Oracle Cloudが採用される4つの理由
2022.12.9
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<執筆者> 徳原 茂之 Tokuhara Shigeyuki
ビジネスインフラ技術本部
データベース技術統括部 技術3部 部長
1996年に入社以来、Oracle、PostgreSQL、Verticaなどデータベース分野を中心に担当。
3年間の東京勤務を経て2016年に帰阪した以降は、西日本のお客様に対するデータベースの提案/構築支援の責任者に従事。
週2回はジムに通い、自身の筋肉との対話を欠かさない。
はじめに
以前のコラム「データベースをクラウドで利用する理由と課題 ~定説は正しいのか?その真偽とは?~
」では、クラウド環境でのデータベース利用について、「Amazon Web Services(以下、AWS)」と「Oracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)」のどちらを選ぶべきかをお伝えしました。
今回のコラムでは、OCIに対象を絞って「なぜOCIが選ばれるのか」「OCI運用のポイント」などを詳しく紹介したいと思います。
Oracle Cloud が採用される4つの理由
OCIは、2018年から提供されているOracle社のパブリッククラウドサービスです。
パブリッククラウドサービスとしては、Amazon社の「AWS」やMicrosoft社の「Azure」が古くから提供されており、認知度・シェア・利用実績が多いのが実情です。
しかし、OCIは後発組であるが故に、前述したクラウドサービスとの差別化ポイントが多くあります。
特徴的な4点をご紹介します。
OCIの4つの差別化ポイント
1.柔軟な構成
クラウドのメリットとして「必要なときに必要なだけ」という考え方があります。
確かにその通りなのですが、現実は少し異なります。
仮想マシンを例に挙げてみましょう。
多くのクラウドサービスでは「CPU1つ、メモリ8GBの仮想マシン」というように、リソースを組み合わせた型を用意しています。
利用者は用意された型の中から、要件に合うものを選定します。
しかし、必要なCPU数に合わせるとメモリが足りず、メモリに合わせるとCPU数が多すぎて、その結果、高コストになってしまうというケースが少なからず発生します。
その点、OCIには「フレキシブル・シェイプ」という考え方があり、
CPUとメモリを自由に組み合わせたり、一度選択した組み合わせを後から柔軟に変更したり
できます。
この柔軟性により真の意味での「必要なときに必要なだけ」を実現しています。
2.データベース技術の活用
多くの方が、「Oracleといえばデータベース」というイメージをお持ちではないでしょうか。
OCIでは様々なサービスを提供していますが、当然、データベース関連のサービスも充実しています。
このデータベース関連サービスの良いところは、
クラウド独自ではなく、オンプレミスと同じ製品/技術で提供
されている点です。
そのため、これまで培った技術スキルやノウハウを、そのままOCIで適用することができます。
ちなみに、Oracle Databaseは「AWS」や「Azure」でも利用できますが、高い可用性や拡張性を実現する「Oracle RAC」は、OCIでしか利用できない機能ですのでご注意ください。
3.高セキュリティ
クラウドを利用する時に最も懸念されることは「セキュリティ」です。
Oracle社はデータベースのトップベンダーとして、様々なセキュリティ機能を提供してきました。
OCIにおいても、
・クラウドプラットフォームレベルでのセキュリティ
・自動化による人的ミスの排除
・データを外部/内部の攻撃から守る多層防御
など、
多くのセキュリティ機能を標準/無償で提供
しており、安全なデータベース運用が可能です。
OCIのセキュリティ機能一覧
| カテゴリ | 機能 | 機能名 | 単価 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| セキュリティ・バイ・デザイン | 強力、完全なテナント分離 | Isolated Network Virtualization / Bare Meta | 標準機能 | |
| 強制的な暗号化 | Encryption by Default | 標準機能 | ||
| 階層型権限管理 | Compartment | 標準機能 | ||
| 自動化されたセキュリティ管理 | リスクのある設定を自動検知 | Cloud Guard | 無償 | |
| ポリシーの自動適用 | Security Zones | 無償 | ||
| 脆弱性スキャン | Vulnerability Scanning | 無償 | ||
| オンラインでのパッチ適用 | Autonomous Database | 無償 | ※1 | |
