EDBで実現するJALグループのITグランドデザイン
株式会社JALインフォテック
- 導入製品/サービス…
- EDB(PostgreSQL)
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JALグループのICT中核会社としてグループ全体のITを長年に渡り支え続けるJALインフォテックでは、システム開発のさらなるQCD向上を目指して製品の選定や設計の標準化を推進。近年では商用製品だけでなくOSS製品の採用も積極的に進めており、2018年にはデータベース製品のソフトウェア標準として新たに「EDB 」を採用。それまで長年利用し続けてきた商用データベース製品と比べライセンスコストを適正化でき、今後のクラウドシフトに向けたノウハウ蓄積も可能になりました。 |
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導入のポイント
1.OSSデータベース製品の採用でライセンスコストの適正化を実現
2.既存データベースとの高い互換性によりスムーズな移行を実現
3.将来のクラウド移行を見据えたデータベース運用ノウハウの蓄積が可能に
課題
- 採用していた商用データベース製品は仮想環境でのライセンスコストが割高だった
- 各種OSS製品の積極採用を進める中、データベースだけが商用製品を使い続けていた
- グループ全体のクラウドシフトの方針と親和性の高いデータベース製品を求めていた
対策
- PostgreSQLベースのエンタープライズ向けデータベース製品「EDB」を採用
- JALグループの標準ソフトウェアにEDBを加えるとともにその設計や設定も標準化
- クラウドシフトとPostgreSQLへの移行、双方が可能な製品としてEDBを採用
効果
- システム構成に即したソフトウェアライセンスの適正化を実現
- 高い互換性とデータ移行ツールの活用で既存データベースからのスムーズな移行を実現
- 将来のクラウドデータベースサービス利用を前提としたノウハウの蓄積が可能に
サービス提供形態
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「ソフトウェア標準化」でシステム開発のQCD向上を目指す
飛行機の安全運航には運航、客室、整備をはじめ様々な業務が関わっており、それら全てにおいてITシステムが重要な役割を担っています。JALグループは現在「JAL Vision 2030」という長期ビジョンの下に、サービス向上と持続可能な社会の実現を目指しています。サービスや業務を支えるITシステムにおいても「ITグランドデザイン」という長期目標を掲げ、顧客に最高のサービスを提供しつつ、OSSなども活用してコスト削減を目指しています。
こうしたJALグループ全体のITシステムの企画、設計、構築、運用保守を主に担っているのが、株式会社JALインフォテック(以下、JALインフォテック)です。現在同社はITグランドデザインの実現に向けて様々な施策を推し進めていますが、中でもこれまで特に力を入れてきたのが「標準化」の取り組みでした。その背景について、同社 オペレーション基盤部 石橋秀峰氏は次のように話します。
石橋氏
JALグループ内には数百のシステムと数千のサーバが稼働しています。
システム構築のたびに個別要件に応じて一から製品を選定・導入・設定していてはスピード感のあるIT活用は実現できませんし、コストや品質の要件を満たすのも難しくなってきます。
そこで同社は2012年から、新規システム構築時に製品選定や設計方法、設定内容等の社内標準を定めました。その内容に沿ってシステム基盤を構築・運用することでITコストを抑え、同時に高品質なITシステムをスピーディーに構築できることを目指しました。
PostgreSQLベースのエンタープライズ向けDB製品「EDB」を採用
当初は実績が豊富な商用製品を標準ソフトウェアの中心に据えていましたが、ITのトレンドが「OSSの積極活用」「クラウドシフト」へと移り変わるに従い、同社でも徐々にOSS製品を標準ソフトウェアに採用するようになりました。ただしOSやWebアプリケーションなどと比べ、データベースに関してはOSS製品の採用が遅れていたと言います。
石橋氏
データベースの標準ソフトウェアとしては、世界中で膨大な実績を持つ某商用製品を長らく使い続けてきました。しかしその製品は仮想環境上でのライセンスコストがかさむ場合もあり、仮想環境の機能をなかなかフル活用できませんでした。そこで、OSSの積極採用という全体方針もあり、OSSの標準データベースソフトウェア製品を新たに選定することになりました。
早速、多様なOSS系データベース製品の中から選定候補を4製品に絞り込み、様々な観点から比較評価を行いました。その結果最終的に同社が選んだのが、PostgreSQLをベースにエンタープライズ用の機能やツールを組み込み、さらにメーカーの公式サポートサービスを付加した「EDB」でした。
