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インメモリDBとも遜色の無い性能を発揮!データドリブン経営を支えるDWHをAutonomous Data Warehouseで再構築

エステー株式会社

導入製品/サービス…
Oracle Cloud Infrastructure  Oracle Database  

エステー株式会社様


消臭剤・防虫剤・除湿剤などを提供する日用品メーカー、エステー株式会社(以下、エステー)。独自性の強いブランドラインナップを展開し、自社データだけでなく、卸店から販売店への販売データや販売店のPOSデータ、市場調査情報を含む膨大なデータを商品開発や営業活動で活用しています。同社では、このデータベース基盤をオンプレミスからOracle Cloud Infrastructure のOracle Autonomous Data Warehouseに移行。インメモリデータベースと遜色の無い性能を発揮し、コストと運用工数の大幅な削減を実現しています。

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「コストは約40%の削減、運用負荷は約85%の軽減となり、エンドユーザーへのサービスレベルをほぼ落とすことなく、大幅にコストを削減し、運用改善が図れました」

エステー株式会社
経営統括本部 経理財務・IT部 ITチーム
今野 昭彦 氏

課題/背景

  • 情報系のOracle Databaseに常時20億件を超えるデータを保持し、エンドユーザー視点に対応するために分析用のデータを切り出して、高速なインメモリデータベースも併用
  • オンプレミスのマルチベンダー構成は、管理コストや運用負荷が掛かっていた
  • データベースのバックアップが遅延し、日次でのフルバックアップが既にできない状況だった
  • データベースのシステム老朽化対応が必要だが、インメモリデータベースの保守先が見つからなかった

対策

  • サービス内容やコストを評価し、Oracle Databaseとインメモリデータベースの両役割の後継として、Oracle Autonomous Data Warehouseを検討
  • 実データを用いた評価検証を行い、性能、運用、コストを確認して採用を決定
  • アシストの技術支援を受けながら、移行時の課題を解決

効果

  • インメモリデータベースとほとんど変わらない高速検索性能
  • 従来の環境と比べて、コストを約40%削減
  • バックアップの改善や運用負荷の軽減により、基盤の強化と運用負荷の約85%の削減を実現
  • アシストへの保守窓口の一本化により、障害時に手間が掛かる切り分けから開放




エステーの製品戦略、販売戦略を支える情報系システム


暮らしの中の困りごとや不快なものを、独自のエアケア技術で解消し、お客様に“爽やかで心地よい気分”をお届けしているエステー。消臭芳香剤「消臭力」、防虫剤「ムシューダ」、冷蔵庫の脱臭剤「脱臭炭」など、ニッチな市場で高いマーケットシェアを占める独自性の強いブランドを数多く保有しています。

製品戦略や営業戦略で用いられる情報系システムでは、基幹システムや営業、会計などの自社データだけでなく、流通業の販売データも活用していると、経営統括本部 経理財務・IT部 ITチームの今野 昭彦 氏は言います。

今野氏  当社は、製造業ではあるものの日用品メーカーという特性上、流通業が扱うデータを非常に重要視しています。自社の卸店様への出荷データに加え、業界VANで受け取る卸店様から販売店様への販売データや販売店様から受領しているPOSデータ、さらに市場調査情報を含む5年分の合計20億件以上のデータを保持しています。これらの販売データは、製品開発や卸店・販売店様への提案資料などで活用しています。

エステーでは、大量のデータをいかにストレスなく集計できるか、ユーザー部門がいかに迅速に有効な情報を表示できるかというテーマに、フロントとデータベースの両面から長年取り組まれてきました。現在、フロントは、内製のアプリケーションと部門での分析用のBIツールを提供しています。データベースは、従来、Oracle Databaseを利用しつつも分析用のデータを切り出して、インメモリデータベースを併用する構成を取っていました。



ユーザー利便性とIT部門の業務効率化の両立の検討へ


検索性能に優れたインメモリデータベースの導入により、ユーザーのデータ活用が進みました。その一方で、導入から4年ほどが経ち、ハードウェアの老朽化対応でリプレースの検討を始める頃には、いくつかの運用課題が顕在化してきました。

今野氏  マルチベンダーで構築したシステムは、障害時の問題の切り分けに負荷が掛かり、実装環境であるUNIXが解る社内のIT人材も限られるなど、人的な課題を抱えていました。環境面においては、バックアップの保存に次第に時間が掛かるようになり、ストレージを増強しないと日次でのフルバックアップが既に取得できない状況になっていました。また、構成を変えずにハードウェアとミドルウェアを最新化したくても、インメモリデータベースの最新版の保守先が見つからないという問題に直面していました。

運用課題に加え、経営からはコスト削減が望まれ、頭を悩ませている頃に紹介を受けたのが、Oracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)です。特に注目したのが、OCIの自律型データウェアハウスサービスであるOracle Autonomous Data Warehouse(以下、ADW)でした。

