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2022.03.22

Oracle DB 12cのサポート終了でRDSが自動アップグレード!取るべき対応のまとめ

※本記事に記載されている製品規定や機能、リリースおよび時期については、製品提供企業の裁量により決定されます。記載情報は執筆時点での内容であり、将来予告なしに変更されることがあります。最新の情報は製品提供企業の公開情報をご確認いただくか、アシストまでお問い合わせください。


Oracle Database12cR2(12.2.0.1)は2022年3月31日をもってPremier Supportが終了し、Sustaining Support期間に入ります。
※厳密にはPremire Supportは2020年11月30日に提供終了済み。ただし、2020/12/1~2022/3/31 の期間で限定的なエラー修正(重要度1の修正および、四半期のセキュリティアップデートのみ提供の
 Limited Error Correction)が、追加費用なしに提供されています。


また、12cR1(12.1.0.2)は2022年7月31日をもってExtended Supportが終了し、こちらもSustaining Support期間に入ります。

これらのサポート終了に伴い、大きな影響を受けるのがAmazon RDS for Oracle(以降、Amazon RDS)です。Amazon RDSは対象バージョンのPremier SupportとExtended Support期間が終了すると、自動で上位バージョンにアップグレードします。

参考:Amazon RDS for Oracle バージョン 12.1.0.2と12.2.0.1 のサポート終了のお知らせ

管理者が取るべき対応は、通常のOracle Databaseのバージョンアップ時とほとんど変わりはありませんが、Amazon RDSならではの注意点や対応をまとめました。


Oracle DatabaseやAmazon RDSのサポート期間をおさらい

まずはOracle DatabaseやAmazon RDSのサポート期間はどう設定されているのか、簡単におさらいしましょう。

Oracle Databaseの各バージョンのサポート期間

Oracle Databaseは以下3段階のサポート期間が設けられており、各バージョンの出荷開始からの年数に応じて決められています
※リリースの種類によってその年数は異なりますが、本記事では説明を割愛します。詳細はこちらの記事 でもご紹介しています。

 - Premier Support ・・・ 新規のパッチを提供
 - Extended Support ・・・ 新規のパッチを提供(追加費用が必要)
 - Sustaining Support ・・・ 既存のパッチのみ提供(追加の新規パッチ作成はない)

現行バージョンのサポート期間は以下の表のとおりです。
「参考」に掲載の最新情報も合わせてご確認ください。

Oracle Database各バージョンのサポート期間

  • *1 当初の発表から、Support期間が延長された環境があります。
     •[12.1.0.2] ES期間が1年延長されました。ただし、Apple Macintoshは延長の対象外で2021/7/31迄です。
     •[12.2.0.1] 2020/12/1~2022/3/31 の期間、限定的なエラー修正(重要度1の修正および、四半期のセキュリティアップデートのみ提供の Limited Error Correction)が、追加費用なしに提供されます。限定的なエラー修正は12.2.0.1のみの提供です。
     •[19c] ES期間が当初の~2026/3/31から13ヵ月延長されました。
  • *2 Standard Edition および Standard Edition One は、12.1.0.1が最終提供となり12.1でのESの提供はありません。
  • *3 一部OSでは提供されないことがあります。詳細は、Doc ID 742060.1を参照下さい。

参考:
 ・オラクル製品のライフタイム・サポート
 ・現在のデータベース・リリースのリリース・スケジュール (Doc ID 2413744.1 )
  ※オリジナル:Doc ID 742060.1 / 閲覧にはMy Oracle Supportへのログインが必要です。

表にもある通り、2022年のイベントとしては3月に12c R2のPremier Support終了、7月に12c R1の Extended Support終了が控えています。Oracle Database 12cをご利用中の方はバージョンアップの検討が必要です。


Amazon RDS for Oracleの対応バージョンと方針

Amazon RDS for Oracleの対応バージョンは、冒頭でも述べた通りPremier/Extended Support 期間のみ該当バージョンが提供されます。提供期限を迎えたものは、上位バージョンに自動アップグレードされます。

なお、2022年3月7日にAmazon RDS for Oracleで21cが選択可能になりました。

参考:
Amazon RDS for Oracle now supports Oracle Database 21c

これにより、2022年8月以降も選択できるバージョンは

 ・21c ( Premier Support :~2024/4/31)
 ・19c ( Premier Support :~2024/4/31 / Extended Support~2027/4/31)

