- ジョブ管理
【JP1/AJS3】JP1 x SAP 使い慣れたAJS3の画面からSAPジョブを一元管理!
JP1/AJS3での、SAPのバックグラウンドジョブ制御をご紹介します。
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2006年に販売を開始したJP1 Version 8も、2023年3月末で限定サポート期間が終了になります。サポート終了後は、製品に関するお問い合わせだけではなく、修正パッチの提供、バージョン 9以降へのバージョンアップメディア提供も終了になります。
本ブログでは、限定サポート終了間近のJP1/Automatic Job Management System 2(以降、JP1/AJS2) から、JP1/Automatic Job Management System 3(以降、JP1/AJS3) バージョン9以降に移行するにあたり、押さえておくべきポイントをご紹介します。
本ブログをお客様の計画的、安全なバージョン移行にお役立ていただければ幸いです。
JP1のサポートサービス期間(ライフサイクル)は次の図のようになっています。
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1) 標準サポートサービス
製品出荷開始から10年間、製品販売終了からは5年間提供します。
販売期間が5年以上に延長された場合も、販売終了から5年間提供します。
2) 限定サポートサービス
標準サポートサービスと同様に問題解決支援、改良版提供、情報提供の役務を提供しますが、問題対策版(パッチを含む)の提供は、既存の問題対策版の提供のみとなります。料金は標準サポートサービスと同額、期間は標準サポートサービス終了後、5年間とします。
JP1 Version 8は、最後に出荷されたJP1 Version 8.5の出荷開始から15年が経過するため、2023年3月末に限定サポートサービスが終了することになりました。
既にサポート終了まで1年を切っている現在(2022年5月)、JP1 Version 8をご利用のお客様はお早めに移行の計画を立てて頂く必要があります。
JP1のライフサイクルはこちら
からもご確認頂けます。
JP1/AJS2からJP1/AJS3で最も大きく変化した点が、スケジューラーデータベースがISAMデータベースから組み込みDBに変更になったことです。
組み込みDBになったことで、大規模環境にも対応し、また、システム規模に合わせてデータベースのサイズが選択できるようになりました。またオンラインバックアップ機能(過去記事
)もできるなど、様々な機能が追加されています。
既存の環境でどれくらいのジョブ数が実行されているかをご確認の上、移行先に適したデータベースサイズを選択してセットアップしてください。
規模 | ジョブ数 |
大規模 | 総ユニット数:48,000~240,000程度 1日に実行されるユニット数:30,000~120,000 |
中規模 | 総ユニット数:5,000~48,000程度 1日に実行されるユニット数:5,000~30,000 |
小規模 | 総ユニット数:~5,000程度 1日に実行されるユニット数:~5,000 |
JP1/AJS3で「組み込みDBにアクセスする回数が多い機能」を利用する場合、ISAMデータベースを使用するJP1/AJS2より処理に時間がかかることがあります。
組み込みDBにアクセスする回数の多い操作は以下が該当します。これらの操作はユニット(ジョブ、ジョブグループなどの総称)数によって負荷が高くなる場合があります。
・ JP1/AJS3 の起動
・ JP1/AJS3 - View または JP1/AJS2 - View からの操作
・ ユニットを操作するコマンド
移行時においては、トータルのユニット数やジョブネット構成の検討を行い、マシンスペックを実際の処理数にあわせて見積もってください。また、運用を想定したテストを十分行ってください。
JP1/AJS3では、エージェント定義先がISAMデータベースから組み込みDBに変更になりました。(QUEUEジョブ、サブミットジョブは引き続きISAMデータベースで使用可能)
また、エージェントホストの論理的な名称である「実行エージェント名」で実行先ホストを指定できるエージェント管理機能も実装されました。
JP1/AJS2とJP1/AJS3ではエージェントの登録コマンドが以下のように変更になりました。
※JP1/AJS3環境で、jpqimportコマンドを実行可能ですが、PCジョブやUNIXジョブを実行してもエージェント定義が認識できず実行エラーになります。
〇 JP1/AJS2の場合の定義例
jpqimport -dt isam -ci ジョブ実行環境構成定義ファイル名
