段階的な検証と利用者に寄り添うスムーズなクラウド移行を実現し、Qlik Cloudでデータ活用のさらなる高度化へ
株式会社セガ
- 導入製品/サービス…
- Qlik
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株式会社セガ(以下、セガ)は、ゲームやユーザーのデータ分析にQlik Sense を長年活用してきましたが、より高度な機能の活用とインフラの運用負荷の軽減を目的に、Qlik Cloud へ移行。利用者への影響を抑えつつ、膨大な数の既存アプリの移行に成功し、AI機能を生かした先進的なデータ分析や利用者のさらなる拡大への道筋をつけました。 |
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「データウェアハウスだけでなく、ExcelやCSVといったデータも簡単に結合できる高い柔軟性と唯一無二の連想技術において、今でもQlikを超えるツールはないと感じています」
JA Studios 第2事業本部 戦略企画部 副部長
データエンジニアリングセクション セクションマネージャー 萬 和貴 氏
課題/背景
- オンプレミスサーバーの運用保守に掛かるコストと負担が大きかった
- 既存のオンプレミス環境では、AI機能など最新機能のアップデートに追従できなかった
- データドリブンの機運が高まる中、データ活用をより広げる仕組みと基盤が必要だった
対策
- 検証・移行・切替の3フェーズで、既存のQlik Senseのクラウド移行を推進
- 既存の膨大なQlikアプリをパターンごとの整理と棚卸で移行対象を見極める
- 説明会やユーザーヒアリング、個別の定着支援による丁寧な利用者対応を実施
効果
- 既存のアプリや業務プロセスを極力維持したまま、オンプレミスからのクラウド移行を完遂
- インフラの運用保守が不要となり、Qlik利用促進に向けた重要な業務に注力できるようになった
- コマンドラインやAPIによる自動化を活用しつつ、AI機能などクラウドならではの新機能を生かしたアプリ開発の効率化と分析の高度化を推進
システム概要
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Qlikを長年活用し、データドリブンを推進するセガ
セガは、PC・スマートデバイス向けゲームからコンシューマーゲーム、アミューズメントのアーケードゲームまで、多様なコンテンツの企画・開発・販売・運営を幅広く手掛ける総合エンターテインメント企業です。海外にもコンテンツを展開しており、売上比率では大きな割合を占めています。
同社の戦略企画部ではデータ分析にも注力し、データエンジニアとデータアナリストが、あらゆるゲームとユーザーのデータを開発や運営にフィードバックする体制を確立しています。
取り扱うデータはゲームのユーザーの行動ログが中心で、生データ換算でペタバイト級、1兆レコードを超える規模です。そのデータをAIとシームレスに統合するDatabricksに集約して一次集計と整形を行い、Qlikへ連携するアーキテクチャを構築。SnowflakeやGoogle BigQueryといった外部のデータウェアハウスにも、データを複製することなく接続できるスケーラブルな分析基盤を構築しています。
セガではデータ活用基盤としてQlik製品を長らく活用し、2017年にQlik Senseを採用しました。戦略企画部でセクションマネージャーを務める萬 和貴氏は、当時を次のように振り返ります。
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| 萬 和貴 氏 |
萬氏
Qlik製品のコア技術である「連想技術」は唯一無二で、ドリルダウンでの絞り込みにおいてQlikを超えるものは、いまだに見たことがありません。データウェアハウスの他、ExcelやCSVなどのデータソースも簡単に結合できる点も気に入りました。
セガが導入当初から重視したのは、アナリスト以外でもデータを容易に可視化できる環境の実現でした。データマート(意味を持つデータの集合体)を、そのままQVD(※)ファイルとして用意し、利用者が必要なものを選んで組み合わせられるようにすることで、セルフサービスの分析環境を築いてきました。
