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ユーザの遊び方は数字に表れる!データドリブンのゲーム開発でアーケードゲームの大ヒットを継続

株式会社セガホールディングス(新社名:株式会社セガグループ)/
株式会社セガ・インタラクティブ(新社名:株式会社セガ)

導入製品/サービス…
Qlik  


株式会社セガグループ/株式会社セガ QlikView導入事例

セガグループでは、1つのIDでグループ内のサービスを楽しめるSEGA IDを導入し、どのようなお客様がゲームを楽しんでいるのか、遊び方を可視化しています。アーケードゲームの開発現場では、ゲームタイトルごとのユーザ層やプレイ傾向をデータで把握し、バージョンアップの方針の検討や新製品の開発に活用しています。

導入のPOINT


1.SEGA IDとゲームのログデータを紐付けて、ユーザやタイトルごとのプレイ傾向を可視化
2.データを見ながらゲーム開発の方向性を共有。最短のPDCAでアクションを起こし続けるサイクルを徹底
3.ニーズを聞きながら、現場と一緒に分析モデルを育成。データの融合を進めて可視化からマイニングへ

課題

  • どのようなお客様がどのゲームをどれくらい楽しんでいるのかわからなかった
  • リリースしたバージョンの効果測定や次のバージョンアップの課題設定が感覚的になりがちだった
  • 分析のためのデータ準備や説明のための資料作成に時間がかかるため、PDCAのCの部分に着手できなかった

対策

  • SEGA IDのユーザ情報とアーケードのログデータをQlikViewでつなぎ合わせて、ユーザの遊び方を可視化
  • 効果測定や課題抽出できる分析環境とチーム文化を醸成
  • QlikViewを使ってデータ分析をいつでも可能に。分析結果をそのまま資料として共有

効果

  • ゲームタイトルごとのターゲット層やタイトル間の相関を把握。ゲーム開発やゲーム機の設置提案に貢献
  • 信頼性の高いデータに裏付けられたアクションを提案し、合意、実行できるプロセスを確立
  • 忙しいからこそ最短のPDCAで事業を運営するサイクルを定着

システム概要


システム概要


15年間の長期稼働タイトルWCCFの大ヒットをプロデュース


── 柏田様がプロデューサーを務められているゲームについて、教えてください。

「WCCF(WORLD CLUB Champion Football)」というサッカーのスポーツカードゲームを中心に、「Wonderland Wars」というシミュレーションゲーム、「maimai」「CHUNITHM」という音楽ゲームのプロデューサーのマネジメントをしています。

── ゲームセンターなどの店舗で楽しめるゲームですよね。

そうです。いずれもアミューズメント施設などの店舗に設置されているアーケードゲームです。

── WCCFは2002年からの稼働ということで、お客様から長く支持されているタイトルですね。

WCCFは、実在するサッカー選手の選手カードを自由に組み合わせてクラブチームを編成し、自分が監督になって試合を展開するゲームです。ゲーム機上のフィールドに選手カードを配置して、相手チームの動きを見ながらカードを動かしていくプレイスタイルで、多くのファンの方に楽しんでいただいています。

ゲームのプレイ動向をQlikViewで分析。ファンを増やすための具体的な施策を実現


── ゲームのプレイ動向をつかむにあたり、何を見ていますか?

ユーザの年齢や性別といった基本属性や、プレイしたアミューズメント施設、時間、クレジット数(プレイした数)、インカム(ゲームプレイによる収入)を主に見ています。

── QlikViewで初めてデータを見た時の印象はいかがでしたか?

データ云々というよりも、誰かに問い合わせることなく、自分の手元でデータをすぐに見られて加工もできる、そのことに衝撃を受けました。物事がとにかく早く進んでいくんですね。疑問に思った仮説をその場で検証して、アクションにつなげられます。

── これまではデータを見るのに苦労されていたのでしょうか?

