TOP>事例>情報サービス>機能、耐障害性、性能を損なわず、コストを削減- 民放向け基幹システムのクラウドサービスにEDBを採用

機能、耐障害性、性能を損なわず、コストを削減
- 民放向け基幹システムのクラウドサービスにEDBを採用

株式会社フィンズ

導入製品/サービス…
EDB(PostgreSQL)  

株式会社フィンズ様

フジテレビ系列28社で構成するFNS(Fuji Network System)に対し、インフラとクラウドサービスを提供する株式会社フィンズは、データセンター移行を機にテレビ局の基幹システム「標準営放システム」のデータベースをEDB にリプレースしました。ミッションクリティカルなシステムのデータベース移行先として求められたのは、サービスレベルを落とすことなくコストを大幅削減するという難題。これを実現したのは、高可用性機能をオールインワンで提供するEDBと、アシストの技術支援、そしてサポートサービスでした。

アイコン

「コスト削減で最初に考えたのはオープンソースのデータベース採用ですが、機能に不足がありました。アシストの支援によるEDBの導入は、機能やサポートの不安を払拭し、コスト削減と堅牢性を両立する基幹データベースの実現となりました」
「中長期的なシステム戦略を考えていく上でも、EDBとアシストの強力な支援には今後も期待しています」

株式会社フィンズ クラウドサービス本部 副本部長 岩下 利光 氏
部長 平方 淳 氏 
課長 西村 環樹 氏

課題/背景

  • データセンター移設にあたり、クラウドサービスでFNS各社に提供している「標準営放システム」の大幅なコスト削減が望まれていた
  • 安価でありながら安定性や堅牢性も担保できるデータベース製品を探していた
  • 系列各局とデータセンターは双方向の同期が必要で、PostgreSQLだけでは要件が満たせなかった

対策

  • 高度なクラスタリング機能やレプリケーション機能をオールインワンで提供するPostgreSQLベースの商用データベース「EDB」を採用
  • PostgreSQLに知見があり、メーカーとも強いパートナー関係にあるアシストの技術支援による、EDBの実装
  • オープンソースには無いメーカーサポートを24時間365日受けられる体制の確立

効果

  • データセンター移設に伴う構築費は46%削減。運用コストの削減にも成功
  • アシストの技術支援やサポートもあり、安定性・堅牢性を兼ね備えた基幹DB環境を実現
  • コストだけでなく、パフォーマンス的にもユーザー満足度が高いクラウドサービスの提供を実現


システム概要



FNS向け標準営放システムの次期基盤検討で求められたコスト削減


株式会社フィンズは、フジサンケイグループの株式会社フジミックを母体に、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、IBM)および、放送システムに豊富な実績を持つ西日本コンピュータ株式会社の共同出資で2011年に設立された企業です ※1 。同社では、フジテレビ系列28社で構成するFNS(Fuji Network System)に対して、インフラとクラウドサービスを提供しており、データセンターの本番サイトと災害対策サイトおよび系列各社の30拠点をサービス対象としています。

提供サービスの中核には放送業界特有の基幹システムである編成営業放送システム(以下、標準営放システム)があります。番組表やCM枠の作成管理、放送データの管理などを行う標準営放システムは、放送設備と緊密に連携することにより、安全な放送を実現している重要なシステムです。これを系列各社が効率的に活用できるように標準化し、クラウドサービスとして提供しています。

サービス開始から10年の節目で、データセンターの移設を計画していた同社に対し、利用各社が強く求めたのはさらなるコスト削減でした。

西村氏  コストの見直しは、資産、人件費、ミドルウェアなどの多面で検討が進められました。プライベートクラウドからIBMのパブリッククラウドへの移行や、AIXからIAサーバでのRedHatに移行することで、資産と構築や運用の人件費を削減することを考え、データベースについてもオープンソースを利用することでコストの削減を考えました。

一方で、基幹システムという特性上、サービスレベルは落とせないという事情もありました。

岩下氏  標準営放システムのアプリケーションは大きな変更は予定されておらず、提供者として私たちが目指したのは、機能、耐障害性、パフォーマンスを損なうことなく、コストを大幅に削減するということでした。ところが、調査を進める中、オープンソースのデータベースでは、従来と同等の機能を提供することは難しいということが見えてきました。

  •  現出資は、株式会社フジミック、キンドリルジャパン株式会社、株式会社ニシコン

EDB選定の決め手は、オールインワンの機能とコスト、そして技術者への期待


データベースは、市場性や技術者の確保のしやすさなどからミドルウェアと人件費の抑制が期待できる「PostgreSQL」を第一候補として検討が進められました。しかしながら、PostgreSQLは、標準営放システムのデータベースとしては機能的な不足があると判断されました。

西村氏  標準営放システムは、利用されている系列23局のローカルにもシステムを設置しています。これは、放送機器の出力情報一次受けなどのローカル業務でも利用されていますが、データセンターと各局を結ぶネットワークに障害があっても放送業務を継続するという役割も担っています。これを実現するためクラウドと各局間は、従来システムではデータベースの機能で双方向レプリケーションによるデータ同期を行っていましたが、PostgreSQLにはこの機能が無く、別の方法を考える必要がありました。作りこみや、他ツールでの実現も可能性としてはありましたが、システムが複雑になりかねず、出来るだけ避けたいと考えていました。

そこで着目したのが、PostgreSQLをベースにエンタープライズ向けの機能やサポートサービスを付加した商用データベース「EDB」です。EDBには、機能、サポート、コストの面での魅力があったと言います。