※ QlikView Data:Qlik Senseで利用する専用のデータ
最新機能の活用とインフラ運用の負荷軽減のため、Qlik Cloudへの移行を決断
近年、セガでは経営層からも「データドリブン」というメッセージが発信されるようになり、データに基づいて意思決定する機運が全社的に高まっています。また、海外拠点との連携などデータ活用のニーズも多様化してきました。このように、データ分析基盤に求められるニーズが変わる中、既存のQlik Sense環境をクラウドへ移行することを決断しました。
Qlikの新機能がSaaS版であるQlik Cloudに集約されてきたことも理由の一因です。特に、AI機能をはじめ、データ分析の高度化や最新機能は、オンプレミス版ではキャッチアップが難しく、同社のニーズを踏まえると、クラウドへの移行が欠かせませんでした。また、業界全体でクラウド化が進む中、クラウド前提のアーキテクチャ設計が求められるようになったことも背景にありました。
その他に、コストとインフラの運用負荷も理由にあったと萬氏は語ります。
萬氏
既存のオンプレミス環境は、サーバーを自前で用意して運用していました。パフォーマンスの懸念も考え、余裕を持たせたサイジングにしていたため、かなりの費用が掛かっていました。また、障害が発生すれば我々が対応し手間も掛かります。クラウドの移行には、これらのコストと運用負荷の削減を期待しました。
検証・移行・切替の3ステップとアプリの棚卸、パターンの検証で移行対象を見極め
クラウドへの移行にあたり「検証」「移行」「切替」と大きく3つのフェーズを計画しました。2024年から着手した検証フェーズでは、オンプレミス版とクラウド版の仕様差分や容量・機能の制約、データ接続の可否などを洗い出しました。
ゲームタイトルが増えるたび、分析の切り口や用途別にアプリも増える状況のため、その資産は膨大となり、移行前の時点でQlikのアプリは約1,000を数えました。プラットフォーム管理を担当する福山 翔一朗氏が、当時のアプリの棚卸について振り返ります。
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| 福山 翔一朗 氏 |
福山氏
全てのアプリを移行対象とするのではなく、使われていないものを除外し、対象を700〜800程度に絞り込みました。例え利用頻度が月1回でも必要があって使われているアプリもあります。利用頻度の単純な数値だけでなく、実際にどのように使われているかも踏まえて、利用者の同意を得ながら決定しました。
検証対象とするアプリの選定は、パターン単位で実施したことがポイントです。レポーティング機能を使うアプリ、ダッシュボード的なアプリ、リソースモニター系のアプリといったパターンごとに、クラウドでのアプリサイズ上限を超える大型アプリも含めて20〜30個を試すことで、大半のアプリパターンを網羅できたと福山氏は言います。
利用者に寄り添う定着支援と個別課題の解決。ナレッジ共有で移行を効率化
社内のQlik利用者には説明会だけでなく、実際の声を集める「ユーザーテスト」も実施しました。説明会では利用者の声がアンケート中心になり、回答の精度が期待できないためです。作業マニュアルに沿って、クラウド版へのアプリの移行を実際に体験してもらい、使用感や課題をマンツーマンでヒアリングしました。
ユーザビリティ研究の第一人者、ヤコブ・ニールセン博士の「5人のユーザーでテストすれば全課題の約85%が発見できる」法則に倣い、アプリの作成者や管理者など、異なる立場の方々を複数の部署から偏りなく選んで確認したことで、十分な課題が抽出できました。
移行で最も難しかった点は、レポーティング機能の差異でした。オンプレミス版のレポーティング機能であるQlik NPrintingからQlik Cloudのレポーティング機能へ、自動では移行できない部分は手動で作り直して対処する必要がありました。また、クラウド版にはアプリのサイズ上限の壁があるため、大容量のアプリは、データの持たせ方そのものを再設計しました。
福山氏
全期間のデータを持つアプリは年度単位で分ける、対象期間を狭める、サマリー済みのQVDに切り替えるなど工夫して対応しました。どうしてもデータ量が必要なアプリは、Databricks側にデータを持たせる形で代用しています。
