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テストデータ準備の無駄を排除してシステム開発を飛躍的にスピードアップ ~品質確保とテスト工数大幅削減を両立~

マツダ株式会社

導入製品/サービス…
Delphix  

マツダ株式会社 Delphix 導入事例

最新ITを活用したシステムの新規開発と老朽化したシステムのモダナイゼーションという「攻め」と「守り」のIT戦略に取り組むマツダ。限られたリソースで対応するには、開発生産性の飛躍的な向上が必須でしたが、テストデータ準備にかかる工数がボトルネックになっていました。そこでDelphix を導入。自由に使える専用の仮想データベース環境を各開発者に提供し、テスト工程の大幅な効率化への取り組みを進めています。

導入のポイント


1.Delphixで各開発者専用の仮想DBを提供、テスト用DB作成の工数と待ち時間がゼロに
2.必要なデータ断面の自由な保持や利用が可能になり、テストの回転率が大幅に向上
3.バグや障害時のデータを簡単に保持・再現でき、調査や修正対応がスピードアップ


課題

  • ITプロジェクトにおいて、開発工程での効率化は一定の効果を上げていたが、テスト工程はまだ改善できていなかった
  • 様々なテストシナリオに合わせたデータの「断面」の作成に工数がかかり、開発者の待ち時間も発生していた
  • バグや障害発生時のデータの保持が困難で、再現による調査に長時間を要していた

対策

  • システム品質に影響せずテスト工程を効率化できるテストデータ準備作業に着目し、Delphixを導入
  • 任意のタイミングの断面に自由に戻れるDelphixのブックマーク機能を活用
  • 必要なデータ断面をDelphixで保持し、修正担当者に簡単かつ迅速に共有

効果

  • 各開発者が自由に使える専用仮想DBの提供でデータ準備時間を削減し、テスト工程を効率化
  • データ断面ごとの物理的なDB作成は不要になり、開発者は待ち時間なく必要な断面を利用可能に
  • 修正担当者がバグや障害をすぐに再現でき、調査や修正対応が大幅にスピードアップ

システム概要図



「攻め」と「守り」のIT戦略の実現に向けて


マツダ株式会社(以下、マツダ)では、新しい技術は挑戦からしか生まれない、というクルマづくりの信念が、技術的な領域のみならず、企画から生産現場まで会社全体に行き渡っています。

MDI & IT本部では、新たなIT技術を核とした次世代システムによる経営貢献を実現するため、顧客とのつながりとサプライチェーンを革新するグローバルサプライチェーンの確立や、最新ITを活用した顧客体験サポートの実現に向けての様々な取り組みを行っています。「攻め」のIT施策がある一方で、既存アプリケーションのインフラ基盤老朽化対応とアプリケーション刷新を行う「守り」の施策も、企業活動継続のためには不可欠であり、「攻め」と「守り」のIT戦略の両立が必要でした。MDI & IT本部 サプライチェーンシステム部 主幹 粟根芳樹氏によれば、こうしたIT戦略に迅速に対応していくには、システム開発の飛躍的なスピードアップが必要だったと言います。

粟根氏  これら全ての案件に、限られた人的リソースと従来の開発手法で対応するには限界がありました。今までの常識を超えたスピードと効率化を実現するために、システム開発の考え方やアプローチ、テクノロジーを抜本的に見直し、新たなスキームの確立に取り組み、一定の効果を上げてきました。しかしテスト工程に対しては本格的な改善のメスが入れられていませんでした。


テストデータ準備にかかる工数がボトルネックに


単体テストでは同一DBを複数プログラムで利用することから、マツダでは競合回避のためにローカルDBを利用しています。つまり、開発者が各自のPCにDB環境を作成し、データを物理コピーで取り込む必要があります。テストデータの取り込みは、テストケースに応じて1日に何度も発生するため、多くの無駄な待ち時間が発生し、開発要員の多い大規模案件ほどトータルでの無駄な時間が大きくなっていました。

MDI & IT本部 サプライチェーンシステム部 リーダー 喜多村泰寛氏によれば、このようなテストデータの運用が、開発生産性向上のボトルネックになっていました。

喜多村氏  様々なテストシナリオに合わせたデータの「断面」は、現行システムを熟知した担当者が、複数テーブル間のデータの整合性を考慮して作成しており、データ取得や保管も手作業のため、多大な時間がかかっていました。テスト実行時においては、最初のテストケースでデータを更新した後、次のテストケースを実行する前にデータを手動で戻す必要があるなど、データの切り戻しが発生します。テストケース数×実行回数でこの作業が発生するため、テスト全体で見ると多くの時間を要していました。