の2つになります。


Oracle Databaseバージョンアップ時の対応

Oracle Databaseのバージョンアップ時には最低限、

 ▷ 対応①:既存業務、アプリケーションが従来通り稼働するか
 ▷ 対応②:パフォーマンス(スループット、レスポンス)を維持できるか
 ▷ 対応③:利用している機能は廃止されていないか

の3点を確認する必要があります。

この確認を怠ると、いざバージョンアップしたときにアプリケーションが動作しなかったり、急に動作が遅くなるなどのトラブルが発生する可能性があります。

これは、

 ・そもそもクライアントやパッケージアプリケーションが対応しないバージョンになってしまった
 ・バージョンアップによりOracle DatabaseのSQL処理ロジックが変更されたことで、
  アプリケーションにも影響を及ぼした

などの原因によって引き起こされます。適切なテスト環境を準備して、バージョンアップに備えることが推奨されます。それぞれの深掘りした内容は、本章前半に説明していきます。

また、Oracle Databaseは今もなおバージョンアップごとに進化を続けています。せっかくなので、新機能の活用も検討してみてはいかがでしょうか。本章最後の

 ▷応用:バージョンアップの効果を高めるには

にてご紹介します。


対応①:既存業務、アプリケーションが従来通り稼働するか

まず一番大事になるのが、既存業務、アプリケーションは従来通り稼働するかの確認です。特に代表的な対応方法としては

 ・Oracleクライアントが接続可能かを確認する
 ・テスト環境を作ってテストする
 ・Oracle DBのオプション機能「Real Application Testing」で効率的にテストする
 ・テストツールを活用する

などが挙げられます。今回は、Amazon RDS for Oracleの場合それぞれをどう対応していけばいいか、解説します。

Oracleクライアントが接続可能かを確認する

お使いのOracleクライアントバージョンがOracle Databaseのどのバージョンで動作するようにサポートされているかを確認します。これはAmazon RDSでも、通常のOracle Databaseを使うときと同じ考え方で問題ありません。

詳細は、オラクル社が公開している
 クライアント / サーバー 異なるバージョン間の互換性サポート・マトリクス
  (ドキュメントID 2127402.1)
※My Oracle Supportへのログインが必要
にて確認が可能です。

例えば、クライアントバージョン 11.1.0を使ってOracle Database12cと接続していた場合は、19cではサポートされていませんので、クライアントのバージョンアップが必要です。

更に注意が必要なのは、データベース・リンクを使用している場合です。データベース・リンクも接続互換性の影響を受けるので、忘れずに確認しましょう。


スナップショットを使ってテスト環境を構築する

実際に新しいバージョンでのテスト環境を準備し、アプリケーションの動作確認をすることが望ましいです。

オンプレミスの場合、ハードウェアの構築からデータベースのインストール、データ移行までを行ってやっと、テスト環境を準備していました。非情に労力を要する作業でしたが、クラウドになるとこの点が有利です。

AWSであれば、現行のAmazon RDSでスナップショットを取得し、移行先のバージョンでアップグレードするだけでテスト環境の構築が完了します。

あとはアプリケーションから接続してみて、問題なく実行できるかを確認していくことになります。
ただ、手作業で全ての動作を確認する作業は膨大な工数がかかり、少ないテスト期間内で実施するのは不可能に近いです。
この課題を解決するために、Oracle Databseのオプション機能「Oracle Real Application Testing(通称、RAT:ラット)」が準備されていますが、Amaozn RDSの場合は注意が必要です。


RATはAmazon RDSでサポートされていない

結論からいうと、残念ながら本稿執筆時点でAmazon RDSではRATはサポートされていませんので、他の手段を検討する必要があります。

EC2上のOracle Databaseや、Oracle Cloud のデータベースサービスの場合、必要なエディションやライセンスを保有していればRATが利用でき、バージョンアップ対応の工数を大きく削減することができます。

RATはデータベースレイヤで現行のSQLを記録し、テスト環境で再現できるため、テストケースの作成なども必要ありません。また、データベースレイヤで完結したテストが行えるので、アプリケーション担当者との連携が不要になったり、問題が発生した時に原因がアプリケーションかデータベースかを切り分ける作業が不要になります。

