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生産ラインデータをQlik Senseで可視化!品質改善のPDCAを促進し、新たなソリューション展開へ

アズビル株式会社

導入製品/サービス…
Qlik  

アズビル株式会社 Qlik Sense 導入事例

計測と制御、オートメーション技術を軸とした製品やソリューションを提供しているアズビルは「体質強化を継続的に実施できる学習する企業体への組織的な変革」を基本方針の一つに掲げ、製造部門とソリューション開発部門がタッグを組み、工場のライン業務を可視化するためにQlik Sense を導入。データをグラフ化するだけにとどまらず、PDCAに基づいて具体的な改善策への議論を深めていくデータ分析基盤の構築を実現しました。

導入のポイント


1.製造部門とソリューション開発部門がタッグを組み、ライン業務のデータ集約と可視化を実現
2.Qlik Senseにより会議資料作成が不要になり、品質会議でのデータ分析や議論の質が飛躍的に向上
3.肌感覚でしか捉えていなかった不明瞭な事象をデータで明確化し、根拠に基づいた改善を促進


課題

  • 品質に関するデータが様々なシステムや個人のPCなどに分断された状態で散在
  • 各工程のデータを手動でExcelに転記するなど品質会議の資料作成に、膨大な作業と工数が発生
  • データの不足や不整合により、資料を読み解くことに時間が割かれ、改善策の議論が停滞

対策

  • 「製造可視化プロジェクト」をスタート、Qlik Senseによるデータ分析基盤を構築
  • Qlik SenseのデータコネクタやAPIの活用により、データ取り込みを迅速化
  • 品質会議の資料をQlik Senseに一本化し、議論に応じた分析にも柔軟に対応

効果

  • 会議資料作成の膨大な工数を“ゼロ”まで削減し、データの整合性も確立
  • 経験値での分析をデータで根拠を明確化、新たな改善点を発見
  • 改善策に踏み込んだ議論が活性化することで、品質会議の質が飛躍的に向上

システム概要



データを活用した品質改善を行うためのプロジェクトがスタート


azbilグループのマザー工場である湘南工場では、システム製品およびセンサーやスイッチなどのコンポーネント製品、フィールド機器、自動調節弁を製造しています。今回BIツールの導入対象として検討したのは、その中の差圧発信器や圧力発信器といった製品の生産ラインでしたが、品質管理のPDCAをもっと効率的に回す必要があるという課題がありました。生産現場には品質に関する多くのデータが蓄積されているにも関わらず、それらのデータは様々なシステムや各工程のリーダーの個人用PCなど社内の至る所で管理されており、統合して読み解くことが困難でした。

グループマネジャーは毎月、各リーダーからのデータを集約することから始まり、Excelに転記するなど、品質会議の資料作成に長時間を費やすことも多く、可視化と効率化を目的としたBIツールの検討に着手しました。湘南工場長である三浦直人氏は次のように語ります。

三浦氏  アズビルでは2019年度を最終年度とする中期経営計画において「体質強化を継続的に実施できる学習する企業体への組織的な変革」という基本方針を掲げており、品質管理の体制強化は社としても急務でした。

多数の生産現場や部品からなるセンサーデータやログをグラフ化するだけではなく、多角的な視点を基に、より深いデータ分析を行い、改善につなげるべく「製造可視化プロジェクト」をスタートしました。

このプロジェクトには、生産現場の基盤であるプロダクションマネジメント本部と、顧客へ提供するソリューション開発をミッションとするITソリューション本部のメンバーが参画しました。自社の生産現場の課題を解決することで、新しいソリューション開発へつなげる目的もあったためです。2部門で、生産ラインのデータを収集するための環境整備と、BIツールの導入を行いました。


思考を途切れさせずにデータ分析できる点を評価


BIツールの選定はITソリューション本部主体で行いました。最新のデータ活用の動向調査のために訪れた展示会で、Qlik Senseと出会い関心を持ったのがきっかけです。無償版を利用した機能検証では、データの取り込みやグラフ作成などが非常に簡単にできることをすぐに実感しました。またITソリューション本部の担当者がレクチャーを受けずとも独学でアプリ開発ができたという点においても、社内展開しやすく利用促進が容易なのではと感じました。実際にQlik Senseの機能検証に携わったITソリューション本部 ITソリューション開発部 担当課長の北條達也氏は、Qlik Senseを次のように高く評価しています。