まずはSQLを書ける人に「この条件でログを抽出してください」と依頼して、説得するステップが必要でした。納得しないと動いてもらえないので、お互いに非常に時間がかかっていました。QlikViewはこのプロセスを一気に飛び越えられるので、業務スピードが飛躍的にアップしましたし、心理的なストレスも減りました(笑)。

── QlikViewでは、どのようなデータ分析をしていますか?

例えば、ユーザIDとクレジット数を紐付けて分布図で表しています。これによって、ユーザ1人あたりのプレイ回数が見えてくるのですが、WCCFでは1回のプレイだけで終了しているユーザが予想以上に多いことがわかりました。

そこで“プレイ回数が1回のユーザ”という条件で絞ってみると、ほとんどのユーザが初回無料のキャンペーン利用者で、2回目以降の有料プレイにつながっていませんでした。この分析から、2回目につながる施策が急務である、という気づきを得ることができました。

── どのような施策を取られたのですか?

アイテムの出現頻度を見直し、2回目にプレイすると良いアイテムが出るようにパラメータを変更しました。また、遊びながらゲームを覚えられるチュートリアルプレイを設けるなど、初回無料プレイから次のプレイにつながる導線構築も行いました。QlikViewでプレイヤーの傾向をつかめるようになったので、ファンになってもらうための具体的な施策を打てるようになりました。

SEGA IDの成功で登録数が急増。ストップした可視化をQlikViewでリカバリ


── お話に出てきたユーザIDというのは、「SEGA ID」ですか?

そうです、SEGA IDを使って分析しています。SEGA IDに登録いただくと、ユーザは1つのIDでセガが提供している様々なサービスを簡単に便利に楽しむことができます。同時に私たちは、顧客を認識できるようになりました。

── 伊東様はSEGA IDの設計当初から携わられていますね。QlikViewとの出会いを教えてください。

私がQlikViewと出会ったのは、社長室でSEGA IDプロジェクトに携わっていた頃です。SEGA IDは人気のオンラインゲーム『ファンタシースターオンライン2』で使用されていたため、IDの情報量がすぐにMS Officeでは処理が難しいレベルに達しました。大量のID情報をわかりやすく可視化して組織全体で共有したい、グループ内に散在するデータと結合して、業務改善やサービス向上に役立てたい、そう考えてツールを探し始め、出会ったのがQlikViewでした。

無料のPersonal Editionをダウンロードして実際のデータを取り込んでみると、難なく可視化でき、ソースの異なる様々なデータとも簡単に結合できたのでとても驚きました。データの共有先として、データ分析の専門家ではない現場の担当者を想定していましたが、QlikViewのインターフェースなら、まさにセルフサービスで使ってもらえそうだと感じました。

── QlikViewの導入後、社内からの反応はいかがでしたか?

社長室でライセンスを購入し、様々な部署に紹介したところ、事業ドメインを超えて集約したデータへの関心が高かったです。普段からデータ分析をしていてMS Officeに物足りなさを感じるメンバーは、ツールそのものにも興味を持ってくれました。機が熟した部署から順次導入していますが、いつQlikViewを使い始めても、定期的に研修が開催されているのは助かりますね。この点も、QlikViewを選んだ理由のひとつでした。

実は、最初に採用を決めてくれたのが柏田です。柏田は早くからデータに基づいた製品開発やマーケティングに興味を示していましたから、データやツールの価値をすぐに理解してくれました。

── QlikViewのファースト・ユーザの誕生ですね。

そうですね。データ分析は、ビジネス上の様々な課題を、統計学やITで解決できる課題に変換することだと考えています。課題の理解には現場との連携が欠かせませんから、QlikViewのファースト・ユーザがコア・ユーザになり、多くの示唆を与えてくれるようになったのは幸運でした。

新しいアイデアがQlikView上で形になり始めると柏田に見てもらい、ブラッシュアップしながら実装していく、というサイクルが定着しています。

“データがないと動かない” データドリブンの発想を生んだゲームの勝率


── 柏田様は最初から、データを起点にした“データドリブン”の発想をお持ちだったのですか?

