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2025.09.25

Oracle Database 23ai新機能!システム停止時間を短縮するローカル・ローリング・データベース・メンテナンス

Oracle Databaseを運用する際、可能な限りシステム停止時間を短くしてパッチ適用するにはどのようなアップデート方式を採用すべきかお悩みになるお客様もいらっしゃるかと思います。

23aiでは新たに「ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス」機能が実装されました。
これにより、各ノードのDBインスタンスごとにローリングアップデート(アウトオブプレース)を実行でき、システム停止時間を大幅に短縮可能です。

RACまたはRAC One Node環境において、アップデート実行ノードでも処理を継続できるため、システム停止時間を短縮できるこのような機能を待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ExaDB-D(Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure)上のOracle DatabaseDB 23aiで実施した「ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス」検証結果をお伝えします。

なお、Oracle Database 23aiバージョンアップ時に押さえておくべき非推奨と廃止機能は、「Oracle Database 23aiが遂にリリース!バージョンアップで押さえておくべき非推奨と廃止機能とは」をご覧ください。


ローカル・ローリング・データベース・メンテナンスとは

Oracle DatabaseDB 23aiで新たに提供されたローカル・ローリング・データベース・メンテナンスの概要とメリット、留意事項は以下のとおりです。

 [概要]
 本機能は、RACおよびRAC One Node環境で利用可能です。
 各ノード上で、現行のDB HOMEとは別に新しいパッチ適用済みのDB HOMEを
 事前に用意し、インスタンス単位でデータベースを順次移行(ローリング
 方式のアウトオブプレース適用)が行えます。
  
 [メリット]
 各ノードのDBインスタンスごとに処理を実行できるため、同一ノード上の
 他のDBインスタンスは業務等で継続利用可能。
 さらに、全ノードで稼働インスタンス数を維持したまま、最小限の停止時間で
 アップデートが可能。

 [留意事項]
 ・OCI環境の場合、ローカル・ローリング・データベース・メンテナンスを
  実行してDBインスタンスが新しいDB HOME上で稼働してもDB作成時に
  自動的に作成され、環境変数が記載された「$HOME/.env」内の
  DB HOMEは自動で更新されるわけではないため手動で修正が必要

 ・ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行時に現行の
  DBインスタンス名にアンダースコアと数字を追加した一意の名前を持った
  インスタンスが生成される

 ・オンラインREDOログ・ファイルに新しいファイルが追加される

 ・新しいUNDO表領域が追加される

 ・ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行後、DBの初期化
  パラメーターTHREAD、UNDO_TABLESPACEは初期化される


ローカル・ローリング・データベース・メンテナンスを徹底検証!

検証環境

今回は、下記のOracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure(以下、ExaDB-D)環境で検証しました。

カテゴリ 項目
Software Exadata System Software 25.1.2
Grid Infrastructure 23.7.0.25.01
Oracle Database 【移動元DB HOME:/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2】
23.5.0.24.07

【移動先DB HOME:/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_1】
23.7.0.25.01
DB CDB
(DB_UNIQUE_NAME)
sbenchc
PDB SBENCHP

移行前後での構成と稼働イメージは以下図のとおりです。

移行前後の構成と稼働イメージ

図1:移行前後の構成と稼働イメージ

検証のポイント

本記事では、「ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス」の下記の基本的な使用方法や実行後に変更される点にフォーカスして検証しました。

 1.「ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス」の基本的な実行方法を確認する

 2.上記1実行後、下記のような変更や追加が行われていることを確認する
  ・移動先DB HOMEにDBが紐づけられていることを確認する
  ・「$HOME/ .env」内のDB HOMEが移動前のDB HOMEのため、
   手動修正が必要であることを確認する
  ・オンラインREDOログ・ファイルに新しいファイルが追加されていることを確認する
  ・新しいUNDO表領域が追加されていることを確認する
  ・初期化パラメーターTHREAD、UNDO_TABLESPACEが明示指定されていないことを確認する


また、今回は以下のようなステップを踏まえて検証を実施しました。

STEP 01

事前確認

・「ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス」実行前の環境を確認します。
・移行元のDB HOME(23.5)上で、2ノードのインスタンスが稼働中。

STEP 02

移行先DB HOMEと新インスタンスを作成

・移行先DB HOMEをインストールし、新しいパッチ(23.7)を適用しておきます。
・ローカルローリング機能を有効にするために移行先DB HOME上で新しいデータベースインスタンスを作成。