北條氏  データの可視化が簡単であることに驚きました。まだ「セルフサービスBI」という概念が浸透してなかった当時のBIツールは、キューブ(多次元データベース)の準備にもITの専門知識やスキルが必要とされ、データ分析にあたるエンドユーザー自身が簡単に扱えるようなものではありませんでした。しかし、Qlik SenseにはコネクタやAPIが用意されており容易にデータ分析のための準備を行うことができます。分析において特に注目したのは、複数のシートをまたいでフィルタを適用できる連想技術です。ページをめくるように思考が連続的につながってデータを分析できるのは、非常に優れていると感じました。

Qlik Senseに湘南工場の実際の品質データを取り込み、試験的に分析アプリケーションを開発しました。このプロトタイプを製造可視化プロジェクトのワークショップで各グループマネジャーに紹介したところ、差圧発信器や圧力発信器を担当するグループマネジャーから高い評価を得ました。これが決め手となり、Qlik Senseの正式導入が決定しました。

また、この取り組みの中で、人が作業する工程の記録が紙ベースでありデータの活用に課題があることが分かったため、作業記録システムの開発・商品化に着手しました。


異なるデータソースも統合的に即座に可視化
品質会議の質が飛躍的に向上


Qlik Sense導入により、出席者のPCで該当データをリロードして表示するだけでデータを確認することができ、品質会議にあわせた資料作成にかかる工数はゼロになりました。これによりグループマネジャーは、本来必要とされるデータ分析により多くの時間を割くことが可能となりました。

これまでの品質会議では「こんなグラフではわからない」「データが足りない」といった議論が発生することもありましたが、現在はPDCAに基づいた具体的な改善策に踏み込んだ建設的な議論ができるようになっています。データ分析基盤を構築したことで、品質会議の議論が快活になり、検討内容の質も飛躍的に向上したと三浦氏は成果を強調します。

三浦氏  例えばパレート図などで仮に不良率5%という数値が示された場合、これまではその事実を品質会議の参加者で確認するだけで終えていたところ、現在は「その5%の内訳はどうなっているのか」「不良が一番多かった機種や工程はどれか」「その原因は何か」「改善するにはどこに手を付ければよいのか」と、Qlik Senseを利用してどんどんデータを深掘りし、具体的な改善に向けた議論が進んでいます。

さらに品質会議以外でも、生産現場のリーダーレベルや、作業者・オペレーターなどのより現場に近いエンドユーザーにおいてもQlik Senseが活用されるようになりました。「特定の機種に不良発生が顕著である」、逆に「これまで不良が多く発生しがちと思い込んでいた工程以外に問題がある」など、従来漠然とした肌感覚や憶測でしか掴めていなかった原因が実際のデータで根拠が明らかになり、新たな改善への気づきが生まれています。


生産ライン業務の可視化が社内で評判に
他部門への広がりも期待


社内でQlik Senseの評判は広まっています。経営層も出席した会議の場で品質データ分析の事例を紹介したところ、担当する部門でも利用したいという声が上がっており、「生産データが可視化されたことが偉大なる一歩だ」と評価しています。

今後の湘南工場での展開について、三浦氏は次のように語ります。

三浦氏  エンジニアリング部門における業務工数の分析の他、Qlik Sense利用の定着を優先しながらも、スタッフ部門での活用に拡大し、次のステップとして海外工場への拡張も計画しています。また、営業部門のように元々データ活用の素地がある部門は特に有望で、Qlik Senseの活用シーンは社内のあらゆる部門に広がっていくと考えています。

また、顧客から製品の品質に関する様々なお問い合わせを受けることがありますが、その回答に利用する品質保証やトレーサビリティのデータをQlik Senseで準備することも検討中です。

このように新たなデータ活用のアイデアが次々に創出できるのは、直感的に操作できるQlik Senseならではだと感じています。その実現や運用定着を支援するワークショップをはじめとする活動も継続的に実施することで、更なる発展を目指していきます。


取材協力:
アズビル株式会社(写真右から)
  プロダクションマネジメント本部
   湘南工場長 三浦 直人 様
   生産3部生産2グループ マネジャー 添田 健一 様
  ITソリューション本部 佐藤 適斎 様、北條 達也 様、沼山 雄一郎 様


  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。
  • 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。


アズビル様のインタビュー記事(PDF)はこちら




アズビル株式会社様へお話をお聞きしたインタビュー記事をPDFでお読みいただけます。


 




お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 アズビル株式会社
概要 azbilグループの中核として“計測と制御”の技術をもとに、人々の安心・快適・達成感と地球環境への貢献をめざす「人を中心としたオートメーション」を追求しています。
本社 東京都千代田区丸の内2-7-3 (東京ビル)
創業 1906年12月1日
資本金 105億2,271万1,817円
従業員数 5,151名/連結:9,607名(2019年3月31日現在)
URL https://www.azbil.com/jp/
取材日 2019年11月

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