大規模データ基盤をクラウド上で効率よく運用、
「分析AIの民主化」の実現を目指す!
KDDI株式会社
- 導入製品/サービス…
- Oracle Cloud Infrastructure Oracle Database
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各部門で独自にデータ活用やAI分析の取り組みを進めてきたKDDI株式会社は、さらに高度なAI活用を目指し、部門横断型の共通インフラデータ基盤の構築に着手。プラットフォームとして長年利用するOracle Databaseと親和性の高いOracle Cloud Infrastructure (以下、OCI)を採用し、データウェアハウス(以下、DWH)のデータベースエンジンにOracle Autonomous Data Warehouse(以下、ADW)を活用することで、効率的なデータベース運用を実現しました。 |
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「負荷状況に応じてデータベースのリソースが自律的にスケールアップできるADWを活用したことで、ハイスケーラビリティなDWH基盤が構築でき、運用が効率的になりました」
KDDI株式会社
コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 オペレーション技術開発部
データ分析基盤1グループ コアスタッフ 竹内 順哉 氏
課題/背景
- システムやデータ、ノウハウが部門ごとに「サイロ化」している状態を解消したかった
- 複数システムのデータを統合し、高機能な共通インフラデータ基盤を構築したかった
- データベース管理者の数が限られる中、大容量のDWHの構築と効率的な運用が必要だった
対策
- 全社で「分析AIの民主化」を目指し、部門横断型の共通インフラデータ基盤の構築を決断
- 高機能なデータベースサービスを低コストで利用できるクラウド基盤の「OCI」を採用
- 高い処理性能で運用負荷を大幅に削減できる自律型データベースサービス「ADW」を採用
効果
- 複数システムのデータを一元的に集計、分析することで新たな知見を見出せるようになった
- OCIの各種サービスを活用し、大規模な共通インフラデータ基盤を短期間で構築できた
- ADWを活用したことで、高いスケーラビリティと運用効率を兼ね備えたDWH基盤を構築できた
システム概要図
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「分析AIの民主化」の実現を目指し、共通インフラデータ基盤の構築に着手
日本を代表する大手通信事業者のKDDI株式会社は、「5G通信」「データドリブン」「生成AI」の3つのコア技術に注力しながら、DXや金融、エネルギーなど通信と親和性のある分野で付加価値サービスを提供し、事業成長を加速しています。特に力を入れている施策の1つが「共通インフラデータ基盤」の構築と運用です。世界の先端通信キャリアの間では、自社サービスに関する様々なデータを収集し分析して、品質管理と改善スピードの向上を目指す取り組みが日々進められており、KDDIも同様に施策を推し進めている状況です。
データ分析の高度な取り組みを推進する中、同社 コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 オペレーション技術開発部 データ分析基盤1グループ 竹内 順哉氏によると、推進には幾つかのハードルがあったと言います。
竹内氏
これまで社内の各部署でデータ活用やAI分析の取り組みは進められてきましたが、データが部署ごとにサイロ化し、システムもバラバラだったので、全社規模のデータ利活用は思うように進みませんでした。そこで、大規模な部門横断型の共通インフラデータ基盤を構築し、誰もが使える「分析AIの民主化」を目指すことにしました。
DWHには、OCIの自律型データベースサービス「ADW」を採用
同社は、大規模な部門横断型の共通インフラデータ基盤のプラットフォームとして、クラウドサービスのOracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)を選択しました。これまで蓄積したOracle Databaseの構築と運用ノウハウを最大限に生かせるとともに、他のクラウドサービスと比べてコストパフォーマンスに優れている点。またPython実行環境など業務適用に耐えうるサービスがある点も選定理由でした。
共通インフラデータ基盤は、OCIが提供する各種マネージドサービスを有効に活用し、コスト削減や最大限に効率的な運用ができることを目指して設計しました。社内外の様々なシステムからデータを収集する機能は、データサイズを考慮し、構築の容易性から「OCI Data Integration」を採用。また収集したデータを保管するデータレイクは「OCI Object Storage」を使って構築しました。
データレイクから必要なデータを抽出し、データ分析に適した形に加工して保管するデータウェアハウス(以下、DWH)は、OCIが提供する自律型データベースサービス「Oracle Autonomous Data Warehouse(以下、ADW)」を活用しました。共通インフラデータ基盤のDWHの容量は数百テラバイト。将来的には、ペタバイトにまで膨れ上がる見込みです。ADWは、高い処理能力と柔軟なスケーラビリティを備えているため、これだけの大容量データの扱いにも十分耐えられると判断しました。またそれ以上に同社が高く評価したのは、ADWの優れた運用性でした。
竹内氏
社内に高いスキルを持つデータベース管理者はいますが、人数は限られているので、誰でも効率的に運用できるデータベース製品を求めていました。その点、ADWは自律的にデータベースがチューニングやキャパシティの増減などを行うので、運用負荷を抑えられて魅力的でした。当時はサービスのアップデート時刻を指定できないのが唯一の懸念でしたが、それでもサービスレベルを十分に維持できると判断し、ADWに決めました。
アシスト技術の伴走支援で、設計からわずか4ヵ月の短期間で本番稼働
ADWを用いたDWHの構築作業は、アシストの全面的な協力のもと進められました。設計と初期実装、データレイクとDWH間のデータ抽出に加え、データを加工して転送するETLの設計と実装には技術支援が有効でした。ADWのシンプルな仕様とアシストによる技術支援で、極めてスムーズに作業が進んだと竹内氏は振り返ります。
竹内氏
もともとADWは細かなチューニング項目が無い分、設定パラメータの数も少ないので、スムーズに導入できました。データベース全体の設計作業を始めてから、4ヵ月後には本番稼働に漕ぎ着けられました。
本番稼働した共通インフラデータ基盤は、現在も極めて安定稼働しています。特にADWを使って構築したDWHは、データベースが自律的に各種パラメータを調整し安定稼働を維持するため、以前のように専任のデータベース管理者をアサインする必要もなく、効率的な運用を図ることができました。また、ADWはデータ量が増大しても、自律的にキャパシティがスケールアップされるため、運用の手間が最小限に抑えられ、スケーラビリティが優れている点も特長です。
今後はより広範なデータを取り込み、共通インフラデータ基盤を進化させていく
通信事業部門内のデータを集約した共通インフラデータ基盤は、今後、ADWの優れた拡張性を生かしつつ、他の事業部門のデータ基盤と連携し、データ収集先のシステムを順次増やす予定です。さらに広範なデータを組み合わせることで、より高度なデータ利活用の手段をエンドユーザーに提供でき、当初掲げていた「分析AIの民主化」を推進し環境の展開を実現していきます。
竹内氏
アシストには、今後もOracle Databaseに関する高い知見などを生かして、共通インフラデータ基盤の安定稼働や進化に役立つ提案とサポートをぜひお願いしたいです。またそれだけに留まらず、社会情勢やそれに伴う社内ニーズの変化に対応したシステム構築のため、技術を活用した価値の高い提案なども期待したいと思います。
- ※本稿は取材時の内容に基づくものです。製品やお客様情報など最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。
- ※記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。
お客様情報
会社名 | KDDI株式会社 |
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本社 | 東京都千代田区飯田橋3丁目10番10号 |
設立 | 1984年6月1日 |
資本金 | 141,852百万円 |
URL | https://www.kddi.com/ |
従業員数 | 61,288名(連結ベース)2024年3月31日現在 |
取材日 | 2024年11月 |
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