
- ジョブ管理
【JP1/AJS3】JP1 x SAP 使い慣れたAJS3の画面からSAPジョブを一元管理!
JP1/AJS3での、SAPのバックグラウンドジョブ制御をご紹介します。
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ジョブ定義の実装に多くの工数を費やしている、ジョブ定義の帳票管理が煩雑になっているなどのお悩みはありませんか?今回は、そのようなジョブ定義の実装や管理の手間を削減できる、JP1/AJS3のオプション製品である
JP1/Automatic Job Management System 3 - Definition Assistant(JP1/AJS3 - DA)の活用例をご紹介します。
また、JP1/AJS3 - DAを利用したことが無い方だけではなく、すでにご利用中の方向けに、JP1/AJS3 - DAを活用するためのおすすめ設定や、サポートセンターに良くいただくお問い合わせ事例もご紹介します。
JP1/AJS3 - DAは、Microsoft Excelを使用してジョブを一括編集および一括定義するための機能を提供する製品です。
JP1/AJS3 - DAを使用すると、JP1/AJS3のジョブ定義情報を抜き出しMicrosoft Excel上に帳票形式で表示することができます。また、取得したジョブ定義情報をMicrosoft Excel上で修正し、JP1/AJS3へ修正内容を一括で反映することもできます。
JP1/AJS3のジョブ定義情報をMicrosoft Excel上へ帳票形式で表示することを「インポート」、取得した情報をMicrosoft Excel上で一括修正し、JP1/AJS3へジョブ定義情報として反映することを、「エクスポート」といいます。
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開発環境で作成したジョブ定義を本番環境に実装する場合に、JP1/AJS3 - DAを使って一括でエクスポートすることができます。
実装対象のジョブ定義をMicrosoft Excelのオートフィルターで絞り、実行エージェント名などを本番環境に合わせた定義に一括で変更することで、移行にかかる工数を削減できます。
また、ジョブ定義ごとに担当者が分かれている場合も、各担当者が担当するジョブ定義を個人のPCの
Microsoft Excel上で修正し、各自で実装するといった使い方も可能です。
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JP1/AJS3 - DAでインポートした定義情報管理テンプレートを、ジョブ定義書兼パラメーターシートとして使用することができます。
JP1/AJS3 - DAを利用することで、業務設計/システム構築時の作業用としてのジョブ定義書兼パラメーターシートを作成する手間を減らすことができます。
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製品構成例を以下に記載します。
JP1/AJS3 - Viewと同一端末へのインストールは必須ではありませんが、JP1/AJS3 - Viewと同一端末にインストールすることによって、JP1/AJS3 - View上からインポートを実施できたり、定義情報管理テンプレートからJP1/AJS3 - Viewの画面に遷移できます。(後述の「JP1/AJS3 - DAを活用するための設定」で詳しく説明しています。)
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なお、JP1/AJS3 - DAには32ビット版と64ビット版があります。
利用するMicrosoft Excelのビット数に合わせて適切なビット数のJP1/AJS3 - DAをインストールしてください。
ジョブ定義情報のインポート/エクスポート手順をご紹介します。定義情報管理テンプレートを開いたときの画面例を次に示します。
定義情報管理テンプレート画面 |
画面の左上に4つの操作用のボタンが表示されます。各ボタンの利用方法をご紹介します。
ジョブ定義情報のインポート時には、[IMPORT]ボタンをクリックします。
[IMPORT]ボタン |
[IMPORT]ボタンをクリックすると、[ユニット定義のインポート]ダイアログボックスが表示されます。なお、[ユニット定義のインポート]ダイアログボックスはユーザー認証機能を使用しない場合と使用する場合で表示が異なります。
[ユニット定義のインポート]ダイアログボックス |
[ユニット定義のインポート]ダイアログボックス |
[ユニット定義のインポート]ダイアログボックスに、インポート対象のホスト名や、ユニット名を入力します。対象スケジューラーサービスのすべてのユニットを対象とする場合は、「/」を指定します。入力後、[OK]をクリックすると、インポートが開始します。
インポートが完了すると、以下のメッセージが表示されます。
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[IMPORT]ボタンを使用したインポート手順は以上です。インポートしたジョブ定義情報を、定義情報管理テンプレート上で編集することができます。
ジョブ定義情報のエクスポート時には、[EXPORT]ボタンをクリックします。エクスポートでは、一括定義、単独定義、変更、削除の4種類の操作ができます。
区分 | 概要 |
---|---|
一括 | 定義情報管理テンプレートに設定した定義情報すべてを、一括してマネージャーホストにエクスポートします。 |
単独 | 定義情報管理テンプレートに入力されている情報のうち、特定のユニットの情報だけをエクスポートします。 |
変更 | ユニットの定義情報のうち、特定の項目だけを変更します。 |
削除 | ユニットを削除します。 |
エクスポート対象のユニットの[区分]に、操作種別を入力します。以下は、区分「一括」でエクスポートする例です。
エクスポートする行すべてに「一括」を入力してください。「一括」が入力されている行がエクスポートの対象になります。
※[F5]キーを押すと、入力済みのすべての行に「一括」が入力されます。
定義情報管理テンプレート |
[EXPORT]ボタンをクリックします。
[EXPORT]ボタン |
[ユニット定義のエクスポート]ダイアログボックスが表示されるため、必要情報を入力し、[OK]をクリックすると、エクスポートが開始されます。以下は、ユーザー認証機能を使用する場合の例です。
