「お、ねだん以上。」を支えるニトリの心臓部をOCI/ExaDB-Dへ―20TB級基幹DBを4時間半でビッグバン移行
株式会社ニトリホールディングス
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「製造物流IT小売業」の独自のビジネスモデルを武器に事業成長を続ける株式会社ニトリホールディングス(以下、ニトリ)では、事業拡大に伴う基幹データベースの負荷増大に対処するために、オンプレミスからOracle Cloud Infrastructure (以下、OCI)のOracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure (以下、ExaDB-D)への移行を決断。入念な準備とリハーサルを重ね、事業を支える大規模な基幹データベースのビッグバン移行を、わずか4時間半で完遂しました。 |
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「『ニトリの心臓部』である大規模な基幹データベースを、限られた時間内に移行する、失敗の許されないプロジェクトでした。アシストは2009年から弊社の基幹データベース環境を熟知しており、「いつもの感じ」で通じる安心感がありました。」
情報システム改革室 システム基盤チーム
マネージャー 舘岡 徳弘 氏
課題/背景
- 基幹データベースを支えるハードウェアの保守期限を控え、今後の事業成長にも追従できる基盤への刷新が必要だった
- 春需などの繁忙期に処理負荷が高まり、処理遅延やサーバーダウンのリスクがあった
- 大規模な基幹システムであるため、業務影響を抑えながら短時間で切り替える必要があった
対策
- OCI/ExaDB-Dを採用し、柔軟にリソースを調整できる基幹システム実行基盤を構築
- 事前の性能検証やサイジングを通じて、ピーク負荷に耐えられる構成を設計
- 移行設計検証や切替リハーサルを重ね、限られた停止時間内に既存環境から新環境へ一斉に切り替えるビッグバン移行を計画
効果
- 保守期限に左右されにくく、事業成長や負荷変動に追従しやすい基盤を実現
- 旧環境比200~400%の処理性能向上により、安定稼働と業務効率向上に寄与
- 大型オンプレミス基盤を約4時間半でOCIへ移行し、切替時の業務影響を最小化
システム概要図
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事業拡大に伴うトランザクション増大でニトリの心臓部である基幹データベースが限界に
「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズで広く知られ、家具・インテリア用品の企画・製造から流通、販売、さらにはITに至るまで、あらゆるプロセスを自社内で完結させる独自のビジネスモデルを武器に急成長を遂げてきたニトリ。「暮らしの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマン(志)を掲げており、その実現に向け、「IT基盤の強化」を経営上の重要課題に位置付けています。
同社のIT基盤を支えているのが、情報システム改革室のシステム基盤チームです。同チームはITインフラの安定稼働だけでなく、セキュリティを担保しつつビジネスの変化に迅速に追従できる基盤を提供し続けるミッションを担っています。中でも独自の「一気通貫のサプライチェーン」を支える基幹システムは、ビジネスの要とも言える存在です。
しかし同チームのマネージャーを務める舘岡 徳弘氏によれば、事業規模の拡大に伴い、基幹システムを支えるデータベースに幾つかの課題があったと言います。
舘岡氏
この基幹システムはサプライチェーンの全てを担い、複雑な業務ロジックをコンマ秒単位で処理しているまさに「ニトリの心臓部分」です。しかし、事業が成長するにつれてトランザクションが増加し、データベース基盤の性能劣化が少しずつ顕在化してきました。
2018年に刷新したオンプレミス環境のデータベース基盤は、UNIXサーバー上に大規模なOracle Database環境を構築したものでした。導入当初は良好な性能を発揮していたものの、データ量とトランザクションが増加するに従い処理時間が少しずつ伸びていきました。これに伴い、日次の売上集計や需要予測計算処理などが遅延してしまい、翌朝の始業に間に合わないという事態も起こっていました。
こうした状況を、同チームでシニアリーダーを務める熊谷 聡氏は次のように振り返ります。