岩下氏  何より、求めていた双方向レプリケーションが実現できることが魅力でしたが、各拠点の要件であった冗長化の機能もオールインワンで提供され、別のクラスタリングツールを考える必要が無いという点もポイントでした。基幹システムで必要な24時間365日のPostgreSQLサポートを、これら機能を含めてアシストを窓口にメーカーから受けられる。また、従来のデータベースより低コストで利用できることも、もちろん評価した点です。

もっとも、データベースの変更に不安が全くないわけではありませんでした。また、アシストとの取引は初めてでしたが、EDBの導入を決定するころには、不安より期待が大きかったと言います。

岩下氏  アシストは、EDBの導入で国内で断トツの実績が有り、開発元のEDB社と強力なパートナー関係にあることから頼れる企業という印象を持ちました。また、基盤担当のIBMとは、ミッションクリティカルなデータベースでの構築や移行での協業実績が有ると聞いており、その点での信頼感もありました。PostgreSQLの知見も深く、アプリケーション担当のニシコンとは、データベース差異による影響などの会話を進めて貰えたのもありがたかったです。PMOを担当する当社としては、各社と良好な関係にあるアシストとなら、万一問題が生じてもプロジェクトのスケジュールを遅らせることなく早急な解決を図れるのではないか、という期待を持って、アシストからのEDB導入を決めました。


データセンター移行を無事終え、目標だったコスト削減も達成


当プロジェクトにおいてアシストは、EDBの設計や実装、性能検証と手当など、EDBに関連する一連の作業を担当しましたが、構築だけでなく、関連情報の共有が、プロジェクト関係者の理解をスムーズにすることが出来たと言います。

西村氏  たとえば、リプレース前のデータベースでは、データベースのフェイルオーバーやレプリケーションの条件、仕組みが煩雑で、その動きが理解しにくいものでした。今回はアシストの担当者がEDBの仕様を丁寧にかみ砕いて説明してくれたおかげで、フィンズの担当者だけでなく標準営放システムのユーザーも理解を深めることができ、好評を得ています。

構築過程においては、幾つかトラブルが発生したものの、本番前にはいずれも解消することができました。

西村氏  EDB導入の過程において、双方向レプリケーションが当初の想定と異なる挙動となったことが何度かありました。アシストにはその都度に調査、原因の特定と、メーカーエスカレーションなど、修正対応に至る様までを粘り強く対応してもらい、無事に期限内に問題は解決しました。

システムの切替は23局を13のグループに分け、放送休止の深夜時間帯を利用して実施されました。2022年3月の切替後は新環境でサービスを提供しており、現在も安定稼働を続けています。

西村氏  冗長化やレプリケーションなどのサービスレベルを落とすことなく刷新を実現し、基幹に相応しい堅牢なデータベースを無事提供することができました。性能は、データベースだけではなくハードウェアの性能向上もあるものの、「リプレース前より速くなった」という、ユーザーの声もあがっており、嬉しい限りです。おかげで刷新後の標準営放システムは安定稼働を続けており、ユーザーからクレームが挙がるようなこともありません。

岩下氏  今回のデータセンター移設全体でのシステム構築コストは、前回と比較すると46%もの削減を達成することができました。特に人件費の削減率が大きく、構築だけでなく運用コストの削減も実現しました。データベースに限定した定量効果は示しにくいものの、機能、耐障害性、パフォーマンスを損なうことなく、コストを削減するという目標はデータベースの視点でも達成できたと考えています。また、アシストには期待を裏切らない技術支援をしていただいたと感じています。


さらなる安定を目指して


同社は、今後はさらなる安定稼働を目指し、そのサポートという視点でアシストとEDBには期待していると言います。

西村氏  クラウドサービス提供企業として、安定環境の提供は使命だと考えています。データベースに関して、何か問題が発生したり分からないことが出てきた時も、アシストの担当者の方に相談すれば即座に対応してもらえるので、とても頼もしく心強い限りです。今後も頼りにしています。

平方氏  私は移行後の4月に着任したので、これからのシステムを考えていくことになります。各局のローカルサーバが今回はUNIXサーバではなくIA物理サーバを選択したので、旧システムよりライフサイクルが短く、5年後のリプレースを遠からず検討開始する必要がでてきます。データベースの移行やバージョンアップを含め、中長期的なシステム戦略を考えていく上でも、EDBとアシストの強力な支援には今後も期待しています。


<取材協力>

  株式会社フィンズ
    クラウドサービス本部 副本部長 兼 企画部 部長 岩下 利光 氏
    クラウドサービス本部 SI部 部長 平方 淳 氏
    クラウドサービス本部 SI部 課長 西村 環樹 氏



  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。
  • 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 株式会社フィンズ
本社 東京都江東区青海1丁目1番20号 ダイバーシティ東京 オフィスタワー 19F
創立 2011年4月20日
従業員数 15名(2022年3月31日現在)
URL https://www.fins-jv.com/
取材日 2022年11月

関連製品/サービス

EDB(PostgreSQL)

EDBは、企業のニーズを満たすために必要な機能を実装したエンタープライズデータベースです。開発生産性や運用管理性を向上させる豊富な機能と柔軟性の高いライセンスモデルはクラウド環境に適しており、企業における投資対効果を最大化します。

  • 商用RDBMSと遜色ない機能を持つオープンソースRDBMS
  • 適材適所なデータベースの活用で最適コストを実現
  • 24時間365日、10年長期対応のサポートを提供

詳細へ

事例に関するお問い合わせ

資料請求/お問い合わせはこちら(専門の担当者が確認し、ご対応します。)

ご興味のある事例がございましたら、お気軽にお問い合わせください。より詳しい情報をお届けします。

ページの先頭へ戻る