[ユニット定義のエクスポート]ダイアログボックス |
エクスポートが完了すると、以下のメッセージが表示されます。エクスポート手順は以上です。
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ジョブ定義情報のチェック時には、[CHECK]ボタンをクリックします。定義情報管理テンプレートに入力した定義情報について、入力条件が満たされているかどうかをチェックします。エクスポートを実行する前に、本機能の利用をお勧めします。
チェック項目の例は以下のとおりです。
・ユニット種別が指定されているか。
・「ユニット名」「上位ユニット完全名」に不正な文字が指定されていないか。
・「ジョブグループ名」に指定したユニット完全名の先頭が「/」で始まっているか。
[CHECK]ボタン |
不正がない場合は、以下のメッセージが表示されます。
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ジョブ定義情報に不正がある場合は、以下のメッセージが表示されます。表示される行番号を参考に、ジョブ定義情報を修正します。
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ジョブ定義情報をJP1/AJS3 - View上で確認する時には、[VIEW]ボタンをクリックします。
JP1/AJS3 - DAのインストールホストに、JP1/AJS3 - Viewをインストールしている場合、定義情報管理テンプレート上からJP1/AJS3 - Viewを起動できます。
JP1/AJS3 - Viewで表示したいユニット名を定義情報管理テンプレート上で選択した状態で、[VIEW]ボタンをクリックします。
[VIEW]ボタン |
JP1/AJS3 - Viewのログイン画面が表示されるため、ユーザー名/パスワードを入力します。
JP1/AJS3 - Viewログイン画面 |
ログインすると、JP1/AJS3 - Viewのジョブネットエディタ画面が開き、定義情報管理テンプレート上で選択したユニットが表示されます。
ジョブネットエディタ画面 |
JP1/AJS3 - DAを活用する上でのおすすめ設定を4つご紹介します。
ユーザー認証機能を使用することで、インポート/エクスポート時にJP1ユーザー情報の入力が必要になります。これにより、ログインするユーザーによりインポート/エクスポートできるユニットを制限することができます。
※インポート/エクスポートを制限できるのは、ユニットとJP1ユーザーにJP1資源グループを指定している場合に限ります。
ユニット定義のインポート |
ユーザー認証機能の有効化手順は以下のとおりです。なお、次に定義情報管理テンプレートを開いたときに変更が有効になります。
1.以下の定義ファイルを開きます。
定義ファイル:
<JP1/AJS3 - DAのインストール先フォルダ>\conf\ajs2da.conf
※JP1/AJS3 - DAのインストール先フォルダはデフォルトの場合以下のとおりです。
・32ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合:
C:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2DA
・64ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合:
C:\Program Files (x86)\HITACHI\JP1AJS2DA
2.以下のとおり編集します。
*************************************************************************
USERCHECKLEVEL=0←下線部を2に変更します。
*************************************************************************
※デフォルト値は「0」です。
ユーザー認証機能を使用しない場合、事前に利用ユーザーの登録が必要です。事前に利用ユーザーを登録しない場合、インポート/エクスポート時に以下のようなエラーが表示され、処理を実行できません。
利用ユーザーの登録手順は以下のとおりです。
1.認証サーバでの設定
1-1.JP1/AJS3 - DAをインストールしたホストで利用するOSユーザーと同じ名称のJP1ユーザーを、
マネージャーホストが参照する認証サーバに登録します。
1-2.マネージャーホストのOSユーザーがインポート/エクスポートの対象となるユニットの資源グループを
操作できるように、適切な権限を与えます。
JP1/AJS3 - DAで使用するJP1ユーザーに必要な実行権限は以下のとおりです。
以下のいずれか一つの実行権限を持っていれば、JP1/AJS3 - DAの各機能を実行できます。
・JP1_AJS_Admin
・JP1_AJS_Manager
・JP1_AJS_Editor
※次の項目を変更する場合、JP1ユーザーの実行権限にJP1_AJS_Admin権限が必要です。
(ユニットの所有者の場合は不要です。)
-ユニット共通属性情報の所有者とJP1資源グループ
-ジョブ共通属性情報の実行ユーザー種別
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デフォルトの場合、インポート/エクスポートできるユニット数は以下のとおりです。
※ユニット…JP1/AJS3においてジョブやジョブネット、ジョブグループの総称です。
・32ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合:5,000ユニット
・64ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合:130,000ユニット
上記のユニット数より多くインポート/エクスポートする場合は、上限値を拡張します。指定できる値は、インポート/エクスポートともに以下のとおりです。
・32ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合:1〜65,000
・64ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合:1〜1,048,556
設定手順は以下のとおりです。なお、次に定義情報管理テンプレートを開いたときに変更が有効になります。
1.以下の定義ファイルを開きます。
定義ファイル:
<JP1/AJS3 - DAのインストール先フォルダ>\conf\ajs2da.conf
2.以下のとおり編集します。
・32ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合
*************************************************************************
MAX-IMPORT-UNIT=5000 ←下線部を65000に変更します。
MAX-EXPORT-UNIT=5000 ←下線部を65000に変更します。
*************************************************************************
・64ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合
*************************************************************************
XLSM-MAX-IMPORT-UNIT=130000 ←下線部を1048556に変更します。
XLSM-MAX-EXPORT-UNIT=130000 ←下線部を1048556に変更します。
*************************************************************************
JP1/AJS3 - ViewとJP1/AJS3 - DAが同一サーバ/PCにインストールされている場合、JP1/AJS3 - View上から
JP1/AJS3 - DAを起動してジョブ定義をインポートすることが可能です。
インポートしたいユニット名を右クリックしてポップアップメニューから選択するだけなので、直感的かつ簡単にインポートすることができます。
JP1/AJS3 - Viewへの登録方法を以下に記載します。
1.JP1/AJS3 - DAでインポートしたいJP1ユーザーで、JP1/AJS3 - Viewにログインします。
2.[オプション]-[ツールの設定...]を選択します。
JP1/AJS3 - View |
3.ウィンドウ[ツールの設定]が表示されるので、[追加...]を選択します。
ツールの設定 |
4.ウィンドウ[ツールの登録]が表示されるので、下記のとおり設定して[OK]を選択します。
ツールの登録 |
項目 | 設定値 |
---|---|
登録名 | 任意の設定値 例:JP1/AJS3 - Definition Assistant |
ポップアップメニューに追加 | チェックする |
起動コマンド (ユーザー認証機能を使用しないとき) |
wscript "<JP1/AJS3 - DAのインストール先フォルダ>\bin\ajsdastart.vbs" (HOST_NAME) (SERVICE_NAME) (UNIT_NAME) (CHAR_CODE) ※()も含めて入力します。 |
起動コマンド (ユーザー認証機能を使用するとき) |
wscript "<JP1/AJS3 - DAのインストール先フォルダ>\bin\ajsdastart.vbs" (HOST_NAME) (SERVICE_NAME) (UNIT_NAME) (CHAR_CODE) (USER_NAME) ※()も含めて入力します。 |
<JP1/AJS3 - DAのインストール先フォルダ>に指定するインストールパスのデフォルトは以下のとおりです。
・32ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合:
C:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2DA
・64ビット版JP1/AJS3 - DAを利用する場合:
C:\Program Files (x86)\HITACHI\JP1AJS2DA
5.以下のメッセージが表示されるため、[はい]を選択します。
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サポートセンターによくいただくお問い合わせを3つご紹介します。
原因として以下の2つが考えられます。
・接続先JP1/AJS3 - Managerで設定しているOSユーザーの情報が間違っている。
接続先のJP1/AJS3 - Managerで設定しているOSユーザーのユーザー名とパスワードが正しく
設定されていることを確認してください。OSユーザーのパスワードを変更した際には、
JP1/Baseの環境設定でパスワード変更を行う必要があります。
・OSユーザーのアカウントがロックアウトされている。
何度も認証に失敗するなどで、OSユーザーのアカウントがロックアウトされていないことを
確認してください。
原因として以下が考えられます。
ユーザー認証機能を使用していない場合、マネージャーホストにJP1/AJS3 - DAを起動した
OSユーザーと同一名称のJP1ユーザーの登録、及びユーザーマッピングがされていない。
本ブログの「JP1/AJS3 - DAを活用するための設定」の「1.ユーザー認証機能を使用する」または、「2.ユーザー認証機能を使用しない」に記載の手順を実施してください。
実行登録されたユニットでも、ルートジョブネットをサスペンド状態にすることで、区分「変更」でエクスポートできます。
※サスペンド状態でない場合も区分「変更」でエクスポートは可能ですが、定義処理と実行制御処理のすれ違いなどの誤動作を防止するため、ルートジョブネットをサスペンドしてください。
サスペンド状態にしたルートジョブネットの例
▼区分「一括」「単独」「削除」でのエクスポートについて
ルートジョブネット配下のユニットについては、区分「一括」「単独」「削除」についても、ルートジョブネットをサスペンドすることで、エクスポートが可能です。
ルートジョブネット自体は、サスペンド状態でも区分「一括」「単独」「削除」でエクスポートすることはできません。
なお、「実行中」のユニットについては、区分「変更」でのエクスポートのみできます。
今回はJP1/AJS3 - DAとその活用例についてご紹介しました。JP1/AJS3 - DAを利用すれば、ジョブ定義の修正や移行をより簡単に、また、管理にかかる工数を大幅に削減できます。上記に関するお悩みをお持ちの場合は、一度JP1/AJS3 - DAをご検討いただければと思います。
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