熊谷氏
特に春の引っ越しシーズンにはトランザクション量が通常の1.5倍に達し、ピーク時で秒間5,000~6,000もの処理が発生します。これによりデータベースがスローダウンし、店舗システムが一時停止する障害が起きていました。事態を改善するためには、データベース基盤を中心に基幹システムの抜本的なアーキテクチャ刷新が避けられない状況でした。さらに既存ハードウェアの保守期限も迫っていたため、私たちは次期基幹システムのプラットフォーム刷新へと踏み切ることにしました。
TCO削減と圧倒的な性能を評価し「ExaDB-D」の採用とクラウド移行を決断
次期基幹データベースの刷新にあたり、パートナーに選ばれたのが、2009年から3世代にわたり、同社のデータベース基盤の構築・運用を支援してきたアシストでした(基幹システムインフラ刷新プロジェクト全体の推進はSCSK株式会社(以下、SCSK)が担当)。
舘岡氏
アシストには長年、私たちのデータベース環境の保守をご支援いただいており、既存環境ならではのクセも深く理解していただいています。これまでの経緯や背景を一から説明しなくとも、こちらの意図を汲み取っていただける安心感があり、大任を任せる上で、これほど心強いパートナーはいませんでした。
また、次期基幹データベースの選定について、ニトリは、オンプレミス環境の継続とクラウドサービスへの移行の両面から検討を進めました。その結果、基幹システム全体をOCIへ移行する方針を決定しました。
熊谷氏
OCIを選んだ最大の決め手は、コストパフォーマンスでした。見落としがちなデータセンター費用や回線費用なども含めてTCOを算出した結果、OCIが最も優れていると判断しました。
そしてデータベース基盤には、OCI上でOracle Exadataをマネージドサービスとして利用できる「ExaDB-D」を採用。コストを抑えながら運用効率を高められる点に加え、既存システムで利用しているOracle Real Application Clusters(RAC)が正式にサポートされていることも、選定を後押ししました。
過去のシステム刷新時にもOracle Exadataは候補に挙がっていましたが、事前検証で期待したほどの処理性能が得られず、採用を見送った経緯があります。そこで今回は、アシストとメーカーの支援のもと、実機を用いた綿密な事前の性能検証を実施。主要な処理を含んだシナリオを複数回実行し、ノンチューニングで旧環境と同等以上の性能が出ることを確認し、採用を決定しました。
入念な準備と柔軟な対応で20TBの基幹データベースをわずか4時間半で移行完了
この移行プロジェクトにおいて最大のハードルとなったのが、20TBにも及ぶ巨大なデータベースを遠隔地のクラウドデータセンターへ移行するというミッションでした。ニトリはこれまで札幌のデータセンターで基幹システムを運用していましたが、OCIの利用にあたっては東京リージョンへの移行が前提でした。
店舗とECサイトが稼働し続ける中、許容されたシステム停止時間は年末年始の夜中わずか4時間。このシビアな制約の中で、札幌から東京という遠隔地への大容量データ転送とデータベース切り替えを確実に成功させる必要がありました。
限られた停止時間内に既存環境から新環境へ一斉に切り替えるビッグバン移行に向けて、「本番で初めて行う作業をゼロにする」という大方針を掲げました。しかしその一方で、「巨大なデータベース」「遠隔地」「年末年始」という制約上、全体リハーサルを実施できるチャンスは2回しかありませんでした。
そこで、限られたリハーサル機会の中で長大なタイムラインと概略チャートを作成し、全てのタスクの依存関係や他システムとの接続点を関係者全員で可視化・共有。遅延が発生した場合に後回しにできる確認作業の整理など、リスクを逆算して移行の計画を立てていきました。
データそのものの移行方法としては、アシストの深い知見に基づく提案により、データ連携ツールの「Oracle GoldenGate」を採用。システム停止時間を極小化するためには事前のデータ同期が不可欠であり、2015年と2019年のシステム刷新時にも同ツールを利用した実績があったことが採用を後押ししました。
熊谷氏
事前同期だけでも約2週間を要する過酷な要件でしたが、同期状況を正確に監視できる仕組みをアシストが共に構築してくれたことで、本番への不安を取り除くことができました。