今野氏  ADWが分析ニーズに対応する性能を発揮できれば、インメモリデータベースを排することができ、エンドユーザーの利便性を損なうことなくシンプルな構成にできます。コスト試算でもオンプレミスより安価となり、年額前払いができるOCIの課金体系も当社向きでした。クラウド化できれば、ハードウェアの保守や老朽化などの問題から解放されますし、スケーリングや保守運用に関する負担も大幅に軽減することが見込めます。さらには、バックアップの課題も解消でき、BCP対策の強化にも繋がります。「これなら行けるかな?」というのが当時の思いです。


インメモリDBと遜色の無い性能を発揮したADW。顕著に表れた運用、コスト効果


同社で検討を進めるには、従来と同等の性能を確保できるかを見定める必要がありました。また、クラウド利用が初となることもあり、運用面においても確認が必要と考えられました。一方で、クラウド環境の構築は、オンプレミスと異なり、ハードウェアの手配や手間の掛かるインストール作業などが不要で、短期間に少ない工数で準備できます。そこで、実データを利用した評価検証を進めることになりました。

今野氏  性能検証は、販売やPOSデータなどの大量データを対象に、全件検索や色々な条件設定での集計処理を実施しました。従来のインメモリデータベースと検証環境のADWを比較すると、例えば、0.5秒が0.8秒、1.04秒が1.08秒など若干遅いケースもありましたが、体感としては、ほとんど変わりませんでした。OCPU(Oracle Compute Unit)を増やすことで、さらに高速に、またはセッション増加にも対応できますので、負荷が高い繁忙期にだけ増強することも視野に入ります。これらから、ADWに移行しても、従来と遜色の無い性能を確保できると判断しました。

同社では、運用に必要なほとんどの操作をOCI管理コンソールから容易に実行できることを確認した後、運用業務の改善ポイントを整理し、性能、運用、コストの総合評価でADWへの移行を決定しました。

今野氏  この基盤刷新により、コストは4年間の従来環境比で約40%の削減、運用負荷は約85%の軽減となり、エンドユーザーへのサービスレベルをほぼ落とすことなく、大幅なコスト削減をしつつ運用改善が図れました。
OCIの選択により、運用業務の多くをクラウドに任せることができ、基盤の強化を実現しています。また、サポートの窓口をアシストへ一元化することができ、障害時に手間が掛かる切り分けから開放され、何かあればアシストに連絡すれば済むというシンプルな運用体制を確立できました。



導入から2年が経過して


システム構築は、コロナ禍だったこともあり、評価検証を含む全ての作業がリモートで実施され、2021年5月に本番を迎えました。OCI環境への移行から2年が経過しての感想を、今野氏は次のように語ります。

今野氏  移行から2年運用してきましたが、この間にもOCIは常にアップデートされ、機能もますます充実しています。こういうクラウドの変化は、場合によっては付いて行くのが大変だなという懸念があったのも事実ですが、現在まで安定した運用を続けています。また、安定運用による直接的な課題解決だけではなく、限られた自社システム要員の日々の負荷を減らせたことや次のハードウェアのリプレース検討から開放されたことが、この選択をして良かったと思う点です。

また、アシストについては、取り扱い製品の知識とプロフェッショナルな現場視点でのサポート対応を評価し、そこに今後も期待していると言います。

今野氏  例えば、移行当時は、ADWからオンプレミスにDB Linkができないという制限があり、仕組み自体の見直しになるのかと危ぶまれましたが、アシストからは回避アイデアを提案いただき、無事に乗り越えることができました。アシストのこうした現場の事情を理解した支援やアシスト・クラウドマネージドサービス(ACMS)によるサポートが、我々にはありがたいと思っています。現在のADWではこの制限がなくなっていますが、ADW環境が進化すると、今度は周囲のデータベースやアプリケーションとの接続性の課題も予想され、恐らく今まで以上にサポートの重要性が高まっていくと考えられます。これまでのOracle Databaseなどのサポートでも、こちらの問い合わせに対し迅速で的確な回答をいただいており、ノウハウが蓄積されていることを実感していますが、これからも製品だけではないプロフェッショナルな現場視点での技術支援やサポートを期待しています。

エステーの情報系システムは、社内の多くのシステムと連携し経営戦略などでも活用されています。同社の強みである製品開発力とマーケティング力にさらに磨きを掛け、スピード経営に貢献できるITに向けてシステムの進化は続きます。



  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。
  • 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

本社 東京都新宿区下落合1-4-10
創立 1948年8月31日
資本金 70億6,550万円 (2023年3月31日現在)
従業員数 連結 859名 / 単体 441名 (パートタイマー・嘱託を除く)(2023年3月31日現在)
URL https://www.st-c.co.jp/
取材日 2023年5月

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