製造現場の人財不足の課題解決へ
─ 動画による技能伝承で育成の効率化と標準化を実現
豊田鉃工株式会社
- 導入製品/サービス…
- Panopto
|
豊田鉃工株式会社(以下、豊田鉃工)は車の骨格部品などの設計・生産を行うプレス部品メーカーです。グローバルに事業を展開し、世界中の自動車産業を支えています。若年労働者が減少し、外国人労働者が増加している中、製造現場での人財育成が大きな課題でした。動画活用プラットフォームの「Panopto 」を採用し、工場の現場に教育動画を展開。育成の効率化と標準化を進めています。 |
|
|
「設備に貼り付けたQRコードをスマートフォンで読み込むと、その場で動画を見て、設備の作業手順を確認できます。シフト・勤務地を問わず、Panoptoで動画をいつでも、どこでも、繰り返し見られる環境を整備しました」
豊田鉃工株式会社 人事総務部 副部長 中牧 政人 氏
課題/背景
- 若年労働者の減少と外国人労働者の増加を背景に、人財育成と技能伝承が課題
- 工場のラインでは、紙の手順書による新人や外国人への教育に限界
- 教える人によって作業手順にばらつきが生じていた
- 動画コンテンツの共有・管理が困難
対策
- 新人や外国人への教育方法を、従来の紙の手順書から動画ベースに変更し、教え方を統一
- 「Panopto」を動画活用基盤として採用
- 工場内の設備にQRコードを貼り、スマートフォンで読み込んでその場で作業手順を確認
- 外国人労働者へも正しく伝わるよう、動画に各国の言語で字幕を表示
効果
- 新人が一人で作業ができるようになるまでの教育時間が約40時間から半分に短縮
- 教える際のばらつきがなくなり、教育内容を標準化。これにより、作業の平準化にも効果
- 他の作業内容も学べることで、ポテンシャル人財の発掘や多能工化を促進
- 国家検定の実技対策用の動画により、機械検査の技能検定は合格率が24%アップ
|
変革を迎える自動車業界で工場労働者の確保と育成に課題
豊田鉃工は、自動車用の鋼板や樹脂部品、電子部品などを生産するプレス部品メーカーです。国内は10拠点、国外ではアメリカやカナダ、中国、トルコなど9カ国16拠点でグローバルに事業を展開し、世界中の自動車業界を支えています。
現在、国内では少子高齢化によって若年労働者が減少し、外国人労働者が増加傾向にあります。豊田鉃工で教育・採用を担当する人事総務部 副部長の中牧政人氏は、人財育成と技能伝承が大きな課題となっていると明かします。
中牧氏
例えば、組立作業での新人教育では、今までは紙の手順書を使って作業を教えていました。しかし、手順書だけでは理解が難しく、習得には約40時間かかっていたのです。外国人向けの教育も同様に行っていましたが、ジェスチャーを交えながら説明する必要があり、さらに時間がかかりました。従来の手順書だけでは限界を迎えつつありました。
新人教育に動画活用を開始して高い評価を得るも、利用環境に課題
豊田鉃工では、より効率的な技能伝承を目指し、動画を用いた新人教育をスタートします。
中牧氏
熟練者の作業を撮影した動画をもとに新人へ教育を行ったところ「細かな手元作業も分かる」、「イメージが付きやすい」と高評価でした。試行のため、技能検定の合格率向上対策に動画教育を採り入れたところ合格率が飛躍的に向上しました。
動画教育の有効性を確信した同社ですが、現場への展開にはいくつかの課題がありました。
中牧氏
現場からはいつでもどこでも繰り返してすぐ見たいが「PCを毎回現場に持ち出すのが大変で、台数にも制限がある」「動画を保管することでPCの動作が遅くなる」「社内サーバーの容量が不足している」という声があがりました。動画は管理・共有が難しいという問題が明らかになったのです。
そこで、同社は動画管理基盤の導入を検討します。期間限定の社員などもいるため、適切なユーザー管理が必要です。動画へのアクセス制御が柔軟にできること、容量無制限で動画を保管できることなど、動画の録画・編集から共有までの動画活用を支える機能を備えた「Panopto」を採用しました。あわせてスマートフォンを導入し、ネットワーク環境を整備しました。
スマートフォンで読み込んでその場で作業手順を確認