STEP 03

ローカル・ローリング・データベース・メンテナンスの実行

・Node1のインスタンスが新DB HOME上で起動。Node2はまだ旧状態。
・Node2のインスタンスを新DB HOME上で起動。
・両ノードが新バージョンに切り替わり完了。旧インスタンスは停止。

STEP 04

ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行後の確認

・新DB HOMEで統一。
・UNDO、REDO、初期化パラメータも自動更新されている状態。
・$HOME/<DB_NAME>.env内のDB HOMEは手動で修正。


STEP1 事前確認

ここでは、まずは、「ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス」実行前の環境を確認します。


移動元の各DB HOMEのパッチ適用情報確認

移動元DB HOME(/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2)が「23.5.0.24.07」であることを確認します。

図2:アップデート前

[移動元DB HOME]

実行コマンド

oracle$ opatch lspatches

実行結果

335221462;TRACKING BUG TO SHIP IAM AUTHSDK FOR CLOUD
36744688;OCW RELEASE UPDATE 23.5.0.24.07 (36744688) Gold Image
36741532;Database Release Update : 23.5.0.24.07 (36741532) Gold Image

OPatch succeeded.


STEP2 移行先DB HOMEと新インスタンスを作成

移行先DB HOMEをインストールし、新しいパッチ(23.7)を適用しておきます。


移動先の各DB HOMEのパッチ適用情報確認

移行先DB HOMEをインストールし、新しいパッチ(23.7)を適用しておきます。
移動先DB HOME(/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_1)が「23.7.0.25.01」であることを確認します。(赤字)


図3:移行先DB HOMEを作成

[移動先DB HOME]

実行コマンド

コマンド実行例
oracle$ opatch lspatches

実行結果

35221462;TRACKING BUG TO SHIP IAM AUTHSDK FOR CLOUD
37547027;PROACTIVELY COMPILE GETLONG FUNCTION TO AVOID DBMS_LOB ERROR
37369900;OCW RELEASE UPDATE 23.7.0.25.01 (37369900) Gold Image
37366180;Database Release Update : 23.7.0.25.01 (37366180) Gold Image

OPatch succeeded.

初期化パラメーターTHREAD、UNDO_TABLESPACEの確認

ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行前の初期化パラメーターUNDO_TABLESPACEの値が下記であることを確認できます。

実行コマンド

SQL> show parameter undo_tablespace

実行結果

●CDB(sbenchc)
[ノード1]
NAME                                 TYPE        VALUE
------------------------------------ ----------- ------------------------------
undo_tablespace                      string      UNDOTBS1

[ノード2] NAME TYPE VALUE ------------------------------------ ----------- ------------------------------ undo_tablespace string UNDOTBS2

●PDB(SBENCHP) [ノード1] NAME TYPE VALUE ------------------------------------ ----------- ------------------------------ undo_tablespace string UNDOTBS1
[ノード2] NAME TYPE VALUE ------------------------------------ ----------- ------------------------------ undo_tablespace string UNDO_4

ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行前の初期化パラメーターTHREAD、UNDO_TABLESPACEが、SPFILEからPFILE化したファイルにて下記のとおり明示的に指定されていることを確認できます。

実行コマンド

SQL> create pfile='/tmp/db_pfile.ora' from spfile;
SQL> host cat /tmp/db_pfile.ora

実行結果

●CDB(sbenchc)
(略)
sbenchc1.thread=1
sbenchc2.thread=2
sbenchc1.undo_tablespace='UNDOTBS1'
sbenchc2.undo_tablespace='UNDOTBS2'
(略)

●PDB(SBENCHP) ※PDB側では明示指定して変更していないため、出力結果はありません。

STEP3 ローカル・ローリング・データベース・メンテナンスの実行

ここでは、ローカルローリング機能を有効化するために新しいOracle RACデータベースインスタンスを作成し、Oracle RACデータベースインスタンスを移動先DB HOMEで起動します。

図4:新インスタンスの作成


ローカルローリング機能を有効にするために新しいOracle RACデータベースインスタンスを作成


ローカルローリング機能を有効にするための新しいOracle RACデータベースインスタンスの作成がエラーなく実行できたことを確認できます。

実行コマンド

oracle$ date;srvctl modify database -db sbenchc -oraclehome /u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_1 -localrollling;date

実行結果

Tue Apr 15 20:13:50 JST 2025
Tue Apr 15 20:13:52 JST 2025


新しいOracle RACデータベースインスタンスが停止状態で生成されたことが確認できます。(赤字)

