法については以下の記事でも紹介していますが、本記事では引上げ方法だけでなく、サービスリミットに関する注意点についてもご紹介します。



サービスリミットに抵触したときのエラー内容

まず、サービスリミットに抵触したときにどのようなエラーが発生するのかを説明します。

以下の例では、ファイルストレージのマウント・ターゲットを作成しようとした際に「The following service limits were exceeded: mount-target-count. Request a service limit increase from the service limits page in the console.」というエラーが発生しています。

サービスリミット抵触時のエラー画面1


このように、サービスリミットに抵触したときには通常、以下のエラーが発生します。その場合は後述の方法でサービスリミットを引上げる必要があります。

 The following service limits were exceeded: <Resource Name>.
 Request a service limit increase from the service limits page in the console.

 ※2行に分けて記載していますが、本来は1行です。


なお、サービスリミットは様々なリソースについて設定されています。サービスリミットに抵触したときに発生するエラーが上記とは異なるリソースもあります。

以下の例では、動的ルーティングゲートウェイ(DRG)を作成しようとした際に「Error returned by CreateInternalDrg operation in VirtualNetwork service.(400, LimitExceeded, false) Limit for DRGs per tenant of 10 has been already reached. …」というエラーが発生しています。

サービスリミット抵触時のエラー画面2

サービスリミットに抵触したときにどのエラーが発生するか、リソースごとにまとめられた情報はありませんが、メッセージに「service limits were exceeded」または「LimitExceeded」を含むエラーが発生した場合は、サービス・リミットに抵触したと考えられます。その場合は後述の手順でサービスリミットの引上げをします。


サービスリミットの確認方法と引上げ方法

サービスリミットの確認方法と引上げ方法をそれぞれ説明します。

リソースを作成しようとするときは、事前にサービスリミットを確認しておくことをおすすめします。それにより、サービスリミットに抵触したというエラーを回避できる可能性が高くなります。


サービスリミットの確認方法

今回の例ではファイルストレージのマウントターゲットについてサービスリミットの状況を確認します。

OCIコンソールのメニューから、「ガバナンスと管理 > テナンシ管理 > 制限、割当ておよび使用状況」をクリックします。

サービスリミットの確認1

「制限、割当ておよび使用状況」ページで「サービス」に確認したいリソースが含まれるサービス(今回の例ではFile Storage)を選択します。

今回の例ではその他の項目はデフォルトのままですが、必要に応じて「スコープ」や「リソース」、「コンパートメント」を選択して対象のリソースを絞り込みます。

サービスリミットの確認2

「File Storage」サービスのうち、「Mount Target Count」の行の「サービス制限」、「使用量」、「使用可能」列を見ると、マウントターゲットはサービスリミットの6に達しており、使用可能な値が0であることがわかります。

サービスリミットの確認3


サービスリミットを引上げる方法

利用するサービスのリミットが迫っている場合や、今後のサービス利用を考えてリミットを引上げておきたい場合は、サービスリミットの引上げをリクエストします。

今回の例ではファイルストレージのマウント・ターゲットについてサービスリミットの引上げをリクエストします。

「制限、割当ておよび使用状況」ページで「サービス制限の引上げ」をクリックします。

サービスリミットの引上げ画面1

「サービス制限のリクエスト」ページで、リクエスト内容を入力、選択し、「サポート・リクエストの作成」をクリックします。

サービスリミットの引上げ画面2

リクエスト内容の各項目には以下のような値を選択、入力します。

項目入力値
サービス・カテゴリリクエストするサービスのカテゴリを選択します。
リソースリクエストするリソースを選択します。
制限 ※引上げ後の値を選択します。
(元の制限が6であり、4を追加する場合は10を指定します)
リクエストの理由リクエストの理由を入力します。

「追加のリクエスト」をクリックすると複数のリクエストを同時に実行できます。

※「制限」の項目は、リソースによってサービスリミットの範囲が異なるため、接頭辞がつきます。上記の例のように可用性ドメイン単位のリソースの場合は「<可用性ドメイン名> 制限 」と表示されます。リソースによってサービスリミットの範囲が異なる点については、後半の「サービスリミットに関する注意点」でもご説明します。


リクエストの作成後、実施したアカウントのメールアドレスにリクエスト受付のメールが送信されます。
メールには、リクエストに対する一意のトラッキング番号が記載されています。

ほとんどの場合1営業日以内にリクエストの処理(引上げ処理)は完了しますが、リクエストしたリソースや数量によってはさらに時間を要する場合があります。緊急で対応が必要な場合は「リクエストの理由」に詳細を記載します。

