基幹システムからのデータ抽出・加工処理を高速化
データ分析・共有基盤が整備され、戦略的なデータ活用を推進
株式会社インターネットイニシアティブ
- 導入製品/サービス…
- Precisely Connect(旧 Syncsort DMExpress)
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日本初のインターネット接続事業者として創業した株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)。基幹システムから必要なデータを抽出・加工し、目的別にユーザー部門に提供する仕組みを刷新。大量データの高速処理が可能なSyncsort DMExpress (以下、DMExpress)をデータ連携の処理エンジンとして活用し、新たなデータ分析・共有基盤を構築しました。データ提供までの時間を劇的に短縮し、業務効率化や意思決定の迅速化に貢献しています。 |
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導入のポイント
1.必要なデータを必要なタイミングで取得可能な、データ分析・共有基盤を構築
2.最大66倍の高速処理を実現し、データ提供までの時間を劇的に短縮
3.データの二次利活用が浸透し、データ活用の範囲を拡大
課題
- 基幹システムからデータを抽出・加工し、提供するまでに膨大な時間がかかる
- データ抽出・加工処理が属人化しており、作業負荷が高い
- ユーザーが必要なタイミングでデータを取得できない
対策
- 大量データの高速処理が可能で、多様なデータソースに対応するDMExpressを導入
- 担当者に依存する仕組みを刷新し、必要なデータをタイムリーに提供可能な手段を確立
- データ連携の中心にDMExpressを配置し、データ提供までの時間を劇的に短縮
効果
- データの最新化頻度が日次から1時間に短縮され、意思決定が迅速化
- 標準的なデータ提供プロセスが確立され、データ活用の範囲拡大も容易に
- データの共有・分析基盤が整備され、データドリブンな意思決定に貢献
システム概要
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基幹システムからのデータ抽出・加工プロセスを刷新し、新たなデータ活用基盤を整備
国内のインターネットのパイオニアとしてイニシアティブをとり続けてきたIIJ。その高い技術力をベースに、クラウドをはじめとするアウトソーシング、WAN、システムインテグレーション等をトータルに提供。顧客の多様なネットワーク利用の要望にワンストップで応えています。
同社では、業績報告やマーケティング業務、その他データの二次利用等を目的として、基幹システムのデータをユーザー部門にとって最適な形に加工してデータ提供を行ってきました。経営企画本部 事業基盤システム部の杉山 賢二氏は次のように語ります。
杉山氏
私たちの部門では、社内の円滑化を目的としたシステムの企画、開発に携わっています。バックオフィス業務についてもシステム環境を抜本的に見直し、ユーザー部門が使いやすいシステム構築を通して構造改革に取り組む構想がありました。
データを提供する際には複数のデータベースからのデータ抽出・マージ・加工処理が必要で、その処理は人手に頼っていたため、作業負荷の軽減や効率化が求められていました。経営企画本部 事業基盤システム部の阿部 圭一朗氏は次のように振り返ります。
阿部氏
必要とするデータを取り出す処理は各担当者に依存しており、手間や時間、コストがかかりますし、データの質という問題もありました。一連の処理を、より迅速かつ容易にできるようにすることで、データをタイムリーに提供したいと考えていました。
ETLツールは導入されていましたが、その用途はユーザー部門へのデータ提供ではなく、システム間連携を目的としたものでした。そこで、より高性能で操作性が高く、低コストでの運用が可能な新たなツールの導入検討に着手しました。
杉山氏
これまで統一したルールがなく、手作業や個人的に開発したツールを使用していたことで、属人化も生じていました。ルールを統一することで属人化を解消し、データ提供プロセスをシンプルにすることを目指して、新たなデータ活用環境の構築を検討することになりました。
豊富な接続先と高い処理性能・安定性を評価してDMExpressを採用
2019年より、大量データの高速処理が可能なパフォーマンスを発揮し、容易に運用ができる新たなツールの情報収集を開始しました。
杉山氏
2019年の4月頃から比較検討を開始し、6月にアシスト主催のセミナーに参加して、DMExpressを知りました。DMExpress採用の決め手は、従来のツールと比較した処理性能の高さとコスト面です。さらに、当社が非常に多くの種類のデータベースを利用していることから、多種多様なデータベースへのアクセスが可能で、かつ大量データを処理する際に安定的に稼働することも必須要件でした。
阿部氏
