アシストのブログ

  • 社員紹介
2011.01.05

顧客のニーズに応える「ソリューション技術部」の牽引者(重松 俊夫)

[掲載媒体]INSIGHT NOW!
[日付]2011年1月5日


ソフトウェア・パッケージ屋のアシストで、オリジナル・ブランド商品、「監査れポータル」を商品化した西日本支社 重松に、どうやってオリジナル商品を生み出したのか、そのプロセスについて聞いた。

顧客のニーズに応える「ソリューション技術部」の牽引者

株式会社アシスト
西日本支社技術統括 ソリューション技術部
部長 重松 俊夫

メーカー系の開発会社でシステム開発を4年経験後、1991年アシスト入社。
フィールドSEとして、セキュリティ製品およびシステム運用管理製品を担当後、2001年よりソリューション技術部に所属し、営業の提案活動を支援。2005年から部長。




せちがらい世の中


せちがらい世の中とはよく言ったもので、「個人情報保護」や「セキュリティ対策」「内部統制」などの対応を見ていると、ビジネスマンから家庭の主婦まで、私達の生活は、少し前では考えられないほど面倒で細かい手続きやルールに縛られた状況になっている。

例えば以前は、お昼になると、オフィス内に保険のセールスが自由に入ってきて社員に勧誘活動をしていたのに、今では、セキュリティが厳しくて、宅急便の配達員も、社員がついていないとオフィス内には入れない。また社員も、何種類ものパスワードを入力しなければ、業務を開始できない。パスワードを何度か間違えようものなら、ロックアウトされ、自分のパソコンでさえ使えなくなる。首からさげるカードを忘れてトイレに行こうものなら、廊下に閉め出されてしまう始末。

ソフトウェア販売会社の社長でありながら、「性善説」を良しとし「内部統制」など必要ないと公言してはばからない弊社トッテンなどは、関係者がこうした対応に必死になっている横で、どこまで徹底できるのかと笑っている。

なぜ統制?


トッテンのように「性善説」で済ませられればよいのだが、上場企業の関係者は、2008年の金融商品取引法(いわゆるJ-SOX法)成立前夜の2005年頃は、笑ってなどいられない状況だった。猫も杓子も「J-SOX」対応で、まるで「狂騒曲」のような様相を呈していた。「内部統制」という言葉を冠したセミナーはどこも満席。Webコンテンツや各種雑誌の記事にも、「J-SOX」「内部統制」という言葉が躍った。

そもそも、なぜこんな面倒な法律が制定されたのだろうか。アメリカのエンロンやワールドコムに端を発した「粉飾決済」の多発によって株価が低迷し、その株式市場への信頼を取り戻すために、不正を防止する仕組み、すなわち「内部統制」が必要となった、ということらしい。盲目的なアメリカ信奉者である日本のこと、アメリカ版SOX法が基になっているのは言うまでもない。

しかし、アメリカ版が基になっていようがなかろうが、法律は法律。ビジネスを進める上で、法律を守るのは基本的事項。対応するしかない。

そのような切羽詰まった状況の中、当時の現場担当者たちは、「J-SOX対応で内部統制?でも何をどう進めれば良いのだろう」と暗中模索の状況だった。

J-SOX法「狂騒曲」は、ビジネスにとっては蜜の味


そうした状況は、ソフトウェア販売会社の「アシスト」も同じ。内部統制の周りには、ビジネス・チャンスが潜んでいるはず。しかし、何をどう進めてよいのか、皆目検討がつかない状態だった。

そんな中、アシストの内部統制対応商品、「監査れポータル」の商品開発を担当したのは、西日本支社技術統括 ソリューション技術部の重松俊夫。「監査れポータル」の名づけ親でもある取締役(現、代表取締役社長)の大塚の鶴の一声で商品化プロセスがスタートしたと当時を振り返る。

「J-SOX、きっと何かビジネスにつながるはずだ、重松、おまえ考えろ・・・」(大塚)

「監査れポータル」の名づけ親でもある代表取締役社長の大塚

「監査れポータル」。こう書くと、誤植ではないかと思われるかもしれないが、れっきとした正式名称だ。「れ」は平仮名で正しい。商品のコンセプトである、「監査」、「レポート」、「ポータル」、3つの言葉を組み合わせて命名された。

重松に、「監査れポータル」の商品化プロセスについて話を聞いた。

まずは、顧客企業の法対応を支援するために、内部統制とは何かの勉強から開始。内部統制の中の、IT全般統制に必要な機能を洗い出していった。しかし世の中全体が暗中模索の状態であり、重松1人で必要な機能がうまく整理できるはずもなかった。

そこでどうしたか。内部統制に詳しいであろう、監査法人や、米国で上場している等の理由から、この分野での取り組みに先進的と思われる顧客に、内部統制の実際の対応内容や何に困っているかをヒアリングした。