テスト工程においては、一般的に工数と品質はトレードオフの関係にあるため、単純な工数削減は品質低下を招く恐れがあります。しかしテストデータ準備の工数は品質との関連がなく削減可能であると判断し、効率化の方法を模索していました。そんなときにアシストから紹介されたのが、データベース仮想化ソリューション「Delphix」でした。粟根氏はDelphixの機能を知るにつれ「これはテスト工程の効率化に有効ではないか」と確信を深めました。

Delphixは、簡単かつ迅速にデータベースを仮想的に複製し、配布できます。任意の時点の「断面」の取得や、取得した「断面」への巻き戻しも行えます。そのため、各アプリケーション開発者に自分専用の自由に使える仮想DB環境を提供すれば、テスト工程の効率化ができるのではと考えました。


データ準備工数をDelphixで削減、テストの回転率が劇的に向上


2018年1月、マツダはDelphixの事前検証を実施しました。実際のテストケースを想定した検証項目を設定し、期待どおりの効果が得られたことから、Delphixの正式な導入を決定しました。

その後3ヵ月間のパイロットプロジェクトでの利用を経て、現在、完成車の国内流通システムの構築プロジェクトでDelphixを活用しています。このプロジェクトでは開発者が40名ほどかかわっています。2018年10月からスタートした結合テストでは、6つのテスト用マスターDBをDelphixで作成し、複数のテストシナリオを並行して実施することでテストの回転率を上げています。

テスト現場では、任意のタイミングで必要な断面に戻れるよう、ブックマーク(断面)を登録しており、テスト開始2週間後には150個のブックマークが登録されていました。従来は、バグ発生時のデータの正確な再現が極めて困難でしたが、Delphix導入により、バグ発生時にすぐに直前のデータに戻して保持できるようになり、後からでも確実に再現できるようになりました。

MDI & IT本部 サプライチェーンシステム部 主幹エンジニア 品川誠一氏によれば、Delphixの導入や習得も極めてスムーズだったと言います。

品川氏  Delphix導入に際しては、アシストの技術者の手厚いサポートによって、導入や展開がスムーズに進みました。導入当初は、初めてのツールに利用者の戸惑いもありましたが、使い始めてみると「とても便利」「これがないとテストにならない」と評価するほど、テストに欠かせないツールになりました。Delphixはユーザーインターフェースが直観的で分かりやすい点もメンバーに好評で、短時間の説明だけで使いこなせるようになりました。Delphix導入でテスト工程が効率化でき、同じ期間内で実施するテスト数を増やすことができるため、システム品質の向上も期待しています。


Dockerで開発環境をコンテナ化、Delphixでテストデータをコンテナ化の構想


マツダでは現在、開発者個々の専用開発環境をDockerのコンテナ環境として構築・管理する取り組みを進めています。その中でDelphixの仮想データベースを「データコンテナ」として利用できるのではないかと品川氏は期待しています。

品川氏  環境だけでなくデータもコンテナ化していくというアプローチがDevOpsやアジャイル開発を考えたときには重要だと考えています。Delphixの仮想データベースをデータコンテナと見なし、Jenkinsなどの自動実行ツールのプロセス内で各環境と柔軟に結びつけながら、高速にリリースしていく方法を検討しています。

(取材日:2018年9月)


  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。
  • 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。



お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 マツダ株式会社
概要 国内はもとより欧州を中心に海外でも広くビジネスを展開、ロータリーエンジンに代表される独自技術や、走りにこだわったクルマ作りが多くのユーザーに愛され続けており、またその優れた製品デザインも世界中で高い評価を受けています。
本社 広島県安芸郡府中町新地3番1号
設立 1920年1月30日
資本金 2,840億円
社員数 単体 22,617名 連結 49,755名
URL http://www.mazda.co.jp/
 
(2018年3月31日時点)

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  • プロジェクトの開発生産性を飛躍的に向上
  • 任意のタイミングのデータベースの複製を瞬時に生成
  • DBの複製に必要なスペースは物理コピーの1/10程度

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