経営管理情報リアルタイム活用ハブをVertica+AWSで短期間に実現
日本コムシス株式会社
- 導入製品/サービス…
- Vertica
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通信設備工事の分野で国内トップクラスのシェアを誇る日本コムシスでは、グループ全体の事業収支をより正確に把握するための施策として、各工事に対する間接費配賦のルールを大幅に変更することになりました。これを従来の基幹システムで行うとシステムに過大な負荷がかかるため、Vertica をクラウド上に導入して新たな経営管理情報リアルタイム活用ハブを構築。グループ全体の経営情報を高速に分析/把握する仕組みを実現しました。
導入のポイント
1.大規模なデータ集計/分析を高速処理できるデータベース基盤をVerticaで構築
2.AWSの利用でハードウェア調達期間を短縮し、短納期でシステム化を実現
3.SAP ERPから財務会計のデータを連携し、迅速かつ柔軟な経営分析が可能に
課題
- 間接費配賦のルール変更に現行基幹システムが追随できない恐れがあった
- 新たな配賦ルールに対応したシステムを短期間で実現する必要があった
- 大量のデータを安定して高速に処理できるデータベース基盤を必要としていた
対策
- 現行基幹システムとは別に、間接費配賦を含む管理会計を担う情報活用ハブを新設
- クラウド上にシステムを構築することでインフラ構築のリードタイムを短縮
- 高速なデータ集計/分析を得意とし、クラウドにも対応したデータベース製品「Vertica」を導入
効果
- 基幹システムの負荷を軽減し、複雑な配賦処理や月次決算処理の早期化が可能に
- クラウドの採用により、短期間でのシステム構築とコストの適正化も実現
- 正確な事業収支レポートをタイムリーに提出
システム概要図
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工事ごとの収支をより正確に把握すべく間接費配賦の仕組みを変更
通信設備工事の分野において、国内トップクラスのシェアを誇る日本コムシス株式会社(以下、日本コムシス)。NTT関連をはじめ、様々な事業者や企業、官公庁に向けた通信設備工事を広く手掛ける他、近年ではITソリューションや社会システム関連の事業にも力を入れています。
そんな同社が2015年から取り組んできたのが、「事業収支の正確な把握と経営アクションの迅速化」です。IT業務推進部 担当課長 松居仁氏は、その背景と経緯を次のように説明します。
松居氏
2014年頃から、子会社も含めたグループ全体の経営情報を迅速に可視化/共有できる仕組みの実現を目指し、DWH(データウェアハウス)基盤構築の検討を進めていました。アシストの協力を得ながら、SAP ERPの基幹系システムからデータを抽出するツール「Vacuum GARAGE」と、ETLツール「DataSpider Servista
」のデータ加工機能を導入しており、データを蓄積するデータベース基盤にはPostgreSQLが選択肢にあがっていました。
2015年、この仕組みに新たな要件が持ち上がりました。日本コムシスグループ全体として、事業内容をそれまでよりも正確に把握し、経営アクションのスピードアップを図るという目標が示されたことから、このDWH基盤でグループの管理会計処理を担うことになったのです。その中の大きな課題の1つが間接費配賦ルールの変更でした。
松居氏
弊社では、従来は各工事の原価額割合に応じて間接費を按分配賦していました。しかし、事業の多様化に対応した管理の高度化に向けて、複数パターンの詳細なルールに基づく間接費配賦の仕組みをシステムで実現する必要が出てきました。
高パフォーマンスかつクラウドとの親和性に優れた「Vertica」を採用
それまで間接費配賦処理はSAP ERPのアドオンプログラムで実行していました。しかし今回の方針変更により配賦ルールが複雑化するため、システムにかかる処理負荷も高くなることが予想されました。IT業務推進部 課長代理 木下英治氏は、当時社内の情報システム部が抱えていた懸念を次のように述べます。
木下氏
配賦のための夜間バッチ処理が完了して初めて、利用者が基幹システムを使える状態になりますが、それまでもデータ量の増加でバッチ処理が業務開始時間までに完了せず、業務に影響を与えることがありました。配賦処理が複雑化してさらに負荷がかかると、業務全体により大きな支障が出てしまいます。この問題を解決するためには、配賦処理をSAP ERPの基幹系システムから切り出して実行する必要があると考えました。
そこで同社は、管理会計全体を担う「経営管理情報リアルタイム活用ハブ」として、高い処理パフォーマンスを持つデータ管理基盤を構築し、これを使って間接費配賦処理を実行することにしました。木下氏らは早速システム方式の検討を始めましたが、すでにこの時点で本番稼働の期日まで半年を切っていたと言います。