移行に伴う社内からの問い合わせ対応については、書き換えパターンをまとめたページを社内ナレッジとして整備しました。情報を随時更新して共有することで、同様の問い合わせには該当ページを案内するだけで解決できるようになり、対応スピードが向上しました。このナレッジ蓄積は、将来的にAIに参照させる利活用方法も見据えたものです。
こうして移行を実施後、約5ヵ月の並行稼働期間を設けて定着を促進し、アプリの切り替え先リストの作成・周知など個別の定着支援も実施した結果、2026年2月に完全移行を果たしました。
インフラ運用から解放され利用促進に注力。自動化・AI機能でデータ活用文化をさらなる高みへ
移行後も従来の業務は問題なく継続でき、戦略企画部ではオンプレミスのインフラがなくなったことで、運用保守の工数が大幅に減少しました。
福山氏
サーバー周りを見る必要がなくなったのは、運用保守の工数削減という点でかなり大きかったです。運用保守で残っているのはアカウントの発行ぐらいで、他はほぼ自動化できています。その分、いかにQlikの利用率を上げるかを検討したり、ユーザーへのサポートに多くの時間を割けるようになりました。
セガが目標に掲げるのは、社内のQlik活用率向上による投資対効果の最大化です。「利用頻度」と「利用深度」をAudit log(監査ログ)から定量化してスコアリングし、ユーザーをライトユーザーとコアユーザーに分類しています。この可視化もQlikアプリで実現し、月次でPDCAを回しながら取り組みを進めています。
・ライトユーザー:Qlikの利用が不定期であり、業務への活用が限定的な層
・コアユーザー :定期的に利用し、分析・洞察につながる活用も行っている層
さらに、クラウドで提供される機能を生かし、コマンドラインを用いた運用の自動化も実現。利用頻度・利用深度のデータ収集によるコアユーザーの可視化や休眠ユーザーのライセンス解除などを自動化し、運用保守の効率化が加速しています。また、Qlik CloudのAPI連携によって、AIコーディングエージェントと組み合わせた自然言語でのアプリ開発も可能になりました。
福山氏
ロードスクリプト(※)を書かなくても、自然言語だけでアプリの作成・リロード・公開まで完結できます。実際に、Databricksなどからデータを取得してQlikで可視化するアプリを1時間ほどで作成でき、開発のスピードを実感しています。また、Qlik AnswersやQlik MCP サーバーなどのAI機能も検証済みで、他のQlikアプリ開発者にも展開したいです。
※ Qlikアプリにて取り込むデータを最初に読み込むスクリプト
最後に、今後の方針と展望について、福山氏は次のように語ります。
福山氏
目指すのは、コアユーザーの増加です。利用頻度と利用深度の両方が高い人の割合が増えると、Qlikの投資対効果が高まります。今後は勉強会などを通じて「見るだけ」のライトユーザーを「自分で必要なデータを使って分析できる」コアユーザーに引き上げる施策を推進していく方針です。自然言語での開発によって、専門知識がなくても機能を試せる環境を広げ、データ活用のカルチャーをさらなる高みへと引き上げていきます。
取材協力
株式会社セガ
JA Studios 第2事業本部 戦略企画部 データエンジニアリングセクション
萬 和貴 氏 (写真 右)
福山 翔一朗 氏(写真 左)
- ※本稿は取材時の内容に基づくものです。製品やお客様情報など最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。
- ※記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。
お客様情報
| 会社名 | 株式会社セガ |
|---|---|
| 本社 | 東京都品川区西品川一丁目1-1 住友不動産大崎ガーデンタワー |
| 設立 | 1960年6月3日 |
| URL | https://www.sega.co.jp/ |
| 従業員数 | 2,922名(2026年3月末時点) |
| 取材日 | 2026年7月 |
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