「アシストにはこれからも頼りたい」基幹システムのバッチ刷新、監視集約・統合管理で業務効率化
自動車部品、軸受、工作機械の大手メーカーでありトヨタグループの一翼を担う株式会社ジェイテクト。同社では現在、基幹システムのオープン化を進めています。複数のアプリケーションが段階的に、かつ並行して進む開発と本稼働。この大規模システムのジョブ管理システムを支えているのがJP1です。また、システム統合監視でもJP1を利用し、業務の強化と効率化を進めています |
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「従来から、アシストのサポートには大変お世話になっていました。JP1と言えばジョブと思っていたところ、監視も有用な製品が有ることを知り採用に至っています。基幹刷新は現在も継続中です。これからもアシストのサポートには期待を寄せています」
株式会社ジェイテクト デジタル基盤推進部 主任 原 幸輝 氏
課題/背景
- ジョブ管理でJP1を長年利用しており、アシストのサポートへの高い信頼があった
- ホストからオープン系へのシステム基盤刷新では、全30のアプリケーションが並行開発、段階的な本稼働となり、ジョブ管理基盤にも工夫が必要
- OSや機器などの監視運用を見直し、効率化と問題発生時対応を強化したい
対策
- アプリケーション間で相互干渉しないジョブ管理構成の分離と、ログ出力仕様の共通化
- 段階的に増加するジョブ実行数に対し、拡張性を考慮したJP1スケジューラーサービス構成
- ZabbixとOracle EMCCに監視設定を集中させ、監視通知をJP1/IMに統合
- JP1のインシデント管理製品を新たに導入
効果
- 権限分離、共通化、段階拡張によりシステム要求を満たし効率的なジョブ管理基盤を構築。
現在は1日あたり十数万のジョブが安定稼働中 - 監視システムの集約により、個別設定に比べてメンテナンスの手間を削減
- インシデント自動起票により、異常時の案件起票の手間を省き、起票漏れをゼロに
ホストのオープン化。最初に決まった「ジョブ管理ならアシスト×JP1」
株式会社ジェイテクト では、長年に渡り複数システムのジョブ管理でJP1を利用してきました。
2017年から始まった、基幹システムをホストからオープンシステムへと再構築するプロジェクトでも、ジョブ管理はJP1を利用することが最初に決まったと言います。これには、アシストのJP1サポートを高く評価していることも一因と、株式会社ジェイテクトの原幸輝氏は言います。
原氏
私自身がJP1を利用したシステムでも、エラーが出たときなどサポートの方には何度も助けていただきました。本番稼働後にはJP1ではなくキックされた先のバッチ異常もありましたが、調査と回避策検討まで一緒にしていただくなど、他社にはない手厚いサポートで大変助かりました。その様なサポートの良さもあり、基幹システムを刷新する際にジョブ管理はJP1をアシストから採用することを最初に決めました。
同時期には、監視業務全般の見直しも検討が進められていました。
原氏
従来、JP1と言えばジョブ管理と思っていました。同僚がアシストのセミナーに参加し、監視から運用全般までを製品群として持っていると知り、たまたま監視ツールを探していたため、詳細を確認、検討した結果、JP1の監視ツールとZabbixもまとめて採用しました。
全30アプリケーションが並行して段階的に進む基幹再構築
基幹システムの刷新は、オープン系でいちからバッチ基盤を作る必要がありました。アプリケーション数は30と多く、アプリケーション毎に担当SEも違えば開発ベンダーも違い、並行して開発が進むというものでした。これに対応するためJP1/AJS3の利用でも、いくつかの工夫をしています。
開発時のミスで、他のアプリケーションファイルが削除されることが無いよう、アプリケーション単位でお互いに干渉しない構成が求められます。これに対し、分けられるところは全て分け、影響しないようにしたと原氏は言います。
原氏
アプリケーションとデータベースはサーバを分けています。ジョブスケジューラーはJP1ユーザーとジョブグループ、バッチはOSユーザーとフォルダを分けて権限を付け、Oracle Databaseはスキーマで分けました。JP1だけでなくOracle Databaseもアシストに構築してもらい、この構成の提案を受けました。
アプリケーションごとに要件の変わらないログは共通仕様が求められました。これは、コーディングの標準化でも可能ですが、JP1/ASを利用しています。
原氏
ログ仕様が揃うだけでなく、自動的にログが出力され1行コードを書く必要すらない。JP1/AJS3に連携できるため、開発者はJP1/AJS3-Viewだけを見れば良く、わざわざログをサーバに見に行く必要がない。これにより、かなり開発効率が良くなりました。
開発は順次進行するため、システムには拡張性が求められます。1日あたりのジョブ実行数は、当初12,000回の要求があり、全30アプリケーションでは数万回が予想されたため、これに対応できる構成が求められました。そこで、JP1/AJS3の性能面とバッチ属性を踏まえ、無駄なくリソース増強が可能なようにJP1/AJS3スケジューラーサービスを分ける工夫をしたと言います。
原氏
弊社では日次などで動く「通常ジョブ」と、Web系などオンラインで要求される「即時実行ジョブ」で、スケジューラーサービスを分離しました。通常ジョブの負荷が高くなってきたら通常ジョブを増やし、即時実行の負荷が高くなればそちらを増やしと、必要なものを無駄なく増強できる拡張設計としました。