そこで挙がった要点は、以下のようなもの。

重松は、このようなヒアリング結果をもとに、専門家の監修のもと、上記についてお客様を導く仕組みを、アシストのオリジナル・ブランドとして商品化することにした。都合の良いことに、「ログ取得」や「ログ管理」という分野については、取扱製品も多数揃っており、アシストが得意とする分野だった。ただし、ツールを導入するだけでは、上記の要件は満たせない。

そこで、重松は、アシストの取扱製品を複数利用し、足りない部分はアシストが提供することで、そのすべてをひっくるめたものを、「監査れポータル」(通称:監れポ)として商品化した。具体的には、結果のレポートを生成するためにWebFOCUSを活用し、統制ルールと運用状況の照合やレポートを生成する等、一連のジョブ管理にはJP1を利用。ツールとツールをつなぐ部分や、報告書となるレポートなどは、パートナーに開発委託した。また、ログの統合管理にはその種類や規模に応じて、SenSageとLogstorageのどちらかを選択できるようにした。

利用者の視点としては、これまで膨大なログを保存はしているものの、その膨大な、機械語で書かれた、文字や数字の羅列をチェックするなど、人間が行えることではない。それをこの「監査れポータル」を利用すれば、人は、ルールの運用状況の評価や改善活動など、本来人間にしかできないことに注力できるようになる。さらに、チェック結果は、管理者が見てもわかりやすいレポートとして提供される。

また、売り手の視点としては、複数のツールをアシスト・ブランドの「監査れポータル」として組み合わせたことで、一度に複数の製品を購入いただくことが可能になる。

組織の横串目線で隙間を埋める


「監査れポータル」の商品化は西日本支社で進められた。本来であれば、ツールやサービスの企画は、製品事業部がある東京本社が中心になって進めそうなものなのだが、なぜ西日本の重松が担当したのだろうか。

重松は言う。当時、東京は完全に製品単位で組織が分かれていたのに対し、西日本には「ソリューション技術部」という、営業の提案活動を支援する部隊があったために、 「監査れポータル」のような複数ツールの組み合わせ、といった発想がしやすかったのだろうと。

「ソリューション技術部」の役割とは何か?

営業がお客様先で、何か課題らしきことを耳にしてきたとする。お客様自身も、自社に何の問題があり、それをどうやって解決したらよいのか、まだまだ「もやもや」とした状態である。その状態で、「ソリューション技術部」の技術者を伴ってお客様先を訪問し、お客様の話をヒアリングしながら、要件を明確化していく。

「アシストが持っている製品だけで、お客様の要望を満たすことができれば良いが、そういうことはほとんどない」と重松は言う。ではどうするのか。自社で追加できる付加価値サービスをつけて提案したり、それでも足りなければ他社の製品やサービスも躊躇なく提案する。このようにして「隙間」を埋める。

自分たちが導き出した解決策=ソリューションが、お客様の要望にぴったりはまった時は、技術者冥利につきるという。

お客様ニーズで組織を進化させる


さて、東京で「監査れポータル」第一号ユーザが生まれた時のこと。当時、東京には、「ソリューション技術部」のような機能がなかったため、その顧客の担当営業は、「えらい苦労したと思いますよ」と重松は言う。複数製品の技術担当者が同列で多数参加する打ち合わせなど、その営業がすべてを取り仕切らなければならなかったからだ。

今では、東京にも、「東日本顧客支援室」という西日本の「ソリューション技術部」と同様の組織が生まれ、お客様の要件を整理したり、提案活動を支援する機能ができている。

よくアシストは、営業が強い会社、営業の会社だと言われるが、実際には、技術者の数が圧倒的に多く、営業200人に対し、技術者は450人いる。お客様の課題整理や提案活動まで技術者がやっているのだとすると、営業は何を行っているのだろうか。

「営業さんには、お客様との関係作りをしっかりやってもらえればいいのです」

と重松は言う。困った時にアシストに相談してもらえなければ何も始まらない。だから、営業はお客様との信頼関係作りに注力してもらいたい、そうすれば「あとは僕たちが引き受けます」、ということらしい。

「隙間を埋める」が、商品化の原点


さて、お客様の要望とツールとの隙間を埋め、さらにツールとツールをつなぐこと、これこそが、「監査れポータル」商品化の原点だった。

アシスト40年の歴史の中で、アシストのビジネス・モデルは常に、ソフトウェア・メーカーが開発したツールをそのままお客様に導入し、その問い合わせ対応のサポート料や、利用方法の研修サービスなどで稼ぐ、というものだった。

しかし、ツールを導入するだけでは課題が解決できなくなってきた今、アシストの将来は、そのパッケージ・ソフトウェアに、いかに自社独自の付加価値をつけ、「隙間」を埋められるかにかかっていると言えよう。インターネットの世界を中心に、出来合いの製品やサービスを組み合わせてマッシュアップすることが当たり前になった時代、「パッケージ屋」のアシストだからできること、すなわち、隙間を埋めるという発想で独自性のある付加価値を創造することにこそ、アシストの存在価値がある。

(文責: 株式会社アシスト 広報部 根井 和美)

  • 掲載内容は取材当時のものです。

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