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2022.01.31

【JP1/AJS3】入門編!JP1の基本用語を理解しよう!

入門編!JP1の基本用語を理解しよう!

JP1のマニュアルを読んでも単語が理解できない、そんなことはありませんか?今回は、JP1/AJS3のマニュアルを読む上で理解しておきたい、JP1の基本用語について解説します。

ユニットと種類

① ジョブグループ

ルートジョブネットを階層管理するフォルダのことをジョブグループといいます。ジョブグループには、カレンダーや基準日、基準時刻を設定することができます。

② ルートジョブネット

実行登録を行う単位のジョブネットです。ルートジョブネットは、スケジュールや保存世代数、多重起動の設定などができます。

③ ネストジョブネット

ルートジョブネット配下に置かれたジョブネットです。JP1/AJS3-View画面上では、ジョブネットエディタ画面やジョブネットモニタ画面の[ジョブネット]アイコンを指します。

ネストジョブネットは、デフォルトではルートジョブネットと同じスケジュールで動作しますが、個別のスケジュールを設定することも可能です。

④ ジョブネット

ジョブを階層管理するフォルダのような役割を持つものをジョブネットといいます。ジョブネットには2種類あり、それぞれ「ルートジョブネット」「ネストジョブネット」といいます。

⑤ ユニット

ジョブやジョブネット、ジョブグループの総称です。

⑥ ジョブ

ユニットの中の最小単位をジョブといいます。JP1/AJS3-View画面上では、ジョブネットエディタ画面やジョブネットモニタ画面の各アイコンがジョブに当たります。ただし、「ジョブネット」アイコンは除きます。

ユニットの階層イメージ


ジョブの種類

主なジョブの種類は「標準ジョブ」「イベントジョブ」「アクションジョブ」「カスタムジョブ」の4つに分かれます。


(1)標準ジョブ

UNIXジョブ、PCジョブ、QUEUEジョブ、フレキシブルジョブの総称です。

標準ジョブイメージ


(2)イベントジョブ

起動条件(.CONDITION)に指定可能な「事象(イベント)の発生を監視するジョブ」の総称です。JP1/AJS3-View画面上では、ジョブネットエディタ画面の[イベント]タブに存在するジョブが該当します。具体的には、JP1イベント受信監視ジョブ、ファイル監視ジョブ、メール受信監視ジョブ、メッセージキュー受信監視ジョブ※、MSMQ受信監視ジョブ※、ログファイル監視ジョブ、Windowsイベントログ監視ジョブ、実行間隔制御ジョブを指します。※11-00以降の場合、デフォルトでは非表示です。

イベントジョブイメージ


(3)アクションジョブ

特定の処理を実行するジョブの総称です。JP1/AJS3-View画面上では、ジョブネットエディタ画面の[アクション]タブに存在するものが該当します。具体的には、JP1イベント送信ジョブ、メール送信ジョブ、メッセージキュー送信ジョブ※、MSMQ送信ジョブ※、JP1/Cm2状態通知ジョブ、ローカル電源制御ジョブ、リモート電源制御ジョブを指します。※11-00以降の場合、デフォルトでは非表示です。

アクションジョブイメージ


(4)カスタムジョブ

JP1/AJS3以外のプログラムを、JP1/AJS3と連携するためのジョブです。JP1/AJS3のデフォルトでは存在しないジョブで、登録作業を行うことで追加されます。JP1/FTS/FTPの伝送を行うジョブや、JP1/AJS3 for EAPのバックグラウンド処理を実行するジョブ、AWSとの連携が可能な S3連携ジョブ などが該当します。

カスタムジョブイメージ

ユニットの状態

ジョブネットとジョブには、実行中、キューイング、繰り越し未実行などといった、ユニットの状態を示す名称があります。各状態がどのようなステータスであるかは、マニュアルに記載されています。

JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド
― 6.1 ジョブネット・ジョブ・ジョブネットコネクタの状態 ―

