テストデータ基盤をDelphixで構築し電力事業を支えるシステム開発の効率化と品質向上を同時に実現
関西電力株式会社
- 導入製品/サービス…
- Delphix
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関西電力のシステム開発・維持運用を一手に担う関電システムズでは、システム開発におけるテスト効率化を目指し、データベース仮想化ソリューション「Delphix 」を導入。単体・結合・運用テストでのテスト用データの準備やテスト前データへの巻き戻しがわずか数分で可能になりました。こうしたテストの大幅な効率化がテストケースの増加およびテストデータの量や種類の充実につながり、その結果、システムの品質向上に大きく貢献しています。 |
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導入のポイント
1.本番データベースと同等のテストデータが短期間で利用可能に
2.任意のデータ断面の取得や特定時点へのデータの巻き戻しが容易に
3.テストのデータ量と回数を増やすことができ、システム品質が大幅に向上
課題
- クラウド化、モバイル活用などの開発案件が急増していた
- 高品質なサービス提供のため、開発コストの半分をテスト工数が占めていた
- テストで必要なデータの申請~提供に時間がかかっていた
対策
- PoC実施によりテスト工程を最大46%効率化できることを確認し、Delphixを導入
- テスト工程で繰り返し発生するデータ断面取得や巻き戻しの工数を削減できるDelphixを導入
- 全社横断のテストデータ共通基盤をDelphixを活用して構築
効果
- テスト工程効率化により、より多くの開発案件に対応できるようになった
- 高品質なサービス提供を維持しながらテスト工数の大幅削減を実現できた
- 最大3ヵ月かかっていたデータ申請~提供のリードタイムを数日に短縮できた
システム概要図
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システム開発プロジェクトにおけるテスト工数をいかに削減するか
近畿エリア全域をカバーする電力会社として地域の生活インフラを支え続けてきた関西電力株式会社(以下、関西電力)。2020年4月の電気事業法改正に伴い、送配電事業を分社化して関西電力送配電株式会社(以下、関西電力送配電)を発足させたほか、現在では関西電力グループ全体で97社のグループ企業を抱え、多種多様な事業を展開しています。
また現在は、より高い顧客価値の提供と事業の継続的な成長に向け、デジタル技術を積極活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。この取り組みにおいて中心的な役割を担っているのが、関西電力の事業に精通したITプロ集団としてシステム開発・維持運用を担う株式会社関電システムズ(以下、関電システムズ)です。
同社が担当するシステムは重要な社会インフラであるため極めて高い品質が求められます。そのためシステム開発プロジェクトにおいては常に十分なテストに取り組んでいます。一方、関西電力グループではシステムのクラウド化や「関電停電情報アプリ」といったモバイルアプリ等、利用者の安心や利便性向上を目的とした開発案件が急増しており、開発の効率化が急務でした。
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株式会社関電システムズ ソリューション本部送配電システム部 配電システム外線グループ 岡田賢治氏によれば、この一見すると相反するようにも見える2つの要件を両立させるのは、決して容易ではなかったといいます。 |
データベース仮想化ソリューション「Delphix」を導入
そうした折にアシストから紹介を受けたのが、データベース仮想化ソリューション「Delphix」でした。Delphixは独自のデータベース仮想化技術を使い、本番データベースの複製を短時間で作成したり、任意のタイミングのデータ断面を瞬時に取得できる製品です。テスト用データベースの作成やデータの洗い替え、巻き戻しなどテストを実施する中で何度も発生する作業に多くの労力を費やしていたため、極めて魅力的なソリューションに映りました。
同社では早速、Delphixの機能や使い勝手を検証すべくアシストの支援のもとPoCを実施しました。その結果、「高い導入効果が見込めそうだ」との結論に至ったといいます。
岡田氏
テストでは「月末時点のデータ」「年次バッチ用データ」など、特定のタイミングのデータが必要です。以前は、これらをその都度手作業で作成していました。また開発環境のディスク容量は限られていたため、必要なデータ全てを準備できるわけではありませんでした。Delphixは少ないディスク容量で本番相当量のデータを利用でき、かつ任意の時点のデータ断面をテスト担当者自身が簡単な操作で瞬時に取得したり、巻き戻したりできるため、テスト工数を大幅に削減できそうだと考えました。
こうした評価結果を踏まえ、同社はまず特定のシステム開発プロジェクトにDelphixを導入し、その効果を測定することにしました。
