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電力スマートメーターの情報活用で顧客価値創造を!四国地域
約270万戸の膨大なデータの処理性能をExadataで向上

四国電力株式会社

導入製品/サービス…
Oracle Exadata  Oracle Database  

四国電力株式会社様

四国地域約270万戸のお客様に電力を供給する四国電力では、電力スマートメーターにより得られる30分ごとの電力使用量の情報を利用し、顧客サービスの向上や新たな価値創造に向けたデータ活用を進めています。この膨大なデータのデータベース基盤にOracle Exadata Database Machine (以下、Exadata)を採用し、システム全体の処理性能の向上と運用業務の効率化を実現しています。

四国電力株式会社

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「Exadata導入によりスマートメーター全戸設置に向けて万全の環境が整いました。今後は、この大量データを活用・分析し、業務効率化や革新的なサービスの創出などによる競争力の強化、新たな価値創造の実現を図りたいと考えています」

四国電力株式会社 情報システム部 基盤開発・最適化グループ リーダー 濱上 輝之 氏

課題/背景

  • 電力小売全面自由化をきっかけに、30分値電力量を自動検針するスマートメーターの導入が順次拡大
  • 検針値などを収集・管理する基盤は、データの急増により処理性能が劣化し、業務にも影響が出始めていた
  • 自由化後はサービス拡充のシステム改修が頻発し、業務システムの抜本的な見直しはできずにいた
  • 計画的に増強してきたサーバのリソースも上限に達しており、サーバの保守サポート期限も迫っていた

対策

  • 性能面で寄与する独自機能を有し、拡張性に優れたExadataを大量データ処理基盤として選択
  • Exadata移行に伴うOS変更、データベースのバージョンアップを実施
  • 限られたシステム停止期間の中、確実に大量データが移行できるよう、綿密な計画の策定と入念なテストを実施

効果

  • バッチ処理時間は最大83%短縮、オンライン画面レスポンスも向上とあらゆる処理で性能が向上
  • Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを活用しデータベース監視を強化。既存の運用ツールと連係し、インシデントの自動登録と一元管理で運用業務の効率化も実現
  • 2025年から順次設置予定の次世代スマートメーターへの対応など、今後の事業成長にも対応できる柔軟な拡張性を実現



電力スマートメーターの導入による価値創造とサービスの拡充


四国電力グループでは「暮らしを支えるマルチユーティリティー企業グループ」を目指し、皆様の「しあわせのチカラになりたい。」を合言葉に、四国地域を基盤に、エネルギーから情報通信、ビジネス・生活サポートまで、多様なサービスをワンストップで提供できる企業グループへの変革・成長に取り組んでいます。


四国電力株式会社 濱上 輝之 氏

中核となる電力事業では、2016年の電力小売全面自由化が大きな転機となりました。特にこれをきっかけに導入が進んだ電力スマートメーター(以下、スマートメーター)は、各種作業の省力化やお客様のサービスの拡充につながっていると四国電力 情報システム部 基盤開発・最適化グループ リーダーの濱上輝之氏は言います。

濱上氏  スマートメーターは、30分ごとの電力使用量(以下、30分値電力量)を、通信機能を使ってサーバに送信します。これにより、従来は現地で行っていた検針作業が不要となるだけでなく、転居に伴う送電停止も遠隔操作で可能となり、各種作業の省力化が図れています。

電気使用状況のお知らせやポイントサービスを提供している「よんでんコンシェルジュ」では、スマートメーターが設置されているお客様は、節電の指標としても役立てて頂ける30分値電力量の確認も可能です。また、社内でも料金メニューの検討などで、このデータが活用されています。



データ量の増加により処理能力は限界に。急務だった大量データ処理基盤の検討


四国地域のスマートメーター設置は2014年度から開始し2023年度末には約270万戸への設置が完了予定です。設置拡大に伴い、関連システムのデータ発生頻度とデータ量が急増し、性能やリソースへの影響が次第に顕著になってきました。

濱上氏  月に1回だった検針頻度がスマートメーターでは30分に1回ですので、お客様あたりのデータは 1,440倍に膨れ上がることになります。性能改善のためSQLチューニングを実施していましたが、データの加速度的増加に対し性能低下を食い止められず、データ処理の競合時には30分間隔で処理しきれない事象も発生していました。また、計画的にリソースを増強してきた基盤は既に最大のリソースが搭載され拡張できない状況でした。加えて、サーバのサポート期限も迫りつつありました。

こうした状況を踏まえ、同社では、個別対策ではなく物理構成を含めた抜本的な対策が必要と判断し、「大量データ処理基盤」の構築に向けた検討を開始します。

処理性能や拡張性、移行性を条件に複数の製品を比較検討し、最終的には、ハードウェアスペックに加え、性能に寄与する独自機能を有する「Oracle Exadata Database Machine」(以下、Exadata)を採用。関連する3システムのデータベースを統合することにしました。本番機のストレージはオールフラッシュとしましたが、開発・品質保証機はフラッシュとHDDのハイブリッド構成にすることでコストを抑えて、環境整備できるのも魅力の一つでした。

