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- ジョブ管理
【JP1/AJS3】JP1/AJS3 - DAでジョブ定義変更管理の工数を大幅削減
ジョブ定義の実装や管理の手間を削減できる、JP1/AJS3のオプション製品であるJP1/AJS3 - DAの活用例をご紹介します。
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JP1/AJS3の設計を正しく行わずに運用していると、組み込みDBの再セットアップが必要になることがあります。
例えば、組み込みDBの自動増分の要否を変更したい場合や、Sサイズ(小規模)で構築したが運用後に想定よりジョブネット数が多くなった場合などです。しかし、組み込みDBの再セットアップは、コマンドが複雑であるため非常に間違えやすいです。また、誤ったコマンドを実行してしまうと、システムの運用に支障をきたす可能性があります。
そこで本記事では、再セットアップをスムーズに行うための詳細な手順を解説します。
・バージョン12以降を対象としています。
・以下のマニュアルを参考に、「シングル構成」および「非クラスタ環境での論理ホスト構成」時の
手順を記載しています。
JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド
23.4.1 組み込みDBの高度なセットアップの手順
(6) 組み込みDBの再セットアップ
・クラスタ構成時の手順の記載はありません。クラスタ構成時は、以下のマニュアルをご確認ください。
JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド
23.5.1 組み込みDBの高度なセットアップの手順(実行系)
23.5.2 組み込みDBの高度なセットアップの手順(待機系)
・組み込みDB運用ディレクトリを変更する場合の手順の記載はありません。
・コマンドは、デフォルトのインストール先にインストールした場合のパスを使用しています。
Windows環境へのインストール時に「JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\tools」への
PATH環境変数は設定されていないため、tools配下のコマンド実行時はフォルダに移動するかもしくは
フルパスで指定して実行してください。
現在の設定を確認します。
コマンド
> "C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\tools\ajsembdbstatus" -c -id _JF1
HOSTNAME=jp1manager-v
INSTALLDIR="C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JF1"
SETUPID=_JF1
RAWFILE=
DATADIR="E:\JP1\jp1ajs2\embdb\_JF1\dbarea"
WORKDIR="C:\Program Files (x86)\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF1\dbarea"
EMBDBPORT=22221
DBMODEL=s
PHYSICALHOST=jp1manager
SYSLOGCNF=none
UNLDDIR=
EXTENDDB=no
EXTENDLOG=no
ENHANCEDBACKUP=no
HOSTNAM
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組み込みDBを構築したホスト名(論理ホストの場合のみ表示) |
INSTALLDIR | 組み込みDBのインストール先ディレクトリ(組み込みDB運用ディレクトリ) |
SETUPID | 組み込みDBセットアップ識別子 |
RAWFILE | 互換性のために出力している情報 |
DATADIR | 組み込みDBのデータ領域ディレクトリ |
WORKDIR | 作業領域ディレクトリ |
EMBDBPORT | 組み込みDBのポート番号 |
DBMODEL | データベースモデル(l:大規模、m:中規模、s:小規模) |
PHYSICALHOST | 実行系の物理ホスト名(論理ホストの場合のみ表示) |
SYSLOGCNF | システムログ運用の設定(single:システムファイルを二重化しない、dual:システムファイルを二重化する、none:システムログ運用が無効) |
UNLDDIR | アンロードログファイルの作成先ディレクトリ |
EXTENDDB | データベース領域の自動増分の設定(yes:自動増分する、no:自動増分しない) |
EXTENDLOG | システムログの自動増分の設定(yes:自動増分する、no:自動増分しない) |
ENHANCEDBACKUP | バックアップ強化機能の設定(yes:有効、no:無効) |
組み込みDBのセットアップ識別子は、以下のコマンドで確認できます。
Windowsの場合:
> ajsembdbidlist
Linuxの場合:
# /opt/jp1ajs2/tools/ajsembdbidlist
この例の場合、「_JF0」や「_JF1」が組み込みDBのセットアップ識別子です。
> "C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\tools\ajsembdbidlist"
*** Embeddb setup-id list 2024/12/11 15:39:33
_JF0 C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JF0
_JF1 C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JF1
Host-Name:JP1_DEFAULT
AJSROOT1 _JF0 C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JF0
Host-Name:jp1manager-v
AJSROOT2 _JF1 C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JF1
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JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsembdbstatus
ajsembdbidlist