例えば「強制終了」状態の詳細は以下の通りです。

次のどれかの理由で,ジョブまたはジョブネットを強制終了した状態。

・実行中に終了結果をファイルへ書き込めなかったなど,ジョブまたはジョブネットの終了状態を
 判別できないような障害が発生した
・実行中にJP1/AJS3 - Managerサービスが停止した
・実行中にシステムが停止した
・実行中のジョブを強制終了した
・実行中のジョブが指定時間を超えたため処理の打ち切りを実行したジョブネットコネクタの場合は,
 実行中にルートジョブネットを強制終了したときの状態。

このように、各ユニットの状態を理解することで、対象ユニットが何によってどんな状態になったのかを把握できます。


スケジューラーサービス(AJSROOT1)

JP1/AJS3-View画面上では、最上位ジョブグループとして存在します。配下のジョブグループと同様にカレンダー設定などが行えますが、JP1/AJS3内部としては、スケジューラーサービスごとに機能が独立しています。例えば、ひとつのJP1/AJS3で、ルールが異なる複数のシステムを運用するケースで活用できます。また、スケジューラーサービスごとに複数並行してジョブを実行できるので、ジョブ数の多い環境ではスケジューラーサービスを分割することで、処理性能が上がることがあります。

スケジューラーサービスは、新規インストール時は物理ホストにひとつ、「AJSROOT1」という名称で作成されます。また、最大20個まで作成することが可能です。

スケジューラサービスイメージ


スケジューラーサービスを意識するのは、主に各コマンド実行時です。
(例)
 ジョブの実行結果を出力する場合
 > ajsshow -F スケジューラーサービス名 ジョブ名

コマンド実行時などに指定するジョブ名は、上位のジョブグループ名からスラッシュ区切りで指定します。この時、スケジューラーサービス名は不要です(上記のように、別オプションで指定します)。
以下の構成の場合は「/JobGroup/RootJobnet/ジョブネット/PCジョブ」になります。

スケジューラーサービス説明

※ジョブネットエディタ画面やジョブネットモニタ画面の左上では、「スケジューラーサービス名:/ジョブネットパス」が確認できます。この形式は「ユニット完全名」と呼ばれ、各ユニットを右クリック→[ユニット完全名を記憶]にてコピーすることが可能です。


組み込みDB(_JF0)

JP1/AJS3に登録されているジョブやスケジュールなどを格納するデータベースです。新規インストール時には「_JF0」というデータベースが構築されています。スケジューラーサービスと同様に、組み込みDBも複数構築することが可能です。

組み込みDBイメージ

組み込みDBは、データベースごとにサービスが独立しています。よって、_JF0を停止したとしても、_JF1が起動していれば、_JF1上のジョブ(上記の場合AJSROOT3配下のジョブ)は実行が可能です。

また、スケジューラーサービスと同様に、組み込みDBを分割してジョブを実行することでデータベースへの負荷を分散できます。


まとめ

2022年最初のブログはJP1用語について取り上げました。
JP1のマニュアルには詳細な情報が記載されていますが、用語を知っていないと理解できない内容も多いかと思います。

「せっかくマニュアルを調べたのに意味がわからなかった」が少しでも解消されれば幸いです。

なお、弊社ではJP1の基本用語だけでなく、便利な使い方や設計ノウハウなどを無料セミナーでも紹介しています。どなたでもお気軽にご参加いただけますでの、ご興味がある方は コチラから 詳細ご覧ください。

製品正式名称(略称表記) および機能対象バージョン

JP1/Automatic Job Management System 3 (JP1/AJS3) 09-00以降
JP1/File Transmission Server/FTP (JP1/FTS/FTP) 09-00以降
JP1/Automatic Job Management System 3 for Enterprise Applications (JP1/AJS3 for EAP) 09-00以降


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執筆者情報

2012年、株式会社アシスト入社。セキュリティ製品を担当後、2013年より
JP1の顧客サポートを担当。「JP1認定シニアコンサルタント」の資格保有者。
サポートの経験を活かしたブログを目指します。
趣味は、夢と魔法の国(と、冒険とイマジネーションの海)に行くこと。

栗山 綾美

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