木下氏
残された期間内にシステムを立ち上げるには、インフラにはクラウドサービスを使うしかないと判断しました。また今回構築する仕組みは弊社だけでなく、グループ内の各企業から利用できなくてはなりません。したがって今回新たに導入するデータベース製品には「高速であること」「クラウド上で利用できること」とともに、「グループ内利用に適したライセンス体系であること」が求められました。
大量のデータに対応できるデータベース製品を検討する中で、最も有力な候補として浮上したのが、これらの条件を唯一高いレベルですべて満たす「Vertica」でした。大量データを高速処理できる性能面だけでなく、ライセンス面でもクラウド利用やグループ会社での利用が可能な上に、サーバやインスタンスの数に依存しないデータ容量課金である点も、クラウド上での利用を前提としていた同社の要件に合致していました。
経営情報の迅速な可視化と高度な経営分析を実現
同社がVerticaに最も大きな期待を寄せていたのは処理性能です。アシストが実施したAWS上での事前検証では、当初検討していたPostgreSQLで16秒かかっていた処理がわずか0.6秒で完了しました。こうした検証結果や、アシストから提供された各種情報を基に総合的に判断した結果、新たな経営管理情報リアルタイム活用ハブのデータベースとしてVerticaの採用を決定しました。
2015年末から始まった構築プロジェクトは、クラウドインフラならではのスピード感を活かし、6ヵ月という短期間で無事完了しました。
木下氏
Verticaは初めて使う製品でしたが、アシストからレクチャーを受けたり、その他様々な情報をタイムリーに提供いただいたり、また設計/構築作業を支援いただいたおかげで、Verticaの導入に関して特に手間取ることはありませんでした。インデックスの概念がないなど、確かに既存のデータベース製品と異なる点はありましたが、それまで検討していたPostgreSQLと比べてそう大きな違いがあるとは感じませんでした。
こうして2016年4月、AWS上に構築したVerticaのデータベース基盤を中心とした経営管理情報リアルタイム活用ハブが本格稼働しました。その処理性能の高さは顕著で、配賦処理だけでなくグループ全体の工事の収支をいつでも迅速に取り出せるようになり、月次決算処理の早期化も実現しました。また、配賦処理をSAP ERPの基幹システムから切り出したことで、より高度かつ多様な経営分析が可能になったと言います。
松居氏
基幹システムにかかる負荷を気にせずに、様々な経営分析ができるようになりました。例えば計画値を入力して将来の利益をシミュレーションしたり、過去の経営データに対して現行の配賦ルールを適用して前期比を見たりといった高度な分析を手軽に行えるようになりました。
今後は経営情報のより広範な活用を目指す
現時点では、同社の財務部と経営企画部がこの経営管理情報リアルタイム活用ハブを使い、Verticaが自動的に出力するExcel形式の帳票データを事業収支の把握や経営分析などに役立てています。また今後、WebベースのBI製品を全社的に導入して、さらに広範なユーザに経営情報を公開していく予定です。
松居氏
アシストに紹介いただいたBI製品「WebFOCUS
」を導入し、現場の工事担当者から経営層に至るまで、社内のあらゆる立場の者がそれぞれの職務権限に応じて、見たい情報を適切な範囲でWebブラウザからセキュアに参照できる環境を準備しています。思えば、データ抽出ツールからデータベース製品、BI製品に至るまで、すべての製品をアシストに提供いただきました。今回のプロジェクトはアシストの協力なくしては実現できませんでしたし、今後の計画を進めていく上でも、これまでと変わらぬ手厚い支援をお願いできればと思っています。
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お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 日本コムシス株式会社 |
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概要 | 開発、設計から運用、保守までを担う「ワンストップソリューションプロバイダ」をコンセプトに、ネットワーク構築技術と情報システム構築を融合させることのできる「総合エンジニアリングサービス企業」として事業を展開しています。 |
本社 | 東京都品川区東五反田2-17-1 |
創立 | 1951年12月 |
資本金 | 100億円 |
従業員数 | 連結 5,044名/単独 2,902名(2016年3月末現在) |
URL | http://www.comsys.co.jp/ |
取材日 | 2016年11月 |
関連製品/サービス
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