実行コマンド

oracle$ srvctl status database -db sbenchc

実行結果

Instance sbenchc1 is running on node kkaexavm01-c3hfq1
Instance sbenchc1_3 is not running on node kkaexavm01-c3hfq1
Instance sbenchc2 is running on node kkaexavm01-c3hfq2
Instance sbenchc2_4 is not running on node kkaexavm01-c3hfq2


新旧のDB HOME、データベースインスタンスが構成情報で出力できることを確認できます。

実行コマンド

oracle$ srvctl config database -db sbenchc

実行結果

(略)
Oracle home: /u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_1
Old Oracle home: /u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2
(略)
Database instances: sbenchc1_3,sbenchc2_4
Old database instances: sbenchc1,sbenchc2
(略)

Oracle RACデータベースインスタンスを移動先DB HOMEで起動


ローカル・ローリング・データベース・メンテナンスは、全ノード一括でOracle RACデータベースインスタンスを移動先DB HOMEで起動可能ですが、ここでは、いずれかのノードでDBインスタンスを継続して稼働させる運用を想定して、各ノードのインスタンスごとに移動先DB HOMEで起動実行します。

まずは、ノード1のOracle RACデータベースインスタンスを移動先DB HOMEで起動します。


図5:Node1の切替

実行コマンド

oracle$ date;srvctl transfer instance -db sbenchc -node $(hostname -s);date

実行結果

Tue Apr 15 20:17:35 JST 2025
Tue Apr 15 20:19:17 JST 2025


ノード1の移動先DB HOME上で新しいデータベースインスタンスが起動したことを確認できます。(赤字)

実行コマンド

oracle$ srvctl status database -db sbenchc

実行結果

Instance sbenchc1 is running on node kkaexavm01-c3hfq1
Instance sbenchc1_3 is not running on node kkaexavm01-c3hfq1
Instance sbenchc2 is running on node kkaexavm01-c3hfq2
Instance sbenchc2_4 is not running on node kkaexavm01-c3hfq2


次にノード2のOracle RACデータベースインスタンスを移動先DB HOMEで起動します。

図6:Node2の切替

実行コマンド

oracle$ date;srvctl transfer instance -d sbenchc -node kkaexavm01-c3hfq2;date

実行結果

Tue Apr 15 20:22:56 JST 2025
Tue Apr 15 20:23:31 JST 2025


ノード2の移動先DB HOME上で新しいデータベースインスタンスが起動したことを確認できます。(赤字)

実行コマンド

oracle$ srvctl status database -db sbenchc

実行結果

Instance sbenchc1_3 is running on node kkaexavm01-c3hfq1
Instance sbenchc2_4 is running on node kkaexavm01-c3hfq2


データベースインスタンスの切り替えが完了したので、新しいDB HOME、データベースインスタンスのみ構成情報に出力されていることを確認します。


図7:アップデート完了

実行コマンド

oracle$ srvctl config database -db sbenchc

実行結果

(略)
Oracle home: /u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_1
(略)
Database instances: sbenchc1_3,sbenchc2_4
(略)

STEP4 ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行後の確認

ここでは、「ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス」実行後の環境を確認します。


DB HOMEとDBの紐づけ確認

移動先DB HOME(/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_1)に検証対象DB(sbenchc)が紐づいていることを確認できます。

実行コマンド

root# /u01/app/*/grid/bin/srvctl config all

実行結果

(略)
Database configuration details
==============================

Database "ora.sbenchc.db" details --------------------------------- Name ora.sbenchc.db (略) Oracle home /u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_1 (略)

「$HOME/.env」の確認

ExaDB-D上でDB作成時に自動的に生成された「$HOME/sbenchc.env」内のDB HOMEは移動元DB HOMEのままであるため、手動で修正が必要であることが確認できます。

実行コマンド

oracle$ cat $HOME/sbenchc.env

実行結果

(略)
PATH=/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2/bin:/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2/OPatch:$PATH; export PATH
(略)
LD_LIBRARY_PATH=/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2/lib; export LD_LIBRARY_PATH
(略)
OH=/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2; export OH
ORACLE_HOME=/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2; export ORACLE_HOME
TNS_ADMIN=/u02/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2/network/admin/sbenchc; export TNS_ADMIN
(略)

オンラインREDOログ・ファイルの確認

ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行後のオンラインREDOログ・ファイルの構成が、下記のとおり、Thread 3のファイルが追加されたことが確認できます。