| 自動化されたログ分析 | Logging Analytics | 無償~ | ※2 | |
| データ中心の多層防御 | DBセキュリティ対策の自動化 | Data Safe | 無償~ | ※3 |
| 特権ユーザー管理 | Database Vault | DBCS HP~ | ※4 | |
| 多要素認証、リスクベース認証 | Identity Cloud Service | \384~ | ※5 | |
| ボット対策とWAF | Web Application Firewall | \90~ | ※6 |
※1 Autonomous Database 利用時に無償で利用可能
※2 10GBまで無償
※3 Oracle Cloud Database の利用でサービスを無償提供、監査記録の蓄積は100万レコード/ターゲット/月まで無償
※4 DBCS High Performance 以上で利用可能
※5 価格単位:\384 [ユーザー/月]
※6 価格単位 : \72 [1,000,000インカミングリクエスト/月] + \18 [グッドトラフィックのギガバイト/月]
4.高パフォーマンス
クラウドサービスでは、通常、パフォーマンスに関するSLAが明記されることはありません。
性能は様々な要因によって決定づけられるため、定義することが難しいからだと思います。
しかし、OCIでは、パフォーマンスに関して高い性能と保証を提示しています。
他のクラウドサービスは「可用性(利用できるか)」のみ保証されることが多いですが、OCIでは
「性能(性能を満たしているか)」「管理(管理操作ができるか)」も定義
されています。
これは、安定した拡張性のある優れたアーキテクチャを採用しているからこそ実現できることです。
このように、OCIには「柔軟な構成」「データベース技術の活用」「高セキュリティ」「高パフォーマンス」という4つの差別化ポイントがあります。
これらに魅力を感じ、OCIを採用されるケースが多くなっています。
Oracle Cloud 運用のポイント
では、実際にOCIを採用した場合、どのような運用方法があるのでしょうか?
クラウド環境では「責任分界点」を正しく理解する必要があります。
「クラウドなら、ベンダーがうまく運用してくれる」というのは誤解であり、ユーザー側が責任を持つ領域も存在するため、運用面も検討しなければなりません。
今回はデータベースに焦点をあて、「セキュリティ」と「モニタリング」の観点から、運用のポイントを確認していきたいと思います。
セキュリティ
オンプレミスと同様に、クラウド環境で攻撃の標的となりやすいのは、データベースです。
Oracle Databaseには様々なセキュリティ機能がある上、OCIではより簡単に利用できる仕組みやサービスが提供されています。
ここでは、無償で提供される3つのセキュリティ機能を紹介します。
TDE(透過的データベース暗号化)機能
データベースの
ファイルを暗号化
する機能です。
Oracle Database 10gR2 から長年採用されている仕組みです。
<特徴>
・オンプレミスの場合は、Enterprise Edition + Advanced Securityオプションが必要だが、OCIの場合は、Standard Editionでも利用できる
・OCI上のデータベースは、データファイルだけでなく、データベースを構成するファイルやバックアップファイルも暗号化できる
セキュリティアセスメント機能
データベースの
基本構成や暗号化状況などを調査
し、レポートに出力する機能です。
<特徴>
・「何をリスクとするのか」があらかじめ定義されており、すぐに使い始められる
・リスクが発生している項目には是正策が提示され、セキュリティ事故の予防ができる
・スケジュール実行などの継続的なチェックができる
・現時点では、リスクレベルのカスタマイズができない
・現時点では、レポート出力は日本語非対応のため、英語で出力される
<画面イメージ>
監査ログ収集機能
監査ログの長期保管やリスクレベルの提示
をし、レポートに出力する機能です。
<特徴>
・「何をリスクとするのか」があらかじめ定義されており、すぐに使い始められる
・監査ログを収集するだけでなく、簡単に検出に生かすことができる
・現時点では、レポート出力は日本語非対応のため、英語で出力される
<画面&レポート出力イメージ>
モニタリング
システム障害の多くは、ハードウェアやソフトウェアの異常が原因です。
クラウド環境では、対象サービスのモニタリング(情報収集)に加え、障害を予防したり早期復旧するための施策/仕組みを合わせて検討します。
ここでは、2つのモニタリング機能を紹介します。
Database Management
複数のデータベース稼働状況を一元的に管理
できる機能です。
データベース管理を担うOracle Enterprise Manager(OEM)に近い機能です。