〇 JP1/AJS3の場合の定義例
ajsagtadd -a 実行エージェント名 -c 時刻-時刻=ジョブ実行多重度
環境設定パラメーターとは、JP1/AJS2、およびJP1/AJS3の運用に必要な各種情報を定義するためのデータベースです。
JP1/AJS2までは定義ファイルに環境設定パラメーター定義を記述し、jbssetcnfコマンドで定義する必要がありましたが、JP1/AJS3では、環境設定パラメーターを設定する専用のコマンド「jajs_config」コマンドが提供されました。
jbssetcnfコマンドは、定義内容に誤りがあった場合もそのまま読み込むため、定義ミスによりJP1/AJS2に障害が発生することがありました。
JP1/AJS3から提供されるようになった「jajs_config」コマンドでは、定義ミスがあった場合はコマンドがエラーになるため、ミスのない正しい定義による環境構築が可能です。
Windows環境のJP1/AJS2でメール送信ジョブを実行したい場合、マイクロソフト社のOutlookが必要でしたが、JP1/AJS3 Version 10以降では Outlookを使用せずにメール送信が行えるようになりました(※)。
また、JP1/AJS2でメール送信ジョブをサービスで実行する場合にはExchange Serverとの連携が必要でしたが、JP1/AJS3のメール送信ジョブではSMTPプロトコルをサポートするメールサーバとの連携においてもサービスとして動作できるようになりました。
※メール受信監視ジョブを使用したい場合は、JP1/AJS3でもOutlookが必要です。
JP1/AJS3 Version 11以降では、インストール時のデフォルトの環境設定パラメーターの値が製品の推奨値に変更されました。
変更後の値は推奨値であるためそのままお使いいただいて基本的には問題ありませんが、以前の初期値に変更して運用するかを必要に応じて検討してください。
詳細は下記のマニュアルをご参照ください。(下記マニュアルはJP1 Version 12.6です。)
JP1/Automatic JobManagement System 3 構築ガイド
付録C JP1/AJS3で設定する環境設定項目の推奨値
JP1/AJS2では、日々の運用で発生するファイルサイズの肥大化およびフラグメンテーション化による業務実行性能劣化を防ぐために、定期的なISAMデータベースの再編成が必要でした。
JP1/AJS3の組み込みDBでも定期的なメンテナンスが必要です。
なお、JP1 Version 12.1以降で自動メンテナンスする機能が実装されたため、毎日定時に自動でメンテナンスが行えます。
メンテナンスはJP1/AJS3のサービスが起動中でも実施でき、ジョブの実行にも影響を与えません。
(ジョブ実行に影響を受けてメンテナンス処理が実施されなくなる場合はあります)
今回、限定サポート終了が近いJP1/AJS2からJP1/AJS3への移行において押さえておいて頂きたいチェックポイントを6つご紹介しました。
本ブログでも過去に一部ご紹介していますが、JP1/AJS2から最新のJP1/AJS3 V12.6までの間にお客様の運用改善のための様々な追加機能が実装されています。
参考:
V12.1の新機能ブログ
、V12.5の新機能ブログ
、V12.6の新機能ブログ
新機能の中には、弊社がお客様の声を元に開発元に要望して実現したものも複数あります。今後も引き続きお客様の運用にあわせた機能拡張を要望して参ります。
本ブログを参考に、計画的にJP1/AJS3へ移行を行い、最新のJP1の便利機能を活用ください。
弊社では豊富な実績とノウハウを元にJP1バージョンアップ支援サービス 「一期一会」をご提供しています。ご興味がございましたらお気軽にご相談ください。
●バージョンアップ支援サービス一期一会の詳細はコチラ
https://www.ashisuto.co.jp/product/theme/itsm/jp1_versionup.html
製品正式名称
製品正式名称(略称表記) および機能対象バージョン
JP1/Automatic Job Management System 2 (JP1/AJS2) 08-00以降
JP1/Automatic Job Management System 3 (JP1/AJS3) 09-00以降
1999年入社。BI系のサポートを経て2003年よりJP1担当。 2020年9月より本ブログ記事を担当することになりました。
JP1サポートセンターの生き字引としてJP1のお役立ち情報を発信したいと思います。
京都在住。最近は韓国コスメを色々試すことが楽しみです。
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