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世界市場での成長と競争力強化のためSAP S/4HANAを導入
─ グローバルに展開するシステムのIT運用をJP1で支える

株式会社荏原製作所

導入製品/サービス…
JP1  

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「バッチ処理を動かすだけであれば、様々なサービスがありますが、システムやサービスを相互にかつ柔軟に連携し、一連のジョブとして実行管理を行うには、グローバルに展開するシステムであってもJP1以外には選択肢は無いと考えています」

株式会社荏原製作所
情報通信統括部 ITアーキテクト部 インフラ・システム課
課長 中田 裕信 氏

課題/背景

  • 競争力強化と企業成長に向けたDX戦略の中で、IT基盤のグローバル標準化を推進。全社業務標準化のためERPはSAP S/4HANAに統合・展開を決定
  • 拠点や業務ごとのオンプレミス中心のシステムがアマゾン ウェブ サービス上のERPに一本化されることで、IT基盤で発生する問題の業務影響範囲が広がることを懸念。IT運用強化が必要となった
  • ジョブ管理も標準化を進め、海外拠点のIT担当者も利用できる仕組みが必要

対策

  • IT基盤の可用性向上に加え、グローバル共通のIT運用オペレーションを行い相互連携を取ることで、問題発生時にも早期に対応が取れる体制に取り組み
  • バッチ処理だけでなく、システムやサービスの相互連携を行うには、ジョブ管理が必須だった。そこで、国内で従来から利用しているJP1を採用
  • 海外拠点のIT担当者にもJP1の利用を促進させるため国内での利用経験をナレッジとして整理し共有

効果

  • 世界5拠点のIT基盤管理組織横断で、問題事象の一次切り分け、手順書通りの作業など標準的な運用オペレーションを整備したことで、速やかに問題へと対応する体制を確立
  • SAP S/4HANAのジョブ管理を、国内外問わずにJP1へ統一したことで、周辺システムとの連携を含め混乱することなく効率的に実装
  • 現在はIT運用のさらなる効率化に向け、無駄を省き自動化を進める“断捨離”にも取り組み中



システム概要



世界市場でのさらなる成長と競争力強化のためSAP S/4HANAを採用


荏原製作所は、1912年の創業以来ポンプやコンプレッサ・タービンなど風水力を用いた機械や設備を主力製品として手掛ける「技術で、熱く、世界を支える」企業です。建築・産業、エネルギー、インフラ、環境、精密・電子の各市場へ向けて、5つのカンパニーのもと幅広い事業を世界117拠点で展開しています。

DX戦略を進める同社では、その一環としてSAP S/4HANAの全社展開を進めています。今回は、その中でもIT基盤の取り組みについて、情報通信統括部 ITアーキテクト部 インフラ・システム課で課長を務める中田 裕信 氏にお話を伺いました。

── DX戦略とIT基盤の関わりについて教えてください

当社では、世界市場でのさらなる成長と競争力強化のため「グローバル一体経営」を目指しDXを積極的に推進しています。IT基盤は主に「守りのDX」です。現在IT基盤に関連するプロジェクトには「全社ERP展開」と「IT基盤グローバル標準」があり、全社の戦略の中でも重要な役割を果たしています。

── 全社ERP展開の背景についてお聞かせください

従来のシステムは各業務が必要とする機能に特化し、業務や拠点で独自にシステムを構築されており、それらはオンプレミス環境の利用が中心でした。グローバル業務標準化の実現に向けては、全社で共通に使えるERPが必要となり、ここで採用したのがSAP S/4HANAです。

── SAP S/4HANAの採用により、グローバルを意識したIT基盤になったわけですね

世界の各拠点が利用できるIT基盤にすること、これがIT基盤のグローバルでの標準化です。ネットワーク、サーバー、ソフトウェアやサービスなどのIT基盤は、全て統一するように選定し、システム構築を進めました。またシステムを構築する環境は、アマゾン ウェブ サービスなどのクラウド基盤を選びました。

── 構築や展開をしていくなかでは、工夫やご苦労もあったのではないでしょうか

今まで別々だったシステムを1つにすることで、IT基盤で発生する問題がグローバル全体の業務に影響を及ぼしかねないということが懸念されました。単にIT基盤を冗長化するだけでなくIT運用も強化が必要でした。また、特に国内では必須となるジョブ管理についてツールに何を選択し、いかにグローバルで標準化させるかという点も懸案でした。


グローバルに展開するシステムであってもジョブ管理を行うならJP1一択


── まずジョブ管理についてお伺いします。今回、JP1をご採用いただいた理由を教えてください

ジョブ管理は十数年前までシステムごとにツールも運用もバラバラでしたが、アシストの協力を得てJP1での国内共通基盤化を図り業務効率化を進めました。 以後もシステムは増え続け、ジョブは大規模ですが安定的に稼働していること、また有事にはアシストが支援してくれるという信頼と安心感があります。