Oracle Cloud Database の利用を前提に、
無償提供
されます。
<特徴>
・OEMと異なり、マネージャサーバが不要で、Webコンソール上で情報確認ができる
・Enterprise Edition + Diagnostics Pack + Tuning Packオプションがあれば、より高度なモニタリングが行える
(各種分析やSQLチューニングが簡単にできる)
<モニタリングイメージ>
OCI Logging
コンソールログ、データベースログ、OS上の任意の
ログを収集/監視
できる機能です。
1ヵ月10GBまで無償
で利用できます。
<特徴>
・アラートメールの発報ができる
・Logging Analyticsと組み合わせれば、機械学習を利用した異常値の発見や相関分析ができる
・現時点では、異常の検出ルールが定められていない(何をもって異常とするかを個別に定義する必要がある)
<ログ参照イメージ>
このように、OCIでは多くの「セキュリティ」「モニタリング」機能が用意されています。
これらを活用し、障害の予防/検出/復旧ができるよう運用を検討すると良いでしょう。
Oracle Cloud ライセンスの考え方
ここまで、差別化/運用のポイントとしてOCIの特徴をお伝えしてきましたが、ライセンスにも特徴があります。
特徴があるが故に、どのような考え方をすれば良いのか迷う方もいると思います。
ここでは、特に押さえておくと良いポイントに絞って紹介します。
価格体系
OCIは「Universal Credits」という価格体系をとっており、以下のメリットがあります。
<メリット>
・サービスごとの契約ではなく、
一つの契約ですべてのPaaSとIaaSが使える
・契約後に利用サービスの変更やスケールアップ、スケールダウンが柔軟に行える
・現在保有しているOracle Databaseなどのオンプレミスライセンスの持ち込み(BYOL)ができる ※
※ AWSとAzureにもBYOL可能ですが、必要となるライセンス数に違いがあり、OCIの方がお得です。
OCIでは、AWSやAzureの半分のライセンスですむこともあります。
支払いモデル
以下の2つから選択できます。
<支払いモデル>
・Annual Flex
年間クレジット制/前払い
予算が決まっている/一定期間以上の利用におすすめ
・Pay As You Go
月間従量課金制/後払い
予算が決まっていない/短期間利用におすすめ
Oracle Support Rewardsプログラム
2021年に発表されたOCIユーザー向け「Oracleソフトウェア保守更新費削減」プログラムです。
<プログラム内容&メリット>
支払いモデル「Annual Flex(年間クレジット制)」の場合に、
OCIの使用量に応じて Oracle Support Rewards(リワード)を獲得し、既存のOracle製品の保守更新費を削減
することができます。
OCI使用量の25~33%がOracle Support Rewardsとして獲得できるため、Oracleの保守更新費を削減しながらクラウド移行を加速する強力な施策だと言えます。
例)リワード率 25%の場合
OCI使用量 120,000円/月 ⇒ 30,000円のRewardsを獲得
このように、OCIならではのライセンスの考え方が、他にも多数あります。
本コラムだけで全てを説明するのは難しいため、気になることがあればお気軽にお問い合わせください。
また、最新の各サービスの単価(レート)は こちら
をご覧ください。
さいごに
これまでお伝えしたOCIの特性を踏まえると、特に
「現在 Oracle Database を使用している場合」は、OCIが有力な選択肢になります。
とはいえ、昨今の利用者からのニーズに応えるため、Oracle社は他のクラウドとの協調も推進しています。協調にはいくつかのステップが存在し、ネットワークレベルでは既にAzureとの協調(接続)が可能になっています。(Oracle Interconnect for Microsoft Azure)現在はサービスレベルでの連携を加速しており、いくつかのサービスが提供済みです。(Oracle Database Service for Azure、MySQL Heatwave on AWS)
今後は、クラウド間の相互連携をより向上させていくと思われます。
近い将来は、「どのクラウドを選ぶか」ではなく、「複数のクラウドを組み合わせる」という利用方法が主流になっていくかもしれません。
引き続き、弊社からも情報提供していきたいと思いますが、個別のご相談や質問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
参考
本ページの内容やアシスト西日本について何かございましたら、お気軽にお問い合わせください。