そして迎えた大晦日の本番移行当日。想定以上のデータ更新量が発生し、データ同期処理に2時間の遅延が見込まれるというピンチに見舞われましたが、ニトリとアシスト、さらにSCSKが会社の垣根を越えて事前に共有していた移行タイムラインを基に、前倒しや後ろ倒しできる確認工程を見極め、その場でタスクの順序を再編。2時間と見込まれた遅延を、最終的に30分に抑えることができたと言います。
舘岡氏
各社が担当範囲を線引きすることなく、一緒に考えて答えを出そうとする「ワンチーム」の体制で臨めたことが最大の勝因です。全員で移行タスクのスケジュールをその場で組み替えた結果、当初予定からわずか30分遅れで全作業を収めきることができました。
処理性能最大400%アップの性能向上と「障害ゼロ」の安定稼働を実現
こうして無事クラウド移行を完了し、2026年の元日から稼働を開始した新たな基幹システムは、期待を大きく上回る導入効果をもたらしました。ExaDB-Dの圧倒的な処理能力により、業務アプリケーションの画面応答時間は0.39秒から0.13秒へと3分の1に短縮されました。また、大規模な計算処理の性能も大幅に向上し、これまで処理起点の開始から終了まで6時間弱を要していた日次の需要予測計算処理もわずか1時間30分で完了と劇的に高速化されました。
さらには、春の繁忙期に度々発生していたシステムダウンや日次処理の突き抜けによる遅延は「ゼロ」となり、商品供給や物流への影響も全くなくなりました。
舘岡氏
かつては徹夜で障害対応を行うこともありましたが、今では運用担当者も当たり前のように定時で帰宅しています。現場からも「システムが軽くなった」という声が寄せられており、インフラの安定化が運用担当者の働き方の改善にもつながっています。
運用コストの面でも大きな成果が上がっており、閑散期にはCPUリソースを絞るなど柔軟なスケーリングにより、インフラのランニングコストを当初見込みの約8割に抑えることに成功しました。災害対策の観点では、OCIの東京・大阪リージョン間でのActive-Active構成を採用しました。これにより、札幌のデータセンターへの物理的な駆けつけ対応が不要となったほか、有事の際のフェイルオーバー時間も従来の12時間から約3時間へと大幅に短縮される見込みです。
アシストと阿吽の呼吸で運用を支え、OCI活用を次のステージへ
移行後の運用フェーズにおいても、セキュリティパッチ適用頻度の向上によるセキュリティレベルの強化や、月次のデータベース診断など、アシストのきめ細やかなサポート体制を高く評価していると言います。
熊谷氏
セキュリティパッチ適用など頻度の低い作業は自社にノウハウが溜まりにくいため、アシストの支援には大いに助けられています。こちらが聞こうとしていることを先回りして用意してくれるなど、阿吽の呼吸に近い連携の良さは非常にありがたい存在です。
なお同社は今後、OCIおよびExaDB-Dの機能をさらに有効活用することで、重要な経営戦略の一つ「インフラ基盤の強化」をさらに推し進めていく予定です。
舘岡氏
今後は、Oracle Autonomous AI Databaseをゲートウェイとしてフロントに配置するアーキテクチャや、AI活用に向けたデータ基盤の整備を進めていきたいと考えています。さらにはOCIの最新機能もどんどん活用して、事業成長により貢献できる攻めのインフラ構築に注力したいですね。
- ※本稿は取材時の内容に基づくものです。製品やお客様情報など最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
- ※Oracle、Java、MySQL及びNetSuiteは、Oracle Corporation、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。NetSuiteは、クラウド・コンピューティングの新時代を切り開いたクラウド・カンパニーです。その他、記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
| 会社名 | 株式会社ニトリホールディングス |
|---|---|
| 本社 | 札幌市北区新琴似七条一丁目2番39号 |
| 設立 | 1972年3月 |
| URL | https://www.nitorihd.co.jp/ |
| 従業員数 | 18,170人(外、平均臨時雇用者19,920人) 注:2026年3月期(連結) |
| 取材日 | 2026年7月 |
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