詳細は以下の記事にありますので、ご参考ください。

参考:アシスト「テックノート」
とにかく苦労しない「RAT」簡単攻略テクニック

Amazon RDSでRATは使えないため、代替手段を検討します。


テストツール等を活用する

テストツール等を活用すると、テスト工数を削減したり効果の高いテストが見込めます。

ツールによって問題を発見した時に、原因がアプリケーションにあるかデータベースにあるかを切り分ける必要はありますが、効率化のよいテストで事前に問題を特定できる点で有効です。

アシストの取扱製品では、UFT Oneなどがあげられます。
詳細は製品ページ にてご紹介しています。


対応②:パフォーマンス(スループット、レスポンス)は維持できるか

個々のSQLは問題なく実行できたとしても、大量に発行されたときにスループットが低下してしまったなどのトラブルも、バージョンアップ時によく寄せられます。
これらの予防のためには、負荷をかけてテストを行うOracle Databaseの機能(Database Replay)や他製品を利用する事になります。


RATのDB ReplayはRDSでサポートされていない

Oracle Databaseのオプション機能であるDatabase Replayは、現行環境でキャプチャしたワークロードを、テスト環境に実際に流してパフォーマンスを確認できます。

しかし、このDatabase ReplayはReal Application Testingの中のひとつの機能ですので、前に説明した通り本稿執筆時点でAmazon RDSではサポートされていません。そのため、その他のツール活用の検討が必要となります。

「負荷テストツール」で調べると様々な製品が確認できると思いますが、アシストの取扱製品であれば
LoadRunnerが該当します。

こちらも、パフォーマンスに問題が出た際に原因がアプリケーションかデータベースかを特定しなければなりません。しかし、アプリケーションの環境は変わらずデータベースのバージョンだけが変わったシーンを想定していますので、データベースの挙動を優先的に見ていくことになるでしょう。

LoadRunnerの詳細は製品ページ にてご紹介しています。

このようなツールを使って事前にパフォーマンスの問題を特定していたとしても、データベースに精通していなければ問題を解決することは難しいかもしれません。
以下の記事でも暫定対処などはご紹介していますが、余裕を持ったバージョンアップの計画を立て、アシストのサポートセンターなども活用して問題を回避していただくことをお勧めします。

参考:アシスト現場ブログ
Oracle Databaseバージョンアップ後の性能劣化で試したい暫定対処


対応③利用している機能は廃止されていないか

その他、バージョンアップ前の確認を推奨していることとして、非サポートや非推奨になる機能があります。
オラクル社が公開の「Oracle Database アップグレード・ガイド 」の「Oracle Databaseでの動作の変更、非推奨となった機能およびサポートが終了した機能」で現在使っている機能が無いかを確認しておきましょう。


応用:Oracle DBバージョンアップの効果を高めるには

さて、ここまででトラブルなくAmazon RDSのバージョンアップを完了させるために取るべき対応を解説してきました。

これだけのことをしてOracle Databaseを12cからバージョンアップするので、せっかくなら新しいバージョンを活用していただきたいです。12cの次のバージョンである18c(既にサポート終了のためAmazon RDSでは選択できません)以降の記事を以下にまとめました。是非ご活用ください!


まとめ

本記事では、Oracle DB12cのサポート終了に伴うバージョンアップ対応について、特にAmazon RDSにフォーカスして解説しました。

システムの心臓部とも言えるデータベースの管理には、これまで専門的な知識とノウハウが必要不可欠でした。しかし、クラウド・データベースが普及した今、手ごろに構築できるAmazon RDSを活用してハイ・スピードなシステム構築とビジネス展開が一般的になりつつあります。

それにより、データベース管理を専門としてこなかった開発部門やBU部門がOracle DBを管理するようになったので、バージョンアップに伴うトラブルが予想されます。
この記事を参考に、対策していただければ幸いです。

アシストでは長年Oracle Databaseを取り扱っており、豊富な知識と経験を要しています。もちろん、AWS上のOracle Databaseにも精通しておりますし、AWSだけではなくOracle Cloudでも多くの知見を有しています。

バージョンアップを含め、サポートやライセンス・新規構築・DB移行など、Oracle Databaseのお困りごとがあればなんでもお気軽にお問い合わせください。

 


執筆者情報

さかもと ゆういち プロフィール画像

2017年アシスト入社後、主にVerticaのサポートエンジニアに従事し、
2020年よりAWS/OracleCloudのフィールドエンジニアとして活動。

2021年には、APN AWS Top Engineers 選出される。...show more


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