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AWSの利用拡大で失敗しないために!AWS標準化を推進する “ガイドライン作成” のすすめ

2023.2.10

<執筆者> 佐伯 竜輔 Saeki Ryusuke

クラウド技術本部 クラウド技術統括部
クラウド技術部 課長

2008年新卒入社。eラーニング製品、MySQL、Verticaなどのエンジニアを経て、2019年から2年間限定で採用活動を担当。
2021年に技術職に戻り、AWSに関する支援や研修の提案に従事している。
趣味は大学時代から続けているギター。「最近成長が止まっている」と思い始めて10年以上経過している。

AWSの利用拡大における課題と解決策


アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)などのパブリッククラウドサービスは「従量課金制」であるため、気軽に始めることができます。
DX推進をはじめとしたスピードが求められる現在のビジネスにおいて、クラウドの「手軽に始めることができる」点は、とても相性が良いです。

しかし、考えなしに利用を拡大すると、様々な問題が発生します。


AWSの利用拡大に伴い発生する問題(例)

・設計の属人化、システムのサイロ化が起こる
・セキュリティの設計品質にばらつきがあり、セキュリティインシデントや予期せぬサービス停止を招く
・社内のセキュリティ監査対応に時間がかかる
・類似のシステムも一から設計・構築するため効率が悪い
・システム単位で運用・監視を行っているため効率が悪い


こうした問題を解決する方法は ガイドラインの作成 です。
企業独自のAWSの利用方法や規約を統一/標準化し、ガイドラインとして社内に公開することで、安全・最適・効率的なAWS活用が促進されるでしょう。


AWS標準化ガイドラインで検討すべき14項目


では、どのような内容をガイドラインとして決めておけば良いのでしょうか?
AWSのベストプラクティスに基づき、以下の14項目の検討をおすすめします。


AWS標準化ガイドラインで検討すべき14項目


NO 大項目 小項目 検討項目詳細
1 前提確認 標準化内容
体制
ガイドライン運用
・標準化ガイドラインの目的
・ステークホルダーの確認
・ガイドラインの運用
2 アーキテクチャ アカウント設計 ・アカウント分割方針
・共通アカウント設計
・マルチアカウント管理
3 アーキテクチャ ネットワーク設計 ・VPC/サブネット設計、VPC間接続
・オンプレミスとの接続、インターネット接続
・DNS/NTP
・VPC外サービスとの接続
4 セキュリティ アイデンティティ管理
とアクセス管理
・認証/認可
・マネジメントコンソール/OSへのアクセス制御
5 セキュリティ 発見的統制 ・セキュリティログの管理(AWS CloudTrail、VPCフローログなど)
6 セキュリティ インフラストラクチャ保護 ・ネットワーク保護(セキュリティグループ、ネットワークACL、
 AWS Shield、AWS WAFなど)
・インスタンス保護(パッチ適用、ウイルス対策など)
7 セキュリティ データ保護 ・データの暗号化
・通信の暗号化
・Amazon S3のアクセス制御
8 セキュリティ インシデント対応 ・セキュリティ対策の自動化
9 運用 監視 ・システム監視、サービス監視、セキュリティ監視
10 運用 ログ管理 ・各種ログの保管場所/保管期間
11 運用 バックアップ/リストア ・バックアップ取得方針(AWS Backupなど)
12 運用 インフラプロビジョニング ・自動化ツール利用方針(AWS CloudFormationなど)
13 運用 ジョブ ・ジョブスケジューラ利用方針
14 コスト コスト管理 ・コスト管理方法(請求、コスト配分、監視など)
・コスト可視化


この中の一つである「アカウント設計」を例に挙げて考えてみましょう。
AWSリソースの管理単位となるAWSアカウントの分割や、管理方針を検討する必要があります。

細かく挙げていくと、

・アカウントの一覧作成/整理
・AWS運営に関連する対象者や対象部門の整理
・AWSアカウントの分割方針
・共通アカウントの分割方針
・AWSアカウントとアクターのマッピング
・AWS Organizationアカウントツリー構成

など、多くの検討事項があります。

アカウント設計だけでもこれだけ検討すべき項目があるので、これを14項目実施するとなると、とても大変な作業です。
しかし、最初にしっかりと検討しておくことで、新規作成/追加/変更時などに必ず役に立つでしょう。