今でこそ“データがないと動かない”ということをポリシーにしていますが、プロデューサー就任当初は「こうだと思うから、これでいこう!」と感覚寄りの姿勢でした。最初のうちは順調でしたが、3年目に大きくつまずきました。WCCFのとあるバージョンでインカムが急激に落ち込んだのです。

何でだろう?と周りに聞くと、ユーザもメンバーも社長もみんな違うことを言うわけです。どれが正解かわからず、どれが打ち手かわからない。それならデータを見てみよう、と発想したのがきっかけです。

── データを必要としたきっかけがあったのですね。どのようなデータを見たのでしょうか?

試合の勝率を見ました。前作と今作の勝率を比べてみると、試合の勝率がまったく違っていたんですね。“もしかしたら難易度の設定に問題があったのかもしれない”と仮説が立ちました。当時はその1軸でしか見ていなかったので、それが正しい分析だったかはわかりませんが、データをしっかり見ないといけないという出発点になりました。

ユーザの遊び方がわかる併遊分析。今楽しんでいるユーザがわかることで、これから楽しんでもらえるユーザがわかる


── アーケードゲームならではの併遊傾向もあるのでしょうか?

Wonderland Warsと戦国大戦のユーザは、傾向の近似が見えて来ました。年齢層やプレイ時間帯が近く、ゲーム性という点でも近い。

そこで、戦国大戦が設置されていてインカムのよい店舗には、Wonderland Warsも導入すべきではないか?という仮説を立てました。

── ゲーム機の設置提案にも活かされているということですね。

設置は国内販売部がコントロールしていますので、私たちからはどの店舗に何を置いてほしいという意思表示をしています。

Wonderland Warsの例であれば、その条件に当てはまる店舗をQlikViewで抽出してリスト化し、国内販売部に提案しています。

── データに基づいた提案は、耳を傾けてもらえそうですね。

提案もしやすいですし、検討もしやすいのではないでしょうか。国内販売部でも、売上の見込みやログの集計値はQlikViewで取っていますから、共通の分析プラットフォーム上で話ができています。

忙しいからこそQlikViewを使う思考のプロセスを共有できる最短のPDCA


── データ探索のこだわりをお聞かせください。

リリースしたバージョンが「良かったね」「ダメだったね」だけではなくて、良かった時はなぜ良かったのか、ダメだった時はなぜダメだったのか、常に仮説を出し続けながら検証して、次のアクションにつなげるサイクルを徹底しています。

ただ、とにかく時間が足りません(笑)。締切に向けてクリエイティブを注ぎ込んでいく一方で、既に市場で稼働しているタイトルを運営していかなければならないわけです。

データ分析はPDCAでいうCですが、忙しくて着手できないのがずっともどかしかったのです。データの準備作業に時間がかかるし、メンバーに説明するための資料を作る時間もない。それがQlikViewによって、分析した結果がそのまま資料になり、メンバーに「こういうことをしたい」とわかりやすいビジュアルでリアルタイムに説明できるようになりました。

── 思考のプロセスをQlikViewで説明できるわけですね。

結果として、資料を作るより良いのかもしれません。なぜその結論に至ったのかをメンバーは知りたいと思うし、思考のプロセスを共有することで、メンバーが同じ方向を向くことができます。

現場と一緒に分析モデルを育てる。ゲーム開発に直結するデータ分析基盤


── 現場の分析を支える側として、伊東様から見た活用状況はいかがですか?

データから得られた知見がビジネスの現場で使われていくことを目指していますので、新製品の開発やバージョンアップの課題設定の材料になるほど開発に直結する部分で使ってもらえているのは、仕掛け人としてとても励みになります。

グループ全体では、散在するデータを顧客IDを軸に網羅的に結合/可視化/共有できたことで、業務改善やサービス向上に活かそうという動きも増えてきました。ただ実際にデータをどう活用し、どんなアクションにつなげ、どんな成果を得るかについては、まだ試行錯誤を繰り返している段階です。

── QlikViewは、セガグループ様の分析基盤になりつつあるのでしょうか?