なお本記事の検証の際は、リクエスト受付時のメールは届いたものの、引上げ完了時には通知メールはありませんでした。通知メールが来なくても引上げは完了していることがありますので都度コンソールをご確認ください。


リクエスト受付メール
配信元 no-reply@incidentmanagement.us-phoenix-1.oci.oraclecloud.com
配信先 リクエストを実施したアカウントのメールアドレス
件名 Service limit increase request received
本文
Dear Customer,

The request for a service limit increase for your Oracle Cloud account ocid1.tenancy.oc1..aaaaaaaaxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx has been received

Tracking number: CAM-999999

Request Submitted:

Region : AP_TOKYO_1
Category : File Storage
Resource : Mount Target Count
Requested Increase : 10

What's next: When your request is allocated, you'll receive a confirmation email to this same address. If we need additional information about your request, you'll receive a follow-up email from a support representative.

Service limit requests are not immediate. Most limit requests are resolved within 1 business day. However, depending on the resource or quantity requested, it might take longer to allocate.

You can view the status of your ticket by signing in to the OCI Console.

If you need immediate assistance, please leave a comment on your request with "#LIMIT_escalation" and an engineer within Oracle Support will review and update your request.

前述のサービスリミットの確認方法でサービスリミットの引上げ結果を後日確認すると、引上げが行われていることがわかります。

サービスリミットの引上げ画面3


サービスリミットに関する注意点

サービスごとにサービスリミットの範囲は異なる

サービス、またはリソースごとに、テナント単位、可用性ドメイン(AD)単位、リージョン単位など、サービスリミットの範囲が異なります。

そのため、例えばAD単位でサービスリミットが適用されるリソースにおいてサービスリミットの引上げをする場合、対象のADそれぞれに対して引上げリクエストをする必要があります。

各サービス、またはリソースごとのサービスリミットの範囲については以下のマニュアルに記載されているため、こちらもあわせて参照ください。

 Oracle Cloud Infrastructureドキュメント(サービス制限)
 https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/General/Concepts/servicelimits.htm
 (オラクル社のサイトに移動します)


サービスリミットの確認や引上げ時に選択できないリソースがある

一部のリソースは、サービスリミットの確認や引上げ時の対象としてリソースがリストに表示されないものがあります。一例としてDRGが該当します。

そのようなリソースのサービスリミットの引上げをリクエストする場合、「サービス・カテゴリ」で「Others」を選択し、「リソース」で「Other Limits」を選択します。

そして、「リクエストの理由」に引上げをリクエストしたいリソース名、拡張後の値とあわせて、リクエストの理由を記載します。

DRGのサービスリミットを引上げ

なお、サービスリミットの確認や引上げ時の対象としてリストに表示されないリソースについても、以下のマニュアルにはデフォルトのサービスリミットが記載されています。こちらもあわせて参照ください。

 Oracle Cloud Infrastructureドキュメント(サービス制限)
 https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/General/Concepts/servicelimits.htm
 (オラクル社のサイトに移動します)


PAYGからUniversal Creditsに切り替える場合の注意

Oracle Universal Creditsの年間契約モデルの場合、Pay As You Go(PAYG)よりもサービスリミットが大きいリソースがあります。

※以下のマニュアルには、Oracle Universal CreditsとPAYGそれぞれのサービスリミットが記載されています。

  Oracle Cloud Infrastructureドキュメント(サービス制限)
  https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/General/Concepts/servicelimits.htm
 (オラクル社のサイトに移動します)


ただし、PAYGからOracle Universal Creditsの年間契約モデルに切り替えた場合、サービスリミットは自動的にOracle Universal Creditsの値には切り替わらずPAYGのままのため、オラクル社に変更を依頼する必要があります。

Oracle Universal Creditsの年間契約モデルのサービスリミットに変更を希望する場合は、弊社サポートセンターにお問い合わせください。


まとめ

本記事ではサービスリミットに抵触したときのエラー内容や対処方法(引上げ方法)、サービスリミットに関する注意点をご紹介しました。事前にサービスリミットの確認を行うとともに、サービスリミットに抵触してしまったときには本記事がお役に立てれば幸いです。


執筆者情報

こばやしけんた プロフィール画像

2008年度アシストに入社後、Oracle WebLogic Server や Oracle HTTP Server を中心にサポートエンジニアとして活動しており、これまでに4000件以上の問い合わせを対応。



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