また、今回の基盤整備と並行して、より堅牢性の高いデータセンターへの移転計画も進められていました。



停止時間は最大12時間!データセンター移転を伴うExadataへの大量データ移行


当該システムの移行は、四国電力グループでシステムインテグレーターの株式会社STNetを中心に実施されました。当時を振り返り、移行を担当したSTNet 情報システム本部電力ソリューション第1部 エキスパートリーダーの塩田智洋氏は次のように語ります。


株式会社STNet 塩田 智洋 氏

塩田氏  移行の全体計画は、既存サーバのサポート期限や、データセンター移転プロジェクトのスケジュールも鑑みながら進める必要がありました。データベースサーバは、OSがWindowsからLinuxへ変更となり、データベースも19cへのバージョンアップが必要になるなどの考慮点が多数ありましたので、それらの導入実績が豊富なアシスト社の技術支援を得ながら進めることにしました。

懸念していたアプリケーションへの影響に関しては、動作上の問題はほとんど無かったものの、SQLの実行計画が変わったことで一部の処理の性能が劣化しました。これについては、初期化パラメータによるチューニングや実行計画の固定化などで早期に課題を解決できました。

一方、1インスタンスでも約8.5TBあるデータベースは、本番移行時のシステム停止時間を如何にして短くするかが大きな懸案事項でした。初期の試算では、データセンター切り替え、データ移行、索引再作成などに、2週間以上のシステム停止が必要というものでした。これは、業務的にも許容できるものではありませんでしたが、予算には限りがあるため、現実的な移行方法の模索が続きました。

3つのデータベースの移行作業については分析系を先行することで、2つのデータセンター間のデータコピーによるネットワークの負荷集中を回避するように移行タイミングを分けました。更新されない過去データを先に移行し、本番化当日の移行データを削減することによりシステム停止時間の短縮を図りました。それでもまだ、1回目のリハーサルでは時間内に終わらなかったため、Exadataの同一筐体上にデータベースを統合していることに着目しました。本番化移行時のみCPUリソースを組み換え、移行対象データベースのCPU割当を増強し、並列度を上げることで移行の処理時間の短縮を図りました。こうして、本番化当日は、目標であった12時間のシステム停止で無事に移行を完了し、2022年9月には新環境での全面的な本番稼働を開始しました。


劇的な処理性能の向上、システム運用監視の効率化を実現


Exadataの導入による効果は、処理性能の向上と運用業務の効率化があげられるとSTNet 情報システム本部電力ソリューション第2部 課長の山崎久貴氏は言います。


株式会社STNet 山崎 久貴 氏

山崎氏  処理性能効果は絶大です。例えば、バッチ処理時間は、スマートメーターの30分値取り込み処理が60分から10分、集計処理が190分から70分、夜間バッチ処理も129分から59分へと劇的な短縮です。また、オンライン画面のレスポンスも向上しています。これらは、Exadata固有の機能である「Smart Scan」と「RoCEおよびPersistent Memory」が性能改善に大きく貢献していると言えるでしょう。

Exadataの導入でディスク容量に余裕が生まれバックアップ運用の見直しも図れました。今後、さらにデータが増えても、CPU、ディスクといったハードウェアリソースの拡張性が、将来にわたり余裕ができたことは、安心材料です。

また、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlで Exadataに実装した全データベースが参照できるようになり、監視も強化されています。本番稼働から約8ヵ月が経過した現在、システムは安定稼働していますが、権限単位でグラフィカルに確認できる画面は、各システム担当DBAの安心感にも繋がっています。さらに、既存の運用ツールと連係させインシデントの自動登録や一元管理を行い、運用業務の効率化が図れています。


さらなる業務効率化や革新的なサービスの創出を目指して


今回の、大量データ処理基盤Exadataの導入、そしてこれからについて、濱上氏は次のように総括します。

濱上氏  今回の移行は、入念なリハーサル、段階的な移行とExadata内でのリソース組み換えなど、各社の協力と工夫なくしては成しえなかったと考えています。また、当社で初めて導入する基盤であり、移行設計・作業に対してリスクや不安などを抱えていましたが、アシスト社の経験豊富な技術者の支援を受け早期に解消できました。

Exadataの導入により、30分値電力量に係る処理性能が改善され、2023年度末のスマートメーター全戸設置に向けて万全の環境が整いました。一方、2025年度から順次設置される次世代スマートメーターでは、さらに高粒度な5分値電力量が提供されデータ量が再び増加する見込みです。システム担当者の日々の運用負荷が軽減されたことで生まれた要員の余力も活かし、5分値、30分値電力量などの大量のデータを活用・分析し、業務効率化や革新的なサービスの創出などによる競争力の強化、新たな価値創造の実現を図りたいと考えています。

今後も安定した運用を継続するためにも、アシスト社には、オラクル製品などに関する迅速かつ的確なサポートサービスの提供や、教育の支援を継続して頂きたいです。また、大量のデータ活用・分析に向けた取り組みに寄与する各種ソリューションの提案も期待しています。



  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。
  • 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 四国電力株式会社
 本店 香川県高松市丸の内2番5号
 設立 1951年5月1日
 URL https://www.yonden.co.jp/
会社名 株式会社STNet
 本社 香川県高松市春日町1735番地3
 設立 1984年7月2日
 URL https://www.stnet.co.jp/
取材日 2023年5月

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