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AIプロジェクトを失敗させないポイント3選

2023.1.16

<執筆者> 山口 奈織 Nao Yamaguchi

DX推進技術本部 データ活用技術統括部
AI技術部 課長

入社して10年間、データベース・アプリケーションサーバのSEを担当。
その後、Hadoopなどのインフラ系OSS製品の調査や、分野・製品を問わない技術として提案活動を実施。
現在は、AIを活用した課題解決を提案中。
腰痛解消のために椅子を買い続け、部屋が椅子だらけになったため、どう処分するのか検討中。

はじめに


コロナ禍における「業務効率化」や「DX推進」などにより、AIの需要は伸びています。
ある調査では、AI市場の売上規模が、2026年には1,500億円(2021年の2倍以上)にもなると予測されています。

この数字からも分かるように、AIに取り組む企業が増加しています。
しかし、新しい取り組みにはリスクが伴う上、「何から取り組むべきなのか」「どのように進めていくべきなのか」など、AIプロジェクトを推進するノウハウやスキルはまだまだ普及していません。
失敗は成功のもととは言いますが、リスクの回避/軽減のために、リスクを事前に把握して準備しておくことは大切です。

そこで、本コラムでは、AIプロジェクトでよく発生するリスクと、失敗しないためのポイントをご紹介します。


AIプロジェクトでよく発生するリスク


AIプロジェクトの開始~ビジネス適用までに、以下のようなリスクがよく発生します。

・必要なデータがない
・PoCが終わらない
・ビジネスにつながらない
・ROIが得られない
・AIの導入に業務部門の理解が得られない

これらのリスクを回避するためにはどうすれば良いか、3つのポイントに絞ってお伝えします。


AIプロジェクトを失敗させないポイント3選

1.テーマの定義に時間をかける


AIプロジェクトを進める時には、必ず「テーマ」を定義します。
このテーマを正確に定義できていないと、AIプロジェクトが頓挫してしまうので、とても重要です。

まず、AIを活用する場面について、問題解決のアプローチ手順で確認しましょう。
始めに、あるべき姿と現状とのギャップである「問題」を特定し、原因を探って問題解決のための「課題」を設定します。
次に、課題を解決するためにどのような「アクション」を起こすべきなのかを考え、適切なアクションを起こすために「データ分析」を行います。


問題解決のアプローチ


ここで必要となるのが ビジネスの問題を正しく捕捉し、正しいテーマを定義する ことです。
「AIでどのような結果が出るのか少し検証してみたい」という動機であれば、日々の売上データから未来の売上を予測するモデルをつくるだけで良いかもしれません。
しかし、同じ売上予測でも「欠品を防ぐために在庫過多となっているので、本当に必要な在庫を知るために売上を予測したい」という場合は、必要なデータやモデルが変わってくるでしょう。

テーマ設定が正しくできていない場合、手戻りが発生し、PoCが長期化したり、ビジネスの価値に結びつかないモデル作成に時間をかけることになります。
テーマ設定に時間をかけたとしても、ビジネスに繋がるテーマをしっかりと定めることができれば、効果が出やすく最終的にかかる工数も削減できるでしょう。


2.AIを意識したデータを準備する


現在のAI市場には、機械学習を中心とした、テキストマイニング、音声認識、画像認識など、様々な技術が提供されています。
機械学習は、データを使ってコンピュータが学習し、データに潜むルールやパターンを発見する技術のため、「課題に関係するデータ」が必須です。
テーマを定義した後は、どのようなデータがあれば良いか、そのデータが準備できるのかを確認します。


課題と必要なデータ(例)


例えば「在庫の最適化を行いたい」場合は、いつどの商品がどれだけ必要なのかを予測するために、過去の売上データを使って予測モデルを構築します。

この時に、多くの企業ではAIを意識したデータを準備できていないという前提を忘れてはいけません。
そこで重要なのが 「業務に関する知識」と「経験のデータ化」 です。

様々なデータの中から、業務知識に基づいて、課題解決の予測モデルに必要なデータ項目を検討しなければなりません。
ただ、実績データだけでは十分ではないことがあります。
例えば売上予測の場合、過去の販売実績を使います。ただし、実際の現場では、過去の販売実績だけでなく、今までの経験や勘に基づいて最終的な売上を予測しているでしょう。
その「人による経験」をデータ化できれば、機械学習による予測に役立つことがあります。


売上予測に必要なデータ(例)


社内にはたくさんデータがあるように見えても、AIに必要なデータとなると、精査が必要だったり、データが不足していたりします。
課題に合わせてAIに必要なデータを考え、できる限り準備することで、高い精度の分析が期待できます。


3.データサイエンスとビジネスの橋渡しをする


国内でも多くの大学でデータサイエンスを学ぶことができるようになり、企業で活躍する方も増えてきています。
しかし、その技術をビジネスで十分に発揮させるには、一つの壁が存在します。
それは AIを活用する多くの人は、業務担当の方である ことです。

テーマを定義する際は、業務を理解しながら「どのような課題があるのか」「それがAIで改善できるのか」を正しく捉える必要があります。
もし、AIプロジェクト推進メンバーが業務部門の声を曖昧に理解したまま進めていくと、でき上がった予測モデルが現場が抱えている課題解決にはつながらず、ROIが得られない、AIの導入に業務部門の理解が得られない、といった事態に陥ります。
そうならないように、AIプロジェクト推進メンバーと業務部門で意見交換をしながら進めていきます。
さらに、 データサイエンスとビジネス(業務)を結びつけて、業務部門に説明する「橋渡し役」 ができれば、AIプロジェクトの成功に近づくでしょう。


さいごに


ここまで、AIプロジェクトを失敗させないポイントをお伝えしました。
しかし、実際にプロジェクトを進めるには足りない情報も多く、気軽に相談できる相手が欲しいこともあるでしょう。
そんな時のために、アシストでは、AIに取り組むお客様を伴走型でご支援するサービス「AI Buddy(AI バディ) 」をご用意しています。
お客様の頼れる相棒(バディ)として、アシストのAIサクセスマネージャーと、データサイエンスの知識と資格を持ったデータサイエンティストが伴走型でご支援します。
もし興味があれば、お気軽にご相談ください。

本コラムが、皆様がAIを始めるきっかけや、AIプロジェクトの推進の参考になれば幸いです。



参考


[コラム] AIはじめの第一歩!「テーマの見つけ方」

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[コラム] AI導入はどう企画すればいい?AIの導入ステップについてわかりやすく解説

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