人気通販/ECサイトを支える基幹データベースを短期間でOracle Cloudに移行
ティーライフ株式会社
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健康茶や健康食品、化粧品などの通販/ECビジネスを展開するティーライフ株式会社(以下、ティーライフ)。同社は、事業の中核を担う基幹データベースの基盤としてOracle Cloud Infrastructure (以下、OCI)を採用しました。初めてのクラウド利用の不安もPoCで払拭し、アシストの支援を得て短期間でスムーズに移行。性能向上と運用負荷の軽減を実現しています。 |
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「予想を超えてOCIの性能がよく、検証時に繰り返し確認しました。コストパフォーマンスも良く、今後は他のシステムのデータベース以外もOCIへの移行を検討しています」
ティーライフ株式会社 情報システム部 部長 松岡 英智 氏
課題/背景
- 注文受付、在庫管理、出荷引当などの情報を一元管理する基幹データベースは、ハードウェアの老朽化により、更新が必要な時期になっていた
- データ量が倍増し、ディスク容量が逼迫
- Oracle Databaseのバージョンアップも必要だった
- 次期基盤は、低コストでの移行と既存のDBAスキルで運用できる必要があり、パフォーマンスの維持は最低条件
対策
- クラウドの候補としては、Oracle Databaseの利用でコスト、サービスで魅力があるOCIを検討
- オンプレミスなら自社実績があり性能面、安定性に優れたODA(*)。OCIはPaaSを候補として比較検討
- 本番を想定したPoC環境を構築し、性能評価を実施。あわせて運用管理と移行手順も確認。評価の結果OCIの採用を決定
- * ODA:Oracle Database Appliance
効果
- PoC環境を利用した本番環境準備により、短期間でクラウドへ移行
- 従来と同等のCPU数ながらメモリサイズが減ってもパフォーマンスが大幅に向上
- PaaSの採用により、バックアップ作業などの運用負荷が軽減
- クラウドサービスならではの、ディスク増強が容易に実現できる柔軟性の高い環境を確保
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システムライフサイクルを踏まえて基盤更改を検討
健康をトータルにサポートすることで人生100年時代を応援する「ウェルネス&ライフサポート」企業を目指すティーライフ。同社では、健康茶や健康食品、化粧品を中心に、自社運営のショッピングサイトをはじめ、国内外の大手ネットモールや商品カタログなどを通じた通信販売事業を展開しています。
これを支える基幹システムのデータベースは、これまで Oracle Database Appliance(以下、ODA)で運用してきました。ODA導入当時の課題と効果を、ティーライフ 情報システム部長の松岡英智氏は、次のように振り返ります。
松岡氏
ODAを選択した当時は、急激な事業成長によるトランザクションの増加が基幹データベースのディスクI/Oのボトルネックを引き起こし、性能が日々劣化していました。業務影響を改善するためにも短期間での問題解決が必要な状況でした。アシストの提案により導入したODAは、わずか3ヵ月でデータベース基盤の刷新を実現し、業務システムのレスポンスを大幅に改善しました。レスポンス向上により、ECサイトではコンバージョン率が3%向上し、コールセンターや出荷の業務も改善するなど、大きな効果をもたらしました。また、Oracle Enterprise Manager Cloud Control(以下、EMCC)の利用により、データベースの監視やチューニングなどのDBA業務が軽減したことも良かった点です。
満足度が高かったODAも、導入から既に8年目となり、システムライフサイクルの観点からも基盤の更改が必要となりました。
松岡氏
トラブルも無く順調に稼働し続けてきたODAには満足していました。しかし、導入当時と比べて事業は約2倍に成長し、データ量も約2倍となり、ディスク容量は限界に近づいていました。また、ハードウェアの老朽化は否めず、Oracle Databaseは12cでしたのでバージョンアップが必要なこともあり、基盤のリプレースを決定しました。
オンプレミスかクラウドか。ODAかOCIか、綿密な机上評価とOCIのPoCを実施
データベースの移行先は、コスト、拡張性、接続性、運用管理性、セキュリティ、パフォーマンスなどの指標を定め検討を進めました。まず、オンプレミスであれば、ODAの最新版。クラウドであれば、Oracle Cloud Infrastructure(以下OCI)の二つに選択肢を絞りました。
松岡氏
ODAは、Oracle Databaseに最適化されており、自社実績からの安心感もあります。ただし、コロナ禍の影響で、納期遅れの不安もありました。OCIは、Oracle Database利用におけるコスト効果が他のクラウドより高く、柔軟なリソース拡張が可能などクラウドらしいサービスで魅力があります。ただし、当社では重要なシステムをクラウドで運用した経験がないという不安もありました。