石橋氏
EDBはプラットフォームを選ばない柔軟性を備えており、かつ仮想環境上でも適正なソフトウェアライセンスコストで利用できるため弊社の要件に合致していました。また他のデータベース製品との互換性に優れ、データ移行も比較的容易であることから、既存データベースから移行するコストや時間の低減が期待できます。
さらに、現在JALグループでは業務システムのクラウド移行を積極的に進めており、PostgreSQLベースのEDBの構築・運用に慣れておけば、将来PostgreSQLベースのクラウドデータベースサービスを利用する際にもそのノウハウが生かせるのではないかと考えました。
ライセンスコストの低減と既存DBからのスムーズな移行を実現
EDBを標準ソフトウェアとして採用するにあたり、同製品を使ってデータベースを構築する際の設計手法や設定内容についても標準化作業を行いました。当時は日本語の製品マニュアルが整備されておらず、英語マニュアルと格闘しながら製品ナレッジを吸収するのに苦労したと言います。しかし製品購入元のアシストによる手厚い支援を得たことで、自社の要件に合致した標準設計や標準設定を無事、定義することができました。
石橋氏
EDBの構成や運用について、アシストのサポートセンターには何度も相談しましたが、いつも迅速かつ丁寧に対応してもらい本当に助かりました。また弊社の従業員向けにEDBの技術研修も開催してもらい、100名以上の従業員がこれを受講してEDBのスキルを習得できました。
こうして2018年10月に、同社は正式にEDBを標準ソフトウェアのラインアップに加えることを決めました。その後、実際にとあるシステムの更改時にデータベースを既存商用製品からEDBにリプレースしたところ、ライセンスコストを適正化し、かつサブスクリプションライセンスを採用したことでシステム規模の拡張に合わせた効率的なシステム投資も可能になりました。
またEDBは既存商用製品との互換性が高く、「EDB Migration Tool Kit」と呼ばれる移行ツールを活用することで比較的容易にデータ移行も完了しました。ごく一部でSQLの処理に長い時間がかかるようになってしまうという問題も発生しましたが、アシストの支援を得ながらEDBの設定にチューニングを施したところ、速やかに問題解決したと言います。
構築・運用ノウハウを蓄積してさらに広範な活用を目指す
同社がEDBを標準データベースソフトウェアとして採用してから既に約3年が経過しました。2020年3月に本番システムに同製品が初めて導入されたのを皮切りに、それから約1年半の間に10システムでEDBが採用されました。JALグループ全体で稼働するデータベースの中で占める割合は約4%に過ぎませんが、EDBに起因する大きなトラブルは一切発生しておらず安定稼働を続けています。今後さらにEDBの運用実績を重ねて、構築や運用、チューニングなどのノウハウを社内に蓄積していくことで、さらに多くのシステムでEDBを積極的に活用していきたいと石橋氏は抱負を述べます。
石橋氏
運用保守についてもさらなる改善を目指しています。例えばコストや性能に関して、より精緻な評価を行うことで、ミッションクリティカルかつ高性能が求められるシステムでも利用できるのか、その可能性も探っていきたいと考えています。EDBの利用が適したユースケースを見極めていきながら、アシストやEDBとの良好な関係を通じて、今後ともJALグループのITインフラをしっかり支え続けていきます。
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
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本事例に関連する情報
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 株式会社JALインフォテック |
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概要 | JALグループのICT中核会社として安全・安心・快適な航空輸送サービスを支え続けるとともに、JALグループ以外のお客さまに対しても様々な課題解決に貢献するICTのインテグレータとして、JALグループで培った知見をもとにソリューションを提供しています。 |
所在地 | 東京都港区芝浦3-1-1 msb Tamachi 田町ステーションタワー N 12F |
設立 | 1978年8月 |
資本金 | 7億245万2500円 |
従業員数 | 985名(2021年2月1日現在) |
URL | https://www.jalinfotec.co.jp/ |
取材日 | 2021年7月 |
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