比較した他社製品の中には、特定のデータベースに関しては対応が難しいとされるケースが多かったのに対し、DMExpressの場合はこうすれば可能になるのではと、色々と工夫の提案を受けたのは大きな安心材料になりました。テクニカルな要望に対する臨機応変な対応や、製品検証時のサポートも非常に役立ちました。性能評価ではPoCシナリオを用意して目標時間を設定し、難なくクリアしたことも製品決定のポイントでした。
ベースとなる基本設計を新たな仕組みに移植する方式で2020年末から2021年にかけて構築作業を開始。DMExpressをデータ連携の中核に据えたデータ分析・共有基盤は、2021年7月より運用を開始しています。
パフォーマンスは最大66倍。18時間の処理をわずか15分に短縮
データ分析・共有基盤として構築した新システム「CRAFT(クラフト)」は、Customize(カスタマイズ)、Report(レポート)、Analyze(分析)、Fast(早く)、Tool(ツール)の頭文字から命名されています。ユーザーが使いやすい形であらかじめ作成したデータを共有しておくことで、必要なタイミングで必要なデータを容易に取得できるようになりました。
主な活用目的は、同社が提供する多様なサービスに関する収益データ、売上・販売管理等で活用するレポート用データの提供です。1年分の販売データだけでも約1TBにもなりますが、圧縮技術等を利用することで5分の1程度のサイズにデータを圧縮してデータ処理時の負荷を軽減しています。DMExpressの高い処理性能により、データの更新頻度も、従来の日次から1時間間隔へと大幅に短縮されました。
杉山氏
大量データの高速処理を特長とするDMExpressを採用したことで、パフォーマンスは飛躍的に向上しました。最高では、66倍ものパフォーマンスを実現しており、18時間かかっていた処理が、わずか15分へと劇的に短縮されています。これにより、データが提供されるまでの待ち時間も無くなり、業務効率化や意思決定の迅速化にも貢献しています。
阿部氏
CRAFTの構築では、データ利用の活性化を狙いの一つとしていました。稼働が開始するとユーザー部門からデータの二次利用を目的に、ぜひ使用したいというニーズが数多く寄せられています。例えば、マーケティングや営業系の分析、SFAとの連携など、以前とは異なる新たな要望が相次いでいます。想定以上の反応で、嬉しい悲鳴をあげている状況です。
ユーザー参加型の仕組みや利便性の向上で、さらなるデータ活用を推進
現在、注力して取り組んでいることの一つは、ユーザー参加型によるレポート用データの作成です。
杉山氏
餅は餅屋ではないですが、データ活用の目的はユーザー部門が一番把握しているものでしょう。そこで、CRAFTの仕組みを活用してレポートを作成したいユーザーが、必要なデータを集めて容易に作成できる環境を整えていくことで、さらなるデータ利用の活性化が進むことを期待しています。DMExpressのインタフェースはシンプルで、Windowsのエクスプローラー感覚で操作することができます。その使い勝手の良さは、開発時にも生きてくるものと考えています。
実際にマーケティング戦略の立案を目的として顧客データを分析するため、DMExpressを自ら操作して活用している事例も出てきました。以前にも、同様の目的でデータ活用を試みた部署がありましたが、レポート作成に数ヵ月を要したことから、マーケティングに取り組むタイミングを逃してしまいました。それだけに、スピーディーに分析して適切なタイミングでキャンペーンを実施したり、サービスに反映することを可能とするデータ活用基盤の構築は、事業戦略においても大きな意味を持っています。
現在CRAFTでのデータ活用はサービス系データが先行しており、今後は、営業系データなど対象とするデータの範囲を拡大、更なるデータ活用の活性化を推進していきます。
杉山氏
レポートシステムを統合するなど、ユーザビリティの向上も推進し、様々な部門のユーザーに活用してもらえるよう、強力にサポートしていきたいと思います。
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
インターネットイニシアティブ様のインタビュー記事(PDF)はこちら
株式会社インターネットイニシアティブ様へお話をお聞きしたインタビュー記事をPDFでお読みいただけます。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 株式会社インターネットイニシアティブ |
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概要 | 日本初のインターネット接続事業者として創業。卓越した技術力を強みとしてクラウド、セキュリティ、ネットワーク、モバイル、IoT、配信事業、コンサルティングなど多様な事業を展開しています。 |
本社 | 東京都千代田区富士見2-10-2 |
設立 | 1992年12月3日 |
資本金 | 23,023百万円 |
従業員数 | 連結4,079名 単体2,331名(2021年9月現在) |
URL | https://www.iij.ad.jp/ |
取材日 | 2021年11月 |
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