再セットアップにより失われる各種定義情報をバックアップします。
Windowsの場合:
> ajsprint -F スケジューラーサービス名 -a /* > 出力先ファイル名
> ajsprint -F スケジューラーサービス名 -d / > 出力先ファイル名
Linuxの場合:
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsprint -F スケジューラーサービス名 -a '/*' > 出力先ファイル名
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsprint -F スケジューラーサービス名 -d / > 出力先ファイル名
> ajsprint -F AJSROOT2 -a /* > C:\temp\ajsprint.txt
> ajsprint -F AJSROOT2 -d / > C:\temp\rootcal.txt
スケジューラーサービスとは、JP1/AJS3-View画面上では、最上位ジョブグループ(ルートジョブグループ)として存在しています。以下の場合「AJSROOT1」や「AJSROOT2」がスケジューラーサービス名です。
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1つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーサービスがセットアップされている場合は、組み込みDBにセットアップされているすべてのスケジューラーサービスのバックアップを実施してください。また、「jbsgetcnf [-h 論理ホスト名] > 出力先ファイル名」にて、「TABLENAMEPREFIX」の値を確認しておいてください。
参考マニュアルJP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsprint
JP1 Version 13 JP1/Base 運用ガイド
jbsgetcnf
最上位ジョブグループ(ルートジョブグループ)の以下の情報をデフォルトから変更している場合は、メモしておいてください。
・コメント
・所有者
・JP1資源グループ
・基準時刻
・基準日
・月区分
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> ajsagtprint -h jp1manager-v -l > C:\temp\ajsagtprint.txt
シングル構成の場合は「-h 論理ホスト名」は不要です。
参考マニュアルJP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsagtprint
> ajsrgexport -F AJSROOT2 -R -o C:\temp\ajsrgexport.txt /
物理ホストおよびすべての論理ホストで、マネージャーサーバーのJP1/AJS3サービスを停止します。
JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
jajs_spmd_stop
組み込みDB環境のデータを削除します。
コマンド
>"C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\tools\ajsembdbunset" -e -id _JF1
2024/12/11 15:58:11 AJSEMBDBUNSET: _JF1 [START]
_JF1 Embeddb DELETE?(y/n):y ←yを入力
2024/12/11 15:58:37 AJSEMBDBUNSET: _JF1 EmbedDB UNSET START
2024/12/11 15:58:49 AJSEMBDBUNSET: _JF1 EmbedDB UNSET END (0)
2024/12/11 15:58:50 AJSEMBDBUNSET: _JF1 [END]
JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsembdbunset
-m | 組み込みDBのサイズ(Sサイズにする場合は「-s」を、Mサイズにする場合は「-m」を、Lサイズにする場合は「-l」を指定します。 |
-d | 組み込みDBのデータ領域ディレクトリ |
-p | ポート番号 システム内で使用されていないポート番号を指定します。 |
-i | 組み込みDB運用ディレクトリ ほかの組み込みDBで使用しているディレクトリを指定しないでください。 |
-id | セットアップ識別子 |
-mh | 論理ホスト名(論理ホスト構成の場合に指定) |
-eh | 実行系物理ホスト名(論理ホスト構成の場合に指定) |
-r | クラスタ構成の実行系ホストの環境、非クラスタの論理ホスト環境を構築する場合に指定 |
-ld | 作業領域ディレクトリを指定(論理ホスト構成の場合に指定) |
-ext_db | データベース領域の自動増分を適用する場合に指定 |
-ext_log | システムログの自動増分を適用する場合に指定 |
>"C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\tools\ajsembdbbuild" -m -d "E:\JP1\jp1ajs2\embdb\_JF1\dbarea" -p 22221 -i "C:\Program Files
(x86)\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF1" -id _JF1 -mh jp1manager-v -eh jp1manager -r -ld "C:\Program Files
(x86)\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF1\dbarea" -ext_db -ext_log
EmbedDB SETUP START
EmbedDB SETUP END
オプションは手順1で確認した情報を基に指定してください。
参考マニュアルJP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsembdbbuild
組み込みDBをセットアップします。
コマンド-F | スケジューラーサービス名 |
-ru m | 空き領域の再利用機能を使用する場合に指定。 l、m、sは、ajsembdbbuildコマンドで指定した規模と同じサイズのオプションを指定してください。 (-ru l、-ru m、-ru s) |
