Zabbix導入の勘所は適切な設計とテンプレート活用!
ビジネススピードアップに貢献したZabbix活用術
北海道電力株式会社
- 導入製品/サービス…
- Zabbix
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総合エネルギー企業 北海道電力株式会社(以下、北海道電力)は、システム監視ツールの高額な固定費や煩雑なライセンス管理などに課題を感じ、リプレースを決断。着目したのは、国内外での導入実績が豊富なOSSの監視ツールZabbix でした。Zabbixの導入で、固定費を75%も削減した上ライセンス管理作業も不要となり、運用担当者が注力すべき業務に集中できる環境の構築と、安定稼働を実現しています。 |
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導入のPOINT
1.高額な固定費と煩雑なライセンス管理という課題をZabbix導入により解決
2.運用監視だけでなくOSSにも強いアシストのサポート力
3.適切な運用設計とテンプレート活用で、監視設定作業を高い精度で効率良く実施
課題/背景
- 監視対象の業務サーバ台数に合わせた監視ツールのライセンス購入が必要なため、ライセンスと保守費用が高額
- サーバの新設、廃棄に合わせたライセンスの管理が煩雑
- ライセンス納期に1ヵ月を要し、事業環境の変化への迅速な対応が困難
- ツール自体に頻度高く不具合が発生し、解決のために運用担当者の作業工数が増加
対策
- コストとライセンス管理課題の解決を目的に、OSSの監視ツールZabbixを導入
- ライセンス手配不要による、新設サーバへのエージェント展開の早期化
- 監視設計や監視項目のテンプレート化など作業の標準化をアシストの支援のもと推進
効果
- ツールに掛かっていた固定費を75%削減
- 煩雑なエージェントのライセンス管理や納期待ちが無くなり、ビジネススピードのアップにも貢献
- 運用作業の標準化と自動化で運用担当者の負担激減を実現
- 大規模環境でのZabbixバージョンアップも、アシストとの作業で確実に実施
監視体制イメージ図
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監視ツールの高額なライセンス費用や煩雑な管理が運用課題に
北海道電力は、北海道や首都圏で電力小売り事業や発電事業を行う電力会社です。北海道道内64ヵ所に設置された発電所で、法人・個人需要家向けに安定的に電力を作り出すと共に、近年は総合エネルギー企業として、道内におけるLNGガス販売や再生可能エネルギー事業、エネルギーサービスプロバイダー事業を展開しています。
同社では従来、システム運用における障害や性能監視を、仮想環境に構築された業務サーバに監視ツールのエージェントをインストールし、何かあればサーバ運用担当者にアラートを通知し対処する体制を敷いていました。しかし、この運用には複数の点で課題を感じていたと、情報通信部情報基盤グループ 鈴木大基氏は次のように語ります。
鈴木氏 まずはコストです。当時、約500台の監視対象となる業務サーバが存在していましたが、監視ツールのライセンス取得と保守に掛かるコストが年間2,000万円を超える、非常に高額なものとなっていました。また、ライセンス形態がエージェント数に依存するものであったため、管理面からサーバの新設や廃止のたびにライセンス利用状況の更新が必要で、管理簿の整理が非常に煩雑でした。新規ライセンス調達にも時間を要すことも、事業環境の変化に合わせて仮想マシンをタイムリーに立ち上げたい当社にとって、課題となっていました。これらの課題に加えて監視ツール自体にも高い頻度で不具合が発生するなどの背景もあり、監視ツールのリプレースを決断しました。
ライセンス・保守費用と採用実績を重視しZabbixを採用
同社では、新しいツールの選定にあたり「年間保守コストを削減する」「ライセンス管理が容易あるいは不要なものにする」「新規ライセンス調達時の納期が短いものにする」「不具合発生時にも運用担当者が忙殺されずに済むよう、外部から手厚いサポートが受けられるものにする」という4つの要件を挙げています。これらを考慮して調査を進める中、最終的な候補となったのがOSSの監視ツール「Zabbix」でした。
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最適な運用設計とテンプレート活用がZabbix運用のコツ