実行コマンド

SQL >
select
    l.thread#,
    f.group#,
    f.member,
    l.status,
    l.members,
    l.bytes / (1024 * 1024) file_size
from
    v$logfile f,
    v$log l
where
    f.group# = l.group#
order by
    1,
    2,
    3
;

実行結果

THREAD# GROUP# MEMBER                                             STATUS    MEMBERS File Size(MB)
------- ------ -------------------------------------------------- --------- ------- -------------
(略)
      3      9 +DATAC1/SBENCHC/ONLINELOG/group_9.312.1198527461   CURRENT         1      4,000.00
      3     10 +DATAC1/SBENCHC/ONLINELOG/group_10.315.1198527463  UNUSED          1      4,000.00
      3     11 +DATAC1/SBENCHC/ONLINELOG/group_11.316.1198527463  UNUSED          1      4,000.00
      3     12 +DATAC1/SBENCHC/ONLINELOG/group_12.317.1198527465  UNUSED          1      4,000.00
(略)

UNDO表領域の確認

下記のとおり、ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行後のUNDO表領域が追加されていることが確認できます。(赤字)

実行コマンド

SQL >
select
    dt.tablespace_name,
    ddf.file_name,
    dt.bigfile,
    ddf.bytes / (1024 * 1024) file_size,
    ddf.autoextensible,
    ddf.increment_by * block_size / 1024 increment_size_kb,
    ddf.increment_by * block_size / (1024 * 1024) increment_size_mb,
    ddf.maxbytes / (1024 * 1024) max_size,
    dt.segment_space_management,
    dt.extent_management,
    dt.allocation_type,
    dt.initial_extent / (1024 * 1024) initial_extent,
    dt.contents
from
    dba_tablespaces dt,
    dba_data_files ddf
where
    dt.tablespace_name = ddf.tablespace_name(+)
and dt.contents <> 'TEMPORARY'
union
select
    dtf.tablespace_name,
    dtf.file_name,
    dt.bigfile,
    dtf.bytes / (1024 * 1024) file_size,
    dtf.autoextensible,
    dtf.increment_by * block_size / 1024 increment_size_kb,
    dtf.increment_by * block_size / (1024 * 1024) increment_size_mb,
    dtf.maxbytes / 1024 / 1024 max_size,
    dt.segment_space_management,
    dt.extent_management,
    dt.allocation_type,
    dt.initial_extent / (1024 * 1024) initial_extent,
    dt.contents
from
    dba_tablespaces dt,
    dba_temp_files dtf
where
    dtf.tablespace_name = dt.tablespace_name(+)
order by
    1,
    2
;

実行結果

●CDB(sbenchc)
Tablespace File Name                                         BIGFILE  File Size(MB) AUTOEXTENSIBLE  Inc Size(KB) Inc Size(MB) Max Size(MB) SEGMENT_MANAGEMENT EXTENT_MANAGEMENT ALLOCATION_TYPE Initial Extent(MB) CONTENTS
---------- ------------------------------------------------- -------- ------------- --------------- ------------ ------------ ------------ ------------------ ----------------- --------------- ------------------ --------
(略)
UNDOTBS1   +DATAC1/SBENCHC/DATAFILE/undotbs1.259.1198464071  YES              2,000 YES                4,194,304        4,096      524,288 MANUAL             LOCAL             SYSTEM                           0 UNDO
UNDOTBS2   +DATAC1/SBENCHC/DATAFILE/undotbs2.275.1198464051  YES              2,000 YES                4,194,304        4,096      524,288 MANUAL             LOCAL             SYSTEM                           0 UNDO
UNDOTBS3   +DATAC1/SBENCHC/DATAFILE/undotbs3.318.1198527467  YES              2,000 YES                4,194,304        4,096      524,288 MANUAL             LOCAL             SYSTEM                           0 UNDO
(略)


●PDB(SBENCHP) (略) Tablespace File Name BIGFILE File Size(MB) AUTOEXTENSIBLE Inc Size(KB) Inc Size(MB) Max Size(MB) SEGMENT_MANAGEMENT EXTENT_MANAGEMENT ALLOCATION_TYPE Initial Extent(MB) CONTENTS ---------- ---------------------------------------------------------------------------------- -------- ------------- --------------- ------------ ------------ ------------ ------------------ ----------------- --------------- ------------------ -------- (略) UNDOTBS1 +DATAC1/SBENCHC/32C1959E1B999899E0631F8B18ACCC78/DATAFILE/undotbs1.282.1198464213 YES 600 YES 4,194,304 4,096 524,288 MANUAL LOCAL SYSTEM 0 UNDO UNDO_4 +DATAC1/SBENCHC/32C1959E1B999899E0631F8B18ACCC78/DATAFILE/undo_4.283.1198464217 YES 95 YES 4,194,304 4,096 524,288 MANUAL LOCAL SYSTEM 0 UNDO UNDO_7 +DATAC1/SBENCHC/32C1959E1B999899E0631F8B18ACCC78/DATAFILE/undo_7.319.1198527477 YES 95 YES 4,194,304 4,096 524,288 MANUAL LOCAL SYSTEM 0 UNDO (略)