OCIの選択肢には、IaaS(Compute)へのデータベース構築と、PaaS(Base Database Service)がありますが、同社では移行時における並行稼働期間のライセンスコストが抑制でき、構築負荷も低いPaaSで検討しました。OCIとODAの机上評価では、5年間のコスト試算、運用管理、セキュリティでは大きな違いはなかったものの、拡張性や、拠点追加時の接続性ではOCIが優位でした。一方で、CPU数を既存と同等にするとメモリが既存より減ることもあり、既存と同等のパフォーマンスが出るかが懸念点でした。そこで、PoCを実施して最終的な判断を行うことにしました。
松岡氏
アプリケーションの稼働確認、性能、運用、セキュリティ面での懸念がないことをこの検証期間で確認しています。結果次第では、検証環境を本番環境に変更することを想定していましたので、アシストの協力を得て、データベースやアプリケーション、ネットワーク構成、バージョンやパッチレベルも本番同等の環境を構築し、データ移行検証も実施しています。性能検証の結果は期待以上で、メモリが減少してもパフォーマンスは既存環境を上回るもので、その結果が信じられず、何度も手順を確認したり検証を繰り返したりしたほどです。
短期移行と安定したパフォーマンスを実現
PoC終了後、体制が整い次第、すぐに計画を立て、採用を正式に決めてから2ヵ月もせずにOCIでの本番稼働を迎えることができました。非常にスムーズに進んだ移行を松岡氏は次のように振り返ります。
松岡氏
短期間で移行できた理由には、まず、PoC期間に環境構築が済んでいたことで、準備作業はほとんど必要なかったことがあげられます。また、この間に移行検証も実施していたことも一因です。1TBを超えるデータの移行でしたが、Oracle Advanced CompressionによりDumpファイルが非常に高い圧縮率で生成され、ディスクへの書き込みやデータ転送が短時間でできることが検証で確認できていました。このため、シンプルな手順で、業務に影響が少ない土曜日の夜間帯で予定の時間内に問題なくデータ移行を実施しています。
また、当該環境ではデータベース監査製品のPISOを利用していますが、OCIのPaaSではOSが提供され、従来から利用のAgent製品が利用でき、代替策を検討する必要がなかったことも、システムの移行が容易だった理由の1つです。
アシストにはPoC環境の構築時から手厚い支援や協力をいただき、本番移行時も段取りがとてもスムーズで安心して作業を進めることができました。移行から約5ヵ月が経過した現在、安定したパフォーマンスで稼働しています。
松岡氏
移行直後は、とにかくパフォーマンスの確認に尽きました。検証はしたものの、それでも心配だった最大セッションでのパフォーマンスも、検証時と同様にサクサク動いているのを確認して「完了!移行成功!」と大変安心しました。その後、1ヵ月ほどはOracle Databaseの統計情報が変化したことによる性能劣化が数度あり、従来同様にEMCCの画面で確認してTuning Packのアドバイスを参考に手当てを実施しています。以後は安定したパフォーマンスで稼働しています。
今後はOCIの利用範囲を拡大予定
今回のOCI採用と今後の活用について、松岡氏は以下のように総括します。
松岡氏
ODAかOCIか。最後まで迷ったものの、現在ではOCIを選択したことに満足しています。事業成長が不透明な中、リソースの拡張が容易なことはもちろん、今後はサーバ老朽化対応の投資計画やハードウェア環境の準備・構築の煩わしさから開放されることは非常に大きいメリットだと感じています。
また、メモリが減っても、オンラインとバッチの両方でパフォーマンスが向上したことは大きな成果です。元々、メモリを大量に使っていた伝票発行などのバッチ処理性能を特に不安視していましたが、これはストレージの性能効果もあってか、数倍に向上しています。良好なパフォーマンスは、お客様へ提示している出荷サービスレベルの順守に繋がります。システム的には受注が倍になったとしても、お客様とのお約束をしっかりと守れるという安心感を持っています。
運用開始後はクラウドならではの恩恵も感じています。例えば、OCIには標準機能としてバックアップの自動化が備わっており従来と比較すると日々の管理業務も非常に楽になったと実感しています。
今回の基幹データベースのOCIへの移行はクラウド化への大きな足掛かりとなりました。OCIはComputeでもコストメリットがあるため、今後はデータベースだけでなく、移行可能なシステムから順次OCIに移行していく予定です。また、データベースのBCP対策の強化やネットワーク環境の増強なども現在検討中です。
ティーライフだけでなくグループでの活用も今後の検討事項です。グループ企業のデータを共有し活用することで、ビジネス面でのコラボレーションやシナジーの創出に繋げていきたいと考えています。このような環境の構築にはクラウドが適しているのではないかと考えています。
今後の取り組みにはいくつかの課題がありますが、その実現に向け、アシストには引き続き情報提供、技術支援、サポートをお願いしたいと思っております。
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | ティーライフ株式会社 |
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本社 | 静岡県島田市牛尾118番地 |
設立 | 1983年8月 |
従業員数 | 160名(2022年7月31日現在) |
URL | https://www.tealifeir.com/ |
取材日 | 2023年5月 |
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