現在までに、順次アプリケーションの開発、本番稼働を迎えていますが、開発や運用での混乱はなく、1日あたり十数万回のジョブが性能的な課題も無く、安定して実行されています。
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監視業務の改善でも活躍するJP1
基幹再構築を始める時期、それまで使っていた監視ツールのサポートが終了ということもあり、単純なソフトウェア変更だけでなく、運用の見直しも行うことにしました。過去の運用状況から業務の見直しは、監視の仕組み、対応遅延の対策、対応状況の共有、そしてこれらを一連の仕組みとして確立するなどの視点で検討が進められました。
それまでの運用は、OSとミドルウェアの監視はソフトで行っていましたが、機器は個別に監視設定をしていたため手間がかかっていました。通知方法はどちらもメールであったため、担当者の認識が遅れ対応が遅れることもありました。
これを、個別の監視設定ではなく監視システムへの集約。すぐに異常に気が付くことができ、見逃さない仕組み作りを検討しました。
原氏
新監視システムでは、OS、ミドルウェア、機器などの監視はZabbixにまとめました。監視集約により、個別設定に比べてメンテナンスの手間も削減されました。監視情報はJP1/IMに自動連携し、各業務担当のグループ長席にパトランプを設置し、光らせるようにしました。物理的に止めるまでパトランプが鳴るので、担当者の見逃しはなくなりました。Oracle Databaseは、Oracle EMCCに監視設定を集約し、JP1/IMにアラート連携を行い、以後はOSなどと同じ様に対応できるようにしています。
異常通知に対応するインシデントは、従来対応が完了したら報告書を回付する運用だったため、調査中なのか処置中なのかをリアルタイムに解る仕組みではありませんでした。
これを、インシデント管理ツールを利用することで、対応状況の共有ができるようにしています。
原氏
異常対応は、JP1/IMからインシデント管理のJP1/SSに自動連携し、リアルタイムに情報を更新するようにしました。自動起票が行われるため、初動での起票もされ、起票漏れが無くなります。また、室内に大型モニターを設置しJP1/SSの画面を出すことで、全員に対応状況が共有できるようにしました。なおシステム対応は、復旧完了で一旦クローズしますが、問題管理にエスカレーションし、再発防止が完了するまでフォローをする仕組みとしました。
なお、コロナ禍で在宅勤務となってからは、運用を一部見直しをされています。
原氏
在宅勤務でパトランプ運用ができなくなりましたので、利用者に影響が出ているか一目でわかるような仕組みを作り、各担当者の端末から見れるようにしました。また、対策会議は、パトランプがなると会議テーブルに集まって対策検討をしていましたが、今はリモート会議をしています。
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続く基幹システムの再構築と運用改善
原氏 基幹システムの再構築は今も継続中で、大型アプリケーション開発が控えています。監視システムはできたものの、運用改善は未だこれからも進めていく必要があります。引き続きアシスト様にご支援いただきながら今後も課題を乗り越えていきます。
●各略称の正式名称
JP1/AJS3 JP1/Automatic Job Management System 3
JP1/IM JP1/Integrated Management
JP1/AS JP1/Advanced Shell
JP1/SS JP1/Service Support
Oracle EMCC Oracle Enterprise Manager Cloud Control
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 株式会社ジェイテクト |
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本社 | 愛知県刈谷市朝日町一丁目1番地 |
設立 | 2006年1月 |
URL | https://www.jtekt.co.jp/ |
従業員数 | 連結:47,167名、単独:11,665名(2022年3月31日現在) |
取材日 | 2022年5月 |
関連製品/サービス
JP1
JP1は、国内トップシェアを誇る統合システム運用管理ソフトウェアです。システムの自動化や稼働性能監視、資産管理等を統合的に行うことができます。JP1のことなら、実績豊富なアシストにご相談ください。
- システム全体の監視、ジョブ運用等の一元管理を実現
- システム規模に合った最適な投資で開始可能
- 様々なプラットフォームに対応
Zabbix
Zabbixは、オープンソースの統合監視ツールです。システムの監視、アラート通知、パフォ-マンス可視化などにおいて高度な監視を実現します。さらに、監視対象の規模(台数)に依存しないサポート費用(保守費用)となるため、現状の監視コストを大幅に削減することが可能です。
- 商用ソフトウェアに劣らない監視/通知機能を提供
- 幅広いプラットフォーム環境に対応
- ライセンス費用が無料で、コスト削減を実現
ENISHI
ENISHIは、ITサービス環境をアシスト視点のプロダクト、ノウハウ、サービスに照らし合わせ、よりコンパクトで、迅速に成果を挙げられるITサービスマネジメント実践ソリューションです。
- お客様課題の整理・顕在化からお手伝い
- プロダクト、サービス、ノウハウを最適な形でご提案
- ITサービスマネジメント強化のQuickWin
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