初期化パラメーターTHREAD、UNDO_TABLESPACEの確認

ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行後の初期化パラメーターUNDO_TABLESPACEの値が下記のとおり変更されていることを確認できます。(赤字)

実行コマンド

SQL> show parameter undo_tablespace

実行結果

●CDB(sbenchc)
[ノード1]
NAME                                 TYPE        VALUE
------------------------------------ ----------- ------------------------------
undo_tablespace                      string      UNDOTBS3

[ノード2] NAME TYPE VALUE ------------------------------------ ----------- ------------------------------ undo_tablespace string UNDOTBS1

●PDB(SBENCHP) [ノード1] NAME TYPE VALUE ------------------------------------ ----------- ------------------------------ undo_tablespace string UNDO_7
[ノード2] NAME TYPE VALUE ------------------------------------ ----------- ------------------------------ undo_tablespace string UNDOTBS1


ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス実行後の初期化パラメーター
THREAD、UNDO_TABLESPACEは、SPFILEからPFILE化したファイルで確認すると明示的に指定されていないことを確認できます。

実行コマンド

SQL> create pfile='/tmp/db_pfile.ora' from spfile;
SQL> host cat /tmp/db_pfile.ora

実行結果

●CDB(sbenchc)
※初期化パラメーターTHREAD、UNDO_TABLESPACEは明示指定されなくなったため、
SPFILEをPFILE化したファイルに出力されません。
●PDB(SBENCHP) ※PDB側では明示指定して変更していないため、出力結果はありません。


検証に関するまとめ

ここまでの検証結果から、この機能がいかに少ない手順で実行できるか、お分かりいただけたかと思います。

この手軽さを支えているのが、データベース自身の自動的な振る舞いです。

ここでは、一時的に新旧DB HOMEの両方にデータベースインスタンスが存在するため、検証で確認した「利用上の注意点」として解説します。

 ・オンラインREDOログ・ファイル
  -新しいTHREADでオンラインREDOログ・ファイルが生成される


 ・UNDO表領域
  -新しいUNDO表領域が追加される


 ・DBインスタンス
  -srvctl modify databaseを実行すると自動的に既存データベースインスタンス名に
   アンダースコアと数字を追加した一意の名前をもったインスタンスが生成される


 ・初期化パラメーター「THREAD」「UNDO_TABLESPACE」
  -ローカル・ローリング・データベース・メンテンス完了後、初期化パラメーター
   THREAD、UNDO_TABLESPACEは初期化される


 ・$HOME/sbenchc.env
  -ExaDB-D上でDB作成時に自動的に生成された「$HOME/sbenchc.env」内の
   DB HOMEは移動元DB HOMEのままであるため、手動で修正が必要


さいごに

本記事では、Oracle Database 23aiの新機能「ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス」を検証しました。

この機能を使えば、RAC/RAC One Node環境において、非常に少ないコマンド手順で、安全なアウトオブプレース方式のローリングアップデートを実現できることを確認できました。

最大のメリットは、アップデート実行中のノードでもインスタンスを稼働させ続けられる点です。

これにより、運用中のノード数を維持したままメンテナンスが可能となり、サービス影響を最小限に抑えられます。


Oracle Database 23aiにて、ローリングアップデートを使用したシステム停止時間を短縮したいというご要件があった場合に検討可能な手段の一つになると考えます。

最新のOracle Database 23aiのリプレースをご検討のお客様、お気軽にアシストまでお問い合わせください。


執筆者情報

2002年入社。 BI、帳票、電子帳票、印刷管理、文字管理、ワークフローなどの情報基盤製品のフィールドエンジニアを経て、2013年からはOracle Databaseのフィールドエンジニアとしてお客様へのプリセールス活動や技術支援を担当。
また、プログラミング等のスキルを活かして業務の自動化や工数削減にも積極的に取り組んでいる。
プライベートでは3児の父。



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