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2022.06.29

【JP1/AJS3】ネットワークを介したファイル監視をサポート!設定方法や注意点は?

【JP1/AJS3】ネットワークを介したファイル監視をサポート!設定方法や注意点は?

JP1/Automatic Job Management System 3(以下、JP1/AJS3)ではV12.6より、ファイル監視ジョブでネットワークを介したファイル(※)を監視する機能がサポートされました。

(※)…ネットワークを介したファイルの例
    Windows:ネットワークドライブおよびUNCで参照できるファイル
    UNIX:NFSマウントで参照できるファイル

ネットワークを介したファイルの監視機能を使用するには事前設定が必要です。
本ブログでは設定方法についてご紹介します。

第1章 機能の概要

V12.5までは、ネットワークを介したファイルをファイル監視ジョブで監視することはサポートされていませんでしたが、V12.6での機能拡張により、実行先サーバのJP1/AJS3がV12.6以降であればネットワークを介したファイル監視がサポートされるようになりました。これにより、以下のような運用が可能です。

 ・JP1/AJS3を導入していないサーバ上のファイルを監視する
 ・NAS上のファイルを監視する

次章以降で、ネットワークを介したファイルを監視する際の前提条件と事前設定についてご紹介します。

ネットワークを介したファイル監視のイメージ

第2章 前提条件

本機能を使用するには、ファイル監視ジョブを実行するサーバにて、事前に以下の設定が必要です。

実行サーバがWindowsの場合

JP1/AJS3サービスの起動ユーザーの変更が必要です。起動ユーザーに指定するユーザーには、以下の権限を設定しておいてください。

・Administrators権限
・監視対象ファイルに対する変更権限

また、該当ユーザーにはローカル セキュリティ ポリシーにて以下の権限も設定しておいてください。

・ローカルログオンを許可する
・サービスとしてログオン
・プロセスレベルトークンの置き換え
・プロセスのメモリークォータの増加

詳細については以下のマニュアルをご参照ください。

JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)
4.2.3 JP1/AJS3のサービスの設定を変更する必要がある場合(Windows限定)

(1) JP1/AJS3が提供するサービスのアカウントの変更について

JP1/AJS3サービスの起動ユーザーの設定画面

ローカル セキュリティ ポリシーの設定画面

実行サーバがUNIXの場合

監視対象ファイルに対してスーパーユーザーが参照権限を持つように設定してください。

第3章 事前準備

本機能を使用する場合、実行サーバでJP1/AJS3の環境設定パラメーター「NetworkFilewatch」を設定します。

※環境設定パラメーター「NetworkFilewatch」に「Y」を指定した場合、メモリー所要量の再見積もり
 およびカーネルパラメーターの調整が必要です。
 詳細についてはJP1/AJS3のリリースノートをご参照ください。

設定方法は以下のとおりです。

1. JP1/AJS3のサービスを停止する。
 JP1/AJS3のサービスおよびプロセスがすべて停止していることを確認してください。

2. 次のコマンドを実行して、環境設定パラメーターを設定する。
▽実行サーバがWindowsの場合

 
 > jajs_config -k [JP1_DEFAULT\JP1AOMAGENT] "NetworkFilewatch"="Y"
 

▽実行サーバがUNIXの場合

 
 # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_config -k "[JP1_DEFAULT\JP1AOMAGENT]" "NetworkFilewatch"="Y"
 

 ※論理ホスト環境の場合は、「JP1_DEFAULT」を論理ホスト名に置き換えて実行してください。

3. JP1/AJS3を再起動する。
 設定した内容が反映されます。

ファイル監視ジョブの設定イメージ

実行サーバがWindowsの場合、監視対象ファイル名をUNCパスで指定します。ネットワークドライブ名から始まるパスは指定できません。

実行サーバがWindowsの場合の設定例

UNIXの場合、NFSマウントでマウントしたドライブからフルパスで指定します。

実行サーバがUNIXの場合の設定例


第4章 注意事項

(1) 以下の場合は注意が必要です。
  ・Windows環境でNFSなど、SMB以外のプロトコルで共有しているファイルを監視する場合
  ・UNIX/Linux環境でネットワークを介したファイルを監視する場合

 上記の場合、他ホスト(=ファイル監視ジョブを実行しているホスト以外のホスト)上のプロセスが監視
 対象のファイルをオープンしているかどうか確認できません。
 このため、監視中に他ホストのプロセスによってファイルが更新中であっても、ファイルが生成されたと
 判断してしまう場合があります。

 【対処法】
  上記のようにファイル更新が完了するまでに監視条件が成立してしまうことが懸念される場合は、
  更新するファイルを直接監視するのではなく、ファイル更新が終わった時点で処理の完了を示す
  フラグファイルを作成し、そのフラグファイルを監視対象とする運用を推奨します。

フラグファイルを使用したファイル監視のイメージ


(2)第3章に記載のとおり、環境設定パラメーター「NetworkFilewatch」に「Y」を指定した場合、メモリー所要
  量の再見積もりおよびカーネルパラメーターの調整が必要です。そのため、ファイル監視ジョブでローカル
  ファイルだけを監視する場合は、「NetworkFilewatch」を「N」で運用してください。

(3)ネットワークを介したファイルの監視中にネットワーク障害が発生した場合、ローカルファイルを監視する
 別のファイル監視ジョブもイベント検知が遅延することがあります。
 

まとめ

多くのお客様からご要望のあった、ファイル監視ジョブでネットワークを介したファイルを監視する機能がついにサポートされました。これにより、NASなど、JP1/AJS3を導入できないサーバ上のファイルも監視できるようになり、運用の幅が広がりました。

アシストでは、JP1のメーカーである日立製作所と「JP1エンハンス会議」を運営し、お客様からお問い合わせいただいた内容やご意見をもとに、製品の改善要求を行っております。今後もメーカーと協力し、製品の品質改善に取り組んでまいりますので、お気づきの点がありましたらぜひアシストまでお問い合わせください。


製品正式名称
製品正式名称(略称表記) および機能対象バージョン
JP1/Automatic Job Management System 3 (JP1/AJS3) 12-60以降


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執筆者情報

2019年入社時よりJP1のサポートセンターにて勤務。
2021年よりお客様向けの研修講師も担当しています。お客様からよくいただくご質問等をもとに、JP1のお役立ち情報を発信したいと思います。
大阪在住。日本酒と猫が好きです。

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