AWS標準化ガイドラインを定着させる方法


ガイドラインを作成したら完了ではありません。
ガイドラインを「定着させる」ことがとても重要です。

ガイドラインを定着させるためには、以下6つの観点を明確にしていく必要があります。


1.ガイドラインの目的を定める


まずは、関係者間で「ガイドライン作成の目的は何か」の認識を統一/共有します。
その際は、以下のような観点で議論を進めると良いでしょう。

・ガイドラインの利用者は誰か?
 例:ユーザー部門、システム部門、開発パートナー

・ガイドラインを利用するタイミングはいつか?
 例:オンプレミスからの移行時、新規システム構築時、新規メンバー参画時

・ガイドラインに含める内容は?
 例:可用性の基準、セキュリティの基準、監視の方法、ネットワークの設計ルール


2.ガイドラインの位置づけを明確にする


ガイドラインを作成しようとした時には、既に社内セキュリティなどの各種規定が存在する場合が多いです。
それらの規定とAWS標準化ガイドラインの関係性を明確にします。

AWS標準化ガイドラインの位置づけ


3.ガイドラインに関わるステークホルダーを見極める


「ガイドラインを作ったけど使われていない」といった事態を避けるためにも、適切な関係者を巻き込みます。
クラウドを担当する部署以外にも、開発部門、運用部門、経理部門など、幅広い部門がガイドライン作成に参加するケースが多いです。

AWS標準化ガイドラインに関わるステークホルダー


4.ガイドラインのスコープを決める


先述の「AWS標準化ガイドラインで検討すべき14項目」で検討すべき内容をお伝えしましたが、必ずしも14項目全てのルールを定める必要はありません。自社のクラウド利用想定に合わせて取捨選択をしましょう。


5.ガイドラインの運用を決める


ガイドラインの公開方法やメンテナンス方針を決めます。
ガイドラインは、定期的に更新しないとどんどん古い情報となり、ガイドラインとして機能しなくなります。
メンテナンス方針を決めるのは後回しにしがちですが、最初にきちんと決めておきましょう。

・公開方法
 例:PDFで作成して社内イントラに掲載する

・メンテナンス方針
 例:AWS上で稼働しているシステム特性から考えて、3ヵ月ごとに見直しをする
   AWSのアップデートがあれば、都度見直しをする


6.ガイドラインのガバナンス方針を決める


ガイドラインでどの程度ガバナンスを効かせるのかを検討します。

例えば、細部まで規制をかけるようなガイドラインにすれば、非常に強固なセキュリティレベルを維持できますが、利便性が大幅に低下します。
そうなると、ガイドラインが守られなかったり、クラウド利用自体が進まなくなる可能性があります。

そのため、最低限守るべき制限は設けつつも、利用者側にある程度権限を委譲するような方針にすると良いでしょう。

ガイドラインのガバナンス方針


AWS標準化ガイドラインの効果


ガイドラインを作成/定着させるためのヒントをお伝えしてきましたが、「だいぶ工数がかかりそうだけど、本当にガイドラインを作成した方が良いの?」「ガイドラインのせいで確認すべきことが増えて、システムリリースまでのスピードが落ちるのでは?」と心配になるかもしれません。

確かにガイドライン作成には工数がかかりますが、 AWSのメリットを活かしたルールを作ることは、逆にスピードアップに繋がります。

例えば、新規システムを構築する場合、ネットワーク基盤・インフラの冗長性・セキュリティルールなどを定めます。
この時、ガイドラインで最低限遵守すべきルール※ が明確になっていれば、ゼロベースで検討する手間を省くことができます。
※VPC分割の要否、サブネット数、AZ数、マルチAZ要否、ファイアウォールの設定など

さらに、AWSには、 インフラ構築を自動化する「AWS CloudFormation」 というサービスがあります。
AWS CloudFormationでガイドラインに沿ったテンプレートを用意しておけば、実装の手間を大幅に削減することができるでしょう。


さいごに


AWSの利用方法や規約を標準化してガイドラインを作成することで、構築のスピードアップや、品質の担保などが実現できます。
しかし、ガイドライン作成には、AWSに精通していて、自社特有のルールを把握している人物が必要不可欠です。

もし、自社内で適任者がいない場合は、一度アシストにご相談ください。
弊社では、AWSに精通している技術者が、ガイドラインを作成/更新するための支援を実施しています。
お客様自身がルールを決めていけるよう、アシストがファシリテーターとなり、ワークショップ形式でガイドラインを作成します。
ご興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

今後も コチラ のブログでAWSに関する情報をお届けしていきますので、お時間があれば覗いてみてください。



参考


AWS標準化検討・ガイドライン作成支援のご紹介


\ こんな方におすすめ /

・社内の野良クラウドの増加に困っている
・社内でAWSの利用ルールが整備できていない
・AWS利用ルールはあるが、適切かどうか不安
・AWS利用ルールはあるが、浸透しない
・今後、AWSの利用を拡大する予定がある



 
本ページの内容やアシスト西日本について何かございましたら、お気軽にお問い合わせください。
 


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