-id | 組み込みDBのセットアップ識別子 |
-p | ポート番号 ajsembdbbuildコマンドで指定したポート番号を指定してください。 |
-mh | 論理ホスト名 |
-tp | テーブル名プリフィックス 1つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーサービスがセットアップされている場合に指定。 重複しないよう手順1で確認した「TABLENAMEPREFIX」の値を設定してください。 |
>"C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\tools\ajsembdbsetup" -F AJSROOT2 -ru m -id _JF1 -p 22221 -mh jp1manager-v
[1/7]CREATE SCHEMA OK
[2/7]CREATE TABLES OK
[3/7]CREATE AGENT TABLES OK
[4/7]TABLE OPTION SET
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
KFPA12000-I Processing of SQL completed
[5/7]SHIFT CONFIGURATION OK
[6/7]CONFIGURATION AGENT OK
[7/7]BACKUP OLD ISAM FILES SKIP
1つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーサービスがセットアップされていた場合は、組み込みDBにセットアップされているすべてのスケジューラーサービスのセットアップを実施してください。
参考マニュアルJP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsembdbsetup
組み込みDBを停止します。
コマンド
>"C:\Program Files (x86)\Hitachi\JP1AJS2\tools\ajsembdbstop" -id _JF1
2024/12/11 18:20:26 AJSEMBDBSTOP: _JF1 [START]
2024/12/11 18:20:26 AJSEMBDBSTOP: _JF1 EmbedDB STOP START
2024/12/11 18:21:06 AJSEMBDBSTOP: _JF1 EmbedDB STOP END (0)
2024/12/11 18:21:06 AJSEMBDBSTOP: _JF1 [END]
JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsembdbstop
JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
jajs_spmd
再セットアップした組み込みDBに対応するスケジューラーサービスを一度停止し、コールドスタートします。
コマンド
>ajsstop -F AJSROOT2 -w
>ajsstart -F AJSROOT2 -c -w
JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsstop
ajsstart
手順2でバックアップした各種定義情報を回復します。
> ajsdefine -F AJSROOT2 C:\temp\ajsprint.txt
> ajscalendar -F AJSROOT2 -df C:\temp\rootcal.txt /
JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsdefine
ajscalendar
メモしておいた最上位ジョブグループ(ルートジョブグループ)の情報を設定してください。
コメント
所有者
JP1資源グループ
基準時刻
基準日
月区分
> ajsagtadd -h jp1manager-v -f C:\temp\ajsagtprint.txt
シングル構成の場合は「-h 論理ホスト名」は不要です。
参考マニュアルJP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsagtadd
> ajsrgimport -F AJSROOT2 -f -c -i C:\temp\ajsrgexport.txt
-fオプションを指定すると、当日に実行予定があっても予定時刻を過ぎている場合はジョブネットが実行されません。
計画一時変更していたジョブネットやジョブについては、「計画一時変更」の操作をしてください。
JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
ajsrgimport
JP1/AJS3 - View画面でジョブ定義が表示されていることを確認します。
統合トレースログ格納先(デフォルト時)
Windowsの場合:
C:\Program Files (x86)\Hitachi\HNTRLib2\spool 配下
Linuxの場合:
/var/opt/hitachi/HNTRLib2/spool 配下
「KNAD3691-I プロセスは全て起動しています」のメッセージが出力されていることを確認してください。
参考マニュアルJP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス
jajs_spmd_status
本記事では、再セットアップの手順を詳細に解説しました。手順に従って正確に実行することで、スムーズに作業を完了し、システムの安定運用を維持することができます。ぜひ参考にして、トラブルのない運用を実現してください。
JP1/Automatic Job Management System 3 - Manager(JP1/AJS3 - Manager)
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2022年7月に中途入社。JP1のサポートセンターにて勤務。分かりやすい回答をご案内できるように心掛けています。2023年4月より本ブログ記事を担当することになりました。
趣味は旅行です。特に京都が好きで、よく行きます。
ジョブ定義の実装や管理の手間を削減できる、JP1/AJS3のオプション製品であるJP1/AJS3 - DAの活用例をご紹介します。
JP1/AJS3での、SAPのバックグラウンドジョブ制御をご紹介します。
V13で新たに実装された、JP1/AJS3システムのリアルタイムな稼働状況をWEB画面で確認できる「マネジメントポータル」機能について詳しくご紹介します。