テスト工程効率化とシステム品質向上を同時に実現
関電システムズ 松添 隆康 氏 |
Delphixの利用・管理環境は特定のプロジェクト内に閉じるのではなく、関西電力や関西電力送配電全体の共通基盤とし、運用の効率化やガバナンス確保を図ることにしました。この共通基盤の構築を担当した株式会社関電システムズソリューション本部テクニカルラボ クラウド&アーキテクチャグループ 松添隆康氏は、当時を次のように振り返ります。
松添氏
Delphixのデータベース仮想化技術そのものが極めて斬新なものだったので、製品を理解するまでに少し時間を要しましたが、分からない点はアシストに問い合わせると迅速に回答が得られ、とても助かりました。またセキュリティ対策の観点からいくつか課題があったのですが、これも社内の関係各所にDelphixの仕組みや導入意義を説明し、理解を得ることでクリアできました。
本番プロジェクトのテスト工程にDelphixを導入すると効果は明確に表れ、単体テストでは6%、結合テストでは34%、運用テストでは実に46%もの工数削減効果が得られました。特に現新比較を行う運用テストでは、現システムと新システムのバッチ処理結果が一致するまで繰り返しテストを実行するため、Delphixが持つ「データを任意のタイミングに瞬時に巻き戻せる」という機能が大いに威力を発揮しました。
岡田氏
これまで様々なツールを「導入しても使われない」ということが繰り返されていたため、Delphixも現場に定着するか不安でしたが、直感的なGUIで操作でき、またアシストが説明会を開催してくれたこともあり、皆すぐに使いこなせるようになりました。このプロジェクトが終了した後も「テスト業務には欠かせない」「Delphixを継続して使いたい」と言うテスト担当者もいました。
また、開発環境のディスク容量の制限のため、本番相当のデータベースの一部を絞り込んでテストに利用していましたが、ディスクを増設することなくデータ全量を使えるようになりました。また、テストデータをインフラチームから開発チームに短時間で提供できるようになったことから、テストの実施回数や網羅性が飛躍的に向上し、本番稼働後に不具合が発生するということがなくなり、システム品質向上という効果がもたらされました。
今後は大規模プロジェクトにおけるDelphix導入を予定
これらの導入効果は関電システムズ社内のみならず、システムの発注元でもある関西電力からも高く評価され、別の大規模プロジェクトでの利用が早々に決まりました。こうしてDelphixの適用範囲を徐々に広げていくことで開発効率化をさらに推し進め、コスト削減と品質向上を両立するシステム開発を実現させていきたいと松添氏は抱負を述べます。
松添氏
Delphixの有効活用による費用対効果を明確に示すことができたため、関西電力共通のテストデータ基盤として採用されました。今後は更に大規模なプロジェクトでも高い効果を出していくことが私たちの重要なミッションだと考えています。
アシストに対しては、関西電力グループが進めている「システムのクラウド移行」をはじめとするDX施策に貢献できる提案をこれからも期待している、と語ります。
松添氏
現在、関西電力のシステムのクラウドシフトを進めています。データベースは将来的にはAmazon RDSに移行し、クラウドネイティブなアーキテクチャに変えていきたいと考えています。そのためDelphixのAmazon RDSへの対応に期待していますし、アシストにはDelphix単体だけでなく、他のツールと組み合わせて、さらに高い価値を享受できるソリューションをぜひ提案してほしいです。
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
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お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 関西電力株式会社 |
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本社 | 大阪市北区中之島3丁目6番16号 |
設立 | 1951年5月1日 |
資本金 | 4,893億円 |
従業員数 | 8,770名(グループ全体:31,933名)(2021年3月31日現在) |
URL | https://www.kepco.co.jp/ |
取材日 | 2021年11月 |
関連製品/サービス
Delphix
Delphix Continuous Data(以下、Delphix)は、ビジネス上のある特定の時刻の本番データを生成して、開発/テスト環境を瞬時に提供するデータベース仮想化ソリューションです。データの準備にかかる時間の最小化は、開発のスピードアップに大きく貢献します。
- プロジェクトの開発生産性を飛躍的に向上
- 任意のタイミングのデータベースの複製を瞬時に生成
- DBの複製に必要なスペースは物理コピーの1/10程度
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