旧監視ツールからZabbixへの移行は、同社とアシスト共同で行われました。当時の作業と「Zabbix運用のコツ」を、鈴木氏は次のように振り返ります。
鈴木氏
移行作業は、アシスト社に技術支援を受けながらの実施となりました。500台を超える環境をZabbixで性能的に問題なく稼働させられるかの事前の性能検証。何をどのように監視しどこに通知すべきかといった、監視や運用の基本設計。そしてサーバ構成の検討から導入・テストまで、当社のシステム状況に沿った監視環境構築が進められました。
同時にそれまで抱えていた運用課題の改善も行いました。例えば監視設定の登録はシステム開発担当者から提出される監視登録原票より手動で運用担当者が監視設定に落とし込んでいましたが、管理要件シートから監視設定を自動的に生成するツールを作成しました。これにより、運用担当者の作業工数削減と設定精度の向上につながりました。また、OS単位で標準化が可能な監視項目はテンプレート化を行い、効率良く適切な監視ができる体制を整備したことで、監視サービスの品質向上につながっています。
どの業務にも言える話ではありますが、運用業務のコツは属人化しないように設計を簡単にするということです。以前の監視ツールはやや難しく、運用できる人間が限られていました。しかし監視設定自動生成ツールを準備したことで、Excelで作成した監視登録原票を理解することができれば運用が可能となり、運用担当へのアサインが容易になりました。もう1点の運用のコツは、テンプレートです。設計によって運用の負荷が大きく変わるため、導入設計時に実際の運用担当者協力の下、自社に合ったテンプレート設計をすることが大切だと考えます。
固定費削減効果に加えて得た、安定稼働の実績とコア業務への注力環境
同社はZabbix導入により、コストだけではない運用改善メリットがあったといいます。
鈴木氏
Zabbix導入により固定費のおおよそ75%削減に成功しています。固定費の削減効果だけではなく、タイムリーに新規仮想サーバが展開できるようになり、ビジネススピードが加速したことも狙い通りでした。また、エージェント数を把握する必要から生じる煩雑なライセンス管理から解放されたことで、運用担当者が本来の業務に専念できる環境も醸成されています。導入から早6年。大きな障害なく安定稼働を継続していることを嬉しく思っています。現在、Zabbixバージョン3.0のサポート終了に伴う、バージョン5.0へのバージョンアップ作業が進行中です。バージョンアップでは作業に伴うダウンタイムを極力小さくするということが命題ですが、作業プランは現環境を知るアシストの伴走型支援を受け検討を進めました。Zabbixの設定バックアップツールや、自動化ツールの活用などの工夫をしつつ、数百台のサーバへの新エージェント展開を進めています。
北海道の灯りを守るために、その陰で不断の努力を続ける北海道電力。アシストは、同社のミッションクリティカルなサーバ運用を今後もしっかり支えていきます。
- ※ 本事例は取材時の内容に基づくものです。
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本事例でご紹介したお客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 北海道電力株式会社 |
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概要 | 北海道の灯りを守り、地域の経済や暮らしを支えることを使命としています。「ともに輝く明日のために。Light up your future.」をスローガンに、大きな責任とともにエネルギー供給を担っています。 |
本社 | 札幌市中央区大通東1丁目2番地 |
設立 | 1951年5月1日 |
資本金 | 114,291百万円 |
従業員数 | 単体2,337名、連結10,226名(2022年3月現在) |
URL | https://www.hepco.co.jp/ |
取材日 | 2022年5月 |
関連製品/サービス
Zabbix
Zabbixは、オープンソースの統合監視ツールです。システムの監視、アラート通知、パフォ-マンス可視化などにおいて高度な監視を実現します。さらに、監視対象の規模(台数)に依存しないサポート費用(保守費用)となるため、現状の監視コストを大幅に削減することが可能です。
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