── 他の選択肢は考えられなかったのでしょうか

バッチ処理を動かすだけであれば、他のサービスやアマゾン ウェブ サービスが提供する機能で十分まかなえます。しかし、システムやサービスを相互にかつ柔軟に連携し、一連のジョブとして実行管理を行うには、グローバルに展開するシステムであっても機能が充実しているJP1以外に選択肢は無いという結論に至りました。

── JP1を海外でも利用する上での苦労はなかったでしょうか

国内では既に利用実績もあり、多くのナレッジがあります。それらのノウハウを整理し、海外に展開しました。標準ですから積極的に利用してほしいという意図もあります。JP1は現在、SAP S/4HANAのグループ展開と足並みを揃える形で展開しています。すでに稼働している拠点での大きなトラブルもなく、安定稼働に貢献しています。


オペレーションを統一、迅速に問題解決できる体制がIT基盤の可用性を支える


── IT運用の強化への取り組みについてお聞かせください

仮にIT基盤で問題が発生した場合、運用担当の対応が遅延すると全社への影響はますます広がってしまいます。そこで、グローバルのIT基盤運用担当者が一体となった体制に試みました。

── 具体的にはどのような体制でしょうか

具体的には、日本、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、中国の5つの地域のIT基盤管理組織が相互に連携し、標準的なオペレーションに基づく運用です。グローバル共通のIT運用管理体制を整備したわけです。

── 既に運用体制はできているのでしょうか

はい、システムに何らかの問題が発生した際には、監視システムが異常を検知し、共通運用オペレーション担当者にアラートを通知。この通知を受けた担当者は、通知内容をもとに自社における業務影響を判断し、共有されているナレッジを活用しながら問題の復旧に必要な対応が行えるようにしています。

問題を各担当者が自力で復旧できない場合には、日本やアメリカ、中国などの各リージョンのIT責任者にエスカレーションして解決を図ります。さらに製品ごとの専門的な調査が必要な場合は保守窓口に問い合わせが可能です。このように、オペレーションを標準化し、グローバル共通の運用体制を整えることで、IT基盤の可用性を高めています。

── 取り組みの中で困難に感じているところはありますか

グローバルなIT運用管理体制の実現は容易ではありません。世界中の拠点ごとに言語や技術レベル、業務の進め方など大きな違いがあるからです。そこで日本の本社側から統制を効かせるようにしています。



ジョブ管理の混乱のない実装と安定運用をささえるJP1×アシスト


── アシストからの技術支援に対する評価を教えてください

国内、海外、事業所ごとにジョブ管理の要件が多岐にわたり、その実装にはJP1の豊富な知見が必要で、アシストによるサポートは必要不可欠でした。また、アプリケーション側の改修を行うと、JP1に意図しない影響を及ぼす場合がありますが、アシストの的確かつ迅速なサポートのおかげで業務影響を最小限に抑えて運用できています。

── 技術支援を受けたことによるメリットもお聞かせください

アシストからの実践的なノウハウを身につけてきたことが、対象システムの変化への柔軟な対応、ならびに運用負荷の低減につながっていると感じています。SAP S/4HANAのグローバル展開という大規模かつ困難なプロジェクトにあって、ジョブ管理の部分に極力負担をかけない運用体制を実現できたのは、アシストのおかげといって過言ではありません。


IT運用で守りのDXだけでなく、攻めのDXも実現できないか検討を重ねる


── 今後の運用基盤の構築にあたり、掲げているテーマについて教えてください。

はい、運用基盤の構築を進めるにあたり、現在意識しているテーマは”断捨離”です。断捨離とは、”断行”、”捨行”、”離行”の3つの行いで構成されている言葉です。これをIT運用に当てはめると、断行はインシデントの削減、捨行は不要な業務の廃止し残す作業についても自動化を実現すること。離行は運用基盤の統廃合を意味し、これらを行うことで、IT運用の効率化と省力化を目指しています。

── IT運用を「攻めのDX」にも活かしたいとのことですが、どのようなことを検討していますか

先ほど述べたように私たちは運用基盤の効率化と改善に焦点をあてて、様々な施策を行っております。しかしながら、これだけではIT運用の可能性を十分に活かしきれていないのではないかと感じています。

そこで、IT運用を「守りのDX」だけでなく、新たな価値を創出する「攻めのDX」にも活用できないか検討している最中です。というのも、SAP S/4HANAには様々なデータを集約できるため、このデータを活用して多角的に分析することで、新たな価値を生み出す可能性があります。例えば、需要予測や新たなサービスの検討などに役立てることができるのではないかと考えています。

── 最後にアシストについてコメントをお願いします

従来から色々とお世話になっていますが、特に今回SAPでのJP1活用が円滑に進んだのはアシストの協力によるところが大きいと思っています。断捨離の活動やIT基盤運用の高度化でも活用できるツールやアイデア、支援など、今後もアシストには期待しています。



  • 本稿は取材時の内容に基づくものです。製品やお客様情報など最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。



お客様情報

会社名 株式会社荏原製作所
本社 東京都大田区羽田旭町11-1
創業 1912年11月
URL https://www.ebara.co.jp/
従業員数 連結 19,629名 単体 4,688名(2024年3月現在)
取材日 2024年12月

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