QlikViewの導入によって、データ活用のハードルが下がり、ビジネス上の課題をデータに基づいて考えようとする部署が増えました。もともとはSEGA ID情報を可視化・共有するために導入したツールでしたが、SEGA ID情報を扱わない部署も、データ量の増大やデータ処理の煩雑さに起因する問題を解決するためにQlikViewを導入し始めています。こういう部署にとっては、QlikViewは既に業務に欠かせない分析基盤になっていますね。

現在は、セガ・インタラクティブ、セガゲームス、セガホールディングスが活用中です。まもなくセガ エンタテインメントへの導入も始まり、セガグループ全体にさらに活用を拡げる構想も進んでいます。

可視化の次はマイニング。データの融合を進めて信頼性の高いアクションへ


── 今後の展開についてお聞かせください。

既存データをかき集めただけでは、分析以前に“課題解決に必要なデータが揃わない”ということが少なくありません。今後は、QlikView上のデータをもっと充実させたいですね。ID情報やプレイ情報といった既存のデータとは毛色の違うデータを増やして、分析の軸をもっと多様にしたいと考えています。

例えば、顧客ロイヤルティのデータ化です。既に一部のタイトルでは取り組みを始めていますが、ウェブアンケートを通じて顧客ロイヤルティを数値化し、QlikViewに取り込んで顧客分析の軸として活用しています。また、同じアンケートで取得したテキストデータを解析して顧客ロイヤルティの差を生む要因を探り、ロイヤルティ向上につなげようとしています。

── アンケートには積極的に答えてくれるのですか?

WCCFのユーザは、特に協力的です(笑)。実はつい先日、この顧客ロイヤルティ情報を使って経営層向けにプレゼンテーションをしました。ユーザの回答から、顧客ロイヤルティが低い要因を洗い出し、「この4つの理由が全体の8割を占めているので、今回のバージョンアップではここに向けて対策を打ちます」という説明をしました。

── データに基づいたアクションは、信頼性も高まりますね。

匿名アンケートの情報は、信憑性の面で判断が難しい部分もあったのですが、SEGA ID認証を経て取得したアンケートの情報は、QlikView上でプレイデータ等と照会できるため信頼性が高まりました。データの信頼性が上がることで、アクションも確信を持ったものになっています。

── データを起点にしたビジネスの展開に、QlikViewを役立てられていることが大変よくわかりました。本日は貴重なお話をありがとうございました。


  株式会社セガホールディングス
    IT本部 CRMソリューション企画推進部
    CRMチーム  伊東 誠 氏(写真右)
  株式会社セガ・インタラクティブ
    第三研究開発部 プロデュースセクション
    チーフプロデューサー  柏田 知大 氏(写真左)

セガホールディングス様へのインタビュー記事(PDF)をダウンロード


セガサムネイル

●「WCCF」の大ヒットをプロデュース
●ゲームのプレイ動向をQlikViewで分析
●ストップした可視化をQlikViewでリカバリ
●データドリブンの発想を生んだゲームの勝率
●ユーザの遊び方がわかる併遊分析
●現場と一緒に分析モデルを育てる


  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 株式会社セガホールディングスは、2020年4月1日をもって株式会社セガグループとなりました。
     株式会社セガ・インタラクティブは、2020年4月1日をもって株式会社セガとなりました。






お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 株式会社セガホールディングス(新社名:株式会社セガグループ)/
株式会社セガ・インタラクティブ(新社名:株式会社セガ)
概要 セガグループは、アーケードやコンシューマなどのゲームコンテンツ事業をはじめ、玩具事業、映像事業、アミューズメント施設運営事業などのエンタテインメント事業を手掛けています。
本社 東京都品川区東品川1-39-9
創業 1951年
URL http://sega.co.jp/
取材日 2016年7月

関連製品/サービス

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