Panoptoを用いて、工場内に動画を展開し、現場からの要望であった「いつでも、どこでも、すぐに見たい」を実現するための工夫が施されました。
中牧氏 新人をはじめとする作業者がスムーズに動画を閲覧できるよう工場内の各設備に動画閲覧用のQRコードを貼り付けました。スマートフォンでQRコードを読み込むと、アプリが起動し、その場で動画を見て設備の作業手順が確認できます。先輩社員から説明を受けた後に、再度説明をお願いしづらいという新人も動画であればその場で何度でも確認できます。
そして、外国人向けにも正確に伝えられるよう動画には外国語の字幕が表示されます。
|
動画活用環境の整備により、40時間かかっていた作業時間を半減
シフト、時間、勤務地を問わず、動画を「いつでも、どこでも、繰り返し、すぐに見られる」環境を整備しました。新人はベテラン社員と自分の作業を録画し、動作の比較や振り返りもできます。その結果、新人が一人でライン作業ができるようになるまでの育成時間が、従来の40時間から半分に短縮されました。効果は、教育コストの削減だけではありません。教育体制が高度化されたと中牧氏は述べます。
中牧氏
新人からは「先輩社員から教わる内容にばらつきがなくなり戸惑うことがない」という声があがっています。勤務場所や教える人による教育の差がなくなることで、作業の平準化につながります。他のラインの作業内容も学べますので、ポテンシャル人財の発掘や多能工化促進にも効果を感じています。
同社では、現場だけではなく資格取得にも動画教育を採り入れています。例えば、検定の実技対策用の動画を公開したところ、国家検定である機械検査の技能検定の合格率がPanopto導入前と比べて24%向上しました。(Panopto導入前後の2年間で比較)
|
国内工場から他部門、海外まで動画利活用環境のさらなる拡大を目指す
豊田鉃工は動画活用を進め、最終的にグローバルでの業務標準化につなげていきたいと、社内でのPanopto導入に携わった技術開発本部 DX・IT推進部 IT管理室 主担当員 加藤 大典氏は将来の展望を語ります。
加藤氏
今後は事務系部門でも経営層からのメッセージ動画の作成・周知や各種社内教育での活用を目指します。その他にもクラブ活動報告、技術会の研究発表、講演会の動画保存などでも動画を活用していきたいと考えています。現在はステップ1として国内工場での動画活用を進めている段階ですが、ステップ2では事務系部門での動画活用を、最終的なステップ3では海外工場との動画共有を検討しています。
これまでのアシストの対応について、技術開発本部 DX・IT推進部 IT管理室 インフラグループ 高橋 絵美氏は、サポートの手厚さを高く評価します。
高橋氏
問い合わせ時の対応が親切で、説明が分かりやすくレスポンスも早いです。定例会で動画使用実績について意見交換してもらえたり、Panoptoユーザー同士の意見交換の場を定期的に用意してもらえるなど、とても助かっています。今後も、メーカー共に操作説明動画の拡充や動画編集ノウハウを共有してもらえることを期待します。
- ※本稿は取材時の内容に基づくものです。製品やお客様情報など最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
会社名 | 豊田鉃工株式会社 |
---|---|
本社 | 愛知県豊田市細谷町4丁目50番地 |
創立 | 1946年2月27日 |
URL | https://www.tiw.co.jp/ |
従業員数 | 連結 16,168名 単体 2,563名(2024年3 時点) |
取材日 | 2024年5月 |
関連製品/サービス
Panopto
Panopto(パノプト)は、企業における動画の活用を推進するエンタープライズ動画管理基盤です。動画を作成し、活用するのに専門知識は必要ありません。全ての社員が様々な場面で動画を日常的に活用することで、業務の効率化や新しい働き方の実現、人材育成やリスキリング、コミュニケーションの活性化をPanoptoが支援します。
- 誰もが動画を作成出来る簡単なレコーディング機能
- 社内の共有を強力に支援するガバナンス機能
- 音声、資料、